風を味方に~して♪(手賀沼) | 首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

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雑誌編集者である著者が自ら首都圏の公園や自然地に足を運び、そこで出合った生きものの情報をお届けします。
都会の印象が強い東京にも、カワセミやタカ、多くの昆虫が暮らしています。「首都圏ってこんなに生きものが多いのか」と驚かされる情報が満載です。

小松未歩の次はLINDBERG、と……。

 

 

 

 

季節の変わり目だからなのか、

低気圧が直撃して外は随分と酷い荒れ様です。

今回ご紹介する手賀沼編でも、雨は降っていませんでしたが

風がとんでもなく強く、人によっては帽子とヅラが飛びそうなほど。

本来であればバードウォッチングには不向きな条件ですが

2月下旬に入ると〆切の関係で身動きがとりにくくなりそうなので

飛来情報を頼りに、昨年のコミミズクのリベンジに向かいました。

 

 

 

 

 

 

一通り、水辺のコモン枠と言える鳥は確認できます。

カンムリカイツブリの集団(左)がここにも来ていました。

右は、単にコサギダイサギを一緒に撮っただけのもの。

こうして並べばサイズの差も明らかなのですが

単体だと、ちゃんと嘴や足などの識別ポイントをチェックしなくては

自信をもって同定することができません。

 

 

 

 

 

飛んでいるミサゴ……なのですが

前述の強い風に向かって飛んでいたため、

飛行速度が非常に遅く、結構距離があった割には

自分の中では最も鮮明に撮ることができました。

(これが風を味方(?)にするということです)

 

著しく逆光でしたが、Photoshopでハレーションを取り払い

不自然にならない程度に明るく加工しています。

 

 

 

 

 

とは言え、羽を休めたい水鳥たちにとってみれば

水面をうねらせ、体温を奪っていく暴風はでしかないらしく

せめてもの風よけにとヨシ原の影に固まっている群れを見かけました。

(多分、ヨシ原の中にも相当数が隠れているものと思われます)

 

風向きと風の強さは、この写真でもある程度伝わることでしょう。

淡水の沼に「白波」が立つレベルのとんでもない風でした。

 

 

 

 

 

コハクチョウも数個体確認。

昨年はコブハクチョウしか見られなかったのですが、

今年は本種のほか、オオハクチョウも来ているとの噂です。

 

 

 

 

 

風に向かって飛ぼうとしているものの、

うまく前進できずに半ば空中停止状態になっている

白い小鳥を発見。最初はズグロカモメかと思いましたが

飛び方といいサイズといい、コアジサシに似ているような気も……。

 

後で検索してみてわかりましたが

どうやらクロハラアジサシのようです。

今年4種目の新顔となります。

 

遭遇率・・・1 (元々日本への飛来数が多くない)

インパクト・・・3

美しさ・・・3

俊敏性・・・5  (全然止まってくれない)

知名度・・・2 (それなりの鳥類図鑑なら載っているはず)

 

ちなみに、よりレア度の高いハジロクロハラアジサシの方を

先に昨年撮影しています。

 

 

 

 

 

手前にヨシが入ってしまいましたが

写りとしてはこちらの方がまだマシかも?

これでも風のおかげで半分空中静止していたから

運よく判別できるくらいに撮れたようなもの。

無風だったら恐らく早過ぎて

証拠写真すら押さえられなかったものと思われます。

 

 

 

 

 

うねる水面でバランスをとっている(ように見える)ミコアイサ♂

パンダガモとして人気の高い水鳥ですが

手賀沼を訪れるカメラマンは専ら東の水田地帯に行くため

ここではあまり注目されることがありません。

 

 

 

 

 

 

手賀沼は、北側に我孫子市、南側に柏市があり

両市を隔てる境界線のような立ち位置になっています。

上の写真は、我孫子市側にある「水の館」という建物。

同名の少女漫画がありますがホラーなので要注意

目の前にちょっとした池があり、バンの幼鳥(右)に遭遇しました。

 

 

 

 

 

 

水の館内にある展示スペース。

手賀沼では確かに頻繁にオオバンに遭遇しますので

こうして「市の鳥」に指定されるのもわかります。

右写真は、沼にかかる歩道橋で撮影したもの。

でも前情報がないとこれがオオバンだと気づかない人もいるかも?

 

ちなみに私の暮らす戸田市内でも

戸田ボートからちょっとした水路、そして彩湖に至るまで

あちらこちらでオオバンを見かけますので

もし「戸田市の鳥」を指定するならコレかヨシガモかな……と

勝手ながら想像しております。ただ、近い位置にある我孫子市で

既にオオバンが市の鳥とされているので、

やはりヨシガモが最有力(?)かもしれないと考えている次第です。

 

 

 

 

 

 

昨年と同じく、昼食は野菜レストランで。

開店前に結構並んでいましたので、人気が高いようです。

メニューも色々あるのですが、結局またカレーに軟着陸することに(汗)

 

なお、とんかつセットなどもちゃんとありますが

付け合わせの野菜はやはり地元農家で生産されたもののようです。

 

 

 

 

 

これは地元産のものではなく、

少し離れた所でつくられたデコポン。

帰宅後に食べましたが大変美味でした。

 

上記の野菜レストランは道の駅の一角に位置しているため

多様な農産物が入手できるようです。

このご時世で何かと農家も大変そうですし、

こういう所で購入するのも貢献になるんじゃないかと思われます。

 

食物繊維の取り過ぎでこの後田んぼで便意に襲われ危機的状況に立たされましたが

 

 

 

 

 

 

そういえば手賀沼の南側(柏市)にちょっとした森林公園があり

こちらもそこそこ鳥の出やすいスポットみたいです。

この日はコミミズクのために長居せず退散してしまいましたが

朝から張り込みすればそれなりの成果はあったかもしれません。

(風が強かったのでこの日は厳しかったかもしれませんが)

 

 

 

 

 

その強風のせい……だと思われますが

ヤママユの繭が落っこちていました。

しかも重たかったため、まだサナギが中に入っている模様。

 

落ちた段階で中身が死んでしまった可能性もありますし

開けて中を調べるわけにもいかなかったので

近くの草むらにそっと安置しておきました。

持ち帰って羽化を待つという選択肢もあったのかもしれませんが

あいにく捕獲や飼育は専門外なもので……。

 

ちなみにこの繭からは、質のいい天然の絹糸が採取できるとか。

独特の光沢が人気らしく、栽培も試みられているようです。

(繊細で飼育しにくいため、あまり大々的にはしていないようですが)

 

 

 

 

 

さて、お目当ての田んぼへ。

 

なんかハクチョウまで来ていました。

沼の方が風が強くて落ち着かないため

こっちに避難してきていたのかもしれません。

 

 

 

 

 

タゲリも複数確認できました。

昨年はもっと集団で飛来していましたが

この日は少々巡り合わせが悪かったようです。

 

 

 

 

 

飛ぶ、タゲリ

上記のミサゴと比べると角度がよろしくないですが

こういう姿を撮れたのは今回が初めてです。

 

 

 

 

 

確認したのは1羽だけですが、ケリも来ていました。

羽の色が淡いところからして、まだ若い個体なのかも?

 

他のバードウォッチャーの皆様と共に

強風と、それにより定期的に巻き起こる粉塵に耐え

夕方まで待つこと約1時間、ついに奴は現れました。↓

 

 

 

 

 

突然田んぼから飛び立った(それまで誰も気づかなかった)ので

慌てて撮影。間違いなくコミミズクです。

暫く上空を旋回した後、別の田んぼに降り立ちました。

これはまたとないチャンス。誰かが号令をかけるわけでもなく

皆さん揃って(もちろん私も)同じ方向に移動を開始します。

 

 

 

 

 

かなり距離はありましたが、

昨年に比べたら遥かにマシな画が撮れました。

欲を言うなら全身が露になっているところを撮りたかったのですが

撮影チャンス自体が限られている鳥ですので、これでも上々。

特に昨年はしょぼい写りで新顔登録する羽目になりましたので(汗)

個人的にはリベンジ達成と言っていいでしょう。

昨年この写りなら新顔ランキング2位だった可能性大

 

砲台クラスのカメラがあればもっと鮮明に撮れたのでしょうが

あれ、多分相当重いですからね……今くらいがちょうどいいのかも(汗)

 

 

 

 

 

そ~っと回り込んで、正面のアングルからも撮影。

コミミズクらしい顔つきを押さえることができました。

強風に耐えた甲斐があったというものです。

 

ところで地面の窪みに降りていたのは、

やはり風除けのためなのだろうか?

だとすればやはり総合的に見ると

風は味方ではなく敵だったと言わざるを得ない……かもしんない。

 

 

 

【2/11 手賀沼周辺で撮影した生きもの】

アオサギ、オオバン、オカヨシガモ、オナガガモ、カイツブリ、カルガモ、カワウ、カンムリカイツブリ、キジバト、クロハラアジサシ、ケリ、コガモ、コサギ、コハクチョウ、コブハクチョウ、コミミズク、シジュウカラ、ジョウビタキ、セグロセキレイ、ダイサギ、タゲリ、タヒバリ、チョウゲンボウ、ツグミ、トビ、ノスリ、ハクセキレイ、バン、ヒドリガモ、ヒヨドリ、ホオジロ、マガモ、ミコアイサ、ミサゴ、ユリカモメ

 

★生きもの探索ツアー開催に向けて準備中! 2021年4月開始予定です。

 3月中旬に情報公開しますので、ご期待ください。m(_ _)m