ItalyのPerigeoが70年代に残した充実した活躍は目覚ましいものがあった。77年の秋に解散が発表されるまで、彼らが残した5枚のアルバムはいずれも傑作である。この解散までのPerigeoの最終作で76年にリリースされた5作目となる『Non È Poi Così Lontano』は彼らの作品の中でおそらくもっとも評価の低いものであるが、それでも同時期の欧州のJazz Rock Groupの中にあって一際高い完成度と洗練を誇っている。ベース奏者Giovanni Tommasoと鍵盤奏者Franco D'AndreaというItalyのJazz界を代表するMusicianを擁し、Sax奏者のClaudio Fasoli、DrummerのBruno Biriaco、ギタリストTony Sidneyという有能なメンバーによって結成されたPerigeo。Percussion奏者Tony EspositeやMandrakeが加わることはあっても、基本はデビュー・アルバムから不動の5人の優れたMusicainが、それぞれ現代でも色褪せることのない魅力的な楽曲を提供し、素晴らしい演奏を残している。しかし、彼らの創造性に富み、高い演奏能力と構成力で複雑に構築された作品はLive演奏において、さらなる魅力を発揮するのであった。5人のメンバーに、時にPercussion奏者のEspositeを加えたスリリングでImaginativeなEnsembleが、自由度の高いImprovisationを織り込みながら優美で心地良い作品をより一層Vitalに輝かせていく。洗練された和声やRhythmにより一層の躍動感や生命感が加わり、名手たちの鮮やかなソロが次々と繰り出されていく様は圧巻である。ところが残念なことに、そういった彼らの魅力を伝えるLive AlbumはPerigeoの70年代の活動中にリリースされることはなかった。そんな彼らのLive録音がようやく陽の目を見たのが90年代である。90年に『Live In Italy 1976』、そして93年に本作がリリースされた。前者ではタイトル通り同年にリリースされた上述のアルバムの楽曲が1曲を除き殆ど収録されていたが、75年7月7日のMontreuxでの演奏を収録した本作では2ndアルバムから4thアルバムまでの楽曲が収録され、正に円熟期の彼らの勢いのある演奏を楽しむことが出来る。
『Live At Montreux』は75年7月7日のMontreuxでのPerigeoの演奏を収録したLive盤。
アルバム1曲目“Rituale”は激カッコイイ複雑でスリリングなキメから始まり、いきなり全開かと思いきやThemeを演奏して2分チョイで終わってしまう。これから始まる濃密な演奏前の軽いInterludeといった感じ。
続いては神秘的なSynthesizerで始まる“Via Beato Angelico”。こちらはMinimalなギターのArpeggioとSaxによるフレーズの繰り返しが心地良い。幻想的な前半部からエレピに導かれてFunkyなJazz Rockが展開されていく。Wildなギター・ソロがカッコイイっす。
ベースのフレーズで始まる“Polaris”は疾走するRockなBeatにのってAbstractなエレピが浮遊していく。Coolに燃えたぎるエレピとSoprano Saxソロが最高。ベース・ソロも登場して9分越えの白熱の展開に。
幻想的なイントロから始まる“Alba Di Un Mondo”。浮遊する甘美なエレピとAggressiveなギター、作者のFasoliのTenor Saxが神秘の扉を突き抜けていく。
異国情緒漂うTony EspositoのGamlanなPercussionソロから始まる“Old Vienna”。Jazz Waltzな優美に躍動する元曲から力強い生命感漲るShuffle Beatを強調しつつ、Rhythmは自自由奔放に変化し心地良いエレピと共にMagicalな世界を作り上げている。暴れるギター・ソロがイイ感じだが、後半のFasoliのSaxソロが最高過ぎる。
作者のSidneyの典雅なClassical Guitarで始まる“Un Cerchio Giallo”。エレピをバックにしたFasoliのSoprano Saxが夢見心地の名曲。
SynthesizerのイントロがItalyの伝統音楽の旋律も感じさせ、革新と伝統が混在した彼ららしい“Genealogia”。Saxやエレピ・ソロもArcoも圧巻。
アルバム最後をシメるのは“In Vino Veritas”。キメが鳥肌モノのイントロから最後までダレることなく、青白い炎が燃えるようなCoolに盛り上がる演奏が最高。
(Hit-C Fiore)