その99:“血糖値の見える化”が今後のカギとなる! | 肥満治療を行う外科医のブログ

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健康な身体を取り戻そう!

1日に摂るべき理想的な糖質量は、本当のところは分かっていません

というのも、個人によって、摂っても体に害にならない糖質量が違うからです。

 

一般的に、糖質制限は、1日130g以内の糖質を目標にします。

 

しかし2型糖尿病があり、インスリンの分泌が悪い人、効きが悪い人(インスリン抵抗性

は、もっと厳しく糖質を制限すべきですし、逆に2型糖尿病がなく、普段から運動をしている方であれば、もう少し糖質をとってもよいと思います。

 

 

1度の食事で、どの程度の糖質をとってよいのかを知る方法がアイディアとしてはあります。

 

糖尿病の診断を行う時に使う、75gOGTTという検査を行えば、ある程度分かります。

【75gOGTT】75gのブドウ糖が溶けた水を空腹時に飲みます。その後の血糖値や血中インスリン濃度の変動を調べる検査です。

 

例えば、空腹時血糖が100mg/㎗、75gOGTTの際のMAXの血糖値が200mg/㎗だったとしましょう。その差は100mg/㎗ですね。75gのブドウ糖で100mg/㎗血糖値が上がるということは、1gのブドウ糖で約1.3mg/㎗血糖値が上がることになります(100÷75)。

 

血糖値スパイクは血糖値が140mg/㎗以上の時でした。

血糖値を140mg/㎗以下に抑えようと思えば、空腹時血糖が100mg/㎗であることを考えると、

食後40mg/㎗の上昇しか許容されないことになります。

 

つまり40÷1.3=30.7となり、1回の糖質量は30.7g以下に抑えた方がよいと計算できます。

 

ちなみに2型糖尿病の人は1gのブドウ糖で3mg/㎗以上も上昇する方もいますから、1回にとれる糖質量はもっと少なくなるわけです。

 

長々と説明しましたが、この方法を皆がやれるわけではありませんし、中にはインスリンの追加分泌が多く出るがゆえ、血糖値が抑えられている方も紛れています。

高インスリン状態は肥満になるとお話ししてきましたが、

膵臓がある意味元気な人はインスリンの分泌も多いので、血糖値はそれほど上がりませんが、

高インスリンの影響で、やはり太ります

 

インスリン分泌を必要最小限に抑えることは、ダイエットにも重要です。そのためにはやはり、糖質制限は有効な方法です。

 

 

我々は、普段から血糖値を乱高下させない食べ方を身に付けるべきです。

そのためのヒントをこのブログを通して紹介してきました。ただ、そのヒントを実践しても、実際の血糖値がどうなっているのか、一般の人は知る術(すべ)がありません。

 

現在、皮膚に小さな器械を貼れば、持続血糖モニタリングをして、スマホに血糖値を送ることができるようになっています(リブレ®アボット、ガーディアンコネクト®メドトロニックなど)

FreeStyleリブレ

 

ガーディアンコネクト

 

その他、指先でセンサーに触れるだけで、血糖値を測定できる器機も開発されています。

Light Touch Technology

 

 

一度身についてしまった悪習から抜け出すことは困難です。

持続血糖モニタリングを通して、リアルタイムに血糖値を把握し、個人の生活環境、習慣に合わせて食べもの、食べ方を改めていくというのが、ダイエット、ひいては健康になるための得策だと思います。

 

“血糖値の見える化”は今後のカギになります。

ドクター、栄養士がダイエットの指導を一人一人に行うには時間が足りませんし、十分な効果を期待することも困難です。

 

現代では皆がスマホを持つ時代ですから、ウェアラブルで、AIを駆使した個別化ダイエットアプリ、デバイスを開発するのが賢明な方法だと考えています。

 

 

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