BLACK CHERRY

JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC


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 Sylford Walker伝説のReggae Singerと言われてきた。初めてWalkerの歌声を聴いた時のことは忘れられない。その無骨ともいえる飾り気のない歌声が、バックの何ともDopeなサウンドと相まって醸し出す本物感にゾクゾクさせられた。決して美声ではないが、その生命感に満ちたVocalは聴く者を魅了せずにはいられないだろう。そして、バックのサウンドが、これまた素晴らしい。ドラムスのCarlton Barrett鍵盤奏者Aston "Family Man" BarrettBarrett兄弟が支えるGlen Brown(Glenmore Lloyd Brown)の精緻で深みのあるSound Productionにこれで夢中になってしまったのだ。The Roots RadicsErrol "Flabba" Holtが弾くぶっとく重たいベースが支配する煙ったい音が、Walkerの野太いVocalをしっかり支えているところが最高に気持ち良い。やっぱりReggaeはこういう低音で蠢くようなBassが大事である。正直、VocalとBassのTrackだけで十分にDopeである。AstonのOrganJoe Whiteのピアノ、Glen Brown自身が弾くギターも良い。またTommy McCookのTenor SaxやFlute、TrammyのTromboneもツボを抑えている。そして何よりKing TubbyMixが最高なのだ。Ganjaを所持した罪でムショにぶちこまれて釈放され出てきた娑婆で、いきなりこんな名作を作った後、暫く音沙汰もなくなってしまったSylford Walker。2000年代に復活し、欧州でLive公演をやっていたようだ。近年も欧州や中東で活動しているとのこと。それにしても、この音盤は一生手放せない宝物だ。

 『Lamb's Bread』はSylford Walker88年Greensleeves Recordsからリリースしたデビュー・アルバム。
キレの良いドラムスのFillで始まる“Lamb's Bread”。それにしても伸びのあるSylford Walker歌声の何と気持ち良いこと
“Chant Down Babylon”はGlen BrownのギターとAston "Family Man" BarrettのOrganのバッキングが最高。気持ち良すぎ。Walkerの切ない歌声も素晴らしい。
Prophecies Fulfilling”はWalkerのWildなShoutがカッコイイ。Long Toneでバックに流れるOrganも渋いっす。Dubも激カッコイイ
訴えかけるようなWalkerのVocalが胸を打つGive Thanks And Praise To Jah
ぶっといベースの響きTommy McCookのTenor Saxが気持ち良いと“Cleanliness Is Godliness”。
Babylonians”はMinor KeyでWalkerがゆったりと歌い上げる。Tommy McCookTonor Saxソロも良し。TrommieTromboneもイイ味を出している。
Eternal Days”も大きいノリの中で言葉を噛みしめるように歌うWalkerがイイ。McCookが吹くFluteDopeっす。PercussionとFluteの絡みが気持ち良すぎ。
最後をシメるのはTrammyお惚けTromboneで始まる“Africa Homeland”。WalkerのVocalが沁みますなあ。
(Hit-C Fiore)
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 まる二日間、4公演通して気持ち良く踊りまくるわ、みんなで「I Love You」とか「Ole!」とか大声で叫んでインプロのScatのCall And Responseで歌っちゃうわで一年分楽しみまくった後の徹夜続きの仕事の日々が、ようやく何とか落ち着こうとしている。それにしても翁からEneregyもらったからか徹夜を続けても二十代の頃より元気だったりするのが不思議な今日この頃。でもこんなお馬鹿丸出しの無茶は良い子は真似したら絶対にいけませんぞ。

 Albert Collinsの奏でる氷を切り砕くようなTexas Blues。通常とは逆となる、利き腕側からStrapをかけたMaple Cup1966 Fender TelecasterTreble上げた乾いた音でかき鳴らし、無骨なVocalで煽る荒々しいBlues。もう大好きなんですわ、これが。とにかくいかにも悪そうな面構えがいい。当然だけど、肝心の音楽も勿論最高にご機嫌なのである。Finger Pickingで、これだけ硬質でEdgeの立った音を繰り出してくるところにまず脱帽。問答無用にガンガン繰り出すフレーズから熱い魂が感じられるのも良い。そして不器用そうな男くさいVocalも良し。最初はピアノのレッスンを受け鍵盤奏者を目指していたCollinsだが、ギターを弾き始めようになると、John Lee Hookerの“Boogie Chillen'”を聴いてギタリストになる決心をしたそうである。基本Gibson PAF Humbuckerに交換したFender Telecasterを"Open F-Minor" Tuningという変則Tuningで弾きまくる。KeyによってはCapを付けて対応するのだが、これがかなりHigh Positionまで付けてしまうのがCollinsらしくて最高だ。58年にはデビュー・シングル“The Freeze”をリリースし、60年代にも“Frosty”や“Homesick”、“Thaw-Out”、“Sno-Cone”などご機嫌なインストのシングルを連発して65年にデビュー・アルバム『The Cool Sounds of Albert Collins』をリリースしている。これがOrganの入った実にGarageなイイ感じのインストが充実しているのだ。その後、Canned Heatの紹介によりImperial Recordsと契約したCollinsは68年に『Love Can Be Found Anywhere』をリリースする。長いブランクの後復活したAlligator Recordsから78年にリリースされた『Ice Pickin'』ではVocalにも重点が置かれ、Alan Battsの鍵盤にドラムスにCasey Jones、Tenor SaxにA.C. Reedといったところがバックで好演して注目を集めることになる。続く『Frostbite』ではベースがJohnny B. Gayden、ギターがMarvin Jacksonに代わり、絶好調のCollinsは同じメンツで81年Minneapolisでの演奏を収録した本盤をリリースする。82年の初来日公演を収録した『Live In Japan』も負けず劣らずの名盤だ。『Cold Snap』では何とOrganでJimmy McGriffが参加(Allen Battsは3曲のみ参加)、これがぶっ飛びものの素晴らしさだったりする。熱いっす、クドイっす、だけど最高っす。一度でもいいから生で、その迫力あるStageを観たかったBluesman。CollinsのLive盤を色々を買い集めれば集めるほど、その思いは強くなっていくのだった。

 『Frozen Alive!』はAlbert Collins81年にリリースしたLive Album。『Ice Pickin'』からの付き合いとなるのはOrganを弾いてCool Sund復活の一因を担ったAllen BattsSaxA.C. ReedにドラムスのCasey Jones、ベースにはJohnny Gayden、2nd GuitarにMarvin Jacksonといった前作『Frostbite』でも相性抜群の一流どころが脇を固めた布陣はFunky粘りと勢いのあるサウンドでCollinsを盛り立てる。
アルバム1発目はご機嫌にDriveするインスト・ナンバーFrosty”。勢いのあるOpeningにふさわしいTexas Shuffle鋭く切り込むCollinsの切れ味抜群のギターにいきなり圧倒されてしまう。何なんだ、この掴みかかってくるような半端ない熱量は。
Slow BluesAngel Of Mercy”。CollinsのVocalにダメ出しする人もいるようだが、中々味があって良いのである。イントロのOrganにCollinsのギターが何とも沁みるフレーズをのせて、徐々に熱くなっていくあたり、たまらないものがあるのだ。A.C. ReedSaxもさりげなくCollinsのVocalをサポートするあたり、このバンドが如何に充実しているかを物語っている。Saxソロも音数を抑えて男泣き。続くギター・ソロも魂振り絞る感じで実にイイ感じ。お客さんから嬌声が上がるのもわかるのである。
大好きなFunky BluesI Got That Feeling”。イントロのしっかりタメをきかせた粘り腰のギターのフレーズ、ベースラインが最高っす。Collinsのラフで泥臭いVocalもイイ感じ。気持ち良すぎっす。こういう曲を書かせたらCollinsは天下一品。ギター・ソロも弾きすぎずに心地良いツボを突いてくるのがニクいっす。
Fleecie Moore作のLouis JordanWoody HermanDuke Ellingtonの楽団での演奏で知られる“Caldonia”。Collinsのぶっきらぼうに吼えるVocalとヤクザなギターがたまらんす。
Guitar Slimの“Things I Used To Do”。これまたCollinsの無骨なVocalにもってこいのナンバー。ギター・ソロはGuitar Slimと異なりBlue Noteをイナタく使ったBluesyなCollins節炸裂の仕上がりでイイ感じ。
Got A Mind To Travel”はズッシリ腰を落とした重量感のあるTexas Shuffleに仕上げている。こういう曲ではA.C. ReedSaxが生きますなあ。CollinsとReedのかけ合いも最高。
最後をシメるのはJohnny B. GaydenSlapソロで始まる“Cold Cuts”。ベース・ソロの後半はさすがに冗長な部分も出てしまうが、Organ、SaxとCollinsのSolidなギターが本来のFunk Bluesでグイグイ迫ってくる。
Frosty/Albert Collins

(Hit-C Fiore)
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 Gentle Giantで一番好きなアルバムは何か?と聞かれたら、これは難しい。では、もしGentle Giantを知らない人に最初に薦めるアルバムは?となれば、自分は彼らの全盛期のLive Album『Playing the Fool』かデビュー・アルバムである本作をあげるだろう。Gentle Giantの原点であり、ある意味、最も分かり易いアルバムであるからだ。そして英国の香りが強く漂う作品でもある。本作は、2ndアルバム以降の考え抜かれた騙し絵のようなArrangmentsMulti-Instrumentalistでもある各メンバーがさまざまな楽器を交換し合いながら躍動感に満ちた変拍子軽々と演奏して描き出す複雑で精緻なEnsemble実験的だが完成度の高い楽曲といったGentle Giantらしさは、それほど感じ取ることができない。荒々しく、部分的にはまだまだ整理しきれていないところも見え隠れする。それでも、彼らのあくなき音楽への探求心と実験精神は伝わってくるし、むしろその少し背伸びしたぎこちなく未完成な部分が生々しさと勢いを感じさせる。また、Coolで洗練された70年代中期の作品に比べて野暮ったい垢抜けなさや若干の大仰さも目立つとはいえ、それらがこの時期だけの分かり易さ親しみやすさに繋がっている。だから、このアルバムは自分にとっての愛聴盤なのである。ジャケットで引いてしまう人もいるかもしれないが、典雅Pastral管弦楽器凝りまくったChorusをバックに英国特有ElegantでLyricalでチョイと捻りのきいた旋律を聴かせてくれるところなど、夢見心地である。かと思えばBluesy屈折したRiffHardなギターMellotronも飛び出す大胆不敵な部分も面白い。Medievalな要素も彼らの特徴だが、本作で既に複雑な対位法を使うなどClassicalな要素BluesyでHardなRockが混在し、そこにJazzAvant-Gardeな風味を加えているのは斬新だ。中世現代BaroqueBluesLyricalさWildさ相反する要素が共存しながら、時間と空間を自由自在に行き来することによって、それぞれに物語が進んでいく。もはやジャンルなど軽々と飛び越えた音楽性。この時点で四半世紀以上先を彼らは進んでいたのだ。しかし、彼らは次作でさらなる進化を遂げ洗練を極めていく。英国には今から45年以上も前に変拍子PolyrhythmCross-Beat(Cross-Rhythm)Polymetricを駆使しつつPolytonalityまで取り入れた楽曲をCoolに演奏していた連中がいたというのは驚きである。

 『Gentle Giant』はGentle Giantが70年にVertigoからリリースした1stアルバム。ProduceはTony Viscontiが担当。
アルバム1曲目は荘厳なOrganの響きから始まる“Giant”。Ray Shulmanのベースがリードするかのように5拍子を挟みながらスリリングに躍動するJazz Rock調に展開。Derek ShulmanのVocalはSoulfulに吼えWildで野蛮な持ち味を発揮している。Ensembleは2ndアルバム以降に比べるとまだ緩くカワイイものだが、迫力は十分。途中の展開でMellotron大仰なChorusSymphonicな響きを奏でるところはこの時期だけのもの。キメや展開も以降に比べれば、Simpleでぎこちなさを感じさせるが勢いでのりきっている。
Gary GreenAcoustic 12 Strings Guitarで始まる“Funny Ways”はRay ShulmanがViolinKerry MinnearCelloを弾き、VocalはPhil Shulman、続いてDerekが担当、清らかなChorusと共に室内楽的Elegantな美しさに満ちた導入部からPercussiveなドラムスに合わせてTrumpetが鳴り響き、Hammondが響き一気に陽気なノリになるとGaryの泣きのギター・ソロが始まる。再びAcousticな導入部に戻る。
Alucard”はDraculaのAnagramのタイトル通り、不穏な変拍子のイントロから始まり、激カッコイイBluesyなギターRiffが炸裂する。後の彼らを感じさせるナンバーではあるが、テープ処理された怪しいChorusはこの時期だけのもの。
Phil ShulmanのGentleなVocalがイイ味出してる“Isn't It Quiet And Cold”は古き良きParisの街角が目に浮かぶNostalgicなAcoustic Pop。とはいえ3拍子から4拍子へのさりげない展開The BeatlesのようなMagicalなChorusがKerryのXylophoneやRayのViolinの響きと共に英国的な仕掛けの多い凝りまくったPopsに仕上げている。ベースはDerekが弾いているのも興味深い。
Nothing At All”は美しいAcoustic GuitarとChorusにウットリする前半部からVocalが加わり徐々に熱を帯び、BluesyなギターSoulfulなShoutが炸裂、途中でMartin Smithドラム・ソロが始まる。するとそれをバックにKerry MinnearがFranz Lisztの“Liebestraum No. 3 in a Flat Major”のフレーズを弾き、次第にFree Jazzのようなピアノが不安を煽る。で、最後は再びアコギの爪弾きと歌に戻るというチョイ強引な力技も微笑ましい。
Bluesyなギターがカッコイイ“Why Not”はHeavyにDriveする個人的にアルバムで一番のお気に入り曲。British Bluesの残り香がたまらない。とはいえ中間部のClassicalなKerryのVocalや中世風のOrganRecorderなど仕掛けも多く、ここぞという時にGaryのギター・ソロが炸裂するところが気持ち良い。
最後をシメるのは、何と英国国歌God Save the Queen”をジミヘンばりにロックにキメたThe Queen”。最後にHammondとギターが熱く燃え、CoolAbstractMinimoogで終わるところがカッコイイ。
Funny Ways/Gentle Giant

(Hit-C Fiore)
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 Philip Catherineを知ったのはFocusから脱退したギタリストJan Akkermanの後任として白羽の矢がたって、加入したアルバム『Focus Con Proby』を手にした時であった。そこでの超絶技巧の演奏とCatherineが提供したジャンルを越えた楽曲の素晴らしさに驚かされた。またLarry Coryellとの『Twin-House』やStéphane Grappelliの『Young Django』、Jean-Luc Ponty "Experience"の『Open Strings』でその名を見つけて、AcousticElectricも見事に使い分けて欧州的な陰影のあるLyricalな旋律を紡ぎ出す、このBelgie出身のギタリストに一気に夢中になっていった。Charles Mingusの『Three Or Four Shades Of Blues』やThe Kenny Drew Trioの『Morning』、Niels-Henning Ørsted Pedersen Trioのアルバムを聴けば分かるように、制作者の意図を的確に把握しサウンドに豊かな彩りを添えるImaginativeなプレイは絶品。Placeboの3rdやHerb Gellerの『An American In Hamburg - The View From Here』やPeter Herbolzheimer Rhythm Combination & Brassのアルバムではソロは勿論、Funkyなカッティングを含む激カッコイイ変幻自在のJazz Funkなバッキングが最高。そして何よりも晩年のChet Bakerのお気に入りでChet Baker Trioとして生み出されたアルバムや欧州公演でのLive盤の素晴らしさである。これらのアルバムからも分かるようにCatherineはJazzやRockやLatin、Funk、民族音楽といったジャンルを越境した音楽家であり、Versatileな、それでいて独自の個性を持っている。リーダー作も含めて70年代の参加作はその資質と才能が発揮されている。それはまさしくHermeto Pascoal言うところのジャンルや国籍を越えたUniversal Musicである。その後徐々にJazz寄りになってからも名作を相次ぎリリース、未だに現役で活躍し、もう10年以上前になるが2002年の待望の初来日公演での感動のステージは今でも忘れられない。Bopは勿論ModeFree以降のJazzの流れも把握しつつMingusが"Young Django"と呼んだ欧州伝統の憂いと官能を湛えた創造性に富んだ超絶技巧Composerとしての類まれなる才能は天才としか言いようがない。多才で幅広い音楽性を持ったCatherineの天賦の才能は、その典雅でErotic、そして伝統を受け継ぎながら予定調和に終わらない魅力的な楽曲を生み出すところにも感じられる。さらにテクニックだけでなくSoundや音像に対するセンスが抜群なのだ。浮遊感のあるAbstractでMechanicalなフレーズを繰り出したかと思えばEmotionalにのぼりつめる官能的な弾き倒しで魅了した超絶技巧の若き日から、ここでは伝統のある美しい欧州の街並みが目の前に浮かぶようなImaginativeなプレイに徹した音楽家の美意識が強く感じられる。

 『Moods Volume 1』はPhilip Catherine Trio92年にリリースしたアルバム。大好きなTrumpet/Flugelhorn奏者Tom Harrellオランダ出身の名ベース奏者Hein Van de Geynと組んだTrioで、CatherineがChet Bakerと組んだTrioと同様のドラムレスの室内楽的Intimateな編成。Chet Bakerに捧げられた91年の『I Remember You』に続くこのTrioの作品となる本作は基本Acousticeな楽器編成をメインに3曲のみ参加したMichel Herr控えめなSynthesizerが加わる。またギターのDubbingも加えて映像的でImaginativeな音世界を作り出している。それはCatherineの一つの側面となる欧州的な優美でElegantなJazzであり、続編の『Moods Volume 2』も負けず劣らずの傑作となっている。今日のような寒い日は、こんな心から暖めてくれる音楽に身を任せていたい。
Côté Jardin”はDidier LockwoodとギタリストChristian Escoudéとの83年作Trio』に収録されていた欧州的抒情たっぷりの名曲Spanishな風味が異国情緒を醸し出す12分を越える大曲だが展開の妙で最後まで飽きさせない。幽玄なイントロからHarrellの切ない旋律が沁みるWaltzに展開したかと思えば、途中でフォービートなRhythmになったり、3人のソロもElegantに進行する。Michel Herrの鍵盤はCatherineのVolume奏法を思わせるVoicing。
George Gershwinの“The Man I Love”はイントロからCatherine得意のRomanticなVolume奏法が冴えわたる。和音を弾くPickingのAttackを消して独特のAtmosphereを醸し出す、このVolum奏法は70年代からの十八番。Hurrellの旋律のCounterpointを弾くCatherineがChet BakerGerry Mulliganを思わせて素晴らしい。
アルバム・タイトル曲“Moods”はCatherineお得意の非機能的Chord ProgressionでHurrellが耽美的な旋律を描き出す小曲。
December 26th Variation I”は“Cote Jardin”と共にアルバムの核をなすSpanish MoodAcousticなナンバー。Live盤にも収録され後にBrussels Jazz Orchestraとのアルバムや最新作となるOrchestre Royal de Chambre de Wallonieとの『The String Project』でも演奏された名曲。
Tom Harrell作のRomanticでひたすら美しいRomance”はCatherineの官能的でElegantなギター・ソロが絶品
Fridge Blues”はベーシストHein Van de Geynの作品。6/8拍子のHard-BoiledなBlues欧州人ならではの美意識に彩られたBluesに感服。
Côté Cours”は“Cote Jardin”のIntroのVariation
Focus時代のナンバーの再演となる“Angel Wings”。Dubbingされた2本のギターAcousticなEnsembleが奏でる幽玄な世界に浸ってしまう。
最後をシメるのはJohnny Mandelの“A Time For Love”。HurrellのMuteされたTrumpetで吹く甘美な旋律をCatherineが雰囲気タップリに盛り上げるAcoustic Tune
(Hit-C Fiore)
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 70年代後半から80年代初頭にかけての所謂Synthesizer Musicにどうしてこんなに心惹かれるのであろうか。無機的でCoolなSynthesizer Musicも大好きであるが、アナログ・シンセで人間が歌うようなフレーズを紡ぎ出すSynthesizerモノにも手は伸びる。鍵盤奏者Jean-Philippe Rykielの名前を知ったのは確か大好きなギタリストであるSteve Hillage79年作のアルバム『Open』であった。収録曲“The Fire Inside”はRykiel、次いでDave StewartがMoogソロを披露するのだが、名手Dave Stewartに引けを取らないRykielの見事なMoogソロに圧倒された。そしてTim Blakeの78年作『Blake's New Jerusalem』で見事なMoogソロを弾いていたのもRykielであったことを知り、この鍵盤奏者に興味を持ったのであった。RykielはJon Hassellの86年作『Power Spot』やFrançois BréantがProduceを担当したSalif Keitaの『Soro』という大好きな作品にも参加していたのであった。そしてBrigitte Fontaineの『French Corazon』やYoussou N'Dourのアルバムにも参加していたことも知った。またDidier Malherbeの89年作『Fetish』にも参加しているのだ。その後、RykielはFashion DesignerであるSonia Rykielの息子さん、ということを知ることになるのだが、こういったGong人脈とつながっていたりする重要人物としてRykielの名前はしっかり頭に刻み込まれていたのであった。何より人間らしい温もりを感じさせるSynthesizerをプレイするRykielが良い。Sevie WonderSteve Winwood、またはGeorge Dukeのようにまるで人間が歌うかのようなフレーズをSynthesizerで奏でる音楽家に魅かれるのだ。本盤は単なるSynthesizer Music、Ambient Musicではない。Humanな手触りを感じさせてくれる80年代初頭らしさに満ちた作品だ。

 

 『Jean-Philippe Rykiel』はJean-Philippe Rykiel82年にリリースしたアルバム。

アルバム1曲目は“Fair Light”。イントロの人の温もりを感じさせるSynthesizerのフレーズにいきなり心を掴まれる。ただの電子音楽に終わらないのは歌いまくるSpacyなSynthesizerのフレーズが素晴らしいから。

Classicalな旋律が淀みなく流れ出る“Occitan Rock”もまたバックのSequencerElectric Drumはあくまでも刺身のツマである。

Rhythm Boxにのってエレピが可憐な表情をみせるTao”。バックにうっすら流れるSynthesizerも良し。これもまた80年代初頭らしいサウンドである。

ぶっといSynthe Bassが印象的な“Step By Step”は一歩間違うと安手のEasy Listeningモノに陥りそうではあるが、Symphonicな演奏をバックに歌いまくるRykielのSynthesizerが圧巻。

End Of A Party”は、やはりHumanなフレーズを紡ぎ出すSynthesizerがFunkyに絡み合う。

宇宙空間を思わせるイントロからSynthesizerのメロディアスなフレーズがあふれ出すMind Is Moving”。Synthe Bassのフレージングも素晴らしい。

MinimalなSynthesizerのフレーズが心地良い“Miles Around”。

Classicalな“Interface”はあっという間に終わるInterlude。

アルバムで一番お気に入りのFunky Techno TuneWelcome”。 幾重にも重ねられたSynthesizerのフレーズが絡み合い躍動するのがめくるめく快感である。

Another Peaceful Fight”とは人間味あふれるSyhthesizerのフレーズで魅了する。Interludeと思われる“Wrong, Try Again!”を挟んで最後の曲“Mind Is Moving”はSpacyなSynthesizerがどこまでも永遠に木霊していくCosmic Electroな世界が素晴らしい。

(Hit-C Fiore)

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  やっぱり個人的には80年代は欧米よりも第三世界の音楽に魅力溢れる面白いものを見つけてしまう。Juan Carlos Baglietto82年にリリースされたデビュー・アルバム『Tiempos difíciles』で人気を集め、以来有能なSinger-Songwriterとして現在も活動を続けている。なんといってもデビュー・アルバムでも曲を書いてる同郷Santa Fe ProvinceRosario生まれのFito Páezを起用して表舞台に引っ張り出した人物として知られている。90年代以降はM.I.A.にいたLito Vtaleと共に印象深い作品を残している。Argentinaには個性的で美しい歌声を持ったSingerが星の数ほど存在しているが、豊かな表現力を持ち、力強さと独特の哀感を持ち合わせたJuanのVocalは素晴らしい。また、Songwriterとしても素晴らしい才能を持った人物である。例によって軍事政府の厳しい検閲を受けながらも名作を世に出し続けてきた。日本でももっと知られて欲しいし評価されてほしい実力と魅力のあるMusicianである。また彼をサポートするMusicianも 鍵盤奏者のPáezのみならず才能に溢れている。 Pablo "El Enterrador"出身のギタリストRubén GoldínReddにいたドラムスのMarco Pusineri、近年、素晴らしいLito NebbiaのCover集を出した女性VocalのSilvina Garréらがデビュー・アルバム以来脇を固めてきた。Fito PáezArrangementsを担当した本作は名作の誉れ高いデビュー・アルバムに勝るとも劣らない出来である。

 

 『Baglietto』はJuan Carlos Baglietto83年にリリースしたアルバム。

アルバム1曲目の“El Tempano” はアコギとMarco Pusineri心地良いドラミングをバックにしたSilvina GarréとのDuet。いきなり最高っす。

Sergio SainzFretless BassFito Páezピアノ・ソロがご機嫌の“Tratando De Crecer”。

 

アコギの弾き語りで始まる“Jeremias”は絶品である。美しい旋律を歌い上げる情感漂うVocal絶妙のバッキングでサポートする鍵盤のFito Páez。Juanの口笛も素敵だ。

南米らしい哀感漂うHistoria De Mate Cocido”は切ないJuanのVocalとChorusがグッとくる。

80年代らしいPáezの鍵盤Sergio SainzFretless BassにJuanの魅力溢れるVocalがのった“La Musica Me Ayuda”。

イントロのアコギとVocalが始まるやいなや胸を掻き毟られるような“Carta De Un Leon A Otro”。それにしてもJuanのVocalの豊かな表現力に脱帽。

Un Loco En La Calesita”はPáezの小粋なピアノで始まりJazzyな雰囲気が心地良いナンバー。Marco Pusineriの躍動感のあるドラミングもお見事。

Fluteとアコギで始まるイントロから惹きこまれる“El Gigante de Ojos Azules”。

最後を飾るのは泣きのBalladAmor En Otras Palabras”。Rubén Goldínギター・ソロも盛り上げますな。

Carta De Un Leon A Otro/Juan Carlos Baglietto

(Hit-C Fiore)

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 まだHermeto Pascoal e Grupo来日公演の余韻が続いている。あれほど多幸感と愛に満ちたLiveは経験したことがない。その場にいたお客さん全員が演奏者と一体となって渋谷から宇宙へと突き抜けていったのだ。Energyを交換したという言葉をかけてくれたHermetoは、限りなくでっかくて温かい。Hermetoの音響や照明を担当した方々他、スタッフへの感謝の言葉と最後のセットのアンコールで我々に捧げてくれた時が止まったかのような筆舌に尽くしがたい美しさを持った即興ピアノ・ソロで感極まってしまった。あの超絶技巧の弟子たちの複雑で難易度の高いEnsembleを思うがままに操り、やらかしたりボケをカマすのも愛である。高度な技術を駆使した精緻で完璧な演奏をするのは彼らには簡単なことだろう。そこに茶々を入れたり、ヤカンを吹いたり素っ頓狂な叫び声を入れたり、皆でHumorたっぷりに笛を吹いたり色んなものを叩いたりすることで人間らしいHappyでLovelyな音楽が生まれていく。そしてHermetoが声や笛、打楽器と即興にこだわるのは十二平均律や拍子に縛られた西洋音楽の枠組みを壊し、Primitiveな、音楽の根源的なものへと誘おうとしているのがよくわかったのだった。

 60~70年代初頭に登場したR&B Vocal Groupの中でもBrunswickといえば、まず思い浮かぶのは才人Eugene RecordのいたThe Chi-Litesである。そして同様にIllinois州はChicgoの同じ高校に通う生徒たちが結成したというThe Artisticsを忘れてはならない。60年代にMajor LanceのBack Vocalをつとめ、OKeh RecordsCarl Davisの目に留まり、Marvin Gayeとの共作となる“Get My Hands On Some Lovin'”が初のLocal Hitとなった彼らは、“This Heart of Mine ”もヒットさせ、デビュー・アルバム『Get My Hands on Some Lovin'』をリリースするが不発に終わってしまうのである。しかしCarl DavisとともにBrunswickに移籍して、彼らは満を持して本作をリリースする。決して派手ではないが、Tommy GreenLarry JohnsonMarvin Smithという3人の実力派Vocalistを揃え、溌剌として甘さに流されない爽やかなChicago Soulを聴かせてくれる。力強いBaritoneSweetなFalsetto、凛としたSam Cooke譲りの伸びやかなVocal、そしていかにもBrunswickらしいバックの演奏陣も素晴らしい。この確かな演奏技術を持ったバックに支えられて、魅惑のHarmonyと楽曲が引き立つというものだ。68年の次作『The Articulate Artistics』、The Chi-LitesのEugene Recordが関わった69年の『What Happened』も中々気にっているアルバムだ。

 『I'm Gonna Miss You』はThe Artisticsが67年にリリースしたアルバム。
アルバム1曲目は溌剌としたYoung Soulが眩しい“Sweeter Than Sugar”。キレの良いギター・カッティングとTommy Greenの
GreenのFalsettoがキマっている“Glad I Met You”。
There Is No Sadness”もMotown風ながらGreenの気っ風の良い歌いっぷりに免じて楽しんでしまおう。
続く“Love Song”もMotown入ってはいるが>”。勢いに満ちたLarry Johnsonの歌いっぷりが良い。
颯爽としたNorthan SoulHope We Have”。男くさいMarvin SmithのVocalが良い。
Marvin Smith必殺のFalsettoが炸裂するヒット曲“I'm Gonna Miss You”。メンバーのJesse Bolian、Marvin SmithとLarry Johnsonの3人の共作。
疾走感に満ちたGirl I Need You”。これもChorusHorn隊の絡みが気持ち良すぎ。
またまたMotownなI'll Always Love You”。
RelaxしたShuffleIt's Gonna Be Alright”ではチョイ甘めのStrongsをバックにのびのびと歌い上げるのが良い。
アルバムで一番のお気に入りは、これぞChicago Soulな“Why, Why, Why”。Larry JohnsonのWildな歌いっぷりがカッコイイ。
ほろ苦く切ないYou're Wonderful”。Larry Johnsonの甘さを抑えたVocalが最高。ChorusとStringsもイイ感じ。
アルバム最後をシメるのはGreenのVocalが男前な高揚感に満ちたOn & On
I'm Gonna Miss You/The Artistics

(Hit-C Fiore)
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 いやはやHermeto翁の来日公演に圧倒されて、今年も新年早々最高の幕開けである。子供のように無邪気に音と戯れ、お客さんも巻き込み皆でインプロを歌い、バックでは超絶技巧の弟子たちが、その場の雰囲気に合わせて自由奔放に信じられない演奏で魅了する。何なんだ、あの変拍子ビシバシの複雑怪奇な曲をDriveさせまくる演奏は!会場に来ていた子供の笑い声やはしゃぐ声までサウンドに同化させてしまうなんて正に音の魔術師である。Hermeto Pascoal最高!Hermeto Pascoal e Grupo最高!ジャンルも国籍も超えたBrasil Universo最高!

 Georgie FameはHipでCoolな正にBrain Drainな存在として、時代が追いついたのか、ようやく正当に評価されるようになったけれど、相変わらず人気が高いのはClumbia時代、つまりGeorgieが多国籍バンドThe Blue Flamesを率いてHammondを唸らせながらSmokeyな歌声Modな連中の心を鷲づかみしていた頃である。Georgie Fame and the Blue FlamesはSkaやR&B、Soul、Jazz、Bluesなどジャンルの壁を越えた演奏でThe Flamingo Clubにやって来る米国の黒人兵や移民のお客さんを夜な夜な興奮させていたのだ。その模様はGlyn JohnsがEngineerを務めた彼らのデビュー・アルバムにしてLive盤『Rhythm and Blues at the Flamingo』というModたちのためのMasterpieceに収録されている。では、66年Soloとしての活動を開始した後のGeorgieはどうかといえば、Jazz色が強くなりBig Bandをバックに歌うようになった『Sound Venture』はElvis Costelloが人生を変えたと賞賛する傑作だが、それ以降の人気は以前と比較すると寂しいものと言わざるを得ない。確かにModたちのハートを直撃するSoulでR&Bな魅力よりもJazz志向やPopular寄りに向かった作品もあるにせよ、CBS移籍後のアルバムも傑作と呼ぶべき作品は沢山あるのだ。Joe StrummerはPunkはStyleではなくAttitudeだと語ったが、GeorgieのAttitudeは何時の時代もBrain DrainなMod魂を感じさせるものなのだ。Van Morrisonの名参謀として活躍し、Ben SidranのレーベルGo Jazzからアルバムを出し行動を共にし、Bill WymanのRhythm Kingsにも参加、Blue Flamesを再編し愛息とのTrioを組み来日までしたりと、今でも現役活動を続けるGeorgieはその精神に満ちている。さて、CBS移籍第一弾となった本作も、前作同様The Harry South Big Bandをバックにした演奏と自己のバンドの演奏で、A面に67年3月Royal Festival HallでのLive演奏、B面にStudio録音を収録している。ここでもGeorgieのBrain Drainで洒脱な音楽は最高なのである。

 『The Two Faces Of Fame』はGeorgie Fame67年CBSからリリースしたアルバム。タイトル通りAB面での生演奏とStudio録音、またBig BandとComboと異なる2つのFormatでのGeorgieの魅力が楽しめる。Eddie "Tan Tan" ThorntonJohnny MarshallといったBlue Flamesのメンバーを含む新しいバンドを従えHammondを弾きながらBluesyな歌声で魅了するGeorgieも良し、Tubby HayesTony CoeDick MorrisseyRonnie ScottLynn DobsonPeter KingKenny WheelerらのHorn隊、しかもピアノにGordon BeckBritish Jazzの一流どころが集結した豪華絢爛なBig-Bandの演奏をバックにハンドマイク片手にJazzyにキメるGeorgieもCoolだ。Mid-'60sの熱気からSophisticateされた香りも漂うこの時代ならではの味わいもが何ともたまらない。
アルバム1曲目は“Green Back Dollar Bill”。Ray Charlesの“Green Backs”としても知られるナンバーを鯔背に歌うGeorgieがイイ。
Duke Ellingtonの“Things Ain't What They Used To Be”はBluesyな楽曲の魅力をGeorgieのVocalとHammondが上手く表現している。
Percy Mayfieldの“River's Invitation”はEarthyなGeorgieの歌いっぷりとイナタいHorn隊Percussionも入ったリズム隊も心地良い。
MJQVibraphone奏者Milt Jackson作“Bluesology”はBig Bandを従えてGeorgieの洒落のめしたVocaleseが絶品。
Big Bandをバックにしっとりと聴かせる“Don't Try”。
Keep Your Big Mouth Shut”はGeorgieのお気に入りであるLambert, Hendricks & RossJohn Hendricks作でトッポい歌い方は勿論、Hammondソロが絶品。
GeorgieのJazz Singerとしての魅力が発揮された“You're Driving Me Crazy”。Chet BakerFrank Sinatraの歌唱でも知られる曲だが、GeorgieはSmokeyな歌声でここでも小粋なVocaleseを披露している。
Sarah Vaughanの名唱で知られる“C'Est La Vie”は憂いを湛えた歌いっぷりが沁みますなあ。
Hammond B-3が唸るFunkyなインスト曲El Pussycat”。
優美なピアノのイントロで始まる“It Could Happen To You”。これまたChet BakerのVocalが思い浮かぶ名曲だが、低音をきかせて歌うGeorgieのVocalも中々味わい深いBallad.
最後をシメるのはRodgers & HartのStandard“Do It The Hard Way”。ご機嫌な指パッチン男前Mod Jazz
Bluesology/Georgie Fame Quartet

(Hit-C Fiore)
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 Egberto Gismontiの来日公演はいつも予想の遥かに上をいく。ドラムレスのQuartetであろうが、Orchestraを率いていようが、愛息AlexandreとのDuoであろうと、Soloでの演奏であろうと自分の全く予測がつかない世界へ誘ってくれるのだ。それは言葉では言い表すことのできない多面的で奥深いもの。Gismontiの音楽に触れたことのある方ならご存知の通り、演奏家としても作曲家Arrangerとしても人並み外れた才能を持ち、ジャンルなどいうものは関係ないかのごとく多彩で自由奔放な、それでいて精緻に構築されたかのように、ありとあらゆる音楽が大胆かつ複雑に融合された音楽性を持っている稀有な存在であるGismontiならではのものなのだ。様々なFormatやスタイルで演奏される生演奏やアルバムは、Gismontiという音楽家の一つの側面に過ぎない。奇しくも本日来日公演が行われるBrasilのもう一人の天才音楽家Hermeto Pascoalも同様だ。この二人に共通するのは様々な音楽的要素がBrasilidadeというIdentityのもとに肉体化されていることだ。Gismontiの多彩な音楽性は、例えば同じ70年代後半にリリースされたアルバムでもEMI- Odeon BrasilECMで制作されたものとでは、まるで作風が異なることからもわかる。ECMのGismontiしか知らない人がOdeon時代のアルバムを聴いたら驚くであろう。Parisに留学しNadia Boulangerに学びAmazonの奥地原住民と生活したGismontiの身体の中ではFrevoMaracatuChoroと同時にBachRavelStravinskyが鳴り響き、Gismonti Musicとして紡ぎ出されていく。また、Boulangerと出会う前にSchoenbergTwelve-Tone Techniqueから発展したSerialismを研究していたJean Barraquéに学んでいることも興味深い。 BarraquéはOlivier Messiaenに学んでいるが、Total SerialismではなくProliferating Seriesなる方向性を打ち出していった人物だった。幼少時からClassicalな訓練を受け現代音楽の影響も受けたGisimontiはAmazonでの生活を経て西洋音楽の枠では収まらないスケールを持つようになる。ところで、現在のGismontiについて個人的に残念なことが一つだけある。それは、本作で聴くことのできるその魅力的なVocalを聴けないことだ。すべてに完璧を求めるGisimontiは、Vocalだけは自らのギターやピアノの域に及ばないという理由で現在封印しているというのだ。本作ではインスト曲歌モノ色彩感豊かな多層的な世界を描き出し、多彩で芳醇なサウンドGeraldo E. Carneiroの神秘的な歌詞とがまるで摩訶不思議な南米の映画を観ているような気分にさせてくれる。そこで聴くことができるGismontiのVocalもまた実に味わい深いものなのだ。それにしても今、MinasArgentinaから登場し最前線で優れた才能を発揮して活躍しているMusician達の音楽が、複数の物語が時間と空間を自由に行き来しながら存在しているかのようなOdeon時代のGismontiの音と共鳴していることからも、いかにGismontiが先進的であったかが窺い知れる。

 

 『Egberto Gismonti』はEgberto GismontiEMI- Odeonから73年にリリースしたアルバム。Odeonからの1作目となる前作に比べてインスト曲が増えたもののGismontiのVocalが聴ける曲が4曲収録されている。鍵盤にTenório Jr.、ベースにNovelliEdson Lobo、SaxにPaulo Moura、FluteにIon Munizといった超一流のMusicanが参加し、当時のPartnerであるDulceら8名のChorus隊OrchestraをGisimontiが率い指揮している。ドラムレスPercussionはGismontiが叩いている。Milton Nascimento周辺のMusicianが参加した前作同様にMinasの香りも漂いつつ、2010年代の現代音楽やJazzからのClassicalな流れと共通したAtmosphereも感じる。

アルバム1曲目はスリリングなPianoやGuitarとSaxで始まりGentleなGisimontiのVocalが変幻自在のOrchestraやChorus隊とMagicalな世界を描き出す“Luzes Da Ribalta”。

Memória e Fado”も静謐なOrchestraを従え穏やかに歌い上げるGismontiのギター弾き語りが何とも魅力的だ。神秘的なDulceScatも素晴らしい。

翌年のアルバムのタイトルとなった“Academia De Dança”は“Dança Dos Homens”と“Dança Dos Homens”から成る2部構成Abstract不穏Orchestrationを伴った野性を思わせる躍動的でAggressiveなSoundscapeに圧倒される。

Tango”は前作でGismontiの味わい深いVocalとエレピとOrganが印象的であった名曲で、ここではPiano Solo曲として優美な演奏が披露される。

Encontro No Bar”はアコギの爪弾きPianoを軸にベースとChorus以外はGismontiの多重録音による作品。FlutePercussion男女混声Chorusが織りなす幻想的な世界に惹きこまれていく。歌詞も素晴らしい。

Adágio”は泣きたくなるほどRomanticな旋律が胸を打つ映画音楽のようなナンバー。

Cubaの作曲家/ギタリストで現代音楽の影響も受けたLeo Brouwerに捧げられた“Variações Sobre Um Tema De Léo Brouwer”はBrouwerの曲を取り入れアコギの爪弾き男女混声Chorus幽玄な世界を生み出す。GismontiのVocalにMilton NascimentoLô Borgesの『Clube Da Esquina』収録曲“Cravo e Canela”のフレーズが引用されている。

最後はデビュー・アルバムの1曲目を飾り鮮烈な印象を残した“Salvador”の再演。その後幾度となく演奏されるこの名曲を自ら多重録音したPercussionをバックにした圧倒的な演奏で締めくくる。

Encontro No Bar/Egberto Gismonti

(Hit-C Fiore)

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 自分にとって、間違いなくThe Beatlesの大好きなアルバムTop3に入る『Revolver』。とにかく自分の大好きな曲が一番数多く入っているThe Beatlesのアルバムだ。George作の“I Want To Tell You”やPaulの珠玉の名曲“Here, There And Everywhere”、“For No One”、そしてJohnの真骨頂が発揮されたOne ChordのExperimental Popな“Tomorrow Never Knows”。Georgeファンの自分にとっては、このアルバムの魅力は、A面の1曲目を飾る“Taxman”、この1曲にアルバムの魅力が集約されていると思っている。英国の重税を思いっきり皮肉った歌詞といい、Paulの弾くPsychedelicなリード・ギターといい歌詞もサウンドも、ありふれたPop Bandを軽く凌駕していて最高なわけであるが、何よりもPaulの7thのみならず6thの音を使った想像力豊かFunkyなベースラインが最高なのである。このアルバムからベースの低音がより響くようなサウンドになっていく。そして水を得た魚のごとくStudioの魔術に魅せられていく彼らが生み出した奇跡のような本作には、Creativityが一気に頂点へと向かっていくバンドの勢いが感じられる。いずれにしてもThe Beatlesが66年の8月にSan FranciscoのCandlestick Parkで行ったCocertを最後にLive Cocertを行わないStudio Recording Bandとしての道を歩んでいく中で、その直前にリリースされた魔法のようなアルバムだ。Liveでは再現できないStudio技術を駆使しながらも従来の発想を遥かに超えたThe Beatlesのぶっ飛んだ感性作曲能力が頂点に向かいつつあるMagicalな作品である。Double Trackが初めて用いられたアルバムということだが、自分もその魅力にハマった末に、デモテープで多用したものだ(その後、Double Track禁止令を自分に課している)。

 『Revolver』はThe Beatles66年にリリースした7thアルバムである。
アルバム1曲目は上述のGeorge作“Taxman”。Cynicalな歌詞をFunkyなPop Songにのせた名曲だ。
Modeな響きをGeorge Martinが重厚なDouble String Quartetでたまらなく英国的な香りで表現した“Eleanor Rigby”。
逆回転ギターが素晴らし過ぎる“I'm Only Sleeping”。気怠く歌うJohnのVocalとベース・ライン、Paulのハモりも最高。
SitarTablaを使ったGeorgeのRaga路線“Love You To”。
PaulらしいSentimentalな名曲Here, There And Everywhere”。
RingoのVocalがイイ味出してるほっこりしたYellow Submarine”。
Johnらしい6拍子を経由して4拍子3拍子が交錯するPsychedelicな“She Said She Said”。
Vaudevilleな“Good Day Sunshine”。エンディングが素晴らしい。George MartinHonky-Tonkなピアノ・ソロが絶品ですな。
イントロのギターRiffから痺れまくりの隠れた名曲And Your Bird Can Sing”。Aメロ~Bメロ~サビ、ギターのハモりChorus、とにかく最高。
French Hornの響きがPaulの珠玉の旋律をひきたてる“For No One”。PaulとRingoだけで録音されたものの、Experimentalな作品が並ぶ本作の中でも重要な位置を占める極めて英国的な小品である。
Drug SongDr. Robert”。はHarmoniumも使用されたMixolydian ModeにSolidに絡むギターの響きが素晴らしい。
Georgeらしい奇妙な味わいのPopsI Want To Tell You”。ギターのRiff、GeorgeのVocal、PaulのハモりII7 Chordの使い方、♭9を響かせるピアノ、Bメロの展開、どれをとっても自分の大好物。
高揚感に満ちたBrass RockGot To Get You Into My Life”。PaulのSoulfulなVocalも素晴らしい。
One ChordPsychedelicにTripする“Tomorrow Never Knows”。カモメの鳴き声のような逆回転ギターやRingoのドラミングLeslieを通したVocal、16種のTape LoopExperimentalなPop Musicの最高峰に到達した名曲でアルバムは幕を閉じる。
(Hit-C Fiore)
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