令和となった最初の記事。
「三丁目の夕日」じゃあるまいし、「クリスタルマイク」なんていまどきそんなモノ有るわけないさ、と、大半のかたはそう思われる事でしょう。
ロッシェル塩のクリスタルマイクエレメント、
このブログが入手ルートを開いて2年が過ぎた、まぎれもないMade in japanである。
ロッシェル塩のクリスタルマイク・エレメント C-35
2018年製造、 Made in japan の驚愕の一品
(端子の半田付けが綺麗でないのは「低温半田」の特徴)
昨年、「音創り研究会」にてで砲弾型マイクの製作販売、単独ユニット(エレメント)の販売まで数量限定ではありますが大ブレークした経緯があります。
https://ameblo.jp/shin-aiai/entry-12393211675.html
正夢であるこの経緯もあり、知る人にはその現物と威力を見せつけることになり、買えた方は幸運。
純血クリスタルマイクの歴史の延長線上に乗せることができた。
単一指向性クリスタルマイクの可能性・実用性
「令和」となった今でも「単一指向性クリスタルマイク」への道のりは続く。
気が遠くなるほど手ごわいが、昭和の技術者がやりのこしたクリスタルマイクの可能性追求をを平成・令和と落穂拾いのように続けております。
単一指向性クリスタルマイクは手探りで、すでに2回掲載していますが先例がないのでなんでもアリだが、前作では満足できない。
そこは正攻法(純粋に二次音圧傾度型)でやりたい、その方向を今回さらに発展させました。
無指向性エレメントに穴をあけて速度成分を取り込むと一気に低域が落ちる。
赤いコンデンサは音質バランス適正化用。
既存マイクとは「激安中華コンデンサマイク」BM-800です。
3年前と回路も何も変わっていないことが特徴的だった。
(変形バージョンにFET内蔵ECM型があります、尾の場合は若干回路アレンジが必要です)
赤線部は今回のクリスタルマイクに合わせて改造した部分。
簡単に言えば「激安中華コンデンサマイク」のECMをクリスタルエレメントに交換・調整したものです。
単一指向性化したクリスタルマイクエレメント、及び取り付け用加工
元来、結晶変異(ひずみ)型発電構造のためアーマチャーと振動版により発電効率を上げた構造ても「音圧」型(無指向性)であることには変わらない。
さらに背面構造を変えていっても速度成分には極めて鈍感なのでドン詰まっていた。
(「実用マイクロホンハンドブック」 1967年CQ出版刊より)
ロッシェル塩の切り出し方、バイモルフの張り合わせ方の違いによりこの形式のマイクに指向性を付けるのはかなりの難題であることが読みとれる。
さらに理由はいくつか考えられるが最も有力と感じたのは「マイクエレメントの質量」の問題である。手元にあるC-35エレメントでは5gという軽さ、音圧型としてもホールド構造によって音が変わり昨年の製品作りではひじょうに往生した経緯がありますので「質量」と「メカニカル・アース」がキーワードだと、ここを攻めた。
エレメントに5gのウェイト(追加質量)を5g加え、トータル10gのエレメントにしたところ前後比の上昇、明らかに裏側の逆相反応や近接効果が出てハッキリした指向性マイクとしての姿を現しました。
追加質量としてエーモン工業の「ボディデッドニングキット」を使用。
エレメントに開けた「速度成分取込穴」を音響抵抗成分(1mm厚フェルト2枚)を設け、指向性制御をおこなった。
クリスタルマイクとしては結構ワイドレンジになっていることもおわかりいただけるでしょう。
前後比6~10dBではありますがクリスタル型の指向性マイクとしては、手で覆ったり反射板のようなものを設けたもの以外、純然と「速度成分」を取り込んだ「音圧経度型」マイクの登場は類を見ないことでしょう、苔むした古い技術にも新雪を踏むようなチャンスがあるんですね。
「ハヤブサ」2号がミニ惑星「オトヒメ」で新地質を掘ったように・・・
無線と電気音響とでは送受トランスデューサーのふるまいはよく似ているものですが、指向パターンはアンテナとマイクロホンとではやや異なり、電気音響では効率の悪いのが特徴です。
3素子八木アンテナの場合ですら前後比は20dB近く、これはパラボラ集音器マイクに肉迫します。
一般に「単一指向性マイク」の前後比はmax20数dB程度ですので今回の6~10dBという値は「ワイド・カーディオイド」という分類、アンテナで言えば「2エレ八木」同等の単一指向性マイクになりました。
なお、クリスタルマイクエレメント発掘および私が入手した経緯などは2年前のこの記事をご参照ください。入手には大量購入が最低限の条件ですのでご注意ください。
https://ameblo.jp/shin-aiai/entry-12320927405.html
以上
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