少し道草(心配な中国社会と経済)
写真は富山市の中心部を流れる運河と遊覧船。今月末にはまた「風の盆」見学で富山に出かける予定です。 さて本日の話題は最近の中国経済と社会の動向についてです。ご存じの通り中国の不動産市況は混迷の度を深め、一部の民間不動産会社はバブルの清算がいよいよ本格的に始まります。特に地方各地の自治体がらみの不動産乱開発はその規模、自治体の不動産子会社宛への銀行融資残高は巨額で、中央政府の介入なしには本質的解決は不可能です。 最近の経済成長率にも陰りが見え、中国国家統計局は15日、年齢別若年失業率の公表を8月から停止すると発表しました。特に学卒者の就職難は深刻で、6月の16-24歳の失業率は21,3%で3ヶ月連続で最高値を更新しています。「学校にもおらず、自宅で暮らし、職探しもしていない」若者の潜在的失業率は46,5%との試算(北京大学国家発展研究室、張丹副教授)もあります。成長率が落ち込み、社会に不安要因が増大しているのが想像できます。 習近平政権は社会不安の芽をつぶすことに躍起になっていますが、すでに少子化から人口減少が始まり、日本と同様に高齢化に絡む社会課題が増大する中で、経済失速が顕在化すれば、いよいよ政権に対する批判も増大することになります。巷ではレゲイのような故事を引いた「戯れ歌」までSNSで拡散されているとか。当局が政権批判と受け取ればこれも介入により消去されますが、一党独裁、習近平への風当たりはますます増加してくることになります。 勿論、中国の経済的失速は世界経済へ多大な影響を及ぼします。特に多くの日本企業の中国への直接投資は打撃を受けることになります。いち早く、生産拠点を他のアジア諸国への移転、また今後発展の期待できるインドなどへの市場開発・進出や新規投資が急がれることとなるでしょう。日々是好日。