ギャンブル依存症を自覚したボクが書く日記 -15ページ目

競馬その④-結婚生活-

そして、ボクたちは結婚をした。


結婚したからといって、

特に何が変わったわけでもなかった。

住む場所が変わり、

借金が少し少なくなった。

ボクにとってはその程度だった。

ボクの競馬熱は、冷める気配がなかった。


結婚披露パーティの席で

桜花賞の複勝馬券を配ったり、

新婚旅行で行った沖縄で、

天皇賞(春)の中継を観ることができる

食べ物屋さんを探したりした。


そんなボクの行動に笑いながらつきあってくれるカノジョに

ボクは何の感謝も抱いていなかった。


そして転職。

ずっと文章を書いて生活したいと思っていたボクは

曲がりなりにもライターとしての展望が拡がったことが嬉しかった。

決してそれが真に望んだものではないにしろ、だ。


新人ライターの給料は想像以上に安い。

その頃、ボクは20代半ば。

給料は17万円程度だった。

カノジョも働いていたし、

家計はすべてカノジョに任せた。

だから未だにボクは、

その頃の家計のことなど、一切知らない。


それでも……

ボクが競馬場に行く回数は減っていた。

それは単に、生活の拠点が

競馬場から離れただけだった。

だからといって、

馬券を買わなくなったわけではない。

毎週のように1時間程度の時間を作っては

最寄の場外馬券場に足を運んだ。

そして、限られたレース数しか買えないから

自然と、1レースに注ぎ込む金額が大きくなっていった。


競馬というギャンブルには、

いくつかの壁があるように思う。

普段1点を100円で買っていたヒトが

千円で買うようになる。

そうすると、もう100円では馬券を買えなくなる。

それと同じで、千円と一万円の間にも壁は存在する。

その頃、ボクは初めて1点一万円勝負をし、的中させ、

ずぶずぶと賭け金が大きくなっていった。


行き詰まる時は、想像以上に早く訪れた。

カノジョが肩代わりしてくれた100万円以外にも、

消費者金融のカードが2枚ほど増えていた。

そして……

ご多分に漏れず、

完済したカードは、限度額が上がっていた。


おそらく、たくさんのウソを、ついた。

あまり、覚えていないというのが本音だ。

カノジョはよく聞いてきた。

「競馬、いくらくらい買ってる?」

「ん~、全部で2千円くらい。1点2百円程度で遊ぶようにしてる」


この頃は、それでも幸せな時期だったと思う。

お互い、一番好きな頃に結婚し、

勢いのまま、生活スタイルを何とか確立しようとしていた。

ただ、ボクがその中に競馬を盛り込みたかったことが間違いだった。

いくつかのウソは、

それほど大きな波紋を拡げることなく、

それでも確実に、

2人の間に漂っていくようになった。


こうして、結婚生活の1年目は瞬く間に過ぎていった。


反面、仕事面では、

ボクはライターという仕事を楽しみ、

徐々に、その力を認められるようになっていた。


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あ~、キツいっす!

風邪が治んなくてキツいっす……

結局、日曜日の夜にけっこうな高熱が出て、

月曜日は休日で

火曜日は病欠、

水曜日も病欠と、

図らずも3連休なってしまいました。


で、延々と寝てたわけですが、

なかなかに性根の座ったウィルスらしく、

未だにボクのカラダから出て行こうとしやがりません。


まー、熱は下がったので

仕事には行ってきたのですが……

はぁ……


カラダ、大切ですね……。



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競馬その③

その頃、すでにボクの生活は崩壊していた。

契約社員の給料のほとんどが

返済として消えていく。

僅かに残るはずの金額は、

『少しでも増やさなければ』

という焦りにも似た危機感から

競馬に注ぎ込まれていった。


カノジョと出会ったのは、

そんな夏のことだった。

出会い、意気投合し、呑みに行き、

夏が終わる頃にボクたちは

つきあうようになっていた。


時々は競馬場に一緒に行ったり、

そのあと、友人たちと呑みに行ったり、

ボクの家でまったりと過ごしたり……

借金はあったが、その時は

気にならなかった。


夏が過ぎ、秋がやってくる。


秋の到来は競馬ファンにとって至福の瞬間だ。

夏場の退屈なローカル開催が終わり、

超一流のスターホースたちが

競馬場に戻ってくる。

秋から冬にかけて、

競馬の世界はやけに速く過ぎる。

ボクは、その流れに身を任せ、

カノジョとのことを真剣に考えることなく、

ただ、時間だけが過ぎていた。


「結婚したい」

カノジョのコトバにドキリとしたのはそんな時期だった。


「ひと晩考えさせて欲しい」

ボクは何とかそう答えた。

考えなければいけないこと、

クリアすべきことは山ほどあった。

借金のこと、仕事のこと、自分の責任感……

すべてを考え合わせれば、

断る、もしくは時間をかけるべき、

それが正常な判断だったろう。

しかし、その時、ボクは

-借金が何とかなるかもしれない……

そう考えた。

カノジョが払ってくれると思ったワケではない。

実家の親からのご祝儀や

その他諸々……

それらのことで何とかなるのではないか。

そう考えたのだ。

そして、ボクはカノジョと対話した。


「結婚は嬉しいんだけど……」

「何?」

「実は……借金があるんだ」


カノジョは驚いたような表情をした。


「競馬で作った借金?」

「ううん、違う。芝居とか……その時の生活で……」


ボクが初めてカノジョについたウソだった。


「どれくらい?」

「100万くらい……」


再びウソをついた。

本当は300万以上の金額だ。

しかし、芝居で作った借金がそんな額になるわけがない。

ボクは咄嗟に少ない金額を言った。


「もう……しない?」

「うん……ツラかったからね。借金生活」


カノジョは、何事かを考えているようだった。

そして、思いもよらないコトバを口にした。


「解った。じゃ、その100万、私が肩代わりする」


ボクは驚いて、カノジョの顔を呆然と見つめるだけだった。


「新しい生活を始めるには、キレイなカラダで始めたいから……」

「うん……そうだね……」


そんな会話を交わした。

カノジョの言うことはすべて的を射ている。

しかし、ボクは、違うことを考えていた。

ボクはこの数分間で、すでにカノジョにいくつかのウソをついていた。

そして、その時、ボクのココロの奥の方では……


-100万の元手ができる……それで競馬で他の借金も返せばいい。


そんな考えが浮かんでいた。

そして、そんな自分を冷静に見つめている自分がいた。


-幸せにしなければいけない。


そう考える自分と同時に、


-どこまで続くだろうか……?


と、考える自分がいた。


とにもかくにも……

その年の年末、

ボクたちは役所に婚姻届を提出し、

晴れて夫婦になった。


そして、その半年後、

ボクは転職活動がようやく実り、

小さな編集プロダクションで

ライターという肩書きを手に入れ、

働き始めることになる。

(つづく)



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季節の変わり目

夏から秋へ変わろうとしていますね。

でも、ちょっと、焦りすぎてやしませんか?

『季節』さんよぉ。

急に寒くなっちゃぁ、対応うまくできないでしょぉ。

と、まったく意味のないグチを言ったりするボクです。


というか、風邪をひいちゃったわけですよ。

咳が止まらないし、

鼻水は垂れてくるし、

熱も出てくるしで、

もうへろへろになっとります。


それでも、今日はお仕事して、

早退せずに頑張ったし……

社内にウィルス撒き散らしてやったし(笑)


ヴ~……

風呂入って、

ポカリスエットのデッカイやつ買ってきて、

枕元に置いて、

今日は早く寝ようっと!


皆様も、風邪にはお気をつけください。


看病代わりにポチッと……

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フリダシに戻ろう

ちょっとドキリとするタイトルですけど、

ギャンブルしているわけではないです。


ブログを初めて、1週間が経ちました。

自分の依存症に気づいたのとほぼ同じ時間です。

この間、たくさんのことを考えました。

いろいろな自分を見つけ出すこともできました。

いい意味で『濃い時間』でした。


もともと、文章を書くことで、

イヤなことにケリをつけようとしていました。

恋をしたとき。

失恋したとき。

ケンカしたとき。

ボクの傍には、いつも文章とか物語が在りました。


ボクには、どうしても叶えたい夢がありました。

物語を書いて、生活することです。

初めて物語を作ったのは14歳の頃です。

文筆家になりたいと思ったのが16歳の頃です。

それ以降、その思いは決して色あせることはありませんでした。


『夢』だったものが『目標』に変わる過程も経験しました。

『目標』に手が届きそうになったことも、

何度もありました。


今は、曲がりなりにも、

文章を書いて生活しています。

けれど、どこかスッキリしていない自分がいます。

それは、決してボクがココロから望んだ形ではないからでしょう。

物語を書く、その目標に妥協という重石をつけて、

ココロの奥に沈め、

ライターという自分に満足しようとしていたのかもしれません。

いつしか、それは、

ココロにポッカリと穴を開けていきました。

そして、ギャンブルが徐々に侵食することで、

ココロとアタマが切り離され、

いつしか、惰性で文章を書くようになっていきました。


このブログを書くという行為は、

ボクにとって、いろんな意味がありました。

再生のための歩み、そして、

『書く』という行為に対するリハビリ。


徐々にではありますが、

ココロとアタマの回路が繋がり始めているのを感じます。

眠っていた『書く』という細胞が

目覚めるような感覚でしょうか!?


そんなワケで、フリダシに戻ろうと思いました。

ボクのフリダシは、

『物語を書く』という場所でした。

その場所に戻り、

足踏みをすることなく、

歩いていく、という決意表明です。


ボクにしか書けない、

ボクだけの物語を紡いでいくこと。


きっと、ボクのココロが

ずっとボクに言い続けてきたこと。

それに気づくのに10年かかったということ。

それを悔いるのではなく、

糧にしてみることにいたしましょう!


というワケで、

このブログの更新頻度は下がっていくかもしれません。

ただ、過去の自分がやってきたことについては、

できるだけ時間を見つけて

更新していきたいと考えています。


徐々に、いらしてくださる方も増えている模様……

変わらぬご声援をお願いいたします。

ぺこり


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ギャンブルの数字を考えてみた②

コメントがついたことが嬉しかったので、

もう少し、同じテーマで。


①競馬の数字

定価75円のモノがあります。

あなたはこれを100円で買いますか?


買わないですよねぇ、普通。

でも、多くのヒトが買っているんです。

年間合計、3兆円以上も。

そうです、馬券のことです。


控除率25%は、世界のどのギャンブルより比較しても高いそうです。

『でも、当たれば増えるじゃないか!』

そんな声が聞こえてきそうです。

ええ、ボクも以前はそう考えて、馬券を買っていました。

競馬のシステムは、この控除率を実感しにくくしています。


なので、こう考えてみました。

無尽蔵に資金があるとしましょう。

単勝・複勝・馬連・馬単・3連複・3連単・ワイド……

どの馬券でもいいです。

延々と全通り買ってみたとしましょう。

1つ以上は全レース必ず当たります。

時には、投資金以上の払戻金を得られると思います。

それを、ずっと続けていくと……

そんなデータは誰も取っていないと思いますが、

ボクは回収率が75%程度に落ち着くのではないかと思います。


ルーレットで、赤と黒の両方に延々と賭け続けてみてください。

お金は絶対に増えないですが、減ることもないです。

参加費として1割程度がなくなるくらいでしょう。

※カジノはよく知りません……(汗)


控除率ってこういうことだと思うのです。

そもそも、75円のモノを100円で買う……

何か、スッゲーやだなぁ……と思ったことを思い出しました。


②パチスロの数字

競馬とパチスロについてしか語れないなぁ……。

麻雀の話題は、まだまだ出てきそうにありません。

※別に打ちに行ってるわけではないですが……


さて……

約1/300前後が大当たりの平均的な確率ですよね。

この数字って、厳密には正しくないんです。

パチスロの大当たりは完全確率方式で、

乱数が使用されています。

つまり、300分割されたパネルがあって、

その中に1つだけ、当たりがある、と。

で、矢を放って、当たりに刺されば大当たりだと……。

そんなイメージですよね、きっと。


ところがですねぇ、

この当たり、1つなわけじゃないらしいですよ。

10とか20とか、ともすれば100以上とか……

何が言いたいかといいますと……

要は約分しているわけなんです。

本当は10/3000とか100/30000とかなわけですよ。

確率的には変わらない……?

おっしゃる通りです。

でもですね、ハズレの数を数えてみましょうよ。

1/300なら299個がハズレ

10/3000なら2990個がハズレ

100/30000なら29900個がハズレなんです。


う~ん……書いてて、ホントにバカバカしくなってきたなぁ。


ちなみに……

異論、反論など、ギャンブルで勝っている方から見たら、

多々あるかと思います。

特にスロットに関しては、設定やらST機能やら、

一切考慮せずに書いています。

ただ、このブログは、ギャンブルを辞めようとしている

ボクが書いているモノでして、

そのために、自分で納得できる理由を勝手に書いている

だけですので、ご了承ください。


興味を持ったら、ワンクリック!


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ギャンブルの数字を考えてみた。

このブログにいらしてくださる方ってどんな方なのでしょうか?

ギャンブルで勝ちたい!

って方じゃないことだけは確かですね(笑)

特に宣伝することなく、

自由に、書いてくつもりです。

自分がラクになるために。

それでも、もしももしも……

興味持ってくれたりしたら……

叱咤激励やらなんやらかんやら

残してくださると嬉しいです。


さて……

①1/3360

この数字、何のことだと思いますか?

実は、16頭立ての競馬で、3連単馬券が当たる確率です。

では……

②1/288

こちらは?

パチスロ・北斗の拳SEのBB当選確率です。


では……

これら2つの数字を%に直してみましょう。

①約0.03%

②約0.3%

…………いかがでしょう?

よく『1%でも可能性がある限り……』

なんてことを言うヒトがいます。

ところが、ギャンブルにおける確率は

1%を切っているんです。


これって、怖いし、バカバカしくないですか?

ボクが、競馬を辞められた理由と

パチスロに行かなくなった理由は、

実は、この数字があまりにも

小さすぎることに気づいたためでした。


ま、ボクの問題は麻雀ですけどね。


最近……

新しいカテゴリーを作ってみたので、

ここはかな~り、気軽に書きたいなぁと思っていたりして。

ま、重い話題ばっかじゃ、自分でも疲れるし。


さて、ここ最近のボクですが……

実は、ギャンブル、まったく行ってないんです。

わー、ぱちぱち!


ちなみに……

ボクのギャンブル歴は

競馬→パチスロ

とシフトし、それ以前からずっと

麻雀

つーのが、途絶えることなく存在しとります。

ネットバカラやら、競輪やらも経験はありますが、

まったくハマることはなかったですねぇ。


で、実は、競馬はもう5年くらいやってないんです。

パチスロは最近までやってましたが……

多分、3ヶ月くらいご無沙汰してるんじゃないかと……

で、別に行きたいとも思わないんですよねぇ。

多分、競馬は金輪際、やることないはずです。

スロットも……ほぼ興味ないなぁ。

あとは麻雀だけだぁ!


だからね、

ボク、多分、辞められるんですよ。

ギャンブル。

そうそう。

つーか、ボク、

『デキる子』だから(笑)


そう思おうっと!


てなわけで、もう1本、競馬やスロットの数字のトリックについて書きます。


時間

時の流れを

速いと感じますか?

遅いと感じますか?


昔のことを思い出そうとして、

記憶を辿っていました。

いくつかのエピソードがアタマに浮かんできます。

それらが起こった時を考えます。

『え……そんな前のことだったんだ』

『あれからもう2年も経ったんだ……』

そんな驚きの連続でした。


思うに、ギャンブル依存症というのは

『足踏み』なのではないでしょうか?

足は動かしています。

そうしないと生活できないからです。

けれど、絶対に前にも後ろにも進まない。

延々とその場で、必死に足を動かし続けるんです。

そして、夜がきて、また朝がくる。

その繰り返しです。


自分ではなかなか気づかないのです。

足は動かしていますから。

どこかに向かっていると錯覚しているのです。

一歩も進んでいない自分を認められない……

それが『否認』し続けてるヒトの精神状態の一端なのではないでしょうか。

※もちろん、それだけではありません。

 もっともっと、複雑に、さまざまなものが絡まりあっています。

 ボクのココロも同様に……


時の流れは、誰に対しても平等です。

『過去』を見るか、『今』を見るか、『未来』を見るかによって、

時の速さは、それぞれに異なると思うのです。

ずっと『今』だけを見て、生きてきました。

『未来』を見ることは想像力を養います。

『過去』を見ることは正常な判断と人生の構成力を養います。

『今』だけを見て、養われるモノとは何でしょう?

何もないとは思いませんが……


1日1日が過ぎるのがひどく遅いのに、

1年1年はすごく速い勢いで過ぎ去っていく。

ギャンブル依存症者の時の捉え方を、あえてコトバにすれば

そんな感じでしょうか。


一瞬だけでもいいのです。

足踏みをやめ、周りを見渡してみるのです。

動き始めた時の光景と、

何ら変わっていない光景が目に飛び込み、

愕然とするはずです。

残るモノは疲労感、そして疲弊感。

それだけです。


今、ボクはかなり落ち着いた感情を持っていると感じています。

ギャンブルを辞めるという決意はしません。

意思表明もしません。

自信がないのではないです。

自分のココロを、追い詰めたくないのです。

追い詰めて、もしも、裏切ってしまったら、

また昔と同様の暮らしが待っているからです。

『絶対に勝つ!』『絶対に返す!』

空虚で虚しい、悲壮感に満ちたコトバに感じるのと同様に、

『絶対にやめる!』

というコトバも、どこか頼りなさを感じるのです。


何度でも、足踏みして、何度でも、歩き出せばいい……

その都度、新しい気づきに身を任せればいい。

今回、ボクが自分のココロにふと気づいたように、

それぞれのことは『その時』が教えてくれるはずだから。

時の流れに身を任せ、

ゆっくりとココロとカラダを運んでゆくこと。

時間の流れを、リアルなモノとして感じられるよう。


のんびり行こうよ。

今まで、延々と自分と周りを責め続けてきたんだからさ。

ギャンブルを辞めることが目的じゃないんだよ。

この社会の中に、自分の居場所を見つけ、

活き活きと生きる=生活することが目的なんだよ。

うまく付き合えるのであれば、

ギャンブルをやっても構わないんだよ……。


今の、ボクの、本音です。


今日はお仕事はお休みです。

夕方から、GAのミーティングにでも

行ってみようかと考えています。

初体験……

は、

ドキドキするなぁ(笑)


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競馬その②

※よくよく当時を思い出してみたら……

『学生ローン』で借りたお金の他に、

何か返済があったような気がする。

そうだ! 悪徳商法に騙されたローンを抱えていたんだ!

と、今さらながらに思い出した。

確か、金額が50万円ほどだったように思う。


その頃、

とにかく競馬人口は多かった。

ボクの周りに限っての話かもしれないが……

話すことは競馬の話。

週末は、朝から競馬場に通う。

金曜日の夜から、知人に電話し、

あ~でもない、こ~でもないと、

延々と競馬の予想を語り合う日々だ。

正直、楽しかったのだと思う。

友達の輪が徐々に拡がっていく感覚が。


しかし……

今思えば、それは落とし穴だ。

友人ができるということは、

そこに義理やつきあいが生まれてくる。

週末は『競馬に行く』ことが当然になってくる。

電話が鳴り、翌日の予定を決める。

金がなくても断れない状況になる。

ボクの場合は、そんな感じだった。

それで、競馬の資金を作るために、

消費者金融の個室へと足を運ぶことになった。


最初は緊張した。

『ギャンブルの資金が必要で……』

そんなこと言えるわけがない。

『生活費が足りなくて……』

金を得るための最初の言い訳だった。

用紙に記入するとき、多少手が震えた。

担当者のマイクの声にビクッとなった。


確か……

50万円は貸してもらえなかったように記憶している。

20万円か30万円くらい。

とはいえ、後日、その金額は簡単に50万円まで上がるわけだが……。


こうして消費者金融の個室体験は終了した。

20万円(もしくは30万円)が入ったカードが財布の中にあった。


慣れるためには1度の体験で充分だった。

次の店では、すでに手も震えなかったし、

すごく事務的に手続きを終えたように思う。

1枚、また1枚とカードが増えていく。

そして、何とか返済を続ける。

そうすると、限度額が増えていく。

それを借りては、返済にまわす。

競馬で一発当てて、完済しようと気が逸る。

ボクは自転車をこぎ始めた。


この頃は、借金について何にも解らないまま自転車をこぎ続けた。

小金を手に入れるためには実にさまざまな方法がある。

クレジットカードでカメラを買い、質屋に流す。

MDプレイヤーをリサイクルショップに売る。

右から左に金が動いていく。

1人になると、ため息をつくことが多くなった。

少しでもそんな寂しさを紛らわそうと、

ダイヤルQ2(時代が知れる)の出会い系にハマったりしたのもその頃だったなぁ。

電話代が10万を超え、泣きたくなった記憶がある。

払いに行くとき、コンビニのおニーちゃんから嘲笑されているように感じたなぁ……。


バイトも始めた。

以前、バイトをしていた雀荘の知り合いが

新しい店を出したので、そこで働くことにした。

雀荘のバイトは、日払いも可能だ。

週末、朝まで働いて、僅かばかりの日当を握り、

寝ることなく、競馬場へ足を運ぶ。


金銭感覚が崩壊していた。

現在の行動が未来のどこに繋がっていくのか、

そんな想像が完全に欠如した。

できることは……

目の前の支払日を何とかやり過ごすだけだ。


その頃の行動を考えると……

給料をもらう→週末を待ち競馬に行く(もしくは麻雀で競馬の軍資金を稼ぐ)→返済金がなくなる→小金をつくるために奔走

そんな感じだった。


実は……

それでも『何とかなる』と思っていた。

そして、実際に何とかなってしまうものだから恐ろしい……。