ズデーテンラント 【時事所感55】
第一次世界大戦から第二次大戦にかけて、
ドイツが領土を拡大し、ヨーロッパ各地へ侵攻していくなか、チェコスロバキア領のドイツ移民居住区だったズデーテン地域はドイツ侵攻に遭い、
紛争勃発開戦を避けるため英・仏・伊はドイツ・ヒトラーの領有主張を認め、ズデーテン地方は割譲され、ドイツ領となりました。
ドイツ移民とチェコ住民の間で対立や迫害が繰り返し起きた悲惨な歴史があります。
話を現在に戻すと5年前の2014年、
当時のフィリピン大統領だったアキノ大統領が、米国紙ニューヨーク・タイムズのインタビューのなかで、
「我がフィリピン領土の部分的割譲を強国(中国)に迫られている。」
「国際社会は言わなければならない。
ズデーテン地域は第二次大戦回避のために
ドイツに割譲されたことを思い出さなければならない。」
「フィリピンはチェコスロバキアのようには決してならない。
中国は力があり強いかもしれないが正しいとはかぎらない。」
と述べました。
また東京都内で開かれた会議に出席した際も、
「真空状態が、例えば超大国の米国が『我が国は関心がない』と言ってしまえば、他国の野望に歯止めがかからなくなってしまう。」
「思い出すのはナチス・ドイツが諸国の反応を慎重に窺っていたこと、その時の欧米諸国の反応だ。」
「ナチス・ドイツへの(チェコスロバキア領)ズデーテン地方割譲の時、誰もやめろと言わなかった。」
と述べています。
この一連のフィリピン・アキノ大統領の発言について、
中国の国営新華社通信はナチス・ドイツに例えたことに非難をしています。
このとき、一緒に非難されている方がおります。
日本の安倍首相です。
同じ年2014年1月、スイスでの世界経済フォーラム年次総会のダボス会議の場で、
安倍首相は、中国の尖閣諸島領有主張など日中間の問題について、
世界大戦開戦前のイギリス・ドイツの関係になぞらえて日中関係の現状を表し、中国側を牽制しました。
開戦前の英国独国になぞらえたため、
安倍首相は、日中の紛争勃発開戦について否定しているものの、
この会議に出席した特に各国金融界や経済界関係者のあいだでは、
『日本と中国の開戦の可能性』
の話がかなりなされていたそうです。
世界第二位と第三位の経済大国・中国と日本の戦争勃発の可能性の話になれば、各国金融・経済界の人達の関心の的でしょう。
ここで思うのは、フィリピン大統領そして日本の安倍首相が同じ時期に同様な表現で述べていること、
中国をナチス・ドイツに例えていることです。
ナチス・ドイツも景気回復をしてヒトラー政権を確固たるものにして、軍備増強、領土拡大のために侵攻していった様は、
現在の中国の動向と一致する点が多くみられます。
中国は好景気を背景に、習近平政権は任期制度を撤廃し終身国家主席可能にし、国威発揚、軍備増強、領土拡大は現在ニュース等各メディアで伝えられている通りです。
中国と直接的に利害関係のある、領土問題や安全保障の問題がある日本とフィリピン、
両国首脳が訴える中国の動向について
欧米主要国や世界各国が強い姿勢を示すことが出来るのか、
国際社会がこうした問題にいかに声をあげていけるのかが必要だと思われます。
機を逸してしまう前に取り組み手をうつべきでないでしょうか。
拡大自殺 【時事所感54】
神奈川県川崎市で、
登校中の小学生児童や見送りの保護者だった外務省の男性職員等18人の死傷者を出してしまう、痛ましい事件が起きてしまいました。
お悔やみ申し上げます。
被害にあわれた負傷者の一日も早い回復をお祈りいたします。
事件が起きた所は昔に知っている場所だったこともあり、思い出してみれば、駅利用者も多い郊外のベッドタウンで平穏な街風景だったと記憶しています。
そんな平穏な街の平和な日常を一変させたこの事件。
あまりに衝撃的故にこの事件についていろんなことが言われています。
新聞やネットをみていて、個人的には何か釈然としないものがありました。
児童の登下校時間帯やルートの更なる警備強化の指示といっても、
やらないよりはやるほうがよいけれど、
継続性が必要であり、一時的な措置では万全とはいえず、
警備強化にもいろいろな面で限界があるのではないか。
「一人で死ねば~」といった発言に端を発していろんなことが言われている。
けれども、それだけではこうした類いの事件防止や抑制にはならないのではないか。
こうした痛ましい事件を抑制することも大事だけれど、何故このような事件が起きてしまうのか、その要因を改めることも重要に思います。
これを機に国内の殺人事件の発生率を調べてみましたが、減少傾向がずっと継続している。
世代別や発生件数などいろいろ調べてみても、
とりわけ該当する問題点らしきものが見当たらない。
釈然としないなかである記事を目にしました。
「拡大自殺」
この言葉の定義は
①本人の死の意思がある。
②他者の同意無しに自殺行為に巻き込む。
③犯罪と、他殺の結果でない自殺とが同時に行われる。
④自己中心的な動機でなく、利他的な、または偽利他的な動機から犠牲者を道連れにしようとする。
⑤犯罪の結果について熟慮せずに自発的に行われている。
この「拡大自殺」
具体例をあげれば、
米国のコロンバイン高校銃乱射事件、
日本では遡ると岡山の津山事件や大阪の教育大付属池田小学校事件、他には秋葉原無差別通り魔事件、新幹線無差別殺人事件などがこれにあたるそうです。
現代社会をみると、
リストラなどの失業や年金減額、給与カットなどによる収入の問題、
職場・学校や近所付き合いなど地域やコミュニティ内での人間関係の希薄さなどから生ずる孤立化の問題、
こうした現代社会の生活のなかで、
絶望感や喪失体験、将来不安など個人が生きてゆきにくい点も沢山出てくる。
そうしたなかでの不満や憤りが自殺願望とともに社会へぶつけられる形になって、このような痛ましい事件が起きてしまうそうです。
そうであるならば、個人の現状をやり直せる機会や孤立化させないための社会システムや受け皿のようなものの必要性が考えられます。
こうした喪失や絶望、孤立化は日頃平穏に暮らしている私達も他人事ではなく、
人間誰しも将来起こらないとは限らない。
人間にはそうした脆さや危うさもあるということを考えれば、
この問題、二度とこうした悲劇を起こさないために社会全体で真剣に取り組まなければいけないと思います。
¥3.000.000.000.000-【時事所感53】
この数字、何を表した数字か分かりますでしょうか?
この0が沢山ならんだ数字、3兆。
田中角栄内閣時に日中国交正常化を成し得て以降、
日本が中国に対してO.D.A.(対途上国経済協力)援助をしてきた総額で、
二国間O.D.A.だけでも
技術援助や人材教育なども含め計算すると、
日本円で3兆円以上だそうです。
このO.D.A.援助は日本を凌ぐ経済大国になった中国に開発援助は必要ないだろうという話から打ち切りになりました。
現在になって考えてみれば、
結果論になりますが、
これ、滑稽ではあれど笑うに笑えない側面があります。
多額のO.D.A.が長い間継続して行われてきた
その一方で、
援助を受け続けてきた中国はというと、
核兵器開発を推し進め、
それを遠方へ打ち込める弾道ミサイルを所有し、
世界有数の宇宙開発技術を成して、
中国版新幹線を敷いて、
五輪の開催、成功をおさめ、
第3位から日本を抜いて世界第2位という米国に次ぐ経済大国になったわけです。
そして近年、中国の動向は周辺地域や関係諸国、国際社会にまで影響する発言や動向が沢山出てきています。
日本と中国の関係のみにフォーカスしてみても、
日本の主張する日中境界線に海底ガス田用と称する海上施設を次々と建設し、
尖閣諸島については日本でなく中国の領土だと領有権を主張し、
中国の公船や漁船団が次々とやってくるなか、
日本の海上保安庁の巡視船と中国船籍の漁船が衝突する事件が起きたり、
太平洋上では中国籍の密漁船が次々と来ては珊瑚を乱獲し環境破壊を引き起こしていく。
軍備増強の話としては、
自前で戦闘機や軍艦・大型空母など開発所有し、
日本やアジアにかぎらず、世界全体のなかでも軍事的プリゼンスがかなり高まってきています。
日中関係のみにかぎっても
近年から現在に至るまで、両国間の関係に緊張をもたらす様々なことが起きている。
国際社会全体に広げれば、
沢山の問題点がさらに出てくる。
今あまり言うべき時期ではないかもしれません。
しかしながら敢えて申し上げるなら、
「援助」という言葉、聞こえはいいけれど、
援助がこれほど長期にわたり必要だったのか、
そしてその先をしっかり見定める必要性があったのではないか。
先に述べた話にもう少し補足すれば、
中国政府公表の2019年予算案で、
中国の国防費は
中国元で、1兆1898億元(日本円で約19兆8千億円)。
伸び率は前年の8.1%増を下回るもののGDP(国内総生産)成長率目標(約6%)より高い水準で国防費を割いている。
この中国国防費、米国の約80兆円に次ぐ世界第2位の規模で、
因みに日本の19年度当初予算案の防衛関係費5.2兆円の約3.8倍。
中国は経済成長が鈍化してきている現在にあっても、軍備増強の姿勢を保っている。
日中友好さらにアジアや世界平和全体の観点からしても、
現在の中国政府側の発言や動向など
あまり歓迎されるものではありません。
中国政府、中国共産党の特に習近平政権以降、
国際社会にかぎらず日本にとっても
あまり喜ばしくない、望ましくない様々なことが起きている。
長年にわたり中国に対して援助をしてきた私達日本の努力、
いまの中国側の発言や動向、有り様をみると
なんとも腑に落ちない。
私達日本側も反省すべき点があるように思います。


