Chicken ShackやSavoy Brown、UFOで活躍し60年代末から70年代にかけての栄光のBritish Rockを支えたいぶし銀の名脇役Paul RaymondとElon Johnを支えたドラマーNigel Olsson、CochiseやProcol Harumでの活躍で知られるギタリストMick Grabham、後にElton Johnと活動しThe Troggsにも加わっていたベーシストでOctopusのProducerとしても知られる才人Tony Murrayが在籍していたPlastic Penny。60年代後半に結成され、Larry PageとDick Jamesが設立したレーベルPage Oneからデビュー・アルバム『Two Sides Of A Penny』を68年にリリースしている。残念ながらVocalを担当し作曲面でも貢献していたBrian Keithが脱退してしまう。上述の4人のメンバーが残されたが、69年に2ndアルバムであり最終作となる本作をリリースして解散してしまう。その後のメンバーの活躍ぶりは上述の通りで、これだけのメンバーが揃っていたのだから内容は充実している。曲も書いてFrontmanであったVocalistが脱退したのも何するものぞと、安定した演奏は勿論、Vocalも良いし、Paul RaymondとTony Murrayの共作を中心にしたオリジナル曲も中々のもんだ。とりわけ大好きなRaymondのHammondがFeatureされたインスト曲や、Grabhamの渋いギターが唸りを上げる曲はイイ感じだ。The BandやElvis Presleyの曲を取り上げているのが興味深い。英国の中の亜米利加的な味わいもあるのだが、あくまでこのバンドはBluesやR&BをベースにしたBeat BandがPsychedelicな波を受けつつHardで力強いRockなバンドへと転換していく狭間にある何とも言えない中途半端感が意外に面白い。どちらにしても、どうやっても抜け出すことのできない英国的な佇まいが魅力のバンドである。
『Currency』はPlastic Pennyが69年にPage Oneからリリースしたアルバム。
アルバム1発目はZombiesのあの曲を思わせるようなイントロから始まる“Your Way To Tell Me Go”。DreamyでPsychedelicな残り火がイイ感じのナンバー。Paul RaymondとTony Murrayの共作。
Elvis Presleyの“Hound Dog”はHardな仕上がりでタメのきいたリズム隊にHammondもキマっている。ギター・ソロもカッコイイっす。
アルバム・タイトル曲“Currency”はRaymondのHammondが唸りを上げるインスト曲。
The Bandの“Caledonian Mission”は泥臭さを追求するよりはChorusをFeatureした英国のバンドらしさが垣間見えるところが興味深い。
Jimmy Webb作の“Macarthur Park”もMellowな中に英国的な翳りを感じさせるところが良い。
Elton John作のPopな“Turn To Me”。
躍動感に満ちたリズム隊にのったPopなMelodyがたまらない“Baby You're Not To Blame”はアルバムで一番お気に入りの曲。
サビがCatchyな“Give Me Money”も中々ご機嫌なナンバー。後半のPsychedelicなギターが素晴らしい。
アルバム最後をシメるのはRaymondのHammondが存在感をみせつけるインスト曲“Sour Suite”。ルーツを感じさせるCllassicalな旋律をバタバタしたリズム隊にのって弾いており、結構な熱演ではあるのだが、これは少々古くさい感じがしないでもない。
◎Your Way To Tell Me Go/Plastic Penny
(Hit-C Fiore)