Henry Sweetは蚀語は䌝わる文法手段぀のうち぀にアクセントずむントネヌションをあげおいたす。近幎の研究では英語母語話者は句の構造や品詞の䞊びをアクセント、リズムなどず結び぀けお掎んでいるこずが報告されおいたす。

 

「Soderstrom et al. (2003)は、生埌ヶ月からヶ月の乳児でも名詞句や動詞句を成す構造ず句を成さない構造を音韻的に識別しおいるこずを明らかにした。ヶ月からヶ月の乳児“Today, people by the hole seem scary.” ずいう詞句や

“Inventive people design telephones at home.” ずいう動詞句を、それぞれ “In fact, some people # buy the whole supply of them.”ず“The director of design # telephones her boss.” ずいう句を為さない発話ず区別し、前者を蚘憶したのである#は句の切れ目を衚す。このこずから、母語話者は単語や定型衚珟などの具䜓的な語圙項目のみならず、句や節ずいった構造がどのような韻埋を持぀かを知っおいるず考えられる。

 曎に、Valian & Levitt (1996)の研究では、英語母語話者に内容語ず機胜語の組み合わせから成る人工語を孊ばせたずころ、匷匱アクセントによるプロ゜ディ情報を䞎えお孊ばせたグルヌプの方が、プロ゜ディ情報無しで孊ばせたグルヌプよりも、人工語の語順や単語の組み合わせのパタヌンをより良く習埗した。぀たり、英語母語話者は匷匱アクセントのプロ゜ディ情報ず共に語の䞊びや組み合わせを芚えおいるず考えられる。

 以䞊の先行研究から、プロ゜ディ情報は統語解析や意味理解や統語構造の獲埗の手助けずなり、母語話者および䞀郚の孊習者は、句や節を圢成する品詞の䞊びがどのような韻埋パタヌンを持っおいるか知っおいる可胜性が瀺唆される。句や節がどのような韻埋パタヌンを持っおいるか知っおいるずいうこずは、リスニングのみならず、リヌディングにおいおも統語構造を理解するのに圹立぀ず考えられるDowhower, 1991」

  村尟 玲矎『英語の高頻床品詞連鎖における韻埋パタヌン認識』2014

 

 「プロ゜ディ情報」ずは、音声蚀語におけるリズム、むントネヌション、アクセント、音声の長さや匷匱など、音声の韻埋的な芁玠に関する情報のこずです。印欧語の䞭でも屈折語尟が豊富なラテン系の単語の倚くは倚音節ですが、英語本来語は歎史的に音節を倱いその倚くは単音節です。これは他の蚀語に比べお単語の語の情報量が少ないこずを意味したす。蚀い換えるず、珟代英語は倚くの語数を䜿っお情報を䌝える蚀語だずいうこずになりたす。口語では倚くの語数を効率よく䌝えるために、話し方を工倫する必芁があるのです。

 

 次の論文の蚘述は、英語のネむティブスピヌカヌが効率よく蚀いたいこずを䌝えるための発音の仕方に぀いお述べたものです。

 

「コミュニケヌションずいうのは単語を䞀぀䞀぀正確に発音しおいくだけではだめなのです。そんなこずをするず、せっかくの文章が䞀぀䞀぀の単語にバラバラに分解されおしたいたす。やはり、意味を䌝えるための発音ずは、単語を文法によっおアレンゞしお文章を぀くるのず同じく、単語を声の調子によっおアレンゞしお、文章を文章ずしお発音しなければなりたせん。

 この論文では単語確認のための「音」「音声」ではなく、蚀いたいこずを盞手に䌝えるずきにネむティブ・スピヌカヌなら文章をどう発音するのかを考え、その重芁なポむントの䞀぀を玹介したいず思いたす。

 

 少し前の話ですが、東京でJRの電車を乗っおいるず、駅に入る盎前に、

   The doors on the right side will open.

 ã€€ã€€The doors on the left side will open.

ず、女性の声で案内が車内に流れたした。この女性は英語の「音」をかなり勉匷しおいたす。それぞれの単語をきれいに発音しおいるし、䌝えようずしおいる意味もよくわかりたす。しかし、長時間乗っおいお、駅に入るたびにこの声が流れおくるず、ネむティブ・スピヌカヌなら次第にむラむラしおきたす。音がきれいなのに、圌女の発音には䜕か気に障るものがありたす。それは䜕なのか、日本語の䟋で説明したしょう。

 

 たずえば、あなたが倖囜の倧郜垂を蚪れお、電車か地䞋鉄に乗っおいるずしたしょう。その郜垂に日本人の芳光客が倚いので、車内攟送は日本語でもやっおいたす。するず、駅に入るたびに、

  「右偎の扉は開きたす」

  「巊偎の扉は開きたす」

ず流暢な日本語が流れおきたす。最初は䜕ずもないかも知れたせんが、繰り返し同じこずを聞かされおいるうちに、だんだんむラむラしおくるでしょう。発音は䞊手で、蚀おうずしおいるこずもよくわかりたすが、せっかくそこたでやるなら、せめお正しく蚀っおほしいずころです。ちょっずした文法䞊のミス、倖囜人が苊手の「は」ず「が」の違いですが、

  「右偎の扉が開きたす」

  「巊偎の扉が開きたす」

ず蚀っおくれればいいのにね。この小さな違いだけでも、文章の意味にこれだけの違いがでおくるわけです。

 英語には「は」ず「が」がありたせんが、少し前たでの圌女のThe doors on the right side will open.の発音だず、「右偎の扉は開きたす」ずいう意味の英語になっおいたした。どういうこずか説明したしょう。

 

 文章ずいうものはいく぀かの単語から構成されたすが、蚀いたいこずを䌝えるためにはすべおの語が同じ皋床に必芁、ずいうわけではありたせん。文章の䞭ではやはり重芁なずころもあれば、そうでもないずころもありたす。話すずき英語のネむティブ・スピヌカヌは蚀いたいこずをうたく盞手に䌝えるために、文章の重芁なずころを目立぀ように発音し、話の䞭ですでに蚀っおいるこずや、状況などで圓然盞手にわかるこず、たた圢だけの文法など、そう重芁でないずころを目立たないように発音したす。

 すごく単玔なこずですが、英語を英語らしく話すためには最も肝心なこずなのです。「ここが重芁だよ」ず目立぀ように発音するこずによっお声の調子に倉化があっお、぀たらない、意味を぀かみにくい棒読みがなくなり、たずえ呚りがうるさくおも、話を聞いおいる盞手は話の倧事なずころをちゃんず聞き取れるし、蚘憶にも残りたす。䜕ず合理的な話し方でしょう。

 ただし、話すずきは盞手に䜕を䌝えたいかを垞に考えおいなければなりたせん。重芁ではないのに「ここが重芁だよ」ず目立぀ように発音するず、JRの車内攟送のように党く違う意味を䌝えるこずになっおしたいたす。

 

 圌女はきれいな音の生き生きした声で案内しおくれたすが、䌝えたい重芁なずころを目立぀ように、ずいう根本的な話し方は習っおいたせん。したがっお、いちばん目立぀ずころを囲っお曞くず、圌女のアナりンスは次のようになりたす。

   The doors on the right side WILL OPEN.

 ã€€ã€€The doors on the left side WILL OPEN.

「右偎の扉が開きたす」「巊偎の扉が開きたす」の意味で蚀っおいるのに、実際に蚀っおいる文章は、巊右いずれかの扉に぀いお、「開きたす」、぀たり「右偎の扉は開きたす」「巊偎の扉は開きたす」ずいうのでした。これを䜕回も聞かされた英語のネむティブ・スピヌカヌがむラむラするわけをおわかりになるでしょう。

 電車がフォヌムに入るず扉が開くのは圓然。「開きたす」なんお、䜕の圹に立たない情報ですよね。乗客の知りたいのは、右か巊かどっち偎ずいうこずなのですから、

   ã€€The doors on the RIGHT side will open.

  The doors on the LEFT side will open.

ず、車内が蟌み合っおおりうるさくおも聞き取りやすく、間違えのないように蚀っおあげるこずです。重芁な情報を目立぀ように発音するずいうのは、どこに行っおも英語圏共通の話し方なのです。同時に、コミュニケヌション䞊の盞手に察する「思いやり」ずも蚀えるでしょう。」

  テルキ デむブ『意味を䌝えるための英語発音「ここが重芁」』2015

 

 この論文の䞭に「「ここが重芁だよ」ず目立぀ように発音するこずによっお声の調子に倉化があっお、぀たらない、意味を぀かみにくい棒読みがなくなり、たずえ呚りがうるさくおも、話を聞いおいる盞手は話の倧事なずころをちゃんず聞き取れる」ずありたす。

 村尟2014では、実際に音声にノむズをかけお、音玠(母音や子音)を聞き取れないようにしお、ストレスなどのプロ゜ディ情報だけに加工したずきに、違いを聞き分けられるかをテストしたこずを報告しおいたす。論文では、パタヌンを分類しおいたすが、ポむントになるずころだけに芁玄しお玹介したす。

 

「実隓参加者は英語母語話者名、䞊玚英語孊習者10名TOEIC 平均 933 点、初玚英語孊習者14名(TOEIC 平均 418 点)音玠情報を劣化させるこずで、衚珟のプロ゜ディのみが手がかりずなるようにした。

 

 実隓では音玠情報を劣化させた刺激䟋as a way of lifeを音声提瀺した埌、皮類の単語連鎖を遞択肢ずしお芖芚提瀺し、刺激ず同じ品詞連鎖から成る衚珟䟋in a court of lawか異なる品詞連鎖から成る衚珟䟋a great deal of timeのいずれに近い音声だったかを刀断させた。

 英語母語話者コヌパスNICE 2.0: NSず日本人英語孊習者コヌパスNICE 2.0: NNSから品詞の連鎖を抜出した。

 

  ①NNS・NSずもに高頻床の品詞連鎖

   䟋[前冠名前名]as a way of time / in a court of law

     [冠圢名前名]a great deal of time

 

  ②NNS・NSずもに䜎頻床の品詞連鎖

   䟋[冠名接代名動] 䟋the paper, and they look

 

 ②NNS・NSずもに䜎頻床の品詞連鎖に぀いおは実隓グルヌプ間に有意な差が芋られなかったのに察し、その他の条件に぀いおは母語話者ず孊習者の間に有意な差が芋られた。

  結果① 母語話者䞊玚者初玚者

    ② 母語話者䞊玚者初玚者

 

 孊習者は正解率は党䜓的に䜎かった。TOEIC900点を超える䞊玚者でも高頻床品詞連鎖が持぀プロ゜ディを区別できなかった。䞊玚者ず初玚者に差が芋られなかったこずから、この胜力はTOEICが枬定するリヌディング力やリスニング力に盎接圱響する胜力ではないず考えられる。しかしながらたた、母語話者ずは点数の差が芋られ、亀互䜜甚も芋られたため、TOEICで枬られおいない胜力ずなんらかの関係がある可胜性は吊めない。」

  村尟 玲矎『英語の高頻床品詞連鎖における韻埋パタヌン認識』2014

 

 この論文の分析では、母語話者は高頻床のパタヌンであればノむズがあっおもプロ゜ディを認識できるこずを瀺しおいたす。たた孊習者は頻床に関わらず、プロ゜ディ情報を認識できず、TOEICの䞊玚者ず初玚者に差が無いずいう結果です。

 

 たた、日本人孊習者のリスニングに関する他の論文では次のような報告がありたす。

「理解蚀語凊理の段階においお、語圙、文法、語ず語の意味関係、文脈、垞識的知識や専門知識などが圱響を䞎える

英語の音声芁玠の䞭で、特に音玠、音節、音倉化がリスニングにより倧きな圱響を䞎えるが、ストレス、リズムのプロ゜ディ情報は圱響が少ない。」

  江藀 颯『日本人英語孊習者のリスニングプロセス』2023

 

 これらの結果で分かるこずは、孊習者のリスニング胜力は、語圙、文法、意味などの知識ず、音玠、音節、音倉化ぞの察応力で差が出るずいうこずを瀺しおいたす。TOEIC高埗点者も含めお孊習者はごく䞀郚を陀いお、英語母語話者のようにストレス、リズム等のプロ゜ディ情報を掻かせおいないこずを瀺しおいたす。

 デむブ2015が指摘するように「重芁な情報を目立぀ように発音するずいうのは、どこに行っおも英語圏共通の話し方。同時に、コミュニケヌション䞊の盞手に察する「思いやり」」が英語ネむティブのも぀感芚で、これが孊習者ずの違いであるこずを瀺しおいたす。

 孊習者は肯定のcanず蚀おうずしお吊定のcan'tにずられおしたうずいうこずがよくありたす。肯定のcanは通䟋は匱音で、吊定can'tはしっかり䌝えるためにストレスをおきたす。これはネむティブがずきに音玠ずしおの発音よりも匷匱に意味を持たせるずいう感芚を瀺す奜䟋です。

 

 デむブ2015は䌝えるための重芁なポむントを述べおいたす。

 

「意味を䌝えるために重芁なずころを目立たせるように発音するならば、それほど重芁でないずころを逆に目立たせないように発音する、ずいうのが英語の話し方です。

 

 重芁なずころは、目立぀ように、音を匷く、高め、長く、ゆっくり、はっきりず発音する。

 重芁でないずころは、目立たないように、音を匱く、䜎め、短く、はっきりしないように、ずきに音を厩しお発音する。

 

 意味を䌝えるために文章䞭の重芁なずころを匷く、高めに、ゆっくり、はっきりず発音するこずはよくわかりたす。重芁でないずころを匱く、䜎めに、短く発音するこずもわかりたすが、せっかくの単語だから、わざずはっきりしないような発音をするずか、音を厩すなど、“本圓にありうる?”、ず玍埗できない方がおられるかもしれたせん。しかし、よくよく考えるず、音の厩し方は孊校の英語ですでに習っおいるはずです。

 I am、I have、I willなどは普通の䌚話で音を萜ずしお発音するこずが倚いので、曞く堎合もI'm、I've、I'll、ず萜ずされた音を〔’〕で衚すようになっおいたす。I'm going to go see a movie tomorrow. など、短瞮圢で曞くのがあたりにも䞀般的になっおおり、I am going to go see a movie tomorrow. などず曞くのが恥ずかしいくらいになっおしたいたした。孊校では原圢ず短瞮圢の二぀の圢を習い、「短瞮圢を䜿うこずが倚い」ず説明されたすが、短瞮圢を䜿うのは䌝えたい意味ずしお重芁でないずきのみ。I amなどが意味ずしお重芁なこずもあり、このずきは短瞮しない、぀たり音を厩さないのです。

 

 英語の孊習者は「匷」の発音ず「匱」の発音を圢ずしお習いたすが、どの圢をどんな時に甚いるのかずいうこずに぀いおは、あたり説明されおいたせん。䞀方、ネむティブ・スピヌカヌにずっおは、圢よりも過皋なのです。぀たり、蚀いたいこずを䌝えるため重芁なずきには、はっきりした発音「匷」をしたすが、意味ずしお重芁でないずきは、発音にあたり気を䜿う必芁がありたせんので、より楜な発音「匱」ぞず音を厩しおしたいたす。

  ain't(am not, are not, is not)、goin’ (going)、gonna (going to)、wanna (want to)、coulda (could have)、shoulda (should have)、woulda (would have)など、いわゆる「非暙準」の語もありたす。䌚話などを文章にするずき確かに「皋床が䜎い」「無教育」「䞋品」ずいう印象を䞎えるためにこれらの語を䜿うこずがありたす。しかし、これらの語の衚す発音はネむティブ・スピヌカヌにずっお珟実の普通の発音にすぎないのです。぀たり、こうした語は、「匱」の発音ず短瞮圢ずずもに、音を厩す過皋の䞀段階なのです。」

 ã€€ テルキ デむブ『意味を䌝えるための英語発音「ここが重芁」』2015

   

 珟行の和補の英文法曞には、「話すための」ずか「コミュニケヌション重芖」など口語に察応したずいう旚の売り文句が螊っおいたす。その内容はず蚀うず、口語で䜿う甚䟋を以前より倚めに取り入れたものです。本圓に䌚話に察応する文法曞なら、アクセントやリズムに少なくずも1章は咲くべきだず思いたす。Sweetはストレスは文法曞段であるこずを100幎以䞊たえに明蚀し、その著曞でも発音ず文法に぀いお瀺しおいたす。

 もっずも口語軜芖は、わが囜の問題だけではありたせん。それはgonna (going to)、wanna (want to)などがスペルチェックにかかりたす。これらの衚珟がリ゚ゟンするのは「圢だけの文法など、そう重芁でないずころを目立たないように発音」(デむブ2015)するずいう珟象で、機胜語の瞮玄ずいう英語䞀般に芋られる蚀葉を䌝えるための重芁な仕組みなのです。蚀いたいこずを効率よく正確に䌝えるための合理的な文法的仕組みが長幎スラング扱いされおきたこずが口語文法軜芖の珟れの぀です。

 

 機胜語の瞮玄は英文法の栞の぀です。それは単なる発音の問題ではなく、蚀葉を䌝えるための重芁な文法手段です。䞋の衚は動詞・助動詞が匷圢ず匱圢で発音が倉わるこずを瀺しおいたす。

 

    

 

  䟋えば、beは孊校文法では「動詞」ず教えたす。実際にはbeが内容語ずしお䜿われるのは「存圚する」ずいう元の意味を瀺すごく限られた堎合に過ぎたせん。ルネ・デカルトの有名な蚀葉I think, therefore I am「われ思う、ゆえにわれあり」などです。このずきamは「存圚」を衚すので匷圢で発音したす。しかし、I' Ken.ず名乗るずき、I'は蚀わなくおも䌝わりたす。このI'は英文の構成䞊圢匏的に眮かれる機胜語で、ほずんどの堎合ほずんどの堎合短瞮されるか、I amであっおも匱圢になりたす。もし、あえおストレスを眮くず「私こそが」ずいう違う意味に䌝わりたす。

 デむブ2015には、駅でのアナりンスの匷匱に察する違和感を日本語の「は」ず「が」の䟋えおいたしたが、I' Ken.はストレスの眮き方によっお「私はKenです」の意味にも「私がKenです」の意味にもありたす。ストレスは文法手段そのものなのです。

 

 いわゆる基本文型に぀いお考えおみたしょう。I am in Tokyo.は孊校文法では、この英文はIがでamがでず分析し、前眮詞句in Tokyoは修食語ずされたす。しかし、特殊な文脈でなければ、䞀般に重芁な情報はin Tokyoです。

 䟋えば"Where are you right now?"のような文の答えであれば、情報ずしお䟡倀のない I amは省略しおも問題ありたせん。文型では、堎合によっおは省略される圢匏的な語句を、もっず䌝えたい重芁な語句が「修食」するず説明するのです。この説明に違和感を持぀人がいおも䞍思議はないでしょう。孊習のための英文法をOから創り出した100幎前ならずもかく、珟代ではいくら文法甚語ずはいえ蚀葉のセンスがなさ過ぎでしょう。

 珟代英語の文法的仕組みをあえおざっくりず蚀うなら、機胜語が骚栌ずなっお文の枠組みを構成し、その枠組みの䞭に内容語を入れ蟌んで文を成したす。文型ずか構文ずか蚀われおいるのはこの骚栌にあたるずいえたす。英文は文法機胜を担う語ず意味内容を瀺す語が圹割を分け、機胜語が文の骚栌を圢成したすが、叙述する内容の䞭心は内容語になるのです。

 I'm in Tokyo.では、I'mは圢匏的に眮かれるだけで、前眮詞句のin Tokyoは叙述そのものです。前眮詞ず蚀う機胜語は埌眮する名詞の栌を衚瀺するず芋るこずができたす。

 

 文法の特城は他蚀語ず察比するこずでよくわかるものです。文法的仕組みが異なる膠着蚀語の日本語、孀立蚀語の䞭囜語、屈折蚀語のラテン語ず珟代英語を比范しおみたす。

1) a. 私はその犬に飌い䞻を芋぀けた。

 

   b. 我 䞺那只狗 扟到了 䞻人

 

   c. Cani dominum novum inveni

 

   d. I found the dog an owner.

   e. I found an owner for the dog.

 

  (1a)の日本語では、内容語の埌に機胜語の「は」「に」「を」を膠着させおその内容語の栌を衚瀺する仕組みになっおいたす。「人は」は䞻栌。「犬に」は䞎栌(モノを䞎える盞手)、「飌い䞻を」は察栌(䞎えるモノ)に盞圓したす。「Sは にを(芋぀けた)」ずいう機胜語で構成された枠組みに内容語を入れるずみなすこずもできたす。

 

 (1b)の䞭囜語では、語の配眮ず「䞺」ずいう前眮詞にあたる語によっお栌を衚瀺する仕組みになっおいたす。文頭に䜍眮する「我」は䞻栌、「䞺那只狗(その犬のために)」は䞺「〜のために」を意味する機胜語句で䞎栌に盞圓、「䞻人」は動詞「扟到了(芋぀けた)」に埌眮された察栌(盎接目的語)に盞圓したす。

 

 (1c)のラテンごでは、それぞれ名詞は数・性・栌を屈折(語圢倉化)で瀺し、動詞は人称・数・法・時制を瀺す屈折によっお瀺したす。「cani(犬のために)」は名詞「canis(犬)」の䞎栌、「dominum(䞻人を)」は名詞「dominus(䞻人)」の察栌です。「novum(新しい)」は圢容詞で修食する名詞dominumに合わせお性・数・栌が䞀臎させた語圢です。「inveni(芋぀けた)」は動詞「invenio(芋぀ける)」の1人称単数完了圢です。ラテン語は動詞の屈折で䞻語分かるので、ふ぀うは人称代名詞は䜿いたせん。

 

 珟代英語では、(1d)は、 [SfoundAB] 型の語順で、Sの䜍眮に配眮すれば䞻栌、Aの䜍眮に配眮すれば䞎栌に盞圓し、Bの䜍眮に配眮すれば䜓栌に盞圓するずいう仕組みです。(1e)のように、[SfoundBforA]ずいう別の型では「for the dog」のように機胜語forによっおよかくにあたるこずを衚瀺するこずもありたす。

 

 これらの蚀語ず比范するず、珟代英語の栌衚瀺の仕組みは䞭囜語に近いこずが分かりたす。どちらも I 、「我」ずいう人称詞を䞻語に立おるのがふ぀うです。動詞圢で人称・数が分かるラテン語ではふ぀う䞻語を立おないこずず察照的です。たた日本語では、しばしば「わたしは」ずいう䞻語は省きたす。「わたしが」ず衚珟するず「芋぀けおあげたのはこの私」ず䞻匵しおいるようなニュアンスになるこずがありたす。このニュアンスを英語でだすなら、ふ぀うは匱圢の I にストレスを眮くずいう手段を䜿うこずができたす。

 

 この(1ae)の各語を人の間亀わす䌚話だずしたす。そのずき(1a)「その犬に飌い䞻を芋぀けたよ」のように䞻語は眮かないこずがふ぀うでしょう。その堎で自明の䞻語は情報ずしおは䞍芁なです。ラテン語でも特に䞻語の内容を瀺したいずきは䞀人称代 名詞を眮きたすが、ふ぀うは代名詞を眮きたせん。

 䞭囜語ず英語で、䞻語を省略するこずが少ないのは、圢匏䞊䞻語眮いお語順ずいう型を蚀支持する孀立蚀語の特城なのです。よく、英語は䞻語を明瀺する蚀語だず勘違いしおいる人がいたす。孀立蚀語は語順が文法性を瀺す䞻な手段なので、自明で情報ずしお内容には䟡倀のない代名詞を圢匏䞊眮いお語順の型を維持するのです。意味に䟡倀が無い圢匏的な語だから I はほずんどの堎合、匱圢で発音するのです。特に内容衚瀺したいずきにだけ匷圢 I ずしおストレスを眮きたす。

 

 このように本来の蚀葉が䌝わる仕組みに基づけば、英語の代名詞には機胜語ずしお圢匏的に眮く甚法ず、内容語ずしお人称・数を衚瀺する甚法があるこずが分かりたす。ずくに口語で䜿われる代名詞は匱圢であり圢匏的に䜿う甚法です。ずころが、珟行英文法は人称代名詞を内容衚瀺する語ずしおだけ説明したす。぀たり珟行英文法は英語が䌝わる仕組みの基本が欠萜しおいるのです。

 英語ネむティブが生成する文章では、圢匏的な代名詞は避け無生物䞻語など意味のある䞻語を立おる傟向がありたす。これに察しお日本人孊習者が生成する英文では、英語ネむティブの数倍 I ずいう䞻語立おるずいうこずはよく知られた事実です。「英語は䞻語を眮いお明瀺する」ずいう英語本来の文法的仕組みに反した勘違いが広たっおいる原因ずしお、珟行英文法の䞍備が無いずは蚀えないでしょう。

 

 ラテン語の動詞の屈折をもずにした人称・数・栌のによっお代名詞を区分した内容衚瀺の衚を文法曞に掲げお、いったい英語の䌝わる仕組みの䜕を䌝えたいのでしょう。欧米の文法曞があの衚を挙げおいるのはラテン語になじみがあるから分かりたす。ラテン語の仕組みを知らないどころかあの衚がラテン語の動詞の屈折を英語に代名詞にあおはめお創䜜されたこずすら知らない無知な孊習者に瀺せば、英語の代名詞が内容衚瀺に䜿うのが基本だずいう党く勘違いを怍え付けるだけでしょう。

 日本人孊習者が各論文は I を過剰䜿甚するず蚀われるのは、孊習者だけのせいずするのは理䞍尜です。仮にこの過剰䜿甚が孊習の習熟の䞍足だったずしおも、英語本来の蚀葉が䌝わる仕組みを描いお瀺すのが孊習文法のすべきこずのはずです。代名詞を内容衚瀺ずしおしか芋れない文法説明など害になるだけで芁らないず思いたす。

 口語で䜿う衚珟の甚䟋なら人工的に創られたテキストの単文を孊ぶより英語話者向けに䜜られたコンテンツで実際にどうのように䜿うか実感した方が身に付きたす。willずbe goning toを「その堎で決めたかどうかで䜿い分ける」などでいこずは、数癟回出䌚った甚䟋から断蚀できたす。

 

Simon:"Dad, I can't sleep."

Dad:"All right. I’m gonna tell you my secret technique for falling asleep."

         â€•―Simon | I can't get to sleep

「お父さん、眠れないよ。」

「わかった。寝るための秘蚣を教えおあげるね。」

 お父さんが未来を予知する胜力があっお、Simonが来るこずが分かっおいお前もっお決めおいたのでしょうか。このように明らかにその堎で起きた事態に察応する行動にbe going toを䜿う甚䟋は、YouTubeで配信されおいるアニメでも頻繁に出くわしたす。

 よく匕き合いに出される 'll get it、のwillはam going toに眮き換わらないずいう説明は筋違いです。'll get it.基本的にその堎で起きた耇数の人が察凊し埗る事態に、それ「私が察凊する」ずいう文脈でよく䜿う衚珟です。぀たり「だれが」ず蚀うずころに焊点がありたす。それに察しお I'm going toをその堎で起きた事態に䜿う時は、「じゃしよう」「しなくちゃ」ずいう感芚で䜿いたす。「䜕をするか」に焊点があるこずが倚い衚珟です。

 どちらもその堎で起きた事態に察凊したすが、眮き換わらないのは焊点が異なるからです。しかし、これを単玔芏則にしおもらっおも困りたすが。

 

 他によくある根拠がgoing toは「実際に事態が動いおいる」からずいうものです。この発想は蚀葉ずしおの圓たりたえの芖点が欠萜しおいたす。蚀葉は倉化するものです。はじめはそのように文字通りに䜿っおいたのでしょう。

 仮に元々「あらかじめ決たっおいる堎合に䜿う衚珟」だったずしおも、その制限が未来氞劫守られるずいう保蚌などありたせん。I'm gonnaは兞型的な機胜語の瞮玄で文法化によっお甚法が広がった芋本のような衚珟です。willずの違いが論じられるのは助動詞盞圓語句だからです。法助動詞は歎史䞊意味を倉化させお、汎甚化ぞ向かうのは䞀般的に知られた珟象です。法助動詞willはもずもず意思を衚す語でしたが、今では無意志の未来暙識に䜿いたす。

 䞀方、be going toはもずもず事態が動くずいう無意志の意味から意思を瀺す甚法ぞず広がったのです。新興衚珟が文字通りの意味から䞀歩も出ないず考えるのは、蚀葉の垞識に反しおいたす。

 

 詊しにYouTubeで配信されるアニメからbe going to䜿う堎面を数十䟋採取しお、どのような堎面で䜿っおいるかを分析すれば事実はだれにでも分かりたす。蚀葉は本来、人が䜿っおいる堎面から䜿い方を孊び、実際に䜿いながら身に着けおいくものです。英語ネむティブが普通に䜿っおいる衚珟が誀りではないかず疑わせる文法曞があるずすれば、その著者の情報曎新が遅いか語感が鈍いだけでしょう。文法曞の蚘述より数癟回あたっおその䜓隓から怜蚌を重ねお埗た自分の語感の方がはるかに圹に立ちたす。

 蟞曞や文法曞は地図に過ぎたせん。もちろん正確な地図に越したこずはありたせん。しかし人が䜜ったものに絶察正しいなんおこずはありたせん。しかも蚀葉は倉化したす。䜜った時は正確だったずしおもその埌珟地の様子が倉わるこずもあるわけです。珟地珟物に察しお地図ず違うからおかしいずいう感芚は、蚀葉を孊ぶものずしお決しおいいものではないず思いたす。

 

 残念ながら、口語に察応した和補の英文法曞は、珟状では芋圓たりたせん。ほんずうに生きた英語の䌝わる仕組みを説明するなら、アクセントによっお機胜語ず内容語の甚法を切り替えお䜿い分ける文法的仕組みを詳述するこずは必須です。これがない文法曞の口語察応はお題目に過ぎないず刀断したす。

 アクセントによっお文法的な意味を衚珟する英語ネむティブが幌少期に身に着ける文法感芚に準じた、本来の蚀葉が䌝わる仕組みを描いた孊習英文法の出珟が埅たれたす。

 

   Grammar being taught should not be a return to the older,   dysfunctional, error-focused, Latin-based school grammar, 

  but a grammar deeply informed by a disciplined study of language.

   ――Hudson and Walmsley