前回は差別化の悪口を書きました(笑)

いやまぁ、見た瞬間に「〇○○だ」とわかること自体は
ブランディングの基本なので、そういう意味での差別化はとても大切です。

 

 ブランドというのはお客様との間に築き上げた信頼をカタチとして心に残すものなので、

一目で違いが判らないと「別の会社の商品を買われてしまう」しかも「間違って」という悲惨な事にもなりかねません。

 

 僕がまだ20代のころ、「ブランド」という言葉が大手を振ってニホンにやってきたわけですが…(その前にもあったかもしれないけれど、僕のような庶民の耳には届いてなかった)、

それ以前にそのような製品群を指す言葉は「舶来品」でした。だから僕のようなおじさんは、ブランドと聞くと海外の高級品を頭に浮かべてしまうのです。テクノスとか平和堂貿易とか意味もなくと頭に浮かんできます。若い方、ごめんなさい。

 

 今では「チャーミーグリーン」も「ジョージア」も「ミルキー」も数あるブランドのひとつだって皆さんも思っていますよね。このように専門的なマーケティングメソッドが一般の皆さんにも理解されているのが2021年の現代日本であります。

 

 さて、ブランド化(ブランディング)はこのように差別化するための手段のひとつですが、たまに差別化しすぎちゃって大失敗!ということがプロのお仕事でも起きてしまうのです。

 

 商品のデザインやパッケージのデザインでたまーに見かけるこの失敗。

それは、「らしくないデザインでずっこける」です。具体的な製品名は伏せますが、

数年前ある緑茶飲料が斬新なボトルデザインでデビューした時も、売れ行きは芳しくありませんでした。お茶に見えなかったんだろうと思います。新発売の翌週に半額以下で積んであったのには涙を禁じ得ませんでした。最近では某コンビニのPB商品のパッケージにはびっくりしました。店内の商品が全部同じデザインなので「パッと手に取る事」ができません。ソースと思ったら醬油だったり…誰がGOを出したのでしょう。売れていることを祈ります。

 

 まぁ確かに、黄色い缶の缶コーヒーがあったら珈琲には見えませんよね。つぶつぶコーンスープと間違います。僕はアフリカの方々にマーケティングをお教えしているのですが、彼らに「緑茶」「コーラ(コカ以外)」「水」「サイダー」のペットボトルを見せて中身を問うと、ほぼ100%当てます。文字を読めなくても当たる。実は尋ねた僕自身が一番びっくりしました。
 

 このように、あるカテゴリーだという事が分かるようにデザインすることを「同質化」といいます。差別化の反対ですね。製品デザインをするときには差別化と同じくらいに同質化も大切だという事です。

 

 昨日、僕が講義している「しろくまマーケティングCafé」で、「カルビーと湖池屋のポテトチップス、湖池屋は期間限定商品などにポテチでは見られないブルーなどをあしらったパッケージを商品化するけど、なぜあれはOKなのだろう?」という話で盛り上がりました。
 製品にデザインされたコピーワークなども秀逸なのですが、僕らの出した結論はこちらです。

 

  「袋の大きさと厚み、見た瞬間の雰囲気がポテチ以外に見えないから」

 

 あの両手でポンと持つ大きさ、見た目にも空気が入っている感、そいういったところからポテチとしての同質性を感じていたんですね。そうえいば、若い頃チップスターってしばらくはポテチとして認めたくなかったもんなぁ。