北陸本線の米原から木ノ本までを片道2本運転する「SL北びわこ号」。近畿圏で唯一本線上を走るSL列車なのですが、運転日数が少なく指定席券を取りにくいのが少し泣き所です。そんな「SL北びわこ号」ですが、ポニーことC56が牽引を担当します。
今年で運行20年目を向かえ、未だ人気が衰えることはありません。2015年度より「しらさぎ」運用へ転向した681系も華を添えます。なにやら、C56は2017年度を最後にD51に置き換わるとの事。C56牽引での乗車体験はお早めに。
片道1本のみの運転となっているため、米原や宮原への回送はEF65PFが牽引します。こちらも原色を保った車両が少なくなっていることもあり地味に人気です。
さて、毎度ここでメインなのはこちら。「SL北びわこ」に使用されるのは青い塗装がトレードマークの12系客車です。分類的には急行型客車ですが、晩年は普通列車にも使用されており、果てはジョイフルトレインや気動車の付随車に改造された車両もいました。今や定期列車として使用される車両は存在せず、JR東日本とJR西日本にわずかに残るのみとなっています。
最後尾にはヘッドマークも取り付けられます。しかし、なぜ尾灯があるにも関わらず反射板を付けているんでしょうね? 節電のためでしょうか?
そうそう、「SL北びわこ」に使用される車両の中にはこのような番号が連続した車両も存在します。
それでは参りましょう、デッキドアです。内側に開く折り戸式となっています。レールバスを除いて、JR線上に残る折戸の国鉄型車両も本当に数少なくなりました。
「くずもの入れ」も備わります。
トイレです。中は製造時の和式のままとなっています。
向かいには洗面台があります。こちらも原形を保っており、右側にはタンツボも備わります。
先頭部分です。蒸気機関車の背面を見ることができます。
車内です。典型的な国鉄急行型車両のパッケージです。大きく手が加えられているわけではありませんが、全部が全部オリジナル、というわけでもありません。
デッキ仕切りです。仕切り扉は手動式、閉め切ると「ガシャンッ」という音がするソレです。
天井です。分散冷房にカバー無しの蛍光灯、ベンチレータ、スピーカー。必要最低限の装備、シンプルにそれだけです。
窓です。二段窓で開閉可能となっており、SLの走行音もバッチリ聴くことができます。日除けは爪を引っ掛けるロールカーテンタイプ、柱部分には帽子掛けも人数分備わります。
座席です。ボックスシートが整然と並びます。座席自体は急行型車両専用のもの、窓側にも肘掛が備わり、腰部分のクッションもささやかながら増やされているものです。ヘッドレスト部分は普通列車用含めて一切のクッション性が排除されていますが・・。
モケットは従来の紺色で毛が立っているものから、近代的な触り心地が良いものに貼り替えられています。オリジナルの雰囲気を壊さないようにするためか青系の灰色という色使いにしているのがせめてもの配慮でしょうか。完璧なるオリジナルを追求するのであれば、JR東日本に在籍するオリジナルタイプの12系の方がいいでしょう。
デッキ仕切り部分は仕切り扉の関係で横幅が狭められており、窓側の肘掛けもありません。
座り心地は安定の国鉄クオリティ、座面と腰部分の角度のマッチ度は計算されつくされた完璧なものといえるでしょう。
棒状の荷棚にも時代を感じられます。今や急行型車両の面影を偲ぶ事ができるのはこの車両だけとなってしまいました。貴重な車両ですから、末永く大切にしていただきたいものです。
祝、運行開始20周年。
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