【天然記念物】
その地域(国or都道府県or区市町村)にある自然のうち、その地域ならではだったり、その地域にしかなかったり、その地域を特徴づける=“記念する”もののこと。
【史跡】と同じで、特に重要と考えられるものは 指定天然記念物 とされ、特別な保護の対象となる。
指定される“自然”は、動物・植物・地質鉱物・天然保護区域 の4種類に大別される。
動物や植物は、例えば トキ とか 屋久島スギ原生林 のように、珍しくて絶滅しそうだったり、大昔からその地域にあったりするものが指定される。
地質鉱物は、特徴的な断層とか、鍾乳洞とか、珍しい石の産地とかが指定される。
昭和18年から噴火などにより急速に形成された 昭和新山 という山なども、種類としてはここに含まれる。
天然保護区域は、例えば 尾瀬 のように、保護の対象とすべきものが一帯にわたって何種類も存在している場所を、区域ごと指定する、というかたち。
天然記念物は、一見、人の営みとは関係のないところにあるように見える。
でも、文化財保護的な観点からは、その土地の人々の“心象風景にある自然”、“生業にかかわる自然”といった、人とのかかわりも着目される。
むしろ、そういう部分があるからこそ、文化財の一部に位置づけられているのだ。
国指定天然記念物「宝蔵寺沼ムジナモ自生地」(埼玉県羽生市)
(ちょっとややこしいのだけれど、ムジナモという植物本体ではなく、ムジナモが生育している場所が指定されている)