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ただし記事から得た情報の利用公開については出典・引用をあきらかに、管理人の指示に従ってください。
高品位MEMSマイク Infineon IM73A135V01の取扱レシピ
高品位MEMSマイクとしてご紹介してきた1つ、「Infineon IM73A135V01」は予想通り優秀な結果を出しています。
これでアナログMEMSマイク 3巨塔が揃い踏みとなりました。
IM73A135V01に関し、これまで1か月の間に筆者が得た良好な加工レシピをご紹介します。
ご紹介しているMEMSマイクはその形状から想像もできない優秀なマイクになります。
ただしMEMSマイクに対する誤解した判断や過度な期待は避け、正しくご理解しましょう。
各MEMSマイクデータシート
MEMSマイク・クラフト時はこれこそがバイブルとなります。
Invensense ICS-40730 (TDKロゴのないデーターシートには重大な誤りがあります)
Knowles SPM0687LR5H-1
特徴
「IM73A135V01」は音質的に類似の「Invensense ICS-40730」と好みを分けると思いますがその小ささは米粒並みなのでサイズ的な取り扱いの難易度は高いと思います。
しかし、電気的衝撃(過電圧、ON-OFFショック、はたまた逆接など)にはかなり強く、実験中に壊すこともなく他の品種より、むしろ使いやすさを感じます。
これまでに10数個使いましたが破壊を起こしたものはまだ1個(誤って+48V加えた)のみです。
MEMSマイクには敬意をはらい美しく作りたい
リード線を付け終わった Infineon IM73A135V01
「美しい音は美しいカタチを求め 美しいカタチは美しい音を求める」。これは自然の摂理、法則です。
それは楽器やマイクでは常道であり「手作りだから」の甘えは禁物。
プレヒート
100℃1分間の儀式。
この手順によってはじめてMEMSマイクに「手半田」が許される。
1.カッティングシートなど平らな面に「薄両面テープ」を貼り、MEMSマイクを粘着仮固定させる、ヒートガンの風で飛ぶようなことはない。
(厚両面テープは厳禁、「グニャグニャ」して半田付は無理となる)
加熱から半田付けまで一貫してこの上でまかないます。金属治具のような固定具は正しそうですが、その使用にはあまりにも小さい。
対象物の大きさ重さによってその保持方法は変えなければならない。
2.ヒートガンを使用して「100℃ 1分間」をめどにバーニングすることで「SOLDERING PROFILE」の前半をトレースし、そのあとは手半田によるリード線付けがある程度許容されます。
決して「マイクカプセル」ではないMEMSマイクという「微妙な機械機構を備えた複合IC」=メカトロICをしなやかに動作させるには相手に合わせた「寄り添い」と一工夫が必要です。
(関連情報)
「ムラタ」のHPにこのような解説がありますがかなり似通っていると思います。
予備半田
1.プレヒートを終えたMEMSマイク、半田する端子にクリーム半田を爪楊枝などで少量塗る・・・というか「置く」
2.クリーム半田を置いた端子部に予備半田をおこなう(1箇所0.1~0.2秒)程度ですからコテ先を「チョン・チョン」と触れるだけで半田の光が見えてきます。リング状のGNDは熱が拡散する為半田が廻りにくいですが、リングGNDはおおむね1秒以内をめどにすれば良いようです。
3.放熱:コテ先を離したあと指先をあてて放熱するのが現実的です。
ここで妙に気を回した半田付法・放熱法はかえってMEMSを壊します。
4.できるかぎり「肉眼」で作業する。
ヘッドルーペなど、慣れた方なら良いですが、「遠近感」の欠如が結果的にコテ先の長当ての原因となるかもしれません。
リード線の半田付
1.リード線はAWG-32でジャストフィット。AWG-28クラスでは2番(Vdd)の線出しもやや苦しいでしょう。
特に「あり合わせ」の線材は厳禁です、MEMSマイク・クラフトにはぜひAWG指定で線材を買い求めましょう。
2.リード線先端、剥きシロは0.5mm未満。
3.剥きシロは予備半田をおこなっておく。
4.GND線は筆者の場合0.1mm 2本撚りのエナメル線使用。
(それは可能な限り細い空間に無理なく装着する目的のためです)
4個すべてにリード線の半田付けができました。
リード線の半田付け完了。
これはMEMSマイクを「マイクロホンカプセル・ユニット」とするならば極めてあたりまえの形状です。
このあと、かならず音出しチェックをおこなう。(音の方向に注意)
電極部は2液エポキシ、紫外線接着剤などで絶縁する。
この結果4個のMEMSマイクのコンデションは全部同一に仕上がった。
もちろん、どれを取っても2本で「ペア」となり、出力レベルの差は皆無です。
このサイズに仕上がれば、5mmパイプにステンメッシュごと通り抜けられます。
注意したい事項
1.小容量コテは使わない
2.コテ先の長当て厳禁
3.音穴周辺形状はこのようにオリジナル設計状態をキレイに保つこと。変形・異形は音を大きく変えてしまいます。
4.リード線はAWG-32程度の撚り線厳守。そして一瞬で半田作業を終える事。
それは「MEMS機構の熱的ダメージ」を最小にするためのお約束です。
5. IM73A135V01ではVdd電圧値により2Way動作が選択されます。
ノーマル動作させる必要があるため、ファンタムフィード抵抗まわりの値は結構シビアとなり狙いを定めた値にする必要が有り、ここでは2.8Vを目標値としております。
ただし「ノイズ発生器」であるツェナーダイオードは「禁断の毒果実」、絶対に用いません。
テスト音源
MEMSマイク3種類トーク音声比較.wav 録音:PC+SSL-2 Audio I/F
1.Infineon IM73A135v01 (ProbeⅡinf 使用)
2.InvenSense ICS-40730 (ProbeⅡ 使用)
3.Knowles SPM068LR5H-1 (ProbeⅡkw 使用)
車両走行音 Infineon IM73A135v01.wav 録音:Zoom F3
2220063 雷雨.wav 録音:Zoom F3
MEMSマイク=(高音圧OK)の誤解
1.「最大耐音圧が高い」という誤解
MEMSマイクの一般マイクへの転用で筆者が経験した正直な感想ですが耐音圧は6~10φの3線式ECM並みです(120dB台〜130dB台/A THD10%)
2.「絶対最大定格」=デバイスが機能しなくなるまで壊れる音圧ならICS-40730でも160dBです、それを「最大音圧160dB」と繰り返し述べられれば常識化されて信用してしまいますよね。 ソレ間違いです!
他人に「MEMSマイク」の事を話すと「あれは高音圧に強いと聞いたけど・・・・・」とたいてい二言目には返ってきます。
「これはいけない、根拠のないMEMSマイク常識が蔓延している」。
きわめて肝心な事柄が誤解されたまま一人歩きしています。
Invensense ICS-40730の例(他メーカーでは記さない場合も多い)
これを(160 dBという数字だけ見て)誤解した情報が蔓延しているのかもしれません。
この項目は英語で何と書いてありますか?、「ABSOLUTE MAXIMAM RATINGS」ってなんでしょうか?。
よく読んで正しく認識してください。
★ 本記事の無断ネット盗用は犯罪です。
以上
おしらせ
MEMSマイク使用、話題のProbeⅡ、L-730memsおよびFetⅡmemsおよびそのLzタイプなど、読者のみなさまからのご注文により優秀機種の手づくり製作を承っておりますのでお問い合わせください
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モノ作り日本もっと元気出せ!
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