『サロメ』 ワイルド | ほんとなかよし

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妖しい月光の下、継父ヘロデ王の御前で艶やかに舞ってみせた王女サロメが褒美に求めたものは、囚われの美しき預言者ヨカナーンの首だった―少女の無垢で残酷な激情と悲劇的結末を鮮烈に描いた傑作が、作家・平野啓一郎の新訳で甦る。宮本亜門による舞台化原作。


内容 「BOOK」データベースより


光文社古典新訳文庫の「サロメ」、本編約80頁、註釈40頁、訳者あとがき30頁、解説50頁+宮本亜門氏の寄稿と本編よりも周囲の解説文章の方が多いという珍しい構成となっている。「サロメ」は実在の人物とされ「新約聖書」や「福音書」などに登場する、イエスに洗礼を授けた洗礼者ヨハネの首を欲した人物としてキリスト文化圏で名が知れた人物だそうです。詩的な表現の多い劇作品を読む上で本編以上に書かれる解説やあらすじ背景等は予備知識を高めるだけでなく作品を身近に感じる事ができるのでグッドでした。

ワイルドの「サロメ」が評価されるのは、ワイルド以前「サロメ」は絵画中心の芸術分野だったのですが、世に戯曲として送り出したのがワイルドだそうで、近代でも全世界で演劇作品として楽しまれているので先駆者といっても過言ではない人物というわけです。日本では、谷崎 潤一郎や三島 由紀夫が愛読したと言わ

れていますので、両者の作品に興味関心がある人は読んでみては如何でしょうか!?

ワイルド自身で有名な事と言えば男色家だった事だろう、妻子がある身で後発的に男性との関係を持った彼は同性愛者に厳しい当時の社会風潮から投獄の経験も持つとの事、確か彼を題材にしたイギリス映画があったような気がする。有名な芸術家には同性愛者が多い、というか目に付くからだけなのだろうけども三島 由紀夫氏もなかなか有名な同性愛者なので通じるところがあったのかなどと下衆な勘繰りをしてしまうのも盆暗の発想であろうか。預言者ヨカナーン(ヨハネ)の首(死)を望んだ女性、理由はヨカナーンの唇を独占したい?為であるがキリスト教における最重要人物殺害の原因となった彼女であり教圏の人々は一段と深く作品を味わえるのではないかなと思います。物語の見せ場はなんといっても、ヨカナーンの首を得る代償に、それまで頑なに拒否してきた舞踏を行なう「サロメ」のシーン!純粋無垢な少女が妖艶なる血統(ヨカナーンの予言による)に目覚める瞬間でもあり本作品最高の見せ場となっています。

ただ、「サロメ」はヨカナーン(の唇)に会った時点から既に常軌を逸していた様に思えます、密かに「サロメ」に恋心を抱いていた?男が「サロメ」とヨカナーンの目の前で自害したにも関わらず唇を求め続ける等一般常識では考えられない欲求へのストレートさが印象的でした。印象的といえば作中の“月”の扱い方でしょう、悲劇的な終幕を暗示したかの様な不気味で不吉な印象で登場する“月”、様々な登場人物が、“月”の印象を語ってくれます、多くの人物が“月”の奇妙さを訴えている中、“月”を美しいと言い登場した「サロメ」、彼女の独特の神秘性が満たされた作品。事後(ヨカナーン斬首後)の彼女の独演シーンも必見



サロメ (光文社古典新訳文庫)
オスカー ワイルド
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