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ほんとなかよし

本紹介ブログ(と格好つけてる読書感想ブログw)
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ネタバレ自重・的外れで独断偏見に満ちているけど
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だったらいいな・・・

プラグマティズムは、もっともアメリカ的なものの考え方であり、今日のアメリカ資本主義社会とその文化を築き上げてきた基調である。本書は、このような考え方を初めて体系づけ、ヨーロッパの伝統的な思考方法を打破した点で不朽の功績をもつ。アメリカ的なものの見かたの核心は、じつにこの一冊に圧縮されている。


内容 「BOOK」データベースより


「プラグマティズム」と言えばアメリカで、アメリカといえば「プラグマティズム」。アメリカの主義・思想を知ったかぶって語りたい人間は「プラグマティズム」って単語を出しとけばまぁどうにかなるんじゃないだろうかって程に、アメリカを語る時に頻出する言葉である。1800年代後半に始まり現代アメリカ哲学にも影響を及ぼす哲学形態の一つであり、先駆者としてチャールズ・サンダース・パースやウィリアム・ジェームス、ジョン・デューイ等がいる。私的なクラブで発生した「プラグマティズム」なる思想は後の“行動主義”や“経験主義”等にも影響を与える事となり、その思想を世間一般に広めた人物こそウィリアム・ジェームなのである。最近では使われていないそうですが、日本では誤訳として「実在主義」的な意味合いで受け取られていた事もあるそうで、また近代アメリカでの「プラグマティズム」は再燃思想として新しい形態の思想として解釈されている節があり、本書の「プラグマティズム」が近代アメリカ思想を表すものでは無い事だけは注意が必要かもしれない。しかし当時ありとあらゆる(科学的を含め)思想に影響を与えた彼の主張は必見であり、未だにアメリカを知る上で読み継がれる書物である事は偉大な功績を象徴しているかの様である。さて、私は哲学を語れるほどに賢くは無く「プラグマティズム」をどう説明しようかと頭を抱えているわけだけども、本書を読んで素直に感じた事を書いてみようと思う。哲学書は難解なものが多い、哲学書を解説したり図解した本を読んでやっとこさ概要が掴める程に難解なものが多いが、ウィリアム・ジェームズ「プラグマティズム」は理解し易い方だと感じる。というのも柔軟な思考術が多いように感じる、例えば“科学的”と“宗教的”の相対する価値観が存在したとする、ジェイムズは一方を是とし他方を非とする方針を採らない、双方への至る道が存在するならばその道は真であるといった態度を採るのである。科学が進み宗教的なものが薄れてきたといわれる現代社会であるが、依然として宗教的な価値観が消える事は無いし微塵も損なわれているわけではない、そんな相対する価値観が混濁し続ける現実の思考にしっくりくるのがジェイムズの「プラグマティズム」の発想なのかもしれません。

唯一絶対の真理を求める事が哲学であるとされる中で、真理そのものが都合の良い解釈に過ぎないとする立場を取るジェームズ、ダーウィンの進化論を理解しながらも創造主説を曲げない人が多かったアメリカ人、自らの確信や信念を尊重する国民性が培われる原因になった哲学思想なのかもしれませんね。実にアメリカ的な哲学書。


プラグマティズム (岩波文庫)
W. ジェイムズ
岩波書店
売り上げランキング: 30,347

妖しい月光の下、継父ヘロデ王の御前で艶やかに舞ってみせた王女サロメが褒美に求めたものは、囚われの美しき預言者ヨカナーンの首だった―少女の無垢で残酷な激情と悲劇的結末を鮮烈に描いた傑作が、作家・平野啓一郎の新訳で甦る。宮本亜門による舞台化原作。


内容 「BOOK」データベースより


光文社古典新訳文庫の「サロメ」、本編約80頁、註釈40頁、訳者あとがき30頁、解説50頁+宮本亜門氏の寄稿と本編よりも周囲の解説文章の方が多いという珍しい構成となっている。「サロメ」は実在の人物とされ「新約聖書」や「福音書」などに登場する、イエスに洗礼を授けた洗礼者ヨハネの首を欲した人物としてキリスト文化圏で名が知れた人物だそうです。詩的な表現の多い劇作品を読む上で本編以上に書かれる解説やあらすじ背景等は予備知識を高めるだけでなく作品を身近に感じる事ができるのでグッドでした。

ワイルドの「サロメ」が評価されるのは、ワイルド以前「サロメ」は絵画中心の芸術分野だったのですが、世に戯曲として送り出したのがワイルドだそうで、近代でも全世界で演劇作品として楽しまれているので先駆者といっても過言ではない人物というわけです。日本では、谷崎 潤一郎や三島 由紀夫が愛読したと言わ

れていますので、両者の作品に興味関心がある人は読んでみては如何でしょうか!?

ワイルド自身で有名な事と言えば男色家だった事だろう、妻子がある身で後発的に男性との関係を持った彼は同性愛者に厳しい当時の社会風潮から投獄の経験も持つとの事、確か彼を題材にしたイギリス映画があったような気がする。有名な芸術家には同性愛者が多い、というか目に付くからだけなのだろうけども三島 由紀夫氏もなかなか有名な同性愛者なので通じるところがあったのかなどと下衆な勘繰りをしてしまうのも盆暗の発想であろうか。預言者ヨカナーン(ヨハネ)の首(死)を望んだ女性、理由はヨカナーンの唇を独占したい?為であるがキリスト教における最重要人物殺害の原因となった彼女であり教圏の人々は一段と深く作品を味わえるのではないかなと思います。物語の見せ場はなんといっても、ヨカナーンの首を得る代償に、それまで頑なに拒否してきた舞踏を行なう「サロメ」のシーン!純粋無垢な少女が妖艶なる血統(ヨカナーンの予言による)に目覚める瞬間でもあり本作品最高の見せ場となっています。

ただ、「サロメ」はヨカナーン(の唇)に会った時点から既に常軌を逸していた様に思えます、密かに「サロメ」に恋心を抱いていた?男が「サロメ」とヨカナーンの目の前で自害したにも関わらず唇を求め続ける等一般常識では考えられない欲求へのストレートさが印象的でした。印象的といえば作中の“月”の扱い方でしょう、悲劇的な終幕を暗示したかの様な不気味で不吉な印象で登場する“月”、様々な登場人物が、“月”の印象を語ってくれます、多くの人物が“月”の奇妙さを訴えている中、“月”を美しいと言い登場した「サロメ」、彼女の独特の神秘性が満たされた作品。事後(ヨカナーン斬首後)の彼女の独演シーンも必見



サロメ (光文社古典新訳文庫)
オスカー ワイルド
光文社 (2012-04-12)
売り上げランキング: 214,549

武士は兵法の道を確かに会得し、そのほか武芸によく励み、武士の修行すべき道(文武両道)に精通し、心迷うことなく、常に怠ることなく、心・意二つの心を磨き、観・見二つの目を研ぎ、少しも曇りなく、迷いの雲の晴れわたったところこそ、実の「空」と知るべきである(空の巻)。最も古く最もオリジナルに近い福岡藩吉田家伝来の書を底本に、原典に忠実な現代語訳決定版。剣豪・宮本武蔵の兵法の奥義と哲学が時代を超えて現代によみがえる。


内容 「BOOK」データベースより


日本一の剣豪と言えば、宮本武蔵。近年では漫画「バガボンド」が人気の後押しをしているが、武蔵最強説を磐石にしたのは吉川英治氏の影響が強いだろう。武蔵の最強伝説の真偽は常に検証される所ではあるが、関が原の闘い以後太平徳川時代とは言えど真剣での勝負に連戦全勝し生き延びた人物であるのでやはりとてつもない人物である事は間違いが無いだろう。武蔵が有名人であるならば、その人物がいた書物「五輪書」(五輪の書)が有名になるのは当然の事で、近代スポーツ選手が影響を受けた書物などと紹介されるなど逸話が尽きない作品である。「五輪書」を原書で読むのは困難、当然当時の言葉で書かれているので読解力が必要!しかも本書でも書かれているが、複製書写本しか現存していない書物ですので、そもそも宮本武蔵オリジナル「五輪書」は読む事が不可能でもある。私は一度古典版に挑戦したのですが挫折しました。そこで再挑戦に最適となったのが本書、現代語訳バージョンだった訳です。トマス・ハリスの「ハンニバル・ライジング」の冒頭挿絵が宮本武蔵作水墨画『枯木鳴鵙図』、武蔵の繊細な芸術センス溢れる水墨画は見る者に風情を与えてくれる。我が家にレプリカが飾ってあった事もあり今一度宮本武蔵に関心を持っていた矢先に発見したのが、「五輪書現代語訳」でした。思わず購入。

剣術一筋に生きた武蔵ならではの書物、剣術指南・剣術の心構えが説かれた内容である。現代語訳から受けた印象は、現代でいう所のビジネス書や実用書と同じ系統の書物。「五輪書」を読んだから即、剣術の達人に成れるという類の書ではなく、あくまで武蔵という人間が剣術を通じて学んだ経験や体験から導き出された究極の答えや思想が延々と綴られている印象を受ける。言うは易し、聞くは易し的な内容で実践する事が肝要、常に書物に書かれた価値観や思想を持って万事怠る事なかれ!と言われていうような書物である。剣の道を歩んできた武蔵の言葉は、「よくよく鍛錬されたし」といったニュアンスの締めくくりが多い、常に向上心を持って慢心する事なく鍛錬をする、技術研鑽を志す人が鏡にすべき価値観だと印象を受けた。宮本武蔵に興味をもったならば、彼の書物代表作「五輪書」は必読である。



勝手にふるえてろ (文春文庫)
綿矢 りさ
文藝春秋 (2012-08-03)
売り上げランキング: 117,735

江藤良香、26歳。中学時代の同級生への片思い以外恋愛経験ナシ。おたく期が長かったせいで現実世界にうまく順応できないヨシカだったが、熱烈に愛してくる彼が出現!理想と現実のはざまで揺れ動くヨシカは時に悩み、時に暴走しながら現実の扉を開けてゆく。妄想力爆発のキュートな恋愛小説が待望の文庫化。


内容 「BOOK」データベースより


綿矢さんの作品の素敵な所は、同じ状況やテーマの作品を他の作家さんが書いたとしたらこんな味が出ないだろうなって独特の雰囲気を持った作品を提供してくれる事。芥川賞受賞作品「蹴りたい背中」、学校ものにありがちな、イジメや気になる異性にてんご(ちょっかい)する恋愛風景を描いているのだが読者の心に深く刻まれるのは何故なんだろうか?「インストール」に「夢を与える」と現在文庫化されている作品を読んでいるがどれもが他でも描かれていそうな物語なのに特別に感じてしまう何かがあるような気がしてならない。その何かしら印象に残る素敵さが綿矢さん作品の魅力的な所なのでしょう。「勝手にふるえてろ」は一段と凄さが増している、今では一般的になっているオタクという設定こそあれど前作までのような特殊な環境や背景を持たない同世代女性の等身大の主人公が登場する。執念が実り期待に胸踊り奇跡が起こりそうな展開こそあれど、理想と現実の普通の恋が描かれた物語、下手に書くとちょっとしたラブコメで終っちゃいそうな話なのに、何故だか素敵に感じる。本当に凄い事だ。「勝手にふるえてろ」は、本当にそう言いたくなるような性格の主人公が登場するのだが、その主人公の魅せ方が上手だ!恋愛小説に欠かせない恋愛対象である異性の表現の仕方一つとってみても非常に面白い、ずっと片思いで現在進行形で思い続けているイチと良香の前に現れた彼氏候補のニ。イチとニ・・・数字じゃねぇか!と男だったら憤りたくなるようなぞんざいな扱いなのである。恋愛経験が乏しい事を差し引いても超自己中心的としか思えない独断的な主人公の目線で物語が進行するのだけど、そんな主人公も妄想恋愛から脱却し現実の恋へと歩を進める事になった時に次第にイチやニの性格や表情に輪郭が帯び始めるのである・・・圧倒的に主人公本位で物語が進んでいるし、実際に周囲の存在は飾り程度にしか描かれていないにも関わらず読者は全体の空気が変わりつつある事を感じるのである。この主人公の成長・変化を感じ取らせる全体の空気感を出せるのは素晴らしい!!また女性読者に多い(と感じる)内面や心理がドロドロした作品が好きと言う人にもこの主人公は愛されるのでは無いかと感じる。実際恋愛経験もなく全てが妄想の中で語っているのに冷笑的で短観視した腹黒な心理描写は飾り気が無く純粋に汚くて美しく潔い!失恋・挫折で後先考えずにヒステリーを起し爆発し自分を曝け出す姿も醜く憐れでいて清々しいものを感じた。女心なんて理解できない筈の男性読者である私ですら全身全霊で描かれている主人公を感じる事が出来るのだから女性読者ならばより一層印象深い主人公になるんじゃないあるまいか?綿矢さんの描く主人公は第一印象最悪なのに読後なんだか好きになってしまう、そんな主人公が多い様な気がします。皆様のお気に召すお話でしょうか?ただこれだけは言えます、「勝手にふるえてろ」って一度は思ってしまうでしょう^^



勝手にふるえてろ (文春文庫)
綿矢 りさ
文藝春秋 (2012-08-03)
売り上げランキング: 117,735

日本の起源を記す最古の歴史書『古事記』。難しそうに思えかもしれないが、その内容は冒険と色気にあふれた一大スペクタクルだ。本書は、そんな『古事記』を、この上なく平易で明るい解説とツッコミ満載で紹介する。「稲羽のシロウサギ」「海幸彦と山幸彦」など、知っているようで知らないエピソードもばっちり収録。


内容 「BOOK」データベースより


歴史や文化ってものは興味を持たなければ風景と化すものです。私は奈良に住んでいます、初代天皇・神武天皇を祀る橿原神宮や諸説あるものの三輪山(みわやま・みわさん)そのものを神体とする大神神社(おおみわじんじゃ)などを筆頭に古事記でも伝承される地所が数多く存在する県で、通いなれた小道でもひとたび歴史を顧みれば伝説や神話がゴロゴロしています。古事記に縁のある環境で育った私ですが古事記に関する知識はほぼ無し!知れば貴重で偉大な風景をボーっと眺めて過ごしてきた凡愚です。さて、そんな私が古事記に興味を持ったのは意外な事、郵便局の窓口で記念切手を眺めていた所、古事記の絵柄切手を発見(他にも様々な切手があって・・・収集心を沸き立たせられましたw)。その後、本屋でたまたま見つけたのが「とんでもなく面白い「古事記」」だったのでございます。日本最古の歴史書って事で超古典作品を原文で読むのは困難、そこで簡単に解説してくれるのが本作。

解りやすい解説にポップな漫画イラストが掲載されており気軽に読める古事記。歴史漫画解説風な作品が好きな人には抜群の相性だと思います。以前「あらすじと解説で「聖書」が一気にわかる本」を読んだ事があるのですが、似たような印象を受けます。聖書もそうでしたが、神話時代の部族間の争いであったり血脈のお話が多数盛り込まれている印象!日本の起源となるお話ではありますが、現代人の感覚からするとぶっ飛んでいる言動が盛りだくさんです、例えば近親相姦がまかり通っている時代、親兄弟であろうが王位継承の為ならぶち殺す!(まぁ当時でも一部だけの話かもしれませんが・・・)そんな今と違う価値観や常識の世界を味わってみるだけでも面白い。本作は古事記の解釈や史実に重点を置いた作品ではなく、とんでもびっくりな古事記の世界を紹介してくれているので楽しく読めると思いますよぉ~。歴史には興味があるけども学術的・専門的な知識は必要じゃない、ちょっとした雑学知識程度に歴史を知っておきたいなって人にはオススメの作品。面白い伝承エピソードは話のタネになる事間違いなし!神話系解説書物を読む時に、異なる書物を読み比べする事を勧められることが多い、その理由は編集者の見方や謎解きで多くの解釈が生まれるかららしい。神話を現実の現象の何かに当てはめるだけでも先入観や理屈を持たねばならないものですので、色々な解説を読み比べて相違点や共通点を探すのも古典解説書の楽しみ方の一つだそうです。これは歴史に興味がある人から聞きかじったお言葉。



とんでもなく面白い『古事記』 (PHP文庫)

PHP研究所 (2012-07-04)
売り上げランキング: 23,386