『シコふんじゃった。』『Shall we ダンス?』の周防正行監督が、活動弁士[通称“活弁”(カツベン)]が活躍した無声映画時代の映画館を舞台に贈る痛快エンターテイメント・コメディー。カツベンに憧れる一人の青年を主人公に、一癖も二癖もある登場人物たちが織りなす悲喜こもごものドタバタ人間模様を、緻密な考証を下敷きにしつつスラップスティックなギャグとアクション満載に描き出す。主演は『スマホを落としただけなのに』『人間失格 太宰治と3人の女たち』の成田凌、共演に黒島結菜、永瀬正敏、高良健吾、音尾琢真、竹野内豊、井上真央、竹中直人、渡辺えり、小日向文世。作中には、「椿姫」や「金色夜叉」という元(1921年版『椿姫』、1932年版『金色夜叉』)のある再現無声映画、また「南方のロマンス」といった本作オリジナルの無声映画が登場する。第32回東京国際映画祭特別招待GALAスクリーニング作品(英題:Talking the Pictures)。
盲目を装ったピアニストが、演奏に招かれた豪邸で、偶然にも殺人現場を目撃してしまったことから窮地に陥るさまを、一癖も二癖もある登場人物たちが織りなす予測不能のストーリー展開でブラック・ユーモアいっぱいに描いたインド製クライム・コメディー。主人公を演じた『僕の可愛いビンドゥ』(第6回インド映画祭「インディアン・フィルム・フェスティバル・ジャパン〈IFFJ〉2017」にて上映)のアーユシュマーン・クラーナーのほか、『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』のタブー、『パッドマン 5億人の女性を救った男』のラーディカー・アープテーらが個性的なキャラクターを演じる。『エージェント・ヴィノッド 最強のスパイ』のシュリラーム・ラガヴァン監督が、フランスの短編映画『L’Accordeur(The Piano Tuner/ピアノ調律師)』より着想を得て制作。
《様々なバージョン》 初上映は1988年5月10日、第41回カンヌ国際映画祭の栄えあるオープニング作品として。 ・『Le Grand Bleu』フランス公開版(132分) ー 88年5月11日に仏国内で最初に公開された版。カンヌで上映されたものと同じ。本作は元々国際マーケット向けに製作されたもので、セリフはすべて英語。仏公開版は俳優本人たちが仏語に吹き替えている。 ・『THE BIG BLUE』国際版(120分)ー 海外向け編集版(英語版)で仏公開版より12分カット。日本では88年8月20日に『グレート・ブルー』の邦題で劇場公開された。 ・『Le Grand Bleu/VERSION LONGUE』長尺版(168分)ー ベッソン監督が最初に完成させた言わば“無編集版”(フランス初公開版は、このバージョンから監督自ら36分間カットしたもの)。日本では92年6月に『グラン・ブルー/グレート・ブルー完全版』の邦題で劇場公開された(上映時は仏語吹き替え版)。 ・『10ans Le Grand Bleu/VERSION ORIGINALE』オリジナル版(132分)ー 98年、作品生誕10周年を記念してフランスでリバイバル上映されたもの。仏初公開版と同じもの。日本でも同年8月8日に『グラン・ブルー/オリジナル・バージョン』として劇場公開。ベッソン監督は「これこそが磨きに磨き抜いた、一生大事にしていきたい、心の一本」と表明している。
本作はいつまでも私の脳裏に刻み付けられて離れない作品である。そこでは、穏やかな内陸に面した地中海、特にシチリア島周辺の美しい風景が人間ドラマ~ジャックとエンゾの友情物語とジャックとジョアンナの恋物語~と絡めて陰影豊かに描き出されている。 突き詰めて言えば、本作の最大の見所は、その、どこまでも“青い”海の、千変万化する豊かな表情である。冒頭からモノクロームで描かれるコントラストの効いた夏の海。陽光にきらめく水面の鮮やかな青。浅い瀬の緑がかった透明感の高い青。海中から水面を映す明るい青。深海へ向かう群青のグラデーション。イルカの跳ねる月夜の玲瓏たる海…。この海の際立った自然美が私をぐいぐいと惹き付けてやまない名作映画、それが私にとっての“Le Grand Bleu”にほかならない。