1992年1.4東京ドーム。私はこの日、生観戦した。

 

新日本プロレス創立20周年を祝して、SHOW-YAがミニライブを行った。

 

一番感動した試合は、アントニオ猪木VS馳浩の師弟対決だ。

 

猪木は1年3ヶ月ぶりのリング。ゴングが鳴ると、いきなり馳が顔面に張り手を食らわせ高い声で「来いオラ!」

 

しかし猪木は挑発には乗らず、馳とスピーディーな攻防を見せる。若い馳にスピードで負けていない。

 

差し合い。馳が鮮やかな一本背負いから腕十字固めを狙うが猪木が防御。

 

馳がフロントスープレックス! さらにフライングメイヤーで投げようとしたが、猪木が腕を捻ってハンマーロックでうつ伏せに倒し、背中にストンピング!

 

馳がもう一度フライングメイヤーを狙ったが、猪木が背後から魔性のスリーパー!

 

何と、馳が落ちた。リングに大の字にダウン。タイガー服部はチョークだからと次の攻撃を認めない。

 

猪木を制し、服部が馳を起こす。馳は起きたが、もつれてコーナーに転がる。

 

馳が立ち上がった瞬間に猪木が浴びせ蹴り! ロープに飛ばしてショルダースルー!

 

猪木がダブルアームスープレックス! カバーに入るがカウントツウで馳が返す。

 

猪木がまたもやスリーパーホールド! 馳が慌てながら脚をロープにかけたが猪木は離れない。

 

服部が「1、2、3、4」と反則カウントを数える。猪木が獲物を狙う鷹のごとき鋭い眼光で馳を見すえる。

 

猪木が顔面に張り手! 左右の張り手! 馳も猛然と張り返し、ボディにニー! 

 

馳が猪木の側頭部に頭突き、頭突き、頭突き、頭突き頭突き頭突き! 猪木がダウンしても頭突き頭突き頭突き!

 

猪木が怒りの鉄拳! 鉄拳! 鉄拳! ふらつく馳にアリキック! 馳の脚を取ってアキレス腱固め!

 

しかし馳が切り返してWレッグロックから猪木に掟破りのリバースインディアンデスロック! そこからブリッジして鎌固め!

 

ところが、猪木がまさかの逆鎌固め! 馳が苦悶の表情。猪木が鬼の形相。ブレイク。

 

馳がボディにニーから裏投げ! 決まった。もう一度裏投げ! 猪木が苦悶の表情でダウン。猪木コールが起こる。

 

馳が裏投げ! カバーに入る。ワン、ツウ、猪木が2.8で返した。危ない。

 

チャンスか。馳が完璧な裏投げ! 猪木が後頭部を強打。馳はカバーにはいかずもう一発トドメの裏投げを狙うが、猪木が脚を掛けて粘り、馳の腕を捻ってアームブリーカー!

 

猪木が張り手から延髄斬り! バックに回ってスリーパー! 服部がチョークだと止めると猪木がもう一度延髄斬り!

 

猪木が卍固め! 大歓声。諦めない馳が歩く、歩いて、ロープブレイク。

 

大拍手がわくが、猪木は勝機を逃さず延髄斬り! 粘って倒れない馳に、猪木が延髄斬り! もう一度卍固め!

 

馳がギブアップ。10分9秒、猪木の完勝だ。

 

劇的な試合展開に東京ドームが大歓声に包まれた。

 

さすが猪木としか言いようがない。