Bremen 1971/Embryo | BLACK CHERRY

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JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC


 世界中を旅して、様々な民族音楽をSessionして廻るドイツが誇る孤高のEhnic Jazz Rock Band Embryo。Amon Düül IIから派生したオリジナル・メンバーのドラマーであり、VibraphoneMarimba奏者のリーダー、Christian BurchardSaxViolinを演奏するEdgar Hofmannによって結成されたEmbryoは、最初はDuul一派に通ずるPsychedelicでTrippyな演奏が主体だった。そんなEmbryoにとって転機となった作品が72年にリリースされた『Father Son And Holy Ghosts』。中近東AfricaといったEthnicな音楽の旅を続ける80年代以降のEmbryoのEthnic路線の萌芽が見られる作品である。71年リリースの前作『Embryo's Rache』からベースで参加したRoman Bunkaと鍵盤で参加していたHermann Breuerこそ参加していないが、MarimbaやVibraphone、アコギ、Banjoなどの導入も印象的だった。そしてリリースこそ74年であるが、実際は73年に再びBunkaをギターで迎え、Sax奏者Charlie Marianoも参加し録音された『We Keep On』でEmbryoの音楽性は唯一無比のOriginalityを確立する。'03年にリリースされた本盤は、そんな彼らの転換期直前のLive演奏を収録した貴重な発掘盤である。リリースされた当時、何回も何回も聴きまくった記憶がある。

 『Bremen 1971』はEmbryo71年に『Embryo's Rache』リリース後、同年9月にBremen公演をした時の模様を収録している。つまり、まだ混沌としたDuul一派と共通する音楽性が幾分残っていた頃の彼らの演奏が楽しめる音盤である。まず、この時のメンバーが面白かったのだ。鍵盤不在、そしてギターとベース担当のBunka不在で、ギターにSiegfriedSigiSchwabではなくAlfred(Al) Jonesとクレジットされているが、殆ど存在感がない(ギターを弾いていない)。しかし、ベースはRalph Fischerが参加して中々頑張っているしFluteHansi Fischerもイイ感じ。このメンツでしか味わえない貴重な時期の演奏なのである。
アルバム冒頭を飾るのは『Embryo's Rache』に収録されていた“Try To Be”(“Sittin' At The Moon”改題)。Minimalなベースのフレーズによる5拍子にのってEdgar HofmannViolinSaxHansi FischerのFluteが自由奔放なインタープレイを展開する。Christian BurchardのバタバタしたドラムスとRalph Fischerのごり押しベースも頑張っている。
切れ目なく続く“Time”。6/8拍子にのってHofmannのSaxが暴れまくる。
Embryo's Rache』に収録されていた怪しいVoice Percussionが炸裂するFunky Acid JamTausendfüßler”は、圧巻のVoice PercussionとChristian Burchardのバタバタしたドラムスが白熱していく様が手に汗握る。躍動する FischerのFluteも素晴らしい。
最後を飾るのは“Spain Yes, Franco Finished”。Psychedelicに盛り上がるこの曲で、ようやくギターが存在感を示す。
(Hit-C Fiore)