※当ブログの映画感想系記事は、基本的にモロネタバレは避ける方針で書いておりますが、感想上必要な範囲内で物語の核心に触れたり触れなかったりしますので、その辺ご了承の上お読みくださいませ。
第2位 『パラサイト 半地下の家族』 ポン・ジュノ監督
下水臭う半地下の部屋に住むキム一家は、全員が失業中の貧困家族。
ある日、友人の紹介で長男が大富豪パク氏の娘の家庭教師をする事になった事をきっかけに、富豪家族を狂言で誑かし、妹、父、母と全員まんまと職を得ると、その豪邸に入り込み勝手放題。
しかしその豪邸にはキム、パク両家族の想像を超える秘密が眠っていた…
もはや説明の必要もないでしょう、65年ぶりのカンヌ最高賞&アカデミー作品賞ダブル受賞、特にアカデミー賞では非英語作品初の作品賞受賞という韓国発の怪物映画です。
作品としての感想はこちらも過去のブログでほぼほぼ描き切ってますので、こっちには何を書こうかしら。
改めてこの作品の凄いなぁと思う点は、毛色の違う二つの映画賞を両方取った事からも明らかなように、娯楽性の高さと芸術性の高さを、かなりいい線で両立させている所にある気がします。
それを思えば、近年の日本映画はかなりカンヌ寄りになってますよね、それはそれでいいんですけど、完全にエンタメ力で韓国に水をあけられちゃったのはちょっと残念感あります。
この作品に最も近い手ごたえの国産作品は、ベルリン金獅子とアカデミー長アニを制した宮崎駿監督の「千と千尋の神隠し」あたりになるんでしょうかね?
何回か見直してて気づいたのは、タイトルでもある「パラサイト(寄生)」について、一見半地下家族が富豪家族に寄生してる、という形に見えるけれど実際はどうかのか?と。
金と権力に飽かせて半地下家族をいい様に使おうとしてる富豪家族の方も、ある意味で労働力の寄生じゃないの?とか、ふと思いついて。
社長がプライヴェートなパーティーで半地下父さんにインディアン役をやらせようとした一連のシーンなんかが特に象徴的ですね。
労働と賃金が対等ならそれは立派な共生になるんですが、この作品の両家族はそれぞれの思惑が絡み合う寄生し合い状態で、ある種の共依存状態のようにも見えてきます。
で、その共依存を破壊したのは、格差の裏に静かに、でも確実に存在する差別やヘイトな感情…
それはどんどん格差が広がり、ヘイトが募り続けている世界の現状の縮図にも見えてきます。
韓国社会の片隅を描いた小さな作品が世界的に評価されたのは、そういうトコなのかもしれません。
そして、社会という大きな視点で見た場合、本質的により寄生している、といえるのは、日々額に汗して働いてる労働者と、彼らの年収分をあっという間に投資の不労所得で荒稼ぎするような連中と、どっちなんでしょうね…
それにしても、コロナ禍でますます格差が大きくなってゆくであろう今後、こういう破綻が世界中で広がってゆくのかもしれません…
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