Four Seasons/Virgo | BLACK CHERRY

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JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

 Embryoにも参加していたFlute奏者Hansi Fischerが結成し短期間で消滅してしまったGroup Aus Dem Nichts。そこで鍵盤を弾いていたHenryk Darlowskiが結成したのがVirgoである。米国出身のSax奏者Bobby SternとベースにReinhard Glöder、ドラムスにはDzyanにも参加していたLothar Scharfが加わったQuartet編成で1stアルバム『Virgo』を75年に名門Vertigoからリリースしている。Krzysztof Komedaの“Kattorna”を演奏するなど、硬派なJazz Rockを披露していたが、ドイツらしい生真面目さが感じられると同時に物足りなさもあって、それほど強い印象を残すものではなかった。2ndアルバムとなる本作はドラムスがClemens Schuster、Sax奏者はMontevideo生まれのWilson De Oliveiraに交代して、さらに実直で几帳面な、それでいてECM的な幽玄性も感じさせる、ある種きわめてドイツらしいJazz Rockに仕上がっている。次作の『Lutello』ではベース奏者がSagmeister TrioのUdo Kistnerに交代しCzech出身のギタリストのJuraj Galanが加わるなどして、時にItalyのPerigeoを思わせる部分も出てくるが、本作ではまだその域までに達していない。それ故に未完成で粗削りな部分とドイツらしい硬質性が、中々得難い魅力となっているのが興味深い。確かに強烈な個性や超絶技巧があるわけでもないし、優れたComposerがいるわけでもないが、生真面目に自分たちの信ずる世界を追求していく姿勢には好感が持てる。前作よりもエレピよりAcoustic Pinoの比率が増えているところも良い。Henryk Darlowskiは決して技巧で勝負するピアニストではないのが、その透明感に満ちた清々しいピアノで魅了する。Sax奏者のWilson De Oliveiraは後にVolker Kriegel & The Groove-CombinationFrankfurt Jazz Big Bandに参加する名手で、ここでも艶っぽく雰囲気のあるプレイは素晴らしい。

 

 『Four Seasons』はVirgo77年にリリースしたアルバム。

アルバム1発目は軽やかに疾走するSambaBalloons”。心地良く響くWilson De OliveiraのSaxやHenryk Darlowski清々しいアコピも良いが、Tempoを落としたPartでもRollを連発して存在感を発揮しまくるClemens Schusterのドラムスが素晴らしい。

Slow Post”は艶っぽい音色で、あえてCoolにむせび泣くOliveiraのSaxが良い。DarlowskiのStoicなバッキングもイイ感じ。

Perigeoをチョッと思わせる、謎めいたRiffがうごめき浮遊感漂う静謐な世界が楽しめる“Henryk's Trick”。

イントロのArcoSaxMysteriousなUnisonが、これまたPerigeoを連想してしまう“High Do”。さすがに名手Franco D'Andreaには及ばないまでも、雰囲気たっぷりのピアノ・ソロが素晴らしい。

Reinhard Glöderの躍動するベースに導かれて始まる“Summer Dance”。スリリングなUnisonをキメまくり、OliveiraのSoprano Saxエレピがどこまでも飛翔していく。エレピ・ソロもイイ感じだが、なんといっても弾き倒しのベース・ソロが素晴らしい。

MinimalなベースにのってSoprano SaxピアノModalにキメる“Montserrat”。醒めた炎がCoolに燃え上がっていくところがキモである。

アルバム最後をシメるのは“Sarah”。ドラムスのParadiddleで始まりMinimalなベースが絡むところが激カッコイイ。さらにSaxとピアノが加わり、後半はSambaに展開していくところが鳥肌モノ

(Hit-C Fiore)