連休中に観たエンタメ(後半) | デイリーわーわー増刊号

デイリーわーわー増刊号

Twitterで書ききれないひとりごとを残す場。

映画『ベイビーわるきゅーれ』
この春から高校を卒業したちさととまひろがバイト探しをしながら殺し屋家業に勤しむ話。
前々から良いと、アクションも素晴らしいと聞いてはいたものの積んでいたんだけど、
なぜ早く観なかったのかと後悔するくらいの大大傑作だった。
日本のアクションモノではおなじみのアクション俳優・三元雅芸とのバトルも良いし、
本宮泰風の本当にヤバい人だけが醸し出せる存在感とその使い捨ても素晴らしい。
そして何より最高なのが登場人物たちのリアルで軽妙な掛け合い。
脚本・台本が良いというのももちろんだけど、文字で表せない絶妙な空気感が本当に秀逸。
表情がコロコロ変わるちさとと、表情は同じでも感情は常に揺れているまひろの対比も最高。
ナイフザクザクとかヘッドショットはあるけどゴア描写は抑えめなので是非!オススメ!
余談だけど、ちさと役の髙石さんは舞台『鬼滅の刃』で禰豆子役を演じた事があるためか、
短いカットだけどちくわを横に咥えるシーンが出てくるので要チェック。



映画『ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー』
この私がアマプラに追加料金を支払ってまで観たというだけでハマり具合がわかるはず。
前作ではちさととまひろ以外のキャラはそこまで掘り下げられる事はなかったけど、
今作は敵となるバカ兄弟のどことなく憎めないキャラや組織の人たちの平面的でない部分が
描かれる事で作品全体の"全員推せる感"が高まっている。田坂さんと宮内さんも良い。
特に兄弟はすでに完成されている主役2人と違って雑魚から始まって強敵に育っていくという
みんなの大好きな"覚悟を決めて成長する敵"という熱い要素を担っているのも良い。
9月には映画3作目とテレ東系での連ドラ化が決まっているとのことで今からウキウキである。



映画『ある用務員』
阪元裕吾監督繋がりで観た「ナメてた相手が殺人マシーンでした」系クライムアクション。
自主制作みたいなノリかと思ったら主演が福士誠治だし、ヒロインが芋生悠だし、
波岡一喜やら一ノ瀬ワタルやら前野朋哉やら佳久創(元中日郭源治の息子)やら
野間口徹やら渡辺哲やら山路和弘やら、今見ると結構豪華で渋いキャスティング。
そんな中、『ベイビーわるきゅーれ』のちさととまひろの原型とも言えるコンビが
登場するとこちらとしても「よっ!待ってました!」と言わざるを得ないわけで。
本作のラスボスと言える前野朋哉もある意味「ナメてた相手が殺人マシーンでした」系で
声色や口調が変わった瞬間は非常に熱くて良かった。ゲンさん撃った理由はわからんけど。



映画『最強殺し屋伝説国岡[完全版]』
こっちこそ完全なる自主制作映画って感じで荒削りで非常に垢抜けない作品。
ゲームで言えばⅢの後にⅡ→Ⅰとプレイしたようなもんだからこの順で観たこっちが悪い。
『情熱大陸』的な感じで殺し屋・国岡に密着取材するというモキュメンタリー作品で、
手持ちカメラひとつでの取材という設定で撮影機材やクオリティの問題をうまく補っている。
正直しんどいなと思った頃に「8人おるねんぞ」というパンチラインを引っ提げてやってくる
ホワイトベアー隊が素晴らしい。シンプルにオモシロ設定のサバゲーでしかないんだけど。
地雷原での「皆さん一列になって着いてきてください」「横一列か?」「縦です」「www」
というくだりはシンプルに面白いし、やっぱりこういう細かいセンスはあるんだなという。
面白さのピークはホワイトベアー編なんだけど、その後もシュールな展開が続く。
シナリオやアクション以外の見所としては偽ヒットガールや出張弾屋が地味に可愛い。
そんなこんなで最強と言う割には結構苦戦した国岡さん、『ベビわる』への登場はあるのか。



映画『ザ・ファブル』
そういう流れになったので続けて鑑賞した「ナメてた相手が殺人マシーンでした」映画。
後で確認したら僕の中でめちゃくちゃ評価の低い人が脚本を担当していたけど、
原作を冒頭のざっくりとした部分しか知らないので特に問題なく鑑賞できたのは良かった。
武道ガチ勢の岡田くんは言わずもがな、生きる好青年こと福士蒼汰のサイコキラーっぷりや
柳楽優弥と向井理の泥仕合などアクション面が天一のようにコッテリしていて満足度高し。
ただ、ファブルが襲ってくる敵を次から次へと倒していくのにすぐ復活して追ってくるから
無双ゲーやゾンビゲーのかったるいステージみたいに爽快感には欠けていた印象。
山本美月に悪い事をしようとする柳楽優弥は『アオイホノオ』を思い出して複雑な気持ちに。
凶悪だけど特別強いわけではないというのは『今日から俺は!!』の相楽っぽくもあり。
続編の方では神戸でロケしたシーンがあるらしいのでアマプラで無料になったら観たい。



映画『孤狼の血』
マル暴の暴力刑事・大上と広大卒の新人・日岡が2つの組の抗争をアレコレする話。
冒頭からいきなり拷問シーンが繰り広げられるなど白石監督の信頼度は常にMAXである。
松坂桃李と伊吹吾郎が同時に映っている刑務所のシーンは「殿と爺だ!」と色めき立ち、
松坂桃李とさいねい龍二がぶつかれば「シンケンレッド対デカレッド!」と目を見開き、
画面内の建物や掲示物や日岡のファイルの「KOKUYO」に至るまで時代的に正しいのかと
余計な事が気になってしまい、自ら作り出したノイズで多少集中力が切れたりもして。
容赦ない特殊造形(死体)の登場に狼狽えたり、日岡の覚醒シーンに目を奪われたり、
和太鼓の演奏がカチコミBGMになる演出にニヤついたりしながら令和の『仁義なき戦い』を
堪能させてもらったし、「これどうあがいても地上波放送無理だな」とも思った。
と、書いた後に気になって調べたら劇場公開は2018年でギリ平成だった(どうでもいい)。



映画『孤狼の血 LEVEL2』
立派な悪徳刑事に成長した日岡と定年間近のロートル刑事・瀬島のバディ物(?)
鈴木亮平演じる上林の誰がどう見ても話の通じない誰も勝てないヤバい奴な佇まいが
この作品に説得力を与えているし、ひとりで成立させていると言っていいレベル。
ゴア描写というか残忍描写は前作以上で、最終的に同じ報いを受けるとはいえ
基本的に胸糞の悪いお話である。そしてコウモリ音尾琢真だけが勝ち逃げに成功している。
前作で『令和の仁義なき戦い』とか書いたけど、レジェンド極妻・かたせ梨乃姐さんは胸熱。
あとラストの狼捜索パートだけは良くわかんなかったし『ガンニバル』かと思った。

この数日で集中的に人が殺される映画を観すぎて残酷疲れした。
しばらくは優しい物語だけ観たい。



映画『ゴジラ-1.0』
舌の根も乾かぬ内に人がいっぱい殺される映画を鑑賞。
『孤狼の血 LEVEL2』は白石監督曰く「ヤクザ映画と言うよりゴジラ映画」とのことで、
制御できない圧倒的な暴力で破壊の限りを尽くす存在を力で劣る人間が立ち向かう作品。
その流れでガチのゴジラ映画、しかも個人的にもあまり評価の高くない山崎貴作品で
どうなることかと思ったけどこれがなかなか、ゴジラ討伐作戦もフレッシュで楽しめた。
ハリウッドでも評価された視覚効果もどういう映像を見せたいのかがちゃんと伝わるし
CGのレベルが低く感じるところは特にないし、むしろ海上のシーンは実写と見紛うほど。
海上を背びれが追ってくる感じはジョーズ?とか、ラストはゾンビ映画の感じ?とか
その軍人っぽい人って『シン・ゴジラ』も出てなかった?とか細かく見るも良し。
ただぁ!作品全てのセリフのクサさを凝縮したような佐々木蔵之介の演技はどうなの?とか
神木くんが助かるのはいいとしても浜辺美波が助かるのはおかしくね?顔綺麗すぎね?とか
泣くほどお母ちゃんに会いたがった明子がご対面の瞬間に神木くんの方見てるの変じゃね?
などなど、細かいけどモヤッとする描写もいくつか。良くも悪くも邦画っぽさかな。