JR西日本35系4000番台(グリーン車) | 車内観察日記

車内観察日記

鉄道の車内の観察する日記ですよ。目次に記載した「☆お願い☆」をご一読の上、ごゆっくりどうぞ。

容量の関係から別項となってしまいましたが、「SLやまぐち」の客車新製に伴い、先代客車には無かったグリーン車指定席が登場しました。

 

新山口方先頭車、オロテ35形です。現存する唯一の動態保存戦前製造の展望一等車、マイテ49をイメージして製造された展望スペース付グリーン車指定席で、窓下の白線は旧一等車の証となっています。なお、本家マイテ49は、12系時代に時折実施された重連運転時にフリースペースとして連結されていたことが何度かありました。戦前製の展望車をフリースペースにするとは、太っ腹という思い以外にも苦労の方が大きかったでしょうに…。

 

それにしても、この客車の登場以降あのマイテは営業運転に供されることはあるのでしょうか。近年検査のために久々に本線走行をしたようですし、幸い12系客車自体も同じく宮原にいるので運転自体は可能だとは思いますが・・。なお、サービス電源用発電機は隣のスハ35形に取り付けられています。この辺りは車体のみ新製した「ばんえつ物語」グリーン車のような愚は犯さなかったかと思う次第。

 

グリーン車については何となくJR東日本の「ばんえつ物語」に対抗して設定した感は否めないものの、コンセプトのベクトルが違う方向にあるのは明らかです。なお、台車の輪軸は三軸とはなっておりません。さすがにそこまで無理して復刻はしなかったか(苦笑)

 

デッキドアです。木目調の化粧板が貼られており、この辺りは実車と同じ見た目となっています。

 

客室へのアプローチはこんな感じ。現状、アナウンスで「普通席車の方のグリーン車への立ち入りは出来ません」と何度もアナウンスされてはいるものの実際はスルーパスとなっており、時折グリーン券を持たざる者の侵入も見られます。この辺りはアナウンスは最小限、但し車掌さんや係員さんによる「関所」を設けて普通車利用客を完全にシャットアウトしている、SLグリーン車運転に一日の長がある「SLばんえつ物語」を参考にして欲しいなぁと思います。

 

車内です。木目調の化粧板に臙脂色のモケット、車内についてもマイテ49を忠実に再現しております。化粧板の色がマイテ49よりも明るめとなっており若干軽く見えるなぁと思わなくもありません。ま、いいか、「オロテ」なわけで(?)。マイテ49は1+1の2列配置でしたが、この列車ではある程度の定員を稼ぐため1+2の3列配置となっています。

 

デッキとの仕切りです。注目すべきは仕切り扉の上でしょうか。

 

これ、マイテ49では冷房吹き出し口となっていたものですが、この車両にも一種のオブジェ的に再現されています。なお、マイテ49ではあまりのエアコン効果の弱さで、夏や冬は我慢大会の様相を呈していたようです。

 

下の表示を見てみると、空気清浄機としてしっかり役目を果たしているようです。

 

天井です。マイテと同じく段付きの天井となっておりますが、この段を利用して冷房吹き出し口が設置されています。照明は中間車と同じく中央の丸型メイン照明に肩部分の補助照明となっています。ただメイン照明はやはり普通車とは形状が異なっています。そして、こちらもさすがに扇風機まではありません。

 

窓です。マイテ49ではもう少し窓の間隔が狭く開放感がありますが、この車両ではシートピッチが広くなっているためかやや閉鎖的です。せっかくの展望車付き車両、窓をもう少し大きくしてみてもよかったかもしれません。グリーン車という性格上、「煙の侵入を防ぐ」という先代の12系客車と同じ理由があったようには思いますが・・。

 

なお、日除けは横引き式のカーテンで、一等車らしく二重となっています。ある意味隠れた由緒正しきグリーンの証。

 

カーテンレールには丸い飾りも取り付けられています。これもマイテ49にあったものですね。

 

座席です。肘掛けにまでリネンが付いているのがいかにも「一等車」然としています。

 

肘掛けの形状や2面式のテーブルに、683系4000番台グリーン席の影を感じます。同車のグリーン席フレームを用いて、高級感は出しつつもサイドの張り出しやヘッドレストピロー、フットレスト等を省略して、普通列車グリーン車として若干のデチューンを施して作ったようなイメージです。いや、この方がマイテ49には近いですし、シートピッチは中々のものとなっているため、そもそもフットレストなんて届かないですね(笑)

 

1人掛けです。窓側の固定式テーブルはマイテ49にもあるものですが、本来のマイテ49のテーブルは折り畳みが可能だったようです。あくまでも「今のマイテ49」ということですね。

 

全展開の図。「座席」としての座り心地は、本来数々の付帯設備があって成り立つ座席だけに、ちょっと平板チックさが気になります。リクライニングすると頭の据わり方の違和感でより一層そう感じるのかもしれません。それでも、どのように使っても着席姿勢大崩壊な「ばんえつ物語」のグリーン席と比べると遥かに救われた座席であると思います。

 

グリーン車では全席にコンセントが設置されています。コンセントの取り付け位置は683系とは異なった位置となっています。

 

デッキ寄りにはボックス配置席もあります。これもマイテ49にあった席で、グリーン席として一般販売されています。

 

「普通席と雰囲気以外何が違うんだ」と言われれば、実は座面スライド式でリクライニング機構が備わっています。

 

向かい側の4人掛けボックス席です。一応、1人での購入も可能だそうですが、高いグリーン料金を払って指名買いしてまで座る席ではありません。4人で陣取りましょう。

 

続いて客車最前面の展望室です。この先はスハテと同じく屋外の展望スペースがあります。

 

客室との仕切りです。天井はスハテと同じくダブルルーフ状となっています。ここは元々マイテでも明り取り窓ではなく照明が仕込まれていますね。

 

窓です。こちらは展望室らしく窓が大きくなっています。

 

座席はソファ調となっています。2人掛けと1人掛けが左右点対称に配置されており、都合大人だと6人が座れるようになっています。

 

今回のグリーン車乗車では残念ながら新山口行きしか席を取ることができず、展望スペースへ入ることはできませんでした。しっかし、煙が漏れ入ってしまうせいか、展望スペースへの突撃突破を防ぐためなのか、津和野駅では係員さんがこのドアに外から広島支社の真髄、ガムテープをバリバリと・・おいおいおい(汗)

 

ここからはオマケです。津和野駅ではかしわめし弁当をはじめ、いくつかの駅弁が販売されています。ごぼうやイカナゴがビールに合うんだ。

 

なお、別項の普通車にあるゲームコーナーは利用できる区間が決まっており、グリーン車利用客は全員、普通車利用客はこのクジで当たった人が対象となります。

 

続いては牽引機関車です。「SLやまぐち」をメインで引っ張るのはこちらのC57型蒸気機関車です。

 

数あったC57のトップナンバーであり、「貴婦人」と呼ばれたC57の中でもよりその範疇に入ってくる名機です。元々平坦な路線を高速で走る優等列車用機関車だけに、坂道はかなりしんどそうですがそこを抜けるとかなりの俊足を見せてくれます。その速度およそ80km/h、ほぼ全ての部品が製造時のものとは入れ替わっているとは言え、他のSL列車も真っ青の走りっぷりです。さすがガテン体育会系SL列車。

 

ヘッドマークも誇らしげに。なお、マークは季節により変更されるときもあります。


大きな動輪にスマートなボイラー、この精悍さが「貴婦人」と呼ばれる所以です。

 

新山口駅到着後の客車を回送するのは・・おや、今回はDD51のようです。12系時代に乗車した時はC56の補機として走っていたためか、入れ替えはDE10が務めているイメージだっただけに少し意外でした。