その41:「脂(あぶら)を食べると、体の脂も増える」説について | 肥満治療を行う外科医のブログ

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「脂(あぶら)を食べると、体の脂も増える」。イメージだと、そう思いますよね。

 

しかし、脂(あぶら)のみでは太りません

結論から言えば、糖質と一緒に摂れば、脂肪になります(太ります)

 

食べ物から摂る脂質の90%は中性脂肪です。

中性脂肪(トリグリセリド)は、図のようなキーホルダーのようなイメージです。

グリセロールに、(いろいろな種類の)脂肪酸が3つくっついています。

 

 

食べた中性脂肪は、グリセロール脂肪酸分解されて吸収されます。

ちなみに人間の体は、脂質を摂り過ぎた場合、吸収せずに、脂肪便として排出しますから、そもそも食べた脂肪が、そのまま全て吸収されるわけではありません。

 

体に吸収された、

  • グリセロールは、解糖系に入ってATP(エネルギー)になります。
  • 脂肪酸は、分解されれば(β酸化)、やはりATP(エネルギー)になります。

食べた物がエネルギーになれば、脂肪として体には残りません。

 

ではどのような時に、「食べた脂(あぶら)が体の脂に変わる」のでしょうか?

それは糖質と一緒に脂肪を食べた時です。

 

糖質(ブドウ糖)からグリセロールは作られます。

また脂質を摂れば、脂肪酸が体に入ってきますから、グリセロールと脂肪酸が合体し(キーホルダーが完成)、再び中性脂肪になります。

 

糖質を食べればインスリンがでます。

そのインスリンは、

  • 脂肪細胞に中性脂肪を取り込みやすくしますが、
  • 逆に中性脂肪を分解させにくくします(脂肪が貯まります)
  • そうなると血中の脂肪酸濃度が下がりますから、ますます脂質の吸収が増えるわけです。

 

そう考えると、ラーメンはダイエットにとっては危険な食べ物になりますよね(私も好きですが、あくまでご褒美の品と位置付けています)。

 

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