ギャンブル依存症を自覚したボクが書く日記 -14ページ目

麻雀その①-結婚生活-

当時、ボクは焦っていた。

父親がガンだと診断された。

父親の思いと、

自分の状況を思い比べてみた。

やるせなさがボクのココロを支配した。


何ができるだろう・・・。

何をすれば、

父親を安心させることができるだろう。


地道に歩むしかないのに、

そして、そのことを望んでいただろうに、

ボクは、そんなことすら気づかないほど

焦っていた。


以前にも書いたが、

ボクには目標があった。

ストーリーテラーとして生きること、だ。

『物語を作るヒト』に

なろうとして、上京してきたのだ。

ボクの思いは、父親の思いを逸れ、

『地道に生きる』という当たり前の道を逸れ、

『夢をなるべく早く叶える』

という方向へ向かった。


そもそも、

作家にしろ、シナリオライターにしろ、戯曲家にしろ、

叶えるために必要なのは『地道な作業』だ。

それは、ギャンブルに浸かったボクにとって、

もっとも縁遠い言葉になっていた。


焦れば焦るほど、

物語を紡げない自分がいた。

叶えたいと強く思うほど、

いくつもの物語を、書きかけで投げ出した。


そして、そこで生まれたムシャクシャした気持ちを

吐き出すために、忘れるために、

麻雀を打ち続けた。


それぞれのギャンブルには一長一短がある。

競馬は週末しかやっていない反面、

2分程度であっさりと金が消える。

パチンコ・パチスロは、気軽に入れるが、

必ず閉店時間がやってくる。

そして麻雀は、お金の動きはゆったりしているが

24時間、いつでもできる。

そして、ギャンブルは、どこかでやめない限り、

『負け』も『勝ち』も確定しないのだ。


勝っている時、もっと勝ちたいと思い、

勝ち分をすべて失くしたこともあった。

負けている時、取り返さなくてはと、

さらなるどん底に落ちたこともある。

勝ちには天井はないが、

負けには底がある。

財布の中が空になった時、

負けは確定する。

ギャンブルとは、そういうものだ。


そして、おそらく、カノジョのココロは限界だった。


ボクは、父親のことがあって、

その間は一緒にいてくれるだろうと考えた。

支えてくれるだろうと、

勝手に考えていた。

ところが、カノジョは違う感情を抱いていた。


父親の病気を知っても、

表面的に変わらないボク。

ココロが通わせることができないと思ったはずだ。

そして、

余命2年とするならば、

こんな生活が2年も続く。

その2年が、カノジョにとっては

永遠にも感じられたのだと思う。


小春日和のある日――

カノジョはボクに真剣な顔で切り出した。

「やっぱり、離婚してほしい……」


止める術を持たなかった。

ここまで追い詰めたのはボクだ、

それくらいは理解していたから。

そして、ボク自身も、

肩身の狭い、カノジョとの生活を

これ以上続ける自信はなかった。

いつか来るであろう日が、

この日にきた、それだけのことだった。


「離婚する・・・」

父親は、この報告を

どのような思いで聞いただろう・・・

その時のボクは、それだけが心残りだった。


こうして、ボクたちの結婚生活は

あっさりと幕を閉じた。

カノジョの実家で暮らしていたため、

ボクは安いアパートを探し、

引越しをすることにした。


五月晴れのその日。

テイエムオペラオーが淀の3200mを

懸命に走っていたのを思い出す――。


そして、

ボクとカノジョが紡ぐストーリーは

これで終りではないのである。

(つづく)


結婚生活は終っても、

まだまだボクの物語は続きます。

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ひとやすみ

え~っと。

昨日の記事を見て解りますように、

『競馬編』は終了しました。

これ以後、

競馬はほとんどやっていません。

ま、大レースは、ちょこちょこ

買ったりしていましたが、

競馬で借金が増えるなどはありませんでした。


どちらかといえば、

借金を返すために借金をしたり、

ギャンブルをしていたような気がします。

そのギャンブル自体、

ここからは『麻雀』へとシフトしていきます。


とはいえ、

麻雀は、大学生の頃に覚えて以来、

やっていない時期というのがほとんどないため、

多少の違和感を感じるのもまた確かです。


というわけで、今後は

『麻雀編』が始まります。

依存症の扉を開け、

結婚生活が崩壊寸前のボクが、

これからどうなっていくのか……!?


はぁ~……

乞ご期待! って、言えるわけないですね(笑)

競馬から麻雀-結婚生活-

『競馬に行かないこと』

『お小遣いの額を下げること』

他にもいくつかの条件があったように思うが、

とにもかくにも、ボクとカノジョは

まだ一緒に暮らすことになった。


ボクは、少なくとも

競馬に行くことはやめようと思った。

実際、

競馬仲間が少なくなっていたし、

競馬場へも遠くなっていたため、

それは、それほど困難なことではなかった。

環境が変われば行かなくなる。

ボクにとっての競馬はそんな存在だった。

時々は隠れて馬券を買ってはいたが……


そして――

ボクは『元通り』になれると、

甘い考えを抱いていた。


きっと、ココロはすでに離れていた。

繋がろうとはしていた。

けれど、ボクのことを

完全に許せず、

そして完全に信じられないカノジョがいた。

カノジョはおそらく、

そんな自分に戸惑っていった。


そんなカノジョの戸惑いに

ボクが気づくはずもなく、

疑いの目や、責め立てる態度のカノジョに

徐々にストレスが溜まってきた。


消費者金融のCMが、

次々とテレビに登場してきた頃だ。

一緒にテレビを観ていると、

何ともいえない空気が流れる。

週末、仕事に行くボクに、

猜疑のココロを隠せないカノジョがいた。


「お金、足りなくなったら言ってね」

カノジョは言ってくれたが、

どんなに足りなくなったとしても

言える筈がなかった。

そして、その頃のボクは、

金銭感覚

というものが、

完全に崩壊していた。


麻雀は、以前にも書いたが、

遊び方さえ間違えなければ、

充分に生きていけるギャンブルだ。

それでも、仕事と家庭でストレスを抱え、

ココロの行き場を失くしていたボクは、

徐々に、居場所を求めて彷徨うようになる。


夜の街。

風俗や酒、そしてギャンブル。

金銭感覚が崩壊しているボクが、

借金が失くなってしまったことに安心したボクが、

消費者金融に足を運ぶには充分な理由だった。


そして、その間、

カノジョのココロから『離婚』の2文字が

ずっとなくなることはなかった。

一緒に眠ることがなくなった。

ボクは、ますます孤独を感じ、

夜の街に、居場所を求めるようになる。


そんなある日――

母親から電話があった。

「とにかく帰ってきなさい」

それだけだった。

週末を利用して、実家に帰ったボクに

母親が告げたこと。

父親が肺ガンと宣告されたという事実だった。

余命は、2年……。

『治る』

ボクは、自分に言い聞かせるようにつぶやいた。


そして、家に戻り、

そのことをカノジョに告げた。

カノジョは、涙を見せてくれた。

ボクは、泣くことができなかったのに……。

(つづく)


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ギリギリセーフ!

ソフトバンクが

第1ステージを突破して浮かれていたら、

思わぬところに落とし穴ってあるもんです。


ホントに今日だけは

アブなかったのです。


朝っぱらからの母親からの電話に叩き起こされ、

電話口で思いっきりの大喧嘩。

会社は会社で、

ワケの解らないことが起きていて、

未だ解決していない。


もう朝から不機嫌モードバリバリで仕事に行って、

いろんなことを忘れるために

原稿なんかを書きなぐっていたら、

ふとした瞬間、アタマに浮かんだのが、

777

だったり

「ツモ!」

と言ってたりする自分だったりしたわけです。


こいつはマズイ……

一人で真っ直ぐ帰ったら、間違いなく寄り道。

ただでさえ、ボクの仕事場は

『新宿』

なんていう日本一の繁華街。

そんなワケで、

カミングアウトをしている友人を

ムリヤリ引っ張り出しまして、

「酒呑みに行くぞ!」

と、焼き鳥屋に直行したのでした。


仕事に行ってて、

カミングアウトしている友人がいたから良かったものの、

もしこれが休日だったら……

と考えると、背筋がゾーっとします。


まだまだ途上なんだなぁ……と、

かなりしんみりした一日でした。


頑張るぞ! と。


あ、えとえと……

IDを見て、ピンと来る方もいるかもしれませんが……

明日10月11日は、

正真正銘の誕生日なのです。

できるなら、

ちょっとでも、スッキリと迎えたいものですね。

誕生日。


『おめでと』の代わりにポチッと(笑)

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競馬その⑦-結婚生活-

カノジョに借金がバレた理由。

ずっと、カノジョは

疑っていた。

当たり前だ。

行動が怪しかったのだから。


督促状が家に来た。

それがカノジョの猜疑心を大きくした。

「正直に話して!」

何度言われたか解らない。

それでも、ボクは、

カノジョと向き合うことなく、

のらりくらりと話をごまかしていた。

-全部返せば、笑い話になる……

できもしないことが、唯一の拠り所だった。


カノジョの猜疑心が日増しに大きくなる。

そのことにボクは気づかなかった。

いろいろな対応を試していたのだろう、と思う。

優しくされた。

怒られた。

マジメな顔で向き直られた。

それらすべてが、

ボクにとっては、

煩わしかった。

ボク自身、

金銭問題から、

眼を背けようとしていた。


『離婚』

具体的な解決案が

カノジョの口から出たのも

この頃だった。


ある日。

仕事が終ったボクに、

カノジョから電話が入った。

「実家の親に全部話したから……」

哀しそうにカノジョは言った――。


ボクの実家は九州だ。

それからほどなくして、

父が上京してきた。

「すべての金額を正直に言え」

事前の電話で、父はボクに言った。

肩代わりは、ありがたかった。

しかし、それと同時に、

-それじゃ意味ないんだ! 

と、ボクのココロは叫んでいた。


おそらくは……

誰もが思っているはずだ。

肩代わりが自分のためにならない、ということ。

誰もが、どこかで感じているはずだ。

それでも、借金が失くなる。

そのことは、魅惑の誘いだ。


『やり直せばいい』


その時は、確かにそう思った。


父と一緒に、

消費者金融、質屋、銀行……

と巡った。

おそらく350万くらいの金額だったと記憶している。

父の生命保険を解約して作った金だった。

帰りの電車の中、

父は何も言わなかった。

何を言っていいのか、解らなかったのだと思う。

沈黙に耐えられなくなったボクは

野球の話なんかをして、

ムリヤリ、

笑おうと、していた。


誓約書を書かされた。

父は、ビジネスホテルに泊まり、

翌日、帰っていった。

『離婚』の2文字からは、

その時だけは

逃れた。


その日の夜、

布団の中で

久しぶりにカノジョときちんと話をした。

指輪を質屋に入れたこと。

借金でクビが回らなくてツラかったこと。


「きっと、バレるのをどこかで望んでいたんだと思う」

「これから、きちんとする?」

「うん……頑張る……」


そんな会話を交わした。

指輪がないことに気づいていたことを聞いたのも

その時だ。


いずれにせよ、

ボクの借金はなくなった。

このまま、カノジョに眼を向け、

『生活』をしていけば

何の問題もないはずだった。


ところが……

ホントの闘いは、まだ始まっていない。

そして……

カノジョが抱いた猜疑心や不可思議さは、

消えることなく、

延々と燻り続けることになる。


『やり直す』

この言葉は

『元に戻る』

とはまったく違うのだった。

(つづく)


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いろいろと考えたこと

昨日、書いた記事のことで、

今日は、仕事中、いろいろと考えていました。

(いつ仕事しているのやら……???)

うまく書けるやら解りませんが……。


で、まぁ、いくつか出た結論。


『焦ってんじゃないの?』

という気持ちと

『誰かを頼ろうとしてんじゃないの?』

という気持ちが

いろいろな葛藤の中で勝ちました。

結局、

自分の中で答えが出ないものに対して、

ヒトに答えを求めるなんてことは、

焦り、だったり、

仮面、だったり、

演技、だったり

するわけで、

それらすべてが

依存症の症状へと繋がっていくのではないかと、

思った次第です。


答えなんつーモンは、

ヒトが教えてくれるモンじゃなく、

『その時』がくれば自然にココロもアタマもカラダも

動き出すもの。

小学6年生の算数の問題を

小学3年生が解けないのと一緒で、

『その時』っていうのは、

結局、

『学び』の先にあるモンなんじゃないかと

求める回復の過程で、

きっと、いろんなモノを学んで、

その結果、ココロが自然とカラダを押し出してくれる。

それが『求める答え』なんじゃないか、と

考えたのでした。


焦りは禁物ですね。

当時のことを書いていて、

『書く』っつー行為に、

ドーパミンが出たのかなぁ……

なんて思いました(笑)


ココロときちんと対話しながら、

その時、その時に必要な栄養素を

焦ることなく、

摂取していこう。

そんな結論に達しました。


お騒がせいたしまして申し訳ありません。

コメントをくださった皆様には

ホントに、本当に感謝しています。

皆様がいなかったら、

こういったことにも考えが及ばなかった、

それだけは確かです。


これからもよろしくお願いいたします(ぺこり)


(;^_^A←サイト-くん(笑)

言ってみたかっただけです……




追体験と今のキモチ

最近、追体験ばかりを書いていて、

かなり、疲れてきていたので気分転換です。


依存症克服のステップに

『内観』てのがあるらしいですが、

昔のことを思い出しながら書くのって、

これに近いことなのでしょうか?

よく解らないので、解るか方いましたら……


昔のことを書く際、

できるだけ、その時その時の気持ちや

現在のボクから見た感想や意見など

入れないようにしています。

優しく、突き放した客観的な視点。

それを書くことでボクがどう感じるか、

読んだヒトがどう感じるか

それはそれぞれなので、仕方ないと思っています。

でも『そうなってないぞ!』

という意見など、くださると嬉しいです。


で、

今、悩んでいること……。

ギャンブルで崩れていく夫婦間、

これもいい加減佳境に入ってきたわけで、

そうなてくると、ボクのココロに新たな願望が生まれてきました。


このブログを『カノジョ』に読んでもらいたい。


う~ん……どうなんでしょうか?

元・旦那の再生の道のりに喜んでほしいと思うのは、

やっぱり身勝手なのでしょうか?

その頃を思い出してしまうこと、

それすらも封印しているのかどうか……?


実は、ボクとカノジョは昨年の夏、

久しぶりに会っています。

その時はまだ、ギャンブル依存真っ只中で、

どこか見栄をはった自分を演じていました。


一番迷惑をかけて、

一番哀しい思いをさせたヒト……

もう、償うことはできなくなってしまったから、

せめて、

等身大のボクを感じてもらうことで、

少しでも贖罪になるのかどうか……?


どうなんでしょうか?


すみませんが……

アドバイスなどいただけると幸いです。

競馬その⑥-結婚生活-

転職を、した。


この業界、転職は珍しいことでは、ない。

より条件のいい場所へ動くのは当然のことだった。

給料は、上がった。

ライターとして働き始めて2年間で、

ボクの給料は確か……

6万円ほどアップしていた。


それでも、

何も

変わらなかった。

いや……

変える

気が

なかったのかも、しれない。


支払いが遅れ、

督促状が家に届くことを恐れ、

『資料を捜してきます』

と会社の上司に告げ、

家に戻り、督促状を回収していた。


会社のヒトに

金融業者からの電話がバレるのを恐れ、

電話に出るのが怖くなった。


それでも、

表面上は笑っていた。

この頃は、

まだ、

笑えていた。

けれど、

ココロの中はいつも、

あわ立っていた。


この頃、実はあまり記憶がない。

競馬を買っていたのかいなかったのか……

徐々に、競馬熱は冷めていった頃だ。

勝てない……

そう感じていたから。

それでも、

G1などの大きなレースは買っていた。

賭け金は2万円くらいだった。


どちらかというと、

麻雀で稼ごうとしていたような気がする。

昼間、麻雀を打ち、勝つ。

ドーパミン効果に耐え切れず、

夜中、起き出し

「麻雀に行ってくる」

と言い捨て、朝まで打った。

カノジョは、どうしていいか解らない、

そんな表情をしていた。


カノジョが『旅行に行こう』と言い、

貯めていた500円貯金を、

そっと缶きりで開け、

中身を抜いたのは、

競馬で負けた後だったか、

麻雀の後だったか……


毎月、毎週、いや毎日、

ボクのアタマは返済のことでいっぱいだった。

この頃、確か、

月に3回ほどの返済日があったような気がする。

さすがに、もう、

カノジョの財布から、

何かをくすねることはムリだった。


そんな中で、

ボクが目をつけたのが、

婚約指輪だった。


カノジョはこの頃、

自動車学校に通っていたため、

家に一人でいることが多かった。

さすがに、少し、

ココロがざわついた。

これは、ヒトとして、

男として、

最低の行為なんじゃないかと思った。

鏡台の引き出しを

ボクは

開けていた。


カノジョの顔がアタマに浮かんだ。

蛇足かもしれないが、

ボクは、この頃、確かに

カノジョのことがスキだった。

信頼もしていた。

できることなら、

添い遂げたいとも思っていた。

けれど……

ボクの行動は、

思いとはまったく裏腹だった。


『返せばいいんだ、返せば……』

石が放つ美しい光が、その時のボクには

どんな風に見えていたのだろう……

宝石箱から、そっと取り出し、

ボクは、ソレをポケットに入れた……。


三万円で良かった。

それさえあれば、その月は凌げた。

質屋のオヤジにそのことを告げた。

オヤジは、

引き取り証と一緒に

3万円を、差し出した。

これだけはすぐに金を作って

取りに来なければならない。

その時は、確かにそう思った。


けれど、指輪が

ボクの手許に戻ってくるのは、

それから3ヶ月以上先のことになる。

※質流れの期限は基本的に3ヶ月です。

 この時、質屋のオヤジが気を利かせて

 取っておいてくれました……


ビクビクしていた。

いつバレるか、指輪がないことに

カノジョがいつ気づくか……

ボクは、カノジョの顔色を窺いながら、

それでも表面上は平然とした表情で

毎日を過ごしていた。


1ヶ月。

2ヶ月……。


後で解ったことだが、

カノジョは思ったよりも早く、

指輪がなくなっていることに

気づいていたらしい。

しかし、それをボクの仕業だとは

思わなかったという。

逆に、

失くしたことに、

かなり凹んでいた、という。

それを聞いたとき、

何も言えないボクがいた。


こういったことが、

日常的に行われていた。

カノジョにとって、ボクの信用は

限りなく0に近くなっていた。

そして、ついに……

カノジョに借金が

バレてしまうことになる……。

(つづく)


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競馬その⑤-結婚生活-

カノジョは、何とかボクを理解しようと必死だった。

そして、ボクの眼をどうにかして、

競馬やギャンブルから離そうと

必死だった。

今思えば、そうだった。


週末は場外馬券場で馬券を買い、

テレビで競馬を観た。

平日は、会社帰りに麻雀を打ちに行っていた。

おそらくは、バレていたと思う。

それでも、麻雀に関しては

あまりいろいろと言われなかった。

競馬ほど、お金を使わなかった

というのも大きい。


ある日、

近所の雀荘で麻雀を打っていたボクのケータイに

カノジョから電話がきた。

ボクの書いた物語が、

コンクールで賞をもらったという報告だった。

それは小さな小さなコンクールで、

賞金も1万円程度だったと記憶している。

それでも、嬉しかった。


普通のヒトなら、

そこで死ぬ気で頑張って、

夢を叶えるために一直線に進むのだろう。

おそらくカノジョも、

ボクにそういった態度を期待していたはずだ。

ところがその頃、

ギャンブルという毒に

ココロまで侵されていたボクは、

特に頑張ることなく、

ただ時の流れるままに身を任せていた。

『才能さえあれば、拾われるさ』

そんな倣岸不遜な考えがボクのアタマを占めていた。


ボクの生活は徐々に苦しくなっていた。

返済がキツくなってきたのだ。

基本的に給料は全部カノジョに渡していた。

そこから小遣いをもらっていた。

ところが、返済すると残らない。

返済し、また借りて、別のところを返す。

自転車を必死でこいでいた。

そして……

返済のための金を麻雀で稼ごうとしていた。


麻雀というゲーム(ギャンブル)は、

持ち金に合わせてレートを選べるギャンブルだ。

いわば、身分相応のレートで打つ限り、

死ぬことのないギャンブルだといえる。

だからこそ、ギャンブル依存症の中に、

麻雀専攻のヒトがあまりいないのだろう。


ところが、借金を返すために麻雀を打つとなると、

持ち金に合わせたレート選択ができなくなる。

『1週間後にいくら必要だから、このレート』

という選び方になる。

そこは、鉄火場となった。


そんなある日、

どうしても返済金が足りない日があった。

もうすでに、どうしようもなくなっていた。

それでも、カノジョにバレることだけは避けたかった。

申し訳ないという気持ちもあった。

ギャンブルをやめたくないという気持ちもあった。

けれど、何よりも大きかったのは、

くだらないプライドだったのだと思う。


その時、どうしていいか解らなくなったボクは、

カノジョがお風呂に入っているスキに、

カノジョの財布から

キャッシュカードをくすね、

翌日、必要な金額を下ろし、

そっと戻しておくという行動に出た。


幸いにして、その時はバレなかった。

1回でやめれば、それは完全犯罪だ。

ところが味をしめた『犯罪者』は

必ず繰り返す。

その時、

『犯罪者』の気持ちが解った。


3度目……

カノジョにバレた。

その時、どんな言い訳をし、

どんなウソをついたのか

もう覚えていない。

ただ、カノジョがすごく哀しい顔をしていた。

ボクは、その顔を直視できなかった。


それでも……

ボクのギャンブル熱は冷めず……

問題行動は、

さらにエスカレートしていくことになる。

(つづく)


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HERO

あなたにとってのヒーローは誰ですか?


あと30分ほどで、

ディープインパクトが

フランス・ロンシャン競馬場で走ります。

彼は、負けないことで国民的ヒーローとなりました。


しかし……

ふと、こんなことを思いました。


いつから、ヒーローは、

負けてはいけなくなってしまったのでしょう。


競馬の世界。

オグリキャップ、ナリタブライアン、トウカイテイオー……

あのシンボリルドルフでさえ、

負けることでそのヒーロー像を確立していきました。

ところが、

そんなヒーローは、

今の日本で生まれえるのか……

そんな疑念さえ湧いてきます。


イチロー、中田(英)、松井……

彼らは負けることで自分たちの居場所を

確立することはできません。

ところが……

王、長嶋……

彼らは負けることが許されていました。

長嶋のエラー、三振、そんなものにさえ、

ヒーローの佇まいを感じていたのです。


何が言いたいのかというと……


『金』


現在、『金』の香りがしないヒーローは

存在しないのではないか。

才能とは何か?

努力とは何か?

能力とは何か?

現代ではすべて『金』に換算されてしまいます。


ギャンブル用語で『射幸心』という言葉があります。

世の中には『射幸心』が溢れています。

金を掴めば勝ちであり、

ヒーローの資格を手に入れることができる。

だから、絶対に負けてはいけない……。


ディープインパクトのヒーロー像は、

現在だからこそ生まれえたのかもしれないと

思ったのです。


果たして、それがいいことなのかどうか?

ボクたちよりも下の世代に

渡していい社会なのかどうか?

ふとそんなことを思ったのです。


それでも……

頑張れ! ディープインパクト!!


ちなみに、

ボクのギャンブル偏愛を、

社会のせいにするつもりで書いたものではない、

ということを、蛇足ながら付記しておきます(笑)


いよいよ、発走です!