We Keep On/Embryo | BLACK CHERRY

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JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

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 Embryoというグループは、70年代中期の、民族音楽Jazz RockFunkが丁度いい塩梅にBlendされていた頃が、個人的には一番好みである。Embryoも、なんと昨年、めでたく結成40周年を迎えた。あまり好きな言葉ではないが、World Musicと一般に呼ばれている音楽を、いち早く取り入れたバンドとして彼らは知られている。そして世界をドサ周りしながら各国の民族音楽現地のMusicianといっしょにSessionする活動を現在も続け、今や、その筋では高く評価されているという(日本にも来たらしい)。未電化の地域にも、機材やPAと発電機まで持ち込み、メンバーとスタッフや、その家族ら一大演奏旅団として活動を続けてきたのはスゴイ。40年以上もバンドを率いる、オリジナル・メンバーのドラマーであり、VibraphoneMarimba奏者のリーダー、Christian Burchardは、高く評価されるべきだ。また、Embryoは数々の優れたMusicianが、バンドに出入りしてきたことでも知られている。元々はAmon Düülの分派Amon Düül IIから派生したグループであったEmbryoだが、黒人鍵盤奏者Jimmy Jacksonのみならず、なんとピアニストのMal Waldronや、Alto Sax奏者のCharlie MarianoといったJazz方面の強力な助っ人を迎えた70年代のアルバムは、唯一無比の世界を形成している。初期のPsycheで、ドロドロした世界から、徐々にJazzと民族音楽色を強めた一種、Cosmicな世界を展開している。Roman Bunkaという、今や欧州を代表するOudプレイヤーであり、Arabic Musicに精通した作曲家として大家となったギタリストを輩出していることもEmbryoの功績といっていいだろう。さらには80年代に登場し、中東や北アフリカやインドの現地のMusicianと共演し、民族音楽をベースに独自のPopsを演奏したDissidentenの3人は、全員Embryoに在籍していたメンバーである。Embryoがユニークな点の一つは、そういった音楽的変遷を経ながらも一貫してドイツ人らしさが顔を覗かせる点だ。おちゃらけながらも、少々生真面目かつカタイ部分が見え隠れする点である。それは、頑張ってはいるがイマイチなりきれないリズム隊と、Kraanなどに通ずるヘタレ系Vocalに顕著である。だが、逆にそのイナタさがGarage的だったり、Punkishな味となって彼らの魅力となっているのが面白い。

  『We Keep On』は74年にリリースされたEmbryoのアルバムであるが、録音は72年の年末に行われている。つまり72年リリースの3rdアルバム『Father Son And Holly Gosts』と翌年の4th『Steig Aus』の間に制作されたアルバムである。2ndに参加し3rd未参加のRoman BunkaがギターとSazで復帰しているのが大きい。さらにCharlie Marianoが参戦し、SaxFluteで早速バンドにJazzEthnicなSpiceを大量に加えている。3rdアルバムで民族音楽の導入に大きく踏み出した彼らが、よりダイナミズムを増して、Marianoを中心としたインプロにもスリリングな醍醐味が加わった。BunkaがSazEthnicな香りを加えつつ、ギターではAggressiveに攻めに転じたりしてサウンドも一気にパワーアップしている。それでいてBurchardの演奏するMarimbaVibraphone、さらにはMellotronTrippyな空間を作り出している。どんなに演奏が白熱しても、彼ら独特の浮遊感は不変で、次作以降も持続していくEmbryoの特徴だ。
アルバムのオープニングからいきなりアクセル全開だ。バタバタしたドラムがなぜかカッコイイ大曲No Place To Go”。ギターはEmotionalにロック魂を炸裂させ、MarianoのSaxは自由を求めて空高く飛翔する。
タイトル通りの楽器の絡みに気分よく浸れる“Flute And Saz”。中近東の砂漠の中を彷徨い歩くような感じが良い。
EthnicなChantが炸裂しPercussionにMarianoの吹く民族楽器がいかにもな“Ehna, Ehna, Abu Lel”。途中から登場するギターのカッティングやソロ、Dieter Miekautschエレピもカッコ良すぎで後半盛り上がりまくり。
続いても異国情緒漂うPercussionとMarianoの民族楽器が心地良く響く“Hackbrett-Dance”で極楽気分。
Abdul Malek”もEthnicなPercussionとBunkaが弾くSazから始まるが、Vocalが入ると、いかにもドイツ人らしいギクシャクした感じがして面白い。
最後をシメるのは、FluteとMellotronが実にSpacyな“Don't Come Tomorrow”。幻想的Mellotronもイイ感じ。

Embryo Live Landshut Free Open Air 71


EmbryoOfficial Website(いきなり音が聴こえてきますので、ご注意を)
EMBYO's Homepage

◎作曲家として確固たる地位を築いたRoman BunkaOfficial Website(いきなり音が聴こえてきますので、ご注意を)
Roman Bunka.de
(Hit-C Fiore)