
ふるさと納税による流出額について考える
先日の企画総務委員会でふるさと納税による区民税への影響額(流出額)が約97億と報告されました。
この3年間の推移をみても純増の傾向。
これをうけ、今後は「返礼品の拡充に力入れる」ような方向性もメディア等で取り上げられていました。
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地方の特産品などに負けないような魅力的な返礼品としては、例えば二子玉川花火のプレミアムシートのような
体験系のもの、区内スポーツチーム系の試合チケットなどチケット系、あるいはポイント付与で評判のせたペイ(せたがやPay)
がらみのものなど、いろいろまだアイディアの余地はあると思います。
他方、こうした「返礼」による魅力だけでなく「世田谷区のこの内容」を応援したいと思ってもらえるようなプロジェクトを打ちだして寄付を加速させるようなその作りこみも重要と考えています。
尼崎市では、以前「学校教育外バウチャー」事業を実施し、開始3年後は、この事業をNPO法人化してふるさと納税のスキームを使って寄付を募る形に切り替えています。
NPO法人化しているので、税収の減との相対にはなりませんが、民間事業化としたことで広報面含め様々メリットもあるのだろうと推測します。
当区も、同様に、ふるさと納税のスキームで基金やプロジェクトに対し寄付をしてもらう仕組みを設けています(実は)。
個別の課題ベースにプロジェクトとして寄付を募っているものとしては「本庁舎整備」と「下北沢駅前広場」プロジェクトのみ。この2つのように、具体の目的を打ち出したプロジェクト単位で訴求力ある内容のものをもう少しバリエーション増やしてほしいと考えます(本庁舎整備プロジェクトにいたっては今や微妙ですし・・)
第3回定例会にむけ、また提案していきます。
保育園退園届の保護者欄が2名であることの「意味」について
今日の子ども若者施策推進特別委員会で、
「保育園の退園時における両親の意思確認について」という陳情案件を審査する予定でした(取り下げになり)。
陳情の趣旨については、
現行、世田谷区の認可保育所で扱っている退園届の保護者欄が「1名のみ」の欄で、
片親の意思決定で提出・受理されることが可能であり、退園と同時に転居(別居)→離婚となった場合に
そのままもう片親とは断絶となるケースもあることから、そうした断絶となっている別居親の方たちからの
「退園時に、保護者両方の署名が必要な様式に改めてほしい」というもの。
この論点については、私も6月の一般質問で取り上げ、他の自治体の状況を調べるなど掘り下げてきたところです。
すでに23区のうち、4つの区(文京区、江戸川区、杉並区、新宿区)が2名欄での運用を開始、またお隣の川崎市でも
この4月から様式を改定しての運用を実施していることもわかりました。
どういう様式かというと、例えば江戸川区ですと↓このような書式:
https://www.city.edogawa.tokyo.jp/documents/7251/taientodoke.pdf
この手のテーマで反論として必ずあるのが「DVの場合どうするのか」という点。
このような書式に変更することで、DV被害にあっている場合に「避難を躊躇する」懸念がぬぐい切れないというものです(一般医質問の際の区側の答弁にもこのような内容が含まれました)
「DV保護」はもちろん重要な論点であり、実際に暴力・暴言あるいは子どもに対する虐待がある場合は、速やかに分離・隔離する必要があります。
ただ、そのようなケースについては、子ども家庭支援センター(当区の場合)と保育課が連携し、退園手続きについても通常の手続き以外でも進めていくことになるので(現行も)、この書式変更でリスクが高まるわけではないとも思います。
江戸川区は、当区と同じく児童相談所設置区でもあるので、保育課に問い合わせたところ、やはり要保護児童であったりDV相談を受けているケースについては情報共有がされているので、退園届の際にもそうした情報と照合しながら処理をするとのこと(1名のみの記入や、片側が2名分を記載していても受理する)。
実際には、相手に知らせずにどこかに転居を決めて退園をするようなケースは、1名のみの記入で提出するかもしれないし、
あるいは書類手続きはあと回しで先に転居するかもしれないので、この書式1つで、片親のみの退園決定→別居→もう片親との断絶を防ぐ・抑止するまでのものにはならないかもしれません。
故に、今回の陳情者の方が各議員に陳情内容を説明する際に「保護者欄を2名に変更することに意味あるのか」と言われた議員もいたそうです。
しかし、この手の書類において、「子どもにとっての親は2人いる」ことを前提としたものになっていることは、
それ自体意味があると私は思います。
書式1つであっても、子どもの最善の利益や子どもの権利に照らし、それらを阻害あるいは矛盾するようなものになっていないか?何を前提としてこの様式になったか?考慮して運用するべきであり、引き続き掘り下げていこうと思います。
新庁舎工事の6か月遅延について
5月下旬、区議会に突如、現在の新庁舎整備1期棟の完成が半年遅れるという申し出が大成建設側からあった
と報告がありました。
第1期棟は、我々区議会の議場や会派控室など区議会フロアも含まれる棟です。
3か月後の9月には完成・そのタイミングで区議会も移転ということで、5月に会派控室が決まった際に
新庁舎での控室についても協議し、レイアウトなども決めたばかりでした。
工事費450億円ほどという規模のことや、完成まであと3か月ちょっとというタイミングで突然の延期報告だったために
各種メディアでも取り上げられました。
※日経系の記事:
その後、大成建設側から6月9日に遅延理由についての報告書が提出され、
また、21日のDX・庁舎整備等特別委員会には大成建設側が参考人として出席し質疑応答。その際にも資料が様々提示をされました。
結局、遅延理由は様々説明されましたが、いずれをとっても、「専門家なのだから、それを見込んで工期を組んだのではないのか?」というものばかり。
例えば、新庁舎では、バルコニーの窓が通常のフラットのものではなく、ジグザグ状の形状で建設されるのですが、
ジグザグの形状だったので、仮支柱と干渉があり遅延など、我々は建築の素人なのでよくわからないまでも
「通常のものより工数かかることは最初から見込むべきでは」と感じます。
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区側は遅延の経緯を検証する委員会と今後の工期の妥当性を検討する部会を立ち上げ、対応するとしており、
また次の7月28日の特別委員会において、その内容が報告されます。
6か月の遅延がこの先の2期・3期工事にもどのくらい食い込むのか、それによって発生する機会損失(新庁舎で執務がスタートできていたら実現できていた区民サービスなど含め)について、あまりに影響の範囲が大きくつかみにくいところはありますが、
それらを把握して次善策を考えていかねばと思います。