何度かツイートしたものの僕のTLでは誰も見ていなかったですが
あのブラッシュアップライフがついに最終回を迎えました。ロス。
「こうあってほしい」が詰まった最終回でした。ブラライロス。
タイムリープものでは『時をかける少女』や『バタフライエフェクト』などが有名ですが、
それらとはまた一線を画す終わり方でしたね。
どうでもいいけどブラライロスってイーライ・ロスみたいでなんか不穏ですね。
僕がドラマの序盤数話を見て想像してたありそうな展開はこんな感じ。
<パターンA>
繰り返しの途中で何らかの選択を間違えて親友と疎遠になってしまう。
<パターンB>
行動を変えたせいで大切な人を死なせる、あるいは取り返しのつかない事態に。
「やり直さないと!」と自ら死を選ぼうとするも周囲に阻止される。
あるいは自殺に失敗して半身不随などの状態になる。(バッドエンド)
それか、自殺した場合はやり直しが出来なくなるルールがあった。(バッドエンド)
<パターンC>
いろいろあったが周囲の人間をみんな幸せにすることが出来た。
しかし自分だけはその犠牲となって死んでしまう。
「まだやり直せますけど?」と訊かれるものの首を横に振る麻美。
これがベストだと満足げでもあり少し寂しそうでもある笑顔で来世のドアへ。
Aはベタでタイムリープものなら普通の事なんだけど、
このドラマのように何気ない人たちの何気ない生活がしっかりと何度も描かれた後で
それが壊れる様を見せつけられるのが本当にキツかったですね。
呼び名が「あーちん」から「あさみちゃん」に変わるあの切なさ。
(それを経て理解するまりりんの人生の重さたるや)
Bはさすがにあの時間帯には重すぎるというか、作品の色に合ってないというか。
上述の通りガッツリと感情移入した後にそんな展開が出てきたら見てられない。
そういうのはあの劇中劇『ブラッシュアップライフ』に任せましょう。
Cは途中まではそういうのもありがちだけど綺麗でいいのかなと思ってましたが
物語が佳境に入るにつれて「駄目だよそんな寂しいのは!みんな幸せじゃなきゃ!」
という完全保護者の気持ちになってしまったので結果的にハズレでよかったです。
作中に登場するアイテムの使い方も非常に良かったですね。
当時流行った音楽、遊び、テレビ番組を「ね?こういうのあったっしょ?」と
目配せ的に使う演出はありがちなんですけど、使い方のセンスも良かった。
シール交換で雑魚シールを選ばれる微妙な距離感とか凄く寂しかった(褒め言葉)
ラスイチのやり直しに挑む際に流れるウルフルズの「笑えれば」も最高。
アリクイやサバに生まれ変わりたくないからとやり直してきた人生だけど
最後には目的が「失った親友たちを救いたい」に変わる。
そこで流れる「とにかく笑えれば 最後に笑えれば」はキますよ。
物語に「打ち上げ」って大切だと思うんですよ。打ち上げというのは余韻です。
つい先日、僕の人生ベスト2位アニメ『ガン×ソード』を見てたんですよ。
あの作品は最終話の前半でラスボスを倒して一件落着するんです。
じゃあ後半は何をするかと言ったら「打ち上げ」です。実際に乾杯してます。
その後にキャラクターそれぞれがこれからどういう道を歩むのかという話がされて
明るく希望のある別れ(と再会)が描かれて終わるのです。これが余韻。
結末→即終了って感じでブツンと終わる作品もそれはそれでいいのですが、
「見た方の想像にお任せします」ではなくしっかり余韻を描いてほしい欲もあって。
で、このドラマで言えばなっちとみーぽんを乗せた飛行機が無事に
着陸出来る事が確定した瞬間(=スペースデブリが落ちていくシーン)で
終わってしまってもそれはそれでタイムリープものとしてアリだと思うんです。
でもそうじゃないんですよ、これは救えるか救えないかの話じゃないんです。
救うのは確定してるんです。だって救うんだから(頭の悪い理論)
無事に到着した、安堵、達成感、そこにふたりがいる、「あーちん」呼び。
ここです、最高の瞬間はここです。僕もここで珍しく目頭が熱くなりました。
そして「打ち上げ」。台北、誕生日会、カラオケと怒涛の打ち上げラッシュ。
福ちゃんは昇進しても相変わらず歌上手くないけどみんなは楽しそうだし、
加藤の粉雪は上手いけどみんな聴いてないし。でも絶対いいヤツでしょ加藤。
ラストの展開も視聴者は「読めたわー」「やると思ったー」なんて言うかもしれませんが、
それは「読めてた」のではなく「叶えられた」のです。手のひらコロコロです。
この物語は、このキャラクターたちはこう終わってほしいという我々の願いに
バカリさんが応えて、まさに無事"着陸"したわけです。よっ!升野さん!
で、それでもいろいろ気になる事があって。
まず、人生をやり直してる人少なすぎ問題。
あーちんとまりりんと市役所の後輩と浅野忠信の4人しかいないのはおかしい。
たまたま出会ってないだけだとしても、世界に何かしらの変化はあるはず。
オフラインゲームとオンラインゲームで言えば後者のはずで、そこは違和感。
次に、やり直し回数制限の問題。
普通に市役所で働いてたあーちんが5回。
ちょっとギャル寄りだったまりりんが6回。
そして普通に市役所で働いてた後輩が8回以上。
1回目の人生で積んだ徳によって回数が決まってるというならどこで差が。
その辺のレギュレーションはどうなっているのか。僕が見落としただけ?
そして、やり直し待ち合わせの問題。
まりりん5回目が終わった3年後くらいにあーちんの4回目が終わったはずだけど
次の人生ではちゃんと同級生として6回目と5回目をやっている。
考えれば考えるほどどうなってるのかわからなくてモヤっとする点。
やはりオンラインゲームではなくオンラインゲームということなのか?
世界にタイムリーパー(ダサい)が何人か存在しているのではなく、
人生をやり直しているあーちんの世界に「人生をやり直しているまりりん」が
存在しているという、あくまで主観のお話?うーん混乱してくる。
まずふたりを救えばよくね?問題。
「なっちとみーぽんが乗る飛行機が事故で墜落するという出来事を回避すべく
ふたりが飛行機に乗らないように説得しようと思ったが、他の乗客を見殺しに
するわけにもいかないのでパイロットになった。しかし結果的に救えなかった」
というまりりん1~2周目のお話。まずふたりを乗せない方を優先したらよくない?
乗客を救うためにパイロットにはなる。なるにはなるんだけど、
まず保険として先にふたりを乗せないようにしておけばいいのでは。
最終回を見た感じではただの台北グルメ旅って感じだし、1つずらすくらいなら出来そう。
ミタコングを電車に乗せない大作戦の時は引き止めたり車両を変えさせてたけど、
あれも隣にあーちんがいたら痴漢冤罪は起こらなくない?とか思ったり。
他にも「なんで毎回即死なんだ」とかちょっとした気になるポイントはあったけど、
結局は全て見終わった時の多幸感でわりとどうでも良くなってしまった。
もしかしたら考察的なヤツを見たら全て説明されてるのかもしれないし
「そこは!細かいところはいいんだよ!」って感じかもしれないけど
そんな事は本当にどうでもいいんだ。とにかく良い物を見た。楽しかった。
安藤サクラ、夏帆、木南晴夏、水川あさみ、その他のキャストの調和が
あまりにも最高すぎて最高だった。なぜなら最高だったから(頭の悪い理論)
あと、あーちんの研究医時代の先輩が『SRサイタマノラッパー2』の主役で、
その親友役が安藤サクラだったというのも何か感慨深かった。
あのふたりが違った人生を歩んだのがこのふたりだったのかも。とか。
その他にも周回するごとに職が変わる主人公のお仕事モノとしても
しっかりリサーチがされてるんだろうと思われるトリビアの数々も見所だし
これくらい「見ててよかった」と思える作品にまた出会いたいものです。
あー、明日からも不意に『イケナイ太陽』や『粉雪』を口ずさむんだろうな。
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