ギャンブル依存症を自覚したボクが書く日記 -16ページ目
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ボクへのインタビュー

ちょっと遊んでみようという気になりました(笑)


-お名前は?

ボク「shinです」

-それはどこから?

ボク「ほとんど使っていないペンネームから取りました(笑)。運気を変えるために名前を変えようと思ったんですよ。変わるわけないですね。ビョーキだったんですから」

-年齢は?

ボク「3○歳です」

-借金総額はどれくらいでしょう?

ボク「今は、実は一番少ない時期ですね。金融会社に50万、友人に50万くらいですね」

-仕事について教えてください。

ボク「ずっとフリーでライターをしてましたね。ギャンブルものも書いてましたよ。今の仕事は……実はね、競馬関係なんですよね~(笑)。ヤバいですかねぇ……」

-あ~、ギャンブル依存症って、周りから一切、ギャンブル関係を排除するっていいますもんねぇ。

ボク「でしょぉ~。ヤバいなぁ……(笑)」

-あんま深刻そうじゃないですね?

ボク「う~ん、そうですねぇ。だって、現状に気づいたのって、今の会社に就職してからですもん。ギャンブル依存症者が周りにうじゃうじゃいる状況……。一緒にされたくなかったってのがあるんですよ。だから、否認することなく、スッと病気だって受け入れられたんだと思います。ギャンブル関係のモノ、ムリして遠ざけたら、リバウンドする気もするし……。自然に自然に。ほどほどに、ね」

-へぇ~(よく解ってないようです)

ボク「ま、そのうち職は変わるかもしれないよね。耐えられなくなったら」

-なるほど。では、今までの肩代わり金額の合計はどれくらいですか?

ボク「1千万円くらいだと思います」

-はぁ~、高級車買えますねぇ。

ボク「安いマンションも買えるんじゃないでしょうか?」

-肩代わりがその金額だということは……払ってきたのはそれ以上だと……?

ボク「そうですねぇ。あんま思い出させないでください」

-いや、逃げちゃダメでしょう。

ボク「……」

-あ……怒っちゃいました?(焦)

ボク「いえ、別に」

-質問、変えましょう。これからの抱負などを……?

ボク「ミツバチはさぁ……」

-はぁ?

ボク「だからミツバチの話!」

-いや、あなたの抱負を聞きたいんですが……?

ボク「だからぁ! 導入でしょ、導入! これから本題に入るの!」

-はぁ、なるほど。どうぞ。

ボク「ミツバチは、働きバチがいるでしょ。でも、全部が働くワケじゃないんだって。3割が働いて、7割がサボる。で、その7割だけを取り分けて、飼うと、また3対7に分かれるんだって。これはね、人間の社会と同じなんだって。会社も、3割の人間が必死に働いて、残りの7割の人間を喰わせてやってるんだって」

-はぁ……それで、何の話でしたっけ?

ボク「だからさぁ、ボクは依存症なわけでしょ! だったらさぁ、その7割の中に入って『社会に依存してやろうかなぁ』なんて考えてるわけ!別に、認められなくても、出世しなくてもいいから、一生、飯を食うだけの金をもらう……。どう、これ?」

-あのぉ~……本音ですか?

ボク「……よく解らないよね。でもさ、そう考えると、プレッシャーないよね。頑張ることに疲れて『そんなハズじゃない!』って考えてたボクだし……気軽にさ、生きられるかなって……」

-その考えは変わる可能性はあるんでしょうか?

ボク「うん! いつか変わっていくんじゃない。それがいつかは知らないけどさっ!」

-なるほど、今日はお忙しい中、ありがとうございました。



競馬

はじめての借金がボクに与えてくれたもの。

芝居の完成。

そして、

『カンタンに金を作れる』という思いだった。

その後、ボクは運命的な出会いを果たすことになる。


いい加減、いい歳になっていたボクは、

バイト生活を辞めようと思い、

某大企業の契約社員として働くことになる。

時給ではない、はじめて『月給』というものを貰える立場になり、多少浮かれていた。

決して給料は高くなかった。

そのせいもあるのだろうか。

それとも、類は知らぬうちに友を呼んでいくのだろうか。

その職場で働く人々は、全員、毎週、馬券を買う人々だった。


それまでは競馬をしたことがなかった。

逆に『競馬なんて……』と小馬鹿にしていた。

麻雀と比べて、競馬は自分の力が及ぶ余地が少ない。

そう考えていたボクは、競馬を避けようとしていた。

とはいえ、嫌悪感を感じていたわけではない。

雀荘で働いていれば、競馬好きなヒトとも知り合う。

下地は整っていたのである。


時は、まさに競馬ブームといえる時代。

JRAの売上が4兆円を超えようとしている頃だった。

ボクは初めてヒトに頼んで馬券を買った。

根拠はまったくないが『当たるだろうな』と思っていた。

ボクは、それまで、ギャンブルにおいて、

ビギナーズラックの恩恵を受けないことがなかったからだ。

そして、予想通り、その馬券は的中する。

8.4倍程度のオッズ。

1000円が8000円程度になっただけだ。

『もっと賭ければよかった』

『競馬ってカンタンじゃ~ん』

有頂天になったボクは、そんな感情を抱いた。


ギャンブルというのは、ある部分で平等だ。

知識、経験、努力、才能……

そんなモノを必要とせず、勝った者に報酬を与えてくれる。

そういうモノを必要とするのであれば、

それはギャンブルとして成立しない。

経験者にしか報酬を与えない競技に、初心者が金を払うはずがないのだ。

その絶対原則が、囲碁や将棋をギャンブルの世界から遠ざけた理由である。


話が逸れたが……

とにもかくにも、

初めて買った馬券が当たり、

競馬というモノに間違った認識を持つようになった。

その後、競馬予想のアプローチにはさまざまな方法があることを知る。

そうしてボクは、急速に競馬にノメり込んでいくことになる。

ちなみに、学生ローンで借りた20万円の支払いはまだまだ始まったばかりだ。

ボクたちの行動原理

ボクたちは、なぜギャンブルに行かなければならなくなってしまったのでしょう。

昔の行動を思い出し、その行動に理由付けをしてみたいと思います。


ギャンブルをするためにはお金がなければいけません。

だから、給料日や、ギャラが振り込まれる日はずっとそわそわしています。

借金のことは当然アタマにあります。

だからこそ、気もそぞろになるのです。

おそらく、通常の考え方はこうでしょう。

『支払うものを支払って、余ったお金があれば好きなことをしよう』

でも、ボクたちは違います。

『これを払うと生活できない。生活するためにはギャンブルをしなければならない』

ギャンブルに行くことが、自発的行為ではありません。

義務化しています。

勝つ→返済する→生活費

これが方程式として確立されているのです。


そしてギャンブルに行きます。

首尾よく勝つとします。

返済はします。

生活できるお金が手許に残ります。

『ギャンブルで勝った』という記憶と共に……。

3万円勝ったと仮定しましょう。

すると、明日も3万円勝てると思う……いえ、明日、3万円勝つことが規定路線にすりかえられます。


ギャンブルというのは、そのほとんどに負ける過程が存在します。

麻雀、パチンコ・パチスロ、競馬……。

一気に手持ちのお金が尽きるギャンブルは存在しないといってもいいでしょう。

※競馬は、その可能性はありますが……

ボクたちはその過程でいろんなことを考えています。

返済、明日からの生活、自分の将来。

やがて、金を貸してくれそうな人のチョイスを始めます。

その人への言い訳を考え始めます。

その時から考え始めなければいけません。

そうしないと、自分が考えた言い訳を、自分が信じるための時間がなくなるからです。


最後の千円札が尽き、家に向かう頃には『どうでもいいや』という感情が胸いっぱいに拡がっています。

そして、翌日の朝、昨日考えた言い訳を駆使し、友人・知人、親・兄弟、サラ金に電話するのです。


ちなみに……

ボクたちの心には、2つの本音が同居しています。

『ギャンブルを辞めたい』

『ギャンブルをしたい』

両方とも本音なのです。

常に、この2つの本音が争っている状況を想像してみてください。

そして、どちらが勝つかは、その日の朝になってみなければ解りません。

いえ、1日中解りません。

エンドレスに闘い続けているのですから……。


だから、借金が発覚したとき『もう辞める』と言ったコトバは本音です。

そのときは確かにココロからそう思います。

けれど、次の瞬間には、2つの本音が再び闘いを始めています。

その勝敗は、本人にも解りません。


やがて『ギャンブルをしたい』という本音が勝ち、

ギャンブル場へと足を運びます。

そして、同じようなループを繰り返していくのです。


ココロとアタマとカラダ

このブログに関しては、過去と現在を並行して書いていこうと考えています。

そんなわけで、過去の記事に関しては青字で『である』調、

現在の記事に関しては黒字で『です・ます』調で書くことにしました。

とりあえず……。


最近、いろんなことを考えます。

その中で気づいたことも多々あります。

一番ショックだったこと。

『感情』がなくなってしまっていること。


嬉しい、楽しい、怒り、哀しみ……

そんな感情が失くなっている自分に気づきました。

当たり前の話なんです。

ギャンブルをして、借金を作って、

借金を返すためにギャンブルをして、

借金が増えていって……

その繰り返しの毎日の中、

感情なんか必要なくなるんです。

残るものは今月の返済が終わった瞬間の『ほっ』とした感情と、

自分の問題に、少しでも誰かに触れられた瞬間の『ウザい』という感情だけです。


ギャンブル依存の真っ只中にいる頃、

自分の笑顔を鏡で見たことがありました。

ひどく、卑屈で、自分で見て、薄気味の悪い笑顔だったと……

けれど、その時は、それがギャンブルのせいだとは思いません。

自分の心が捻じ曲がっている、そんな自分がスキ……

そんな風にムリヤリ納得させました。


ココロはアタマとカラダを支配しています。


今、ボクは自問自答を延々と繰り返しています。

本音? ウソ? 本音? ウソ?

ココロから出たコトバとアタマから出たコトバは違います。

今、考えているこのコトが、

ココロから出て、アタマを経由して、カラダを動かしているのかどうか……

一言、一言を吟味しています。

その行為自体、正しいのかどうか解っていないままですが……。


ココロとアタマの回路を作ってあげること。

焦ることなく、先に進んでいければいいのですが。


少々、脈絡がなくなってしまいました。

まだ、混乱中なのでしょう。


はじめての借金

その頃。

ボクは大学を辞め、東京に出てきた。

当時からボクの趣味は麻雀だった。

それで、雀荘でバイトを始めるようになった。

初めての借金をしたのはこの頃だった。


別に生活に困っていたというわけではない。

ギャンブルに滅茶苦茶ハマっていたわけでもない。


一番最初の原因は……

『芝居』

だった。


大学で演劇をしていた。

作品を作り、演出を担当していた。

その延長線で、文章の勉強をするために大学を辞めた。

つまり、当時はギャンブルというよりも演劇依存だったわけだ。


東京で、どうしても芝居をやりたくなった。

というよりも、芝居の戯曲を書いてしまった。

金は、ない。

借りるしかない。

雀荘のバイト仲間に相談した。

そこで紹介されたのが『学生ローン』だった。


20万円。


あっさりと借りることができた。

これが一番最初の借金だ。

まだ、ギャンブルは見え隠れしているだけだ。

ボクの心を蝕むほどの力は発揮してこない(笑)


つづく



はじめまして

ずっと、何かヘンだなぁとは感じていました。

借金してギャンブルして、

ウソをついて金を手に入れて、

それをギャンブルに使って……

そんな生活を約10年間。


たくさんの人を失くしました。

ボクのもとから去っていきました。

何も気づきませんでした。

その頃、延々と金策を考えなければならなかったから。


それでもいいんだって思っていました。

思おうとしていました。

自分を否定することはできないと思っていたから。

肯定してやる自分がいなくなったとき、

ボクは狂ってしまうと思っていました。

でも、そのときにはすでに狂っていたんですね。


遅くなったのかもしれないけれど、

気づき、自覚しました。

ボクは『ギャンブル依存症』なのだと。

そういう名前の『病気』なのだと。

少しだけ気が楽になりました。

でも、すぐに全身の力が抜けていくような

虚脱感を味わいました。

治らないかもしれないと思ったからです。

ギャンブルをやめる自信なんて、これっぽっちもないからです。

息が苦しくなりました。

酸素をうまく体内に取り込めない……

そんな感覚。


おそらくは……

『病気』という言葉に甘えてしまうでしょう。

それを理由に親から金を引っ張れる……

そんな考えが頭に浮かびました。

そう考えた自分が、なぜかすごく情けなく思いました。


母親に電話しました。

正直に『ギャンブル依存症』であることを告げました。

そして、気づけば、3時間以上話していました。

おそらく母親は、深刻に捉えていないでしょう。

ボクから相談されたことが嬉しかったに違いありません。

そうです。

ボクの母親も共依存症です。


前途は多難です。

ボクの周りに、ボクの言葉に耳を傾けてくれる人はいないでしょう。

何とかしなきゃなぁ……

ボクと母親の依存症のハーモニー。

まだ、何の答えも出てはいません。

ただ……

焦る必要もないよ、と言い聞かせてはいます。


こんなボクが再生を目指す歩みです。

過去から現在まで、

できるだけ飾らずに、

その時々の本音を書き連ねていくことで、

何かがボクの中に産まれてきたり、

変わってきたりすればいいなぁ……

なんて考えています。


ぜひ、おつきあいくださいませ。

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