6月は毎年、政府の重要な方針などが決定される時期です。
代表的なのが『骨太の方針』、正式名称『経済財政運営と改革の基本方針』と呼ばれるもので、総理大臣が経済財政諮問会議から答申を受け、閣議決定される政府の政策の基本方針です。
ちなみに今年、2019年は、
『経済財政運営と改革の基本方針2019~「令和」新時代:「Society 5.0」への挑戦~』(骨太の方針)(内閣府HP)
として6月21日に閣議決定されています。
今年はこの時期は、骨太の方針以外にもいくつかの重要な計画・方針などが発表されていたので、私が個人的に気になるものを読んでみました。
読んでみると、共通して書かれているのが、
社会の課題と人の関わりの多様化と
それらの繋ぎ手への必要性の高まり
について。
これまでも雰囲気の高まりは感じていましたが、今年はそれが随分としっかり書き込まれています。
2016年3月の記事ですが、以前、
地域の課題と社会人の課外活動
というブログの中で
“地域にある課題は
課外活動で地域に貢献したいと考える社会人にとっては
それ自体が魅力的な課外活動のプログラムになり得る。
やはり、ここで必要になるのが、
地域の課題と貢献したい社会人を結びつける役。”
(地域の課題と社会人の課外活動 より引用)
というようなことを書かせていただきましたが、この“結び付ける役”の必要性が日に日に高まり、新しい職業として確立しつつあるのを感じます。(もちろん、スグに週に40時間の仕事になるわけではありませんが)
実際にこの6月に決定したり発表されたものを読んでみて、そんな共通点を感じたのはこちらの4つの方針や計画。(総務省の中間報告(素案)は、あくまで報告書ですが、今後の社会の変化に対応するための方策を検討するという意味では、政策立案の基になるものです)
『経済財政運営と改革の基本方針2019~「令和」新時代:「Society 5.0」への挑戦~』(骨太の方針)(内閣府HP)
『成長戦略実行計画』 (首相官邸HP)
『まち・ひと・しごと創生基本方針2019』 (首相官邸HP)
『2040年頃から逆算し顕在化する地方行政の諸課題とその対応方策についての中間報告(素案)』 (総務省HP)
骨太の方針(6月21日閣議決定)
“疲弊が進む地方には、経営水準を高度化する専門・管理人材を確保する意義は大きい。一方、人生100年時代を迎える中で、大都市圏の人材を中心に、転職や兼業・副業の場、定年後の活躍の場を求める動きは今後更に活発化していく。これら2つのニーズは相互補完の関係にあり、これらを戦略的にマッチングしていくことが、今後の人材活躍や生産性向上の最重点課題の1つである。
(中略)
こうした現状に鑑み、(ⅰ)受け手である地域企業の経営戦略や人材要件の明確化を支援する機能の強化(地域金融機関の関与の促進等)、(ⅱ)大都市圏の人材とのマッチング機能の抜本的強化、(ⅲ)大都市圏から地方への人材供給の促進を促す仕組みを構築し、大都市圏から地方への専門・管理人材の流れを一気に加速させていくこと、に重点的、集中的に取り組む。”(本文P18)
この記載は、成長戦略実行計画でも全く同じ内容で記載されていますが(成長戦略実行計画ではP44に記載)、
それは、個人の視点で語れば
終身雇用からの転換
人生100年時代の人の“活動”のあり方
兼業・副業なども当たり前になる
定年退職という概念の変化
であり、1週間に40時間を一つの企業・組織で仕事をする“大雑把”で“柔軟性に欠く”個人の活動のあり方からの変化が本格化しているということ。
一方で、これを地域であったり中小零細企業であったり、人手不足に苦しむ立場の視点で語れば、
一つの企業・組織によって“占有”されていた一人の人生の多くの時間を、分かち合うようになるということ。
但し、分かち合うためには、両者のマッチングが不可欠であり、そこに新しい役割のプレイヤーが必要になるということ。
成長戦略実行計画(6月21日閣議決定)
“組織の中に閉じ込められ、固定されている人を解放して、異なる世界で試合をする機会が与えられるよう、真の意味での流動性を高め、個人が組織に縛られ過ぎず、自由に個性を発揮しながら、付加価値の高い仕事ができる、新たな価値創造社会を実現する必要がある。”(本文P5)
“兼業・副業の拡大は、所得の増加に加え、スキルや経験の獲得を通じた、本業へのフィードバックや、人生100年時代の中で将来的に職業上別の選択肢への移行・準備も可能とする。労働時間・健康管理についての懸念に対応するため、課題の論点整理を加速するとともに、兼業・副業について規定したモデル就業規則等の普及促進や取組事例の展開等により、希望する者が、兼業・副業が可能となる環境を整備する必要がある。さらに、兼業・副業を通じた起業の促進も図る必要がある。”(本文P8)
ここでも人の活動の在り方(成長戦略はあくまで経済政策なので、企業や生産性、価値創造という点に軸足があり、人の活動として“仕事・働き方”にフォーカスしていますが)としての仕事、企業と労働者の関係変化として、雇用の流動性や兼業・副業についての記載も多いところです。
既存の調査などを引用しながら、兼業・副業が高付加価値の創出にも効果的であることに言及すると共に、骨太の方針でも記載されているように、兼業・副業の場として地域や中小企業などを想定し、そのマッチングの重要性にも言及しています。
まち・ひと・しごと創生基本方針2019(6月21日閣議決定)
“複数地域での居住・就業も含めて、特定の地域に継続的に多様な形で関わる「関係人口」の創出・拡大に向け、地域との関わりを求める都市住民等と地域のニーズとのマッチング支援や、地域と人材をつなぐコーディネーターの設置などの環境整備など、総合的な方策について検討する。”(本文P12)
“東京圏などの都市住民等の間において、地方で副業・兼業を行うことにより、自らの能力を発揮できる場を求めつつ地域に貢献したいという人材と、外部人材を受け入れたい地域の中小企業等とを、地域の実情に即しながら、円滑にマッチングしていくためのコーディネート体制の在り方について検討を進め、年内を目途に成案を得る。”(本文P33)
少し各論に踏み込みますが、地方創生でも、この
社会の課題と人の関わりの多様化と
それらの繋ぎ手への必要性の高まり
を表す記載が多く見られます。
上記で引用したのは、少し前から注目を集めるようになった「関係人口」創出のためのマッチングの話と、兼業・副業をしたい人材と地域とを結び付けるコーディネーターの必要性の記載です。
単純な人口増ではなく、交流人口、更には関係人口というように概念が拡張されるとともに、各地方自治体にとって関係人口を増やす方策の一つとして、外部の人材と自らの地域との出会いの機会を創る施策が広がっています。
出会いの機会とひと口に言っても様々ですが、私が個人的に感じるのは、観光=Sight Seeing、つまりは“観に行く”ことよりも、
自分×その地域だけの経験ができる機会
自分が地域のために何か力になれる機会
他では得られない学びが得られる機会
そういったものが求められているようです。
リンダ・グラットンの『LIFE SHIFT』でいうところの、レクリエーションからリ・クリエーション(再創造)へと余暇時間の使い方が変わっていく、という考え方が、そのまま現れています。
今回のまち・ひと・しごと創生基本方針では、上記のような変化に加えて、私たち公務員のあり方の変化にも (5)地方創生を担う人材・組織の育成 という項目の中で言及があります。
“・民間における動向も踏まえ、国家公務員の副業・兼業については、その許可基準の明確化が行われたところであり、地方で勤務する者も含め、国家公務員の地域での活躍のための副業・兼業を推進する。
・地方創生の取組を担い得る地方公務員の活躍の場を更に広げるため、地方公務員の副業・兼業に関する実態等を調査し、収集した事例等について地方公共団体等に周知を図ること等により、地方公務員の更なる活躍のための環境整備を図る。”(本文P27)
一つ目は既に許可基準の明確化が行われた国家公務員の副業・兼業についての記載で、それを地域での活躍のために推進することを示しただけですが、
2点目は、これまで国からはあまり発信がされてこなかった地方公務員の副業・兼業を後押しする記載です。
この記載を見ると、今後(作業は既に着手されていると見るのが自然ですが)、総務省などで地方公務員の副業・兼業についての実態調査が行われ、奈良県生駒市や兵庫県神戸市、長野県などの仕組みやそれぞれの地域で活躍するロールモデルなどが紹介されることが予想されます。
もしかしたら、そのような国の発信と周知された事例を後押しにして、他の地方自治体でも副業・兼業を推進するような環境整備が進むかもしれません。
個人的には、総務省が各団体での基準作りを後押しするような通知が出てもいいような気がしますが、それが今般示された国家公務員の許可基準と同様のレベルだと、民間企業での副業・兼業はむしろハードルが高くなる可能性があるので悩ましいところです。
私自身は、地域の重要な人的資源として地方公務員が地域で業務を離れて活動することは、もっと後押しされていいことだと思いつつ、必ずしも副業・兼業の解禁ばかりが最重要の一手では無いと思っていますが、その解禁によって、業務外で出来る活動と出来ない活動の線引きを報酬を受け取るか否かで考えるという不毛な作業が必要なくなるのは、非常に重要なことだと思います。
2040年頃から逆算し顕在化する地方行政の諸課題とその対応方策についての中間報告(素案)(6月24日第32次地方制度調査会第19回専門小委員会)
最後は、閣議決定された各種方針・戦略とは少し異なるレベルの報告書です。
人口減少・少子高齢化が加速し、団塊ジュニア世代が高齢者となる2040年頃に高齢者人口がピークになることを受けて、その時点での地方行政の課題と対策について議論している地方制度調査会の専門小委員会の中間報告の素案です。
“職員が分野横断的に、地域や公共私の枠を越えて、行政のあり方を見直す構想力を身につける必要がある。また、地域のイノベーションを生み出す人材(ファシリテーターやデザイナー等)が公務で活躍していくことが重要になる。”(本文P13)
“地方公共団体においては、地域課題の解決に向けて多様な住民が継続的に活動するための仕組みや、人材や財源の確保へ向けた支援、関係者の調整の場づくり、とりわけ立ち上げ時におけるサポート等が求められる。地域のつながりによって課題解決を図るコミュニティ・リーダーを長期的に養成していくことが重要である。また、住民参加を促すため、金銭的報酬に限らない報酬のあり方も考えられる。”(本文P17)
“行政と民間がともに希少な人材を囲い込むのではなく、所属する組織の壁を取り払い、多様な人材が多様な場で力を発揮できるようにする必要がある。
住民が専門職と連携しながら高齢者の生活支援に携わる仕組みの構築や、地方公共団体が専門性を有する民間経験者の採用等、柔軟な人材確保の取組が求められる。一人が複数の役割を果たせるよう、副業・兼業等の柔軟な働き方を積極的に進める必要がある。
(中略)
そのためには、地方公共団体が地域課題を多様な主体と共有し、課題解決に取り組もうとする多様な主体のつながりを形成して、その連携をコーディネートする機能が求められる。”(本文P17)
他にも引用したい箇所がモリモリあるのですが、上でご紹介した骨太の方針、成長戦略実行計画、まち・ひと・しごと創生基本方針に書いてある、
社会の課題と人の関わりの多様化と
それらの繋ぎ手への必要性の高まり
について、地方のレベルで、更には地方行政・地方公務員というレベルでどのような変化が見込まれるのか、どのような対応が必要になるのか、そういうことが書かれています。
冒頭でもご紹介したとおり、2016年3月にブログで
“地域にある課題は
課外活動で地域に貢献したいと考える社会人にとっては
それ自体が魅力的な課外活動のプログラムになり得る。
やはり、ここで必要になるのが、
地域の課題と貢献したい社会人を結びつける役。”
(地域の課題と社会人の課外活動 より引用)
と書いてから3年が経ち、このような“結び付ける役”の必要性が“語られる段階”から“現に活躍する段階”へと時代が変わりました。
ここから各省庁の予算編成も、各地方自治体の予算編成も本格化してきますが、恐らくは上記のような時代の変化を受け止めて、その変化を活かすような施策を打ち出す省庁・自治体が増えてくることと思います。
そんな流れの中で、私自身もNPO二枚目の名刺やその他の諸活動の中で、各省庁や自治体などと連携できるような取組がありそうだな~とワクワクしています。
皆さんは、如何お考えでしょうか?

写真は懐かしの首相官邸前
もう入ることもないと思いますが(笑)

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