ドイツで72年に結成されたDzyanは5人組のバンドであったが、デビュー・アルバム発表後に解散してしまう。ベースのReinhard Karwatky
が中心となって再結成が試みられ、Anklam生まれののギタリストEddy Marronと、ピアニストJoe HaiderのFour For Jazzにも参加していたSwiss生まれのドラマーPeter GigerとのTrio編成のバンドとして再出発することになった。本作はDzyanとしては通算2枚目、Trio編成としては第1作にあたるアルバムである。ジャケットや、どこの国の言葉かわからないバンド名から何となく異国情緒漂うMysteriousな印象を受けるが、本作はAcoustic楽器主体で民族音楽やJazzへの志向が高い透明感のあるECMあたりのサウンドと彷彿とさせるものである。バンドは次作『Electric Silence』を74年にリリースして解散してしまったようだ。この当時にEthnicで即興主体の音楽を展開していた
『Time Machine』はDzyanが73年にBellaphonからリリースしたアルバム。ECMのサウンドと共通性もあるが、違いは3人とは思えない音数の多さと時に狂気的なまでに激しく応酬し合う3人の醒めた炎のような演奏だろう。
アルバム1曲目はExoticなギターの響きで始まる“Kabisrain”。Peter GigerのPercussiveなプレイとReinhard KarwatkyのArco弾きも異国情緒漂うMysteriousな雰囲気を高めている。
“Magika”はEddy MarronのHeavyなギターRiffで始まり、弾き倒しのギターを軸にFlexibleに対応するリズム隊がガッツリ固める硬派なJazz Rock。動と静のContrastも鮮やかに躍動的なEnsembleに魅了される。
“Light Shining Out Of Darkness”は美しく清廉な響きのアコギの爪弾きで始まりエレキ・ギターが重ねられていく。
最後を飾るのはゴリゴリの弾き倒しで始まる“Time Machine”。途中で幻想的なArpeggioが始まり迷宮へと導かれていくかと思えば、再びAggresiveな演奏が挿入され、静かな狂気が潜むスリリングな展開へ進んでいく。3人の息をもつかせぬテンションの高い絡み合いが素晴らしい。
(Hit-C Fiore)