誰かの妄想 -2ページ目

珍説15・非武装中立を唱える共産党は侵略される可能性も考えないお花畑だ

これも反戦運動嫌いの軍ウヨ(軍オタウヨクの略)がすきそうな話。


【珍説】

元はQandAの形式をとっているが、質問者は特に答えを求めているのではなく非武装中立を唱える共産党を揶揄する書き込みを呼びかけているだけに感じますね。


(Sea-Breeze氏の質問要約)
テレビで日本共産党の小池晃議員が相変わらずの「憲法第9条は1項、2項とも堅持、自衛隊は解散」という非武装中立論を展開していたが、では、「自衛隊を解散した後、もし外国勢力から武力による侵略を日本国が受けた場合、どうやって自国民の生命、財産を守るつもりか?」という質問には答えていない。
どうせ、日本とアメリカだけが軍隊を解散すれば一挙にアジア、ひいては世界平和に直結する。とか考えているんだろう。
「他国が日本を侵略するなんて絶対にあり得ない話であって、自衛隊は時期をおいて最終的には解散すべきである」というお花畑平和論を展開しているようだが、具体的な可能性があるとか関係なく、祖国防衛のための実力組織を維持するのは国家としての当然の義務だし、一度自衛隊を解散してしまうと再度編成を組むには数年から10年以上かかることを考えてるのか?
(以下、質問最後の部分のみ引用)
もし共産党が政権与党 (あり得ないとの反論はお許し下さい) となって自衛隊を解散した後、もし隣国から何らかの武力による圧力を受けた場合は、政府としてどういう手段を取って、日本国民の生命と財産の保全を維持するのか、お教え下さい。


(yuhkoh氏の回答要約)
(略)
「非武装」というのは与党への攻撃のための手段であって、目的ではないでしょう。あるいは前述のように、自由主義・立憲君主制である「日本国」政府が武装することに反対するのであって、「人民」が武装することには反対しないでしょう。当然、その人民の代表とは共産党です(笑)
(略)
 どうも憲法で戦争放棄が掲げられているのはさほど珍しいことではないようです。ただここでいう戦争は侵略であって、当然に自衛は含まれません。ですから日本国憲法をことさら「平和憲法」と持ち上げるのもおかしな話ですね。もっとも、「日本国」に意図のある集団や国は、自衛戦争も放棄してもらいたいでしょうね。
 
 あとマルクス経済学者の森嶋通夫氏に、通称「白旗赤旗論」というのがありました。もしソ連が攻めてきたら白旗を出し、そして赤旗を掲げれば日本は助かるという考えだそうです。なんのための「非武装」であるかが、よく理解できますね。
(略)



【事実】

意図したものかどうかはともかく、Sea-Breeze氏とyuhkoh氏の合作による共産党誹謗プロパガンダになってますね。あるいは反戦平和運動揶揄かな。いずれにせよ、共産党や反戦平和運動に対する嫌悪感先にありきで構築した”お花畑サヨク”という藁人形叩きでしかありません。
そもそも共産党の主張に対し疑問があるならまず共産党のサイトを見ればいいのですが、なぜそうしないのでしょうか。


探せばすぐ見つかりますが、非武装中立についての共産党の考えは以下の通りです。


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http://www.jcp.or.jp/seisaku/004_0607/kenpou_jieitai_22taikai_.html
憲法を生かした民主日本の建設を(2000/11/24)


それでは、憲法九条と自衛隊の現実との矛盾をどう解決するか。わが党は、改憲派がとなえるような自衛隊の現実にあわせて九条をとりはらうという方向での「解決」ではなく、世界史的にも先駆的意義をもつ九条の完全実施にむけて、憲法違反の現実を改革していくことこそ、政治の責任であると考える。


 この矛盾を解消することは、一足飛びにはできない。憲法九条の完全実施への接近を、国民の合意を尊重しながら、段階的にすすめることが必要である。


――第一段階は、日米安保条約廃棄前の段階である。ここでは、戦争法の発動や海外派兵の拡大など、九条のこれ以上の蹂躙を許さないことが、熱い焦点である。また世界でも軍縮の流れが当たり前になっている時代に、軍拡に終止符をうって軍縮に転じることも急務となっている。


――第二段階は、日米安保条約が廃棄され、日本が日米軍事同盟からぬけだした段階である。安保廃棄についての国民的合意が達成されることと、自衛隊解消の国民的合意とはおのずから別個の問題であり、自衛隊解消の国民的合意の成熟は、民主的政権のもとでの国民の体験をつうじて、形成されていくというのが、わが党の展望である。この段階では、自衛隊の民主的改革――米軍との従属的な関係の解消、公務員としての政治的中立性の徹底、大幅軍縮などが課題になる。


――第三段階は、国民の合意で、憲法九条の完全実施――自衛隊解消にとりくむ段階である。独立・中立の日本は、非同盟・中立の流れに参加し、世界やアジアの国々と、対等・平等・互恵の友好関係をきずき、日本の中立の地位の国際的な保障の確立に努力する。また憲法の平和原則にたった道理ある平和外交で、世界とアジアに貢献する。この努力ともあいまって、アジアの平和的安定の情勢が成熟すること、それを背景にして憲法九条の完全実施についての国民的合意が成熟することを見定めながら、自衛隊解消にむかっての本格的な措置にとりくむ。


 独立・中立を宣言した日本が、諸外国とほんとうの友好関係をむすび、道理ある外交によって世界平和に貢献するならば、わが国が常備軍によらず安全を確保することが、二十一世紀には可能になるというのが、わが党の展望であり、目標である。

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上を読めば分かると思うが、「自衛隊を解散した後、もし外国勢力から武力による侵略を日本国が受けた場合、どうやって自国民の生命、財産を守るつもりか?」という質問自体がそもそも意味のない質問である。
第三段階」に書かれているように、世界やアジアの国々と対等・平等・互恵の友好関係を築き、日本の中立の地位の国際的な保障を確立し、平和的安定の情勢が成熟することを条件として、自衛隊解消にむかっての本格的な措置にとりくむわけだ。
言い換えれば、外国勢力から武力による侵略を日本国が受ける恐れがある間は、自衛隊を解散しないってこと

軍ウヨの作る藁人形の”共産党”の主張とは随分違う。


そういうと、「共産党は自衛隊は違憲だって言ってるだろ!」とわめくバカが出てきそうだが、そういうバカに向けてもちゃんと丁寧に答えている。

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(上記引用からの続き)
自衛隊問題の段階的解決というこの方針は、憲法九条の完全実施への接近の過程では、自衛隊が憲法違反の存在であるという認識には変わりがないが、これが一定の期間存在することはさけられないという立場にたつことである。これは一定の期間、憲法と自衛隊との矛盾がつづくということだが、この矛盾は、われわれに責任があるのではなく、先行する政権から引き継ぐ、さけがたい矛盾である。憲法と自衛隊との矛盾を引き継ぎながら、それを憲法九条の完全実施の方向で解消することをめざすのが、民主連合政府に参加するわが党の立場である。
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要約すると、違憲状態解消に向けての努力するがその過程で違憲状態が続くのはやむを得ない。これまでの(主として自民党)政権が違憲状態のまま放置してきたツケだし。て感じか。


さらに「世界やアジアの国々と対等・平等・互恵の友好関係を築く以前に侵略されたら、どうするんだ!」という質問に対してもやはりちゃんと丁寧に答えている。

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(上記引用からの続き)
 そうした過渡的な時期に、急迫不正の主権侵害、大規模災害など、必要にせまられた場合には、存在している自衛隊を国民の安全のために活用する。国民の生活と生存、基本的人権、国の主権と独立など、憲法が立脚している原理を守るために、可能なあらゆる手段を用いることは、政治の当然の責務である。
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要約すると、そりゃ平和的安定状態になる前に侵略されたら自衛隊使うよ、当たり前じゃん。それが何か?大体、侵略されるかも知れないから武力もっとこうぜ、でおしまいって単なる現状追認主義だろ、それよりも武力なくても良い世界をつくる努力する方が前向きじゃね。てな感じ。

要約になってないような気もするが。


とにかく、軍ウヨ脳内の”共産党”とは比べ物にならないほど現実的ですねぇ。


次に珍説回答者を見てみましょう。


「「非武装」というのは与党への攻撃のための手段であって、目的ではないでしょう。」てのは、根拠のない決め付けですね。
「「人民」が武装することには反対しないでしょう。当然、その人民の代表とは共産党です(笑)」てのも、同じく。ま、彼らの脳内共産党はそういう団体なのかもしれませんが。


どうも憲法で戦争放棄が掲げられているのはさほど珍しいことではないようです。ただここでいう戦争は侵略であって、当然に自衛は含まれません。ですから日本国憲法をことさら「平和憲法」と持ち上げるのもおかしな話ですね。」の部分。

えーと、日本の場合は戦争放棄は軍隊放棄とセットになってますな。


ちなみにこのyuhkoh氏は、憲法で戦争放棄を掲げている例として、アメリカ合衆国を挙げていますが(http://oshiete1.goo.ne.jp/kotaeru.php3?q=1185676 )、そこで引用している合衆国憲法第1条第10節「(三)各州は、連邦議会の同意なしに、トン税を賦課し、平時において軍隊または軍艦を備え、他州あるいは外国と協約あるいは協定を結び、または現実に侵略を受けた場合、あるいは猶予しがたい急迫の危険がある場合でない限り、戦争行為をしてはならない。」は、州政府には戦争をする権限がない、と言っているだけの条文なので、yuhkoh氏の発言は全く的外れです。


実際には、第1条第8節に連邦議会の権限として「(十一)戦争を宣言し、敵国船傘捕免許状を付与し、陸上および海上における捕獲に関する規則を設けること。」と書いてありますから、戦争放棄の憲法ではありません。デマ言っちゃいけませんね。


参照:アメリカ合衆国憲法
http://tokyo.usembassy.gov/j/amc/tamcj-071.html


「もっとも、「日本国」に意図のある集団や国は、自衛戦争も放棄してもらいたいでしょうね。」
この手の含みのある言い回しは軍ウヨが得意とするところです。まず間違いなく、中国やロシア、北朝鮮、国内的には共産党や朝鮮総連などを指して、日本に”悪意”のある集団や国、と考えているのでしょう。もちろん明言していないので言い逃れは可能ですけどね。


「あとマルクス経済学者の森嶋通夫氏に、通称「白旗赤旗論」というのがありました。もしソ連が攻めてきたら白旗を出し、そして赤旗を掲げれば日本は助かるという考えだそうです。なんのための「非武装」であるかが、よく理解できますね。」
これも含みのある言い方です。まあ、サヨクはソ連が攻めてもらってその時すぐ降伏して社会主義国家になれるように「非武装」を主張している、と示唆しているつもりなんでしょう。印象操作の典型です。


ちなみに、森嶋氏の「白旗赤旗論」というのは、1979年3月9日の北海道新聞に載った内容らしい。内容はネット上で拾える部分だけだが以下のようなもの。

不幸にして最悪の事態が起きれば、白旗と赤旗をもって、平静にソ連軍を迎えるより他ない。34年前に米軍を迎えたようにである。そしてソ連の支配下でも、私たちさえしっかりしていれば、日本に適合した社会主義経済を建設することは可能である。」


この内容直前の発言がどうだったかが気になるが、この部分だけでも大体わかるだろう。
要約すると、ソ連に侵略されるという”最悪の事態”が起こったとしてもソ連占領下で日本人に適した社会主義経済を建設すればいいし、それはできるでしょ。だって実際34年前(1945年)に俺らはアメリカに対してそうしたやん。結局、俺ら日本人がしっかりしていれば日本が滅んだりはしねーよ。て感じかな。


わざわざ「不幸にして最悪の事態」と言っているのに「なんのための「非武装」であるかが、よく理解できますね。」などと言えるのは、やはり軍ウヨって印象操作が得意なんですねぇ。


scopedog

珍説14・長春包囲戦で中国軍は南京事件以上の犠牲者を出した

長春包囲戦というのは、第二次大戦後の中国国内の国共内戦での戦闘のひとつです。
満州国時代には新京と呼ばれ満州国首都であった都市で、毛沢東の共産党軍が反撃を開始した1948年時点では戦後進駐してきた蒋介石の国民党軍に支配されていました。1948年5月中共軍は長春を包囲し、飛行場も占領。国民党軍約10万人が長春市民ともども包囲され、中共軍は強襲を避け兵糧攻めを行います。10月半ば、国民党軍は降伏し長春は陥落しますが、このとき多くの長春市民が餓死するなど悲惨な状況にあったことが知られました。国民党も共産党も共に責任は相手にあると主張しています。犠牲者数は一説によると20万人とも言われます。


【珍説】
《長春包囲戦》
 ・9月半ば過ぎから餓死者が急増しはじめた、と、長春市長が記録を残している。最後の食料だった木の葉が散りはじめたからだ。5ヶ月にわたる包囲戦が終わる頃には、50万あった長春市の人口は17万人に減ってしまった。1937年の南京大虐殺の死者数を最も多く推定したとして、それよりさらに多くの死者を出したことになる。(上527頁)

マオ―誰も知らなかった毛沢東 上/ユン チアン 土屋京子訳 講談社


【事実】
9月半ばから餓死者が増えたのは確かですが、原因としては篭城する国民党軍が食糧を兵士に優先配分したためでもあります。
さて、犠牲者数ですが、「マオ」の記述によれば、元々50万人であった人口が17万人に減ったことから33万人が犠牲になったとみなして、南京事件犠牲者数の最も多い推定30万人よりも多い、と主張しているようです。
しかし、これには初歩的な誤りが多数あります。


まず、南京事件の犠牲者数の最も多い推定としてよく知られているのは、1947年の南京軍事法廷判決での推定でしょう。一般的に犠牲者数30万人といわれますが、その内訳は、集団虐殺犠牲者19万人、個別虐殺犠牲者15万人の合計34万人以上、です。きりよく30万人と呼ぶことが多いのですが、「最も多く推定した」数字としてはこの34万人を使う方が適切です。
そして、南京事件犠牲者数を34万人とすると、「マオ」説の長春包囲戦犠牲者数33万人よりも多くなってしまいます。


もうひとつの初歩的誤りは、50万人から17万人への減少を全て餓死などの死者とみなしている点です。

長春包囲戦の流れを見てみましょう。
長春包囲戦の当初は空中補給が行われていましたが5月末には包囲網が狭まり飛行場が使えなくなります。このため、国民党軍の鄭洞国は6月に入ると食糧不足に備えて、市民に3ヶ月分の食糧以外は全て国民党軍に渡すよう命じます。これに反発して暴動を起こした市民もいましたが国民党軍によって弾圧されています。長春から逃亡した市民も少なからぬいたらしく、国民党軍は市民が長春から出ることを禁じました。
これが7月下旬になると状況が変わります。蒋介石から鄭洞国に市民を長春から逃がすよう命令が来て、8月1日から大量の市民が長春を離れています。この蒋介石の措置は人道的措置というより、「駆民養軍」という軍のための食糧節約策によるものです。
さて、この大量の難民ですが、包囲している中共軍側は当初、包囲網を通過させるにあたって国民党軍などが混じっていないか詳しく調べていました。しかし難民の数が多くて捌ききれず、多くの難民が中間地域に留めおかれることになります。元々飢餓に苦しんで脱出してきた難民は、そこで多くの餓死者を出し、これに驚いた中共軍包囲部隊は8月中旬、難民の包囲網通過を一律に認めて、難民の救済を開始します。このとき中共軍難民処理委員会が収容した難民は15万人と言われています。
8月後半に入って、中共軍はさらに包囲網を縮めます。
そして、9月には長春市内に餓死者があふれるようになり、人肉を売る者まで現れます。
10月に入ると鄭洞国は包囲突破を試みますが失敗し、さらに10月中旬、錦州が中共軍により陥落し、国民党軍による長春篭城軍救出は絶望的になります。そして鄭洞国ら国民党軍は中共軍に降伏し、長春は陥落します。


さて「マオ」では包囲前の人口を50万人と見積もっているので包囲後17万人から餓死者33万人としているのでしょうが、8月に脱出し中共に救済された難民15万人が計算に入っていません。これを考慮すると、餓死者は最大で18万人程度でしょうか(ただしこのような計算にあまり意味はない)。だとすると「南京大虐殺の死者数を最も多く推定したと」する人数よりは少ないと言えますね。


実際に餓死した市民の数は正確にはわかりませんが、12万人とも15万人とも言われ、日本メディアによると20万~30万人とも言われています。ちなみに長春には包囲前に約3000人の日本人がいましたが、多くは餓死したらしいです。さらに1975年には犠牲者65万人説も現れてます。包囲前の長春人口は120万人との説もあります。
正確な犠牲者数がわからないのは南京事件と同じですが、そもそも多数の犠牲者が出ている事件について犠牲者数を比較することにどれほどの意味があるのでしょうか?



なお、長春包囲戦による飢餓は、20世紀最大の戦災のひとつとされ、国民党を非難する声も共産党を非難する声もあります。
-国民党軍は、軍のために食糧を温存し市民に配分しなかった。実際国民党兵士には餓死者はほとんどいない。
-共産党軍は、戦わずに長春を攻略することを優先し、包囲下の市民を考慮しなかった。

南京事件と違って、正確な犠牲者数がわからないから「捏造」だとかいう馬鹿げた話は聞かれません。


scopedog


卡子【チャーズ】の検証/遠藤 誉
http://www7b.biglobe.ne.jp/~senden97/china12.html

珍説13・日本軍は中国軍には負けていない

【珍説】
日本軍は中国軍には負けていない、というのは反中バカに限らず、よく聞かれる言説です。


http://www.seki-hajime.net/01jihyo0029.html
以下述べることは、戦史を読めば簡単に分かることだが、旧日本軍はどこかの軍と違い兵器を安易に遺棄したりはしない。負けて敗走し、軍としての統制がとれなくなった場合に、遺棄した例はある。しかし、旧日本軍は中国大陸では負けていない。小戦闘で負けた例はあるが、大きな戦いでは一度も敗れていない。中国大陸では、旧日本軍は健在だったが、ポツダム宣言の受諾による東京からの命令で、敗戦を受け入れたのだ。「天皇陛下をお迎えし、大陸で戦争を続けよう」と言った将軍さえいたという。


http://www5e.biglobe.ne.jp/~aso-org/page112.htm >
中国は結果的に戦勝国になった。では中国軍が日本軍に勝ったのかというと、そんなことはない。中国軍は負けて負けて、広い中国大陸をずっと逃げ回っていたにすぎない。昭和12年12月、日本軍は首都南京を陥落させた。普通なら、ここで日本軍勝利で戦いは終わるはずだ。しかし、中国政府は停戦協定に応じず、重慶に逃げて生き延びた。結局、日本がアメリカに負けたから終戦になったというだけで、中国軍には負けたわけではない。

(軍事学的考察上の必要性に鑑み,引用権の範囲内で引用しています)



【事実】

まあ、伊藤正徳あたりの戦記物に限らず、戦中経験者の戦記物だとやたらと日本軍を美化というか正当化する傾向が強いのは確か。

戦争を全般的に見れる立場の将軍・参謀や一部記者たちの視点からすれば、アメリカにボコボコにされた印象が強く、中国には勝っていた印象を持つのもやむをえないところかもしれない。
内地の国民一般の感覚でも中国戦線からは勝った勝ったの報道ばかりで、あとはアメリカに空襲された記憶の方が強いだろう。前線の兵士にしても、中国戦線から南方へ転用されたような場合は、中国軍に苦戦した経験を得る機会がなかったわけだし、部隊によってまちまち、というのが実際だろう。

また、中国軍の戦略・戦術も、例外はあるものの勝ち目のない戦いは避ける傾向が強く、簡単に後退するので、攻めた日本軍からすれば勝ったという印象のみ強く残る。さらに中国軍は、日本軍の補給路や後方地域に対する遊撃戦を多用するので、日本軍兵士一般の印象からすれば「中国軍は正面で戦ったら簡単に負けるくせに卑怯なことをする」というものになる。いうまでもないが、敵の弱点を狙うというのは基本戦略なのだが。



さて、そういう戦略の問題以前に、日本軍は中国軍に何度か負けている。
無論、最終的には日本軍が無条件降伏しているわけだが、それ以外の事例として。



・平型関の戦い
これは1937年9月の華北・山西省に侵攻した日本軍と中国軍との戦いで、全体としては太原攻防戦の一部である。山西省の中心都市・太原防衛のための防衛ラインの一番東にあるのが、平型関であり、ここには中国軍第2戦区の麾下として中国共産党の八路軍が第18集団軍として配備されていた。といっても兵力はわずか1個師団(115師)、平型関全体を守る防衛部隊としては、山西省軍閥である閻錫山系の部隊があり、八路軍はその一部に過ぎない。
平型関正面では日本軍第5師団麾下の第21旅団が、閻錫山軍と戦っており一進一退の状況。八路軍は日本軍の後方に密かに展開し、まず日本軍に対する補給部隊を包囲殲滅。さらに前線日本軍の後方を封鎖し攻撃している。これに気づいた日本軍後方部隊が前線部隊救助のため前進し、八路軍と交戦。
日本軍補給部隊は全滅したものの、前線部隊は西方に脱出し、さらに西方で別の日本軍により防衛線が突破されたため、平型関を守る中国軍は撤退した。

最終的には中国軍は撤退したのだが、別戦線崩壊による後退であって敗走ではないし、補給部隊とは言え日本軍部隊を全滅させ、また第21旅団前線部隊を敗走させてもいる。平型関防衛戦としては中国軍勝利と言ってもそう過言ではなく、その中でも補給遮断・後方封鎖を行った八路軍の功績は大きい。
まあ、太原攻防戦としては中国軍の負けだが。


「ただの局地戦じゃねーか」とか言う人もいそうなので、もうひとつ。


・芷江会戦
こちらは戦争末期、1945年4月から6月にかけて戦われた戦い。会戦の名の通り、日中両軍が正面から激突した戦いです。中国では湘西会戦と呼ばれます。日本軍第20軍が中国軍の航空基地のある芷江に向けて侵攻しますが、芷江まで全く辿り着けないどころか、中国軍の重包囲下に陥ってしまい、第116師団などは壊滅的な損害を蒙って撤退しています。中国のインパールと呼ばれるくらいの惨敗です。
この芷江作戦、伊藤正徳に言わせると、「早期撤退は明断」(「帝国陸軍の最後〈5〉終末篇 (光人社NF文庫)/伊藤 正徳 」)となってしまいます。なんだかなぁ。

あと、この芷江作戦は、ネット上ではあまり取り上げられません。なので知らない人も多いみたい。


この他にも、徐州攻防戦の一部である台児荘の戦いや、南寧攻略戦の一部である崑崙関の戦い、長沙の攻防戦(第4次を除く)などで日本軍は敗退しているし、武漢占領後の討伐作戦(江北、江南、常徳)では、かなり痛撃を受けている上に、占領地を増やしたわけでもないので勝敗が判定できない戦いも多い。

華北や長江河口の戦場では、小規模な遊撃戦や討伐が多いので目立たないが、日本軍や傀儡軍小部隊が全滅させられる話がよく聞かれるし、最終的に中共の解放区が広がったことを見ても、日本軍が勝ったとは言えない戦況だったと言える。
百団大戦は評価が微妙なところだろうが、その後も遊撃戦が続いたこと(討伐などにより低迷したとは言え)を考えると、これも日本軍の勝利とは言えないだろう。


さらに戦争末期になると、奥地に展開した部隊への補給補充も困難になり日本軍は撤退を開始している。江西省桂林などに展開していた部隊は敗戦間際次々と撤退を開始し占領地を放棄していった。もちろん中国軍の追撃などによる損害も少なからず出ています。同じく華北の戦場でも八路軍が大規模反攻を開始し日本軍傀儡軍に撤退を強いてます(安陽戦役:1945/7)


scopedog

珍説12・主権国家どうしが国権を発動して戦った場合以外に「戦争」と呼ぶのはおかしい

NHKスペシャルでの「日台戦争」という用語に抗議しているバカもいるようで。


【珍説】
日清戦争後の台湾住民の叛乱の鎮圧は、主権国家どうしが国権を発動して戦ったものではない。
こういう戦闘は 「戦争」 と呼ばないのが、社会科学の常識だ
泉幸男
http://plaza.rakuten.co.jp/yizumi/diary/200904060000/


【事実】

「戊辰戦争」とか「西南戦争」は私が知る限り「主権国家どうしが国権を発動して戦ったものではない」ですけど(略)
Apeman 2009/05/17 21:47
http://d.hatena.ne.jp/Apeman/20090509/p2#c1242555174


主権国家をどう定義してるのかわかりませんが、アメリカ独立戦争のときのアメリカとか、アメリカ南北戦争のときの南部連合国とかはどうなんでしょ?シーク戦争とかマイソール戦争とか薩英戦争とか函館戦争とかは一方は主権国家じゃありませんよね。
挙げればまだまだありそうですが。

scopedog

珍説11・平和ボケした反戦サヨクはスイスの民間防衛に学べ

まあ、ウヨク軍オタがすきそうな話なのだが。

曰く、
”永世中立国スイスは、一家にひとつ核シェルターがあり、銃もあって国民皆兵で武装している。反戦サヨクはそれも知らずに平和ボケしている。”
とこんな感じかな。


【珍説】
 スイスの民間人の家に泊まったことがありますが この国は一家にひとつ核シェルターがあり銃も置いてあり成人の男性はすぐ戦える状態で
 平和ボケの日本人には新鮮に映りました


旅した人

http://d.hatena.ne.jp/uedaryo/20090405/1238948859
コメント欄
(考察上の必要性に鑑み,引用権の範囲内で引用しています)



【事実】
いかにもスイスは全国民が高い国防意識と緊張感を持っているかのようですが、実際にはそんなことはありません。政策として、核シェルターの設置や家庭での銃の保管を認めていますが、いろいろ弊害も多く、徐々に変わってきています。


例えば核シェルターですが、地方自治体によっては一家屋に一台のシェルターは不要としているところもあります。学校などにある市民用のシェルターの使用権を買えば家にはいらない、と言うような状況です。


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シェルター

スイスで一軒家を建てる時、まず地下室用の穴を掘る。義務であるシェルターを作るためだが、今はこの義務もその村や市によって、多少変わってきている。ブリッグ市でもシェルターを持つことは義務であるが、市が作った市民用のシェルターが学校の地下などに十分あり、その使用権利を買えば、自宅の地下にシェルターを持つ必要はないと変わっていた。この権利を買うのと、厚い壁と鉄のドアでシェルターを地下につくるのと費用は同じぐらいだった。なにしろ狭い家なので、私たちは権利を買い、地下室にシェルターは作らなかった。厚い壁とドアの分だけでも地下室が大きく使える。それにスイス人の多くが現実的にはシェルターがあっても、核戦争になると何の役にも立たないと思っているらしい。
http://web730.gamma.ibone.ch/toshimi/jyutakujijyo.htm
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銃についてはどうでしょうか?
民間防衛のために、家庭で銃と弾薬の保管が出来ますが、その銃を使った犯罪も多くなっており、銃規制の動きも出てきています。
2007年9月には連邦議会が弾薬は軍の保管庫に入れるように決定しています。銃そのものもジュネーブ州では2008年1月から州の保管庫に預けることができるようになってます。


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ジュネーブ州に住む兵役を義務付けられている兵士は、銃器を2008年1月1日から州の保管所に無料で預けられるようになった。
(略)
スイスでは20~30歳の青年男子は全員、まず銃を使った3カ月の訓練を兵学校で受け、その後1年に3~4週間、トータルで260日
間の兵役を行うことが義務付けられている。この期間、兵士は銃器を弾薬付きで家庭に保管してきた。しかし、近年相次ぐ銃器による殺人事件により、2007年9月、連邦議会は弾薬を兵役訓練終了後、軍の武器庫に保管することを決定した。だが、銃器の家庭外保管は見送られた。

(略)
http://www.swissinfo.ch/jpn/archive.html?siteSect=883&sid=8602816&ty=st
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時代は変わってきており、スイス社会もそれに対応しつつあるわけです。

こういう状況がわからず、いたずらに武装にあこがれる態度の方こそ平和ボケというべきですね。


scopedog




珍説10・日本が行動(韓国併合)をおこさなかったら帝国主義植民地主義がいまだに存続していた可能性

たまには嫌韓バカの珍説も取り上げてみる。


【珍説】
(引用者註:日本の韓国併合に対して)
日本がやったことがすべていいとは毛頭思いませんが 日本が行動をおこさなかったら帝国主義植民地主義がいまだに存続していた可能性は高いです 
なぜなら列強は当時すでに数百年の経営の歴史があるのですから。


旅した人

http://d.hatena.ne.jp/uedaryo/20090405/1238948859
コメント欄
(考察上の必要性に鑑み,引用権の範囲内で引用しています)



【事実】
この旅した人氏は、日露戦争頃のロシアを「ソビエト」だとか「共産国家」だとか言ってるアホウなのだが、一応やり玉にあげてみる。


「日本がやったことがすべていいとは毛頭思いませんが」まあ、こういう枕詞で免罪符をとっておこうとする人はネトウヨによくいるよね。こういう人に限って日本がやった悪いことはほとんど挙げないわけだが。


それはそれとして、このコメントは日本が韓国を併合したのは”ソ連(註:もちろん当時はロマノフ朝ロシア帝国なのだが、旅した人氏にはそれが理解できない)”が南下政策をとっていたため、防衛のためやむをえなかった。当時は欧米諸国による植民地化が進んでいた。と、まあそういう流れの中での上記珍説のご登場なわけだ。


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(旅した人による別のコメント)
当時の時代背景と朝鮮を取り巻く客観的な国際情勢が頭にないと理解が及ばないと思います
1歴史的事実としてソビエトが南下政策をとっており中国東北地方まで領土拡大 朝鮮の近くの旅順まで占領している状態。(もう東アジアは風前の灯)
2近代化していないアフリカ諸国 アジア諸国 中南米諸国の国のほとんどは有無を言わさず欧米諸国に次々占領侵略されている現実。(国とりゲームの様相))
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なんというか、基礎知識の欠如に唖然とさせられるのだが、そもそも「当時の時代背景」とは具体的にいつごろなのか、全く不明。「1」について言えば1900年代だが、これは「2」の状況と合致しない。例えば「中南米諸国の国のほとんどは(略)欧米諸国に次々占領侵略されている現実」だが、ブラジル、アルゼンチン、チリ、ボリビアなどは19世紀のうちに独立を果たしており、1900年代の時点ではれっきとした独立国である。


で、本題。


日本が行動(韓国併合など)をおこさなかったら帝国主義植民地主義がいまだに存続していた可能性は高いというのは、まるっきりデタラメ。そんな可能性はほとんど皆無と言っていい。

1900年代の時点で既に、南米では植民地主義が破綻し独立国が誕生しているし、アフリカや中東でも独立運動が激しく展開されている。中国でも既に清朝打倒の動きが出ているし、フィリピンでもアメリカは独立運動の鎮圧に手を焼いている。仮に日本が明治維新時点の領土内にとどまって全く対外戦争に関わらなかったとしても、遠からず帝国主義植民地主義は破綻した可能性が高い。遅くとも1960年代・70年代に次々と独立にいたっただろう。少なくとも「いまだに存続して」いることはまずあり得ない。


「列強は当時すでに数百年の経営の歴史がある」
まあ、それを言うなら、日本にはアイヌの蝦夷地を支配した歴史、琉球を支配した歴史が数百年あるわけで、現に今も支配が続いていると言えるのだが、それをもって「植民地主義がいまだに存続」というならそれはそれで正しいかもね。


scopedog

珍説9・酸化りんは乾燥剤に使われるようなありふれた物だから危険じゃない

【珍説】

当方、三流高校の化学科ではあったが燐の燃焼実験くらいはやった事がある。
で、聞きたいんですけどこれはどこの異次元にある白燐ですか?
燃えてる燐を消す場合、水か砂を使用します。
燃焼中の燐に水をかけても強い毒性ガスなど発生しません。

燐の燃焼中に出る五酸化二燐は脱水剤、乾燥剤に使われる代物ですし、五酸化二燐と水で反応させて出来る燐酸は肥料、洗剤なんかに使われる代物ですが。

毒性は火事で出る煙と同レベル。

問題は白燐弾が科学上ありえない化学変化を起こす超兵器だというデマを飛ばす事ではなく、無関係の住民に向けて撃った事だろと。


なた5963
(軍事学的考察上の必要性に鑑み,引用権の範囲内で引用しています)
http://plaza.rakuten.co.jp/seihuusouti/diary/200901240000/



【事実】
まず、白燐火災で水をかけることは危険なので推奨されていない。三流高校ではその程度のことも学ばないのか?と言うより、実験室レベルの極微量の黄燐燃焼実験での話を実際の白燐火災にあてはめて何の問題も感じていないところが三流なのだろう。


ちなみに、開けた平地で白燐弾を爆発させた場合でも毒ガスであるホスフィンが微妙ながら発生する(ほとんどは酸化りんやリン酸の類だが)。市街地、放水などの条件下で白煙に含まれるホスフィンの割合がどの程度増減するのかについては、実験データがないので断言できないが、白燐からの化学反応の結果として生成される物質としてホスフィンもあるというのは科学的な事実。
実際に現地の体験・証言に基づいた報告を、三流高校卒の知識で「ありえない化学変化」と決め付けること自体恥ずかしい。


で、本題。

「五酸化二燐は脱水剤、乾燥剤に使われる代物ですし、五酸化二燐と水で反応させて出来る燐酸は肥料、洗剤なんかに使われる代物」
だから何?安全だとか、大して危険ではない、とでも言いたいのかな?


海苔などの食品の袋によく入っている乾燥剤としてよく知られる生石灰(酸化カルシウム)は、危険なものとしても知られています。

「脱水剤、乾燥剤に使われる代物」なんて何の免罪符にもなりませんよ。


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http://shippai.jst.go.jp/fkd/Detail?fn=0&id=CC0000056
1.生石灰が雨水等と反応して、発熱、火災になる例は時々起こっている。生石灰は、1988年以前は消防法危険物であったが、現在は、非危険物である。しかし、火災危険性が減ったわけではないので、取扱い上の注意は同じでなければならない。
2.貯蔵にあっては、床への直置きは水に触れやすく避ける。
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他にはこんな事例もありますね。
http://www.city.yokohama.jp/me/anzen/jirei/fire/300f.html


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「市民のための中毒の知識2」より
http://www.j-poison-ic.or.jp/homepage.nsf/7bf3955830f37ccf49256502001b614f/62e63d477a4bf66e492567e700306ee7?OpenDocument

生石灰

 生石灰(せいせっかい)は吸湿力が強いため、湿気をおびやすい煎餅やのりなどの食品の乾燥剤として広く用いられています。
 また、水分に触れると発熱する性質を利用して日本酒や弁当の簡易の加温用としても用いられます。

■毒性
 触れると熱が発生するので口の中やのどや食道など触れた部分にやけどを起こす恐れがあります。新しい生石灰ほど危険です。

■症状
 食べると口の中、のどがただれて、物を飲み込めなくなることがあります。また胃の灼熱感、ただれ、出血などを起こすこともあります。
 眼に入ると痛みやただれを引き起こし、失明することもあります。

■その時の処置
 少量でも食べた場合、口の中をよく洗い、うがいをさせます。牛乳または卵白水(卵の白身1個をコップ1杯位の水で溶いたもの)を飲ませ、受診します。吐かせてはいけません。
なめた程度なら、同様にしてから様子をみます。口の中がただれたり、痛そうにすれば受診します。
 眼に入った時はすぐに15分以上流水で洗眼した後、受診します。
 皮膚に付いたら、粉をすぐにはらいおとして、流水でよく洗い、痛みや赤みがあれば受診します。

□参考
 1.包装材料には必ず「生石灰」または「酸化カルシウム」の表示がありますので、確かめましょう。
 2.乳幼児の場合生石灰が付着した皮膚をよだれなどでぬれたままにしておくと、やけどをする心配がありますので注意しましょう。
 3.新しい生石灰の保管場所に水がもれ、火事を起こした珍しい例も報告されています。
 4.商品名:シケナイ強カ乾燥剤、スーパードライ、パリットファイン、ライムなど。
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三流高校出の彼には、生石灰の入った乾燥剤を渡さない方がよさそうだ。

思わぬ事故を起こすかもしれないからねぇ。


scopedog

珍説8・白燐弾が超兵器などというデマを広めるな


【珍説】

『事例1』
またまた、白燐弾=超兵器のデマが広がっています
ただの、煙幕弾です
夜間には、マーカーとして使用されることもありますが


あやか
http://ayaka0501.iza.ne.jp/blog/entry/869811/



『事例2』
今回は白燐弾とかDIMEを超兵器にして騒ぐのがはやってるよね
一言、そのような説は嘘っぱちですって論理立てて正確に反論されたら終わりだからね。
こいつらイスラエルがにくいからってうそを言い立ててたのかって事になったら逆効果でしょ。


riruhi
http://d.hatena.ne.jp/riruhi/20090114/1231905378


『事例3』
ありもしないちょう兵器白燐弾の毒だのクラスター爆弾だの劣化ウラン弾だの持ち出して不当に軍ヲタを誹謗したり
http://anond.hatelabo.jp/20090205233651



『事例4』
問題は白燐弾が科学上ありえない化学変化(註:白リン弾が放つ炎に水をかけた場合、強い毒性ガスが発生する、というガザの国連スタッフの証言を指す。実際に白燐火災がホスフィンを発生しうることは化学的に知られている。)を起こす超兵器だというデマを飛ばす事ではなく、無関係の住民に向けて撃った事だろと。


なた5963
http://plaza.rakuten.co.jp/seihuusouti/diary/200901240000/

(軍事学的考察上の必要性に鑑み,引用権の範囲内で引用しています)





【事実】
その手のデマは、白燐弾擁護軍オタ自身が叩きやすいわら人形として広めている。

実際「白燐弾」「超兵器」で検索すると、上位に来るのは、白燐弾擁護軍オタのサイトが多い。

週刊オブイェクトのJSFとか、軍事評論家を名乗る野木恵一とか、JANJANの東堂一とか、帝國ブログとか。
ちなみに、野木恵一はJSFと少なくともネット上で旧知の仲だそうな。JSFが野木恵一の記事を持ち上げていたエントリでは一言も言及されてないけど。


白燐弾=超兵器


という、わら人形を作ったのは、むしろJSFなどの白燐弾擁護派の方。

それもマスコミ報道での記載に対するつっこみではなく、ネットの誰が書いたかもしれないコメントに対するつっこみをしただけ。それを根拠に、白燐弾非難は全て白燐弾を超兵器とみなしているかのような印象操作を行ったに過ぎない。

しかも、誰が書いたかもしれないコメントに対するつっこみにしたところで、日本語訳時に華氏を摂氏に直していなかったとかその程度の内容。
「ホスフィンが発生するわけがない」とか言うにいたっては、自身の化学知識の貧困さを露呈している。


白燐弾擁護軍オタは、自分でデマを広めておいて、”自分はデマに悩まされている”、”軍オタは不当に誹謗されている”とか言っているわけです。

はっきり言って、ミュンヒハウゼン症候群の傾向が見られます。


scopedog



珍説7・「白燐」は何となく体に悪そうだから非人道兵器にでっちあげた


【珍説】
劣化ウラン弾と同様、化学的根拠もないのに「白燐」がなんとなく体に悪そうだから、非人道兵器 として、でっち上げちまえというわけでしょうね。「劣化ウラン弾」「白燐弾」なんて、何となく非人道的っぽいイメージですから。

http://blogs.yahoo.co.jp/the_knight_of_prussia/28411717.html

プロイセンの騎士

(軍事学的考察上の必要性に鑑み,引用権の範囲内で引用しています)




【事実】
「なんとなく」どころか、白燐は猛毒です。高校化学程度の知識ですよ。
「何となく非人道的っぽいイメージ」って、バカですか?


で、このプロイセンの騎士氏は、そのエントリでこうも書いている。

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米軍もM34白燐手榴弾というのを保有しています。
それでも、骨まで溶かすような高温なんて発しましたっけ?
(略)
マスゴミはバカだから、テルミット反応を利用した焼夷手榴弾と勘違いしてませんか?
テルミットや硝酸バリウムなんかの化合物で、2000度以上の高熱を発して燃えます。
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白燐の燃焼温度は2700度程度ですから、「テルミット反応を利用した焼夷手榴弾」と大して変わりませんねぇ。
充分な焼夷効果がありそうですなぁ。
どっちがバカやら。


scopedog


珍説6・致死性でなければ毒ガスではない

【珍説】
(「化学兵器の内,どこからのものが「毒ガス」で,どこまでのものがそうでないのか?」という質問に対する回答として)
 毒ガスの定義自体が曖昧なのですが,ガスそのものに致死性はないものは,化学兵器ではあるが,ジュネーブ条約によって規制される毒ガスにはあたらない、というのが現在につづく見方ではないかと思います。
 なお,毒ガスをプロは化学剤っていいますね。使用前は殆どが液体ですので。
(JN,戦車屋他 in 軍事板)
http://mltr.ganriki.net/faq09e.html



【事実】
毒ガスの定義が曖昧であるというはある程度正しいが、致死性がなければ毒ガスではない、というのは一般的な解釈ではない。


最も広義に解釈した場合は有毒な気体すべてを指すし、一般的にも軍事上の用途としてエーロゾルを形成し得る液体又は固体の有毒化合物を指すのが普通で、この中には致死性の神経ガス、糜爛ガス、血液ガス、窒息ガスのほかにくしゃみ・嘔吐ガス、催涙ガスなどが含まれる。
参照:http://www.geocities.jp/mirmoruins/toxic_gas/teigi.html


「ジュネーブ条約によって規制される毒ガス」というのがどの条約を指すのか明確でないが、おそらく1925年のジュネーヴ毒ガス議定書を指すのだろう。
http://www.cc.matsuyama-u.ac.jp/~tamura/dokugasugiteisyo.htm
この中では「窒息性ガス、毒性ガス又はこれらに類するガス」と、窒息性ガスなどと分けて毒性ガスと呼んでいるので、これをもって致死性のガスのみを毒ガスと呼ぶ、と解釈するということは可能と言えば可能だが、このジュネーヴ毒ガス議定書自体が、「窒息性ガス、毒性ガス又はこれらに類するガス」を区別なく禁止しており、一般的に「ジュネーヴ毒ガス議定書」と略されていることを考えれば、「窒息性ガス、毒性ガス又はこれらに類するガス」=毒ガスと解釈するのが妥当だろう。


ちなみに「これらに類するガス」に催涙ガスのような非致死性ガスが含まれてるかについては当時から論争があった。ガスを兵器として使いたい者が禁止対象を狭義に解釈するのは、当然の傾向といえるが、一般人や文民政治家がそのような解釈に縛られる必要もないし、そうすべきでもない。


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(1925年ジュネーブ毒ガス議定書)
窒息性ガス、毒性ガス又はこれらに類するガス及びこれらと類似のすべての液体、物質又は考案を戦争に使用することが、文明世界の世論によって正当にも非難されているので、
http://www.cc.matsuyama-u.ac.jp/~tamura/dokugasugiteisyo.htm
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「文明世界の世論によって正当にも非難されている」毒ガスを、果たして狭義に解釈するのか妥当だろうか?一般人的には妥当でないと解釈されるだろう。


(1930年代当時の、「毒ガス」の一般的な認識)

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神戸新聞 1934.2.7-1934.2.13(昭和9)
http://www.lib.kobe-u.ac.jp/das/ContentViewServlet?METAID=00054156&TYPE=HTML_FILE&POS=1&LANG=JA
問 将来戦は化学戦ということをよく聞くが化学戦とは何だい

答 広い意味の化学戦という中には火薬の力を応用した各種の戦闘行為も固より含まれねばならないが、通常化学戦と云えば戦用毒物、発煙剤、焼夷剤及び火焔放射剤を応用する戦闘行為を謂う、そして化学兵器というのは以上の諸剤を総称する、つまり化学兵器というのはホスゲン、イペリット、ヂフェニール・クロールアルシン等の戦用毒物普通に云う毒ガスで、この毒ガスを応用した戦争行動を化学戦というのさ

問 化学戦とは毒ガス戦のことかい、では一体毒ガスにどの位の種類があるのだ

答 大きく分けると窒息性、糜爛性、催涙性、クシャミ性、中毒性、もっと詳しく云ってやろうか、窒息性毒物とは肺器管に侵入してこれに傷害を与え窒息致死させるもので塩素、ホスゲンヂホスゲン等がこれに属する
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なお、化学兵器禁止条約の成立によって、これらの毒ガスは化学兵器の一つとして定義され「「ジュネーヴ毒ガス議定書」によって規制される毒ガス」という見方自体が現在では意味をなさなくなっている。
そして、化学兵器禁止条約で規制されている毒性化学物質とは、致死性の物質に限らない。


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(化学兵器禁止条約 第2条)
2.「毒性化学物質」とは,生命活動に対する化学作用により,人又は動物に対し,死,一時的に機能を著しく害する状態又は恒久的な害を引き起こし得る化学物質(原料及び製法のいかんを問わず,また,施設内,弾薬内その他のいかなる場所において生産されるかを問わない。)をいう。
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「一時的に機能を著しく害する状態」、つまり、死ぬわけでも後遺症を残すわけでないが、化学兵器とみなしうる物質が考慮されている。
具体的には、催涙ガスやくしゃみ剤などが含まれることになる。(白燐弾の発する白煙もこの意味において化学兵器と判定される可能性は十分にある。)


scopedog