Jim SullivanはIrish-Americanの両親の元に生まれたSan Diego育ちのSinger-Songwriter。地元のBlues Groupを聴いて音楽家になろうと決心したSullivanはギタリストとして地元のRock Bandに加入する。その後、妻と共にLos Angelesに向かったSullivanはMalibuのクラブで歌い始める。映画『Easy Rider』にExtraで出演したり、その地で交友関係を築いたSullivanはJose FelicianoのTV Showに出演したりしたという。友人たちの協力もあって、Los Angelesの腕利きMusicianを雇ってPrivate Pressとしてリリースしたアルバムが本作である。Arranger、Producerを務めDouble Bassも担当したのはChet Baker QuartetなどWestcoast Jazzの世界で活躍していた名手Jimmy Bond。集まった演奏陣はThe Wrecking Crewのメンバーを中心とした面々で、当然のことながら本作ではSullivanの秀逸なSongwritingと翳りを帯びたVocalを素晴らしい演奏で盛り立てている。ドラムスのEarl Palmerに鍵盤奏者のDon Randi、Baroqueな香りと、時にPsychedelicな彩りを添える管弦楽器による典雅なOrchestrationも作品に奥行きを与えている。演奏だけではなくSullivanの楽曲からも単なるFolk Rockではなく、CountryやBlues、Jazzも内包した味わい深いものであり、自主制作盤とは思えない完成度の高いアルバムとなっている。その後、SullivanはArrangerにJim Hughart、ProducerにLee Burchを迎えた2ndアルバムを録音し、Playboy Recordsからリリースしている。そして75年の4月にLos AngelesからNashvilleに向かって、たった一人Volkswagen Beetleに乗り込んで旅立ったSullivanは、New MexicoのSanta RosaのHighwayで消息を絶っている。一体Sullivanに何が起こったのだろうか。
『U.F.O.』はJim Sullivanが69年にリリースしたデビュー・アルバム。
Classicalで典雅なOrchestrationで始まるアルバム1曲目“Jerome”。Jim SullivanのGentleな歌声が沁みる素朴だけれど不思議な魅力を持ったナンバー。
イントロがアコギがカッコイイ“Plain As Your Eyes Can See”はFunkyなリズム隊をバックにSullivanが気持ち良さそうに歌っているのが良い。
Don RandiのOrganやエレピ・ソロが渋い。
Country Rock風の“Roll Back The Tide”。
ClassicalなOrganがイイ味を出している“Whistle Stop”。ドラムスのEarl Palmerらが生み出す躍動感に満ちたBeatにのって、思わずSullivanのScatも飛び出す。
A面最後をシメる“Rosey”も再びOrchestrationを伴ったナンバー。Sullivanの憂いを湛えた歌いっぷりとアコギが気怠くPsychedelicな空気感の中、絶妙の味わいを出している。
B面1曲目“Highways”も少々Orchestrationが邪魔に思えてしまう位にSullivanのSimpleな歌声とアコギが素晴らしい。
アルバム・タイトル曲“U.F.O.”。疾走するリズム隊にFluteやOrchestrationがMagicalに絡み合い、甘く切ない旋律を歌うSullivanの退廃的なVocalとPsychedelicな風景を描き出している。
“So Natural”はEarl Palmerの叩くタメのきいたドラムスとOrganにのってSullivanが歌うところがProcol Harumを思わせる。
“Johnny”もPsychedelicな香りを放つMysteriousなWaltzナンバー。
アルバム最後を飾る“Sandman”は軽快なリズムにのったアコギとSullivanの歌いっぷりもイイ感じのCountry Rockな香りも漂うナンバー。
(Hit-C Fiore)