Swallow Tales/Cochise | BLACK CHERRY

BLACK CHERRY

JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

 英国を代表するPedal Steel Guitarの名手BJ ColeことBrian John Coleを擁するCochise英国の亜米利加という、60年代末から70年代初頭にかけてシーンで流行となっていた空気を反映したバンド。いわゆるBritish Swampなどと呼ばれている音を愛好する方々にとっては、思わず手に取ってみたくなるアルバムを残している。CochiseはBJ Coleに加えてPlastic Pennyにいたギタリストで鍵盤も弾くMick Grabham、David GilmourのバンドJokers Wildのリズム隊であるドラムスのWillie WilsonにベースのRick Wills、そしてElton Johnを名乗るReg Dwightが鍵盤を弾いていたBluesologyのJohn Stewart BrownがVocalという布陣で結成されている。70年The Pretty ThingsDick TaylorのProduceでHipgnosisが手掛けたEoticなジャケットが印象的なデビュー・アルバム『Cochise』をリリース、しかしその後VocalのBrownが脱退してしまう。本作はVocalに新たにMighty Joe YoungJohn Gilbertを迎えている。またゲストでSteve MarriottピアノBacking Vocalで、Nigel OlssonがChorusで参加している。他にはCaleb Quayeがギターと鍵盤で、Tim Renwickがギターで参加している。前作よりも泥臭さを増しThe Band風のタメのきいたリズム隊が活躍する曲やCrosby, Stills, Nash & Young風のChorusが印象的な曲もあり、より米国音楽への傾倒が顕著となっている。とはいえ、そこかしこに英国的な要素が顔を出しており、その辺が個人的には面白く感じるが、ツメの甘さや楽曲構成の多少の強引さ、一種の煮え切らなさも感じてしまうのも事実である。Cochiseは翌年3rdアルバム『So Far』をリリースして解散。Mick GrabhamはProcol Harumに加入、Rick WillsはParrish & GurvitzFrampton's Camelを経てRoxy MusicのToiurに参加、Small Facesの後Foreignerに参加した。Willie WilsonはQuiverに参加した。BJ Coleのその後の活躍ぶりはまた後ほど。

 

 『Swallow Tales』はCochise71年にリリースした2ndアルバム。

アルバム1発目“Jed Collder”からBJ ColeのPedal Steelがご機嫌なContry Rock全開。

Down Country Girls”はTempo UpしてビシバシとBeatを刻むリズム隊にのってPedal Steelも歌いまくり

Caleb Quayeがピアノで参加した“Home Again”はうって変わって英国的な陰影のあるイントロで始まったかと思えば、Swamp風味のドッシリしたBeatにのってJohn Gilbertが切々と歌い上げている。BJ Coleの夢見心地のPedal Steelのソロ、続いて味のあるMick Grabhamのギター・ソロも良し。

異国情緒漂うLost Hearts”は歌メロChorusBritsh Beat Bandっぽさも垣間見える。アコギのギター・ソロが光る。

Nigel OlssonがChorusで参加した“Strange Images”はGilbertのGentleなVocalとChorusがマッタリ夢見心地のナンバー。どことなくCaravanあたりを思わせる英国の香りも感じる。

Steve MarriottがPianoとBacking Vocalで参加した“Why I Sing The Blues”はSoulfulでHardなBoogieに仕上がっている。MarriottのBluesyなピアノが最高。Pedal Steelのソロもカッコイイ。

Another Day”は英国の香り漂う抒情を湛えたBallad。この曲はCaleb QuayeTim Renwickがギターで参加している。

Fade InしてくるArpeggioで始まる“Axiom Of Maria”はPedal Steelの心地良い響きにGrabhamのギターが絡み、British Rockらしい鐘の音を含んだCollageが印象的。Vocalが加わり、バンドの演奏が熱を増すと、再び鐘の音の効果音が鳴り響いて終わる。

Can I Break Your Heart”はCrosby, Stills, Nash & Young風のChorusが印象的な正に英国の米国サウンド

アルバム最後をシメるのはPedal Steel GuitarのみのインストO Come All Ye Faithful”。

(Hit-C Fiore)