田んぼを砂漠とするならば、まさにオアシス(北印旛沼周辺・後編) | 首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

雑誌編集者である著者が自ら首都圏の公園や自然地に足を運び、そこで出合った生きものの情報をお届けします。
都会の印象が強い東京にも、カワセミやタカ、多くの昆虫が暮らしています。「首都圏ってこんなに生きものが多いのか」と驚かされる情報が満載です。

チュウヒとトビは色合いやサイズの関係上

誤認しやすいのですが、顔までハッキリ見えれば

100%見間違えることはありません。

江の島に飛んでいるのは100%トビです

チュウヒの顔は何と言いますか……平面っぽい。

 

上の写真は、前編で撮影したものとは別の個体です。

身体の配色が明らかに違いますからね。

 

 

 

 

 

 

印旛沼沿いの道を廻ります。

何分今回初めて歩く場所なので

地図を見ながら、道に迷わないよう気を付けました。

 

右の写真、中央にキジがいるのがわかりますか?

 

 

 

 

 

別の個体ですが、非常に躍動感を感じる1枚。

境川遊水地公園などに足を運びますと

あまり警戒心の強くない個体もいますが

本来のキジは狩猟鳥だったこともあってか

こうした自然地の個体は人を怖がりやすく、

こちらを見るとすぐ逃げてしまいます。

 

 

 

 

 

道中で見かけた鳥の羽……なのですが

この落ち方からして、何かに捕食された

名残ではないかと思われます。

羽の色から推察するに、タゲリの可能性が高そう。

 

上記の通り、ここの上空にはチュウヒが飛んでいますし

恐らくはオオタカなども生息していると思われます。

自然度が高いが故の過酷さを実感します。

 

 

 

 

 

ヒシクイや猛禽類などを一通り観察し

満足したので、近くにある白鳥の飛来地に向かいます。

 

正式名称を「本埜(もとの)白鳥の郷」といい

何でも最初はたまたま数羽の白鳥が飛来しているのを

平成初期に地元の方が発見したのが切っ掛けだとか。

以降、地元の農家さんから水田の土地を貸り

水場を設けて、毎年白鳥を呼んでいるのだそうです。

 

 

 

 

 

かなりの距離を歩くので、普通に(?)車推奨です。

こんな田んぼしかない道をひたすら歩きます。

写真で遥か遠くに見える森のようなところの

さらにその奥に白鳥の郷があります。

 

デートで白鳥を見に行くのなら

車がなければ問答無用でフラれます

 

 

 

 

 

白鳥の郷は田園地帯の真っ只中に位置していますが

冬場であれば近くまで行くとすぐにわかります。

人が密集しているのはもちろんのこと

何より白鳥の密集度がハンパないことになっていますので。

 

周りが田んぼしかない殺風景な場所なので

本当にタイトルの通り「オアシス」みたいです。

 

 

 

 

 

上空にも白鳥の姿が。

これはコハクチョウでしょうか。

この他にも日が傾いた辺りで

何羽かが舞い降りてきました。

 

 

 

 

 

こんな感じで、田んぼの一角につくった水場に

数百羽の白鳥が集まってきています。

人工的な観察地であることは否めませんが

その数の多さは圧巻の一言です。

 

ほか、オナガガモの大群も飛来しています。

(なぜかオナガガモしかいませんでしたが)

 

 

 

 

 

もう少し俯瞰で見ると、こんな感じ。

もちろんこれとて氷山の一角に過ぎません。

 

今冬の最大飛来数は、何と1000羽以上だとか。

多々良沼でさえ数百羽といったところなので

如何にここが密であるかがよくわかります。

 

 

 

 

 

これはアメリカコハクチョウ……と言っていいかな?

少なくともアメリカの血が色濃く混じっているのは確かです。

 

アメリカryと無印のコハクチョウの識別には

嘴の黄色い部分の面積をチェックするのが常ですが

コハクチョウよりも黄色が小さい個体というなら

この他にも数羽見られました。

ただ、ここまで小さいのはこの個体だけです。

 

今はもう北国に旅立ってしまったかもしれませんが

水場の面積はそれほど広くないため、

飛来しているのであれば探すのは難しくありません。

 

 

 

 

 

デカいので、羽を開けばダイナミック。

 

ちなみに前にも書きましたが

白鳥は意外と気性が荒く、怒ると巨体に物を言わせて

人相手でも突っ込んでくる可能性があります(マジ)。

猛禽類のような鋭く尖ったものではないものの

固く大きなクチバシで突かれれば

最悪骨折の恐れもあるので油断なさらぬよう……。

(というか死亡例すらある)

 

 

 

 

 

 

もちろん、適度な距離と節度を守って観察する分には

基本的に無害な鳥なので、静かに観察したいところです。

 

現地には、ここが如何にして白鳥の郷として

守られるようになったかを記した看板や

今年の飛来数などをまとめた記録があるほか、

地元農家の方が花や農産物などを

販売していることもあるみたいです。

 

冬場、車で近くを通りかかることがあったなら

ぜひ一度は皆さんに見ていただきたいスポットです。

純粋な自然地とはかけ離れているかもしれませんが

人と白鳥の関わりなどがよくわかるはずです。

 

 

 

 

 

最後に、帰りがけに見かけたチョウゲンボウ

……と見せかけて、どうやらコチョウゲンボウ

(尾羽のストライプ模様が大きいことで識別できるとか)

光の関係でイマイチな写りになってしまい

Photoshopで大分加工してどうにか見えるようにしましたが

もう、明らかにコントラストがくどいです。 (;^_^A

 

雑誌編集者としてはこういう「コイツ、画像加工しやがったな」

一目でわかるような画像を使うのは正直気に入らないのですが(爆)

鳥のポジションと陽の傾きは人がどうにかできるものでもないので

まあ、この辺はご勘弁ください。<(_ _)>

 

 

 

 

 

【1/30 北印旛沼周辺で撮影した生きもの】

アオサギ、アカハラ、アメリカコハクチョウ(?)、オオジュリン、オオハクチョウ、オオバン、オナガガモ、カシラダカ、カルガモ、カワウ、カンムリカイツブリ、キジ、ケリ、コガモ、コサギ、コチョウゲンボウ、コハクチョウ、コブハクチョウ、ジョウビタキ、シロハラ、ダイサギ、タゲリ、チュウヒ、チョウゲンボウ、ツグミ、トビ、ノスリ、ハクセキレイ、ハシビロガモ、ヒシクイ、ヒヨドリ、ホオジロ、ホシハジロ、マガモ、ミコアイサ、ミサゴ、ムクドリ、モズ、ヤマガラ

 

 

 

 

★次回、生きもの探索ツアー「首都圏生きものめぐり」は

 2022年3月20日(日)に開催いたします。

 行先は「泉の森&ふれあいの森(予定)」でございます。

 現在お申込を受付中です。ご興味のある方はこちらよりお申込ください。

 (講座の概要につきましてはこちらをご参照ください)

 

 

【小学校6年生までのお子さんのご参加につきまして】

小学校6年生までの方は、初回500円でご参加いただけます。

ただし、御父兄の同行をお願いいたします。