保育園退園届の保護者欄が2名であることの「意味」について | 佐藤美樹(さとうみき)のサトミキ☆ブログ

保育園退園届の保護者欄が2名であることの「意味」について

今日の子ども若者施策推進特別委員会で、

「保育園の退園時における両親の意思確認について」という陳情案件を審査する予定でした(取り下げになり)。

 

陳情の趣旨については、

現行、世田谷区の認可保育所で扱っている退園届の保護者欄が「1名のみ」の欄で、

片親の意思決定で提出・受理されることが可能であり、退園と同時に転居(別居)→離婚となった場合に

そのままもう片親とは断絶となるケースもあることから、そうした断絶となっている別居親の方たちからの

「退園時に、保護者両方の署名が必要な様式に改めてほしい」というもの。

 

この論点については、私も6月の一般質問で取り上げ、他の自治体の状況を調べるなど掘り下げてきたところです。

すでに23区のうち、4つの区(文京区、江戸川区、杉並区、新宿区)が2名欄での運用を開始、またお隣の川崎市でも

この4月から様式を改定しての運用を実施していることもわかりました。

 

どういう様式かというと、例えば江戸川区ですと↓このような書式:

https://www.city.edogawa.tokyo.jp/documents/7251/taientodoke.pdf

 

 

 

この手のテーマで反論として必ずあるのが「DVの場合どうするのか」という点。

このような書式に変更することで、DV被害にあっている場合に「避難を躊躇する」懸念がぬぐい切れないというものです(一般医質問の際の区側の答弁にもこのような内容が含まれました)

 

「DV保護」はもちろん重要な論点であり、実際に暴力・暴言あるいは子どもに対する虐待がある場合は、速やかに分離・隔離する必要があります。

 ただ、そのようなケースについては、子ども家庭支援センター(当区の場合)と保育課が連携し、退園手続きについても通常の手続き以外でも進めていくことになるので(現行も)、この書式変更でリスクが高まるわけではないとも思います。

 

江戸川区は、当区と同じく児童相談所設置区でもあるので、保育課に問い合わせたところ、やはり要保護児童であったりDV相談を受けているケースについては情報共有がされているので、退園届の際にもそうした情報と照合しながら処理をするとのこと(1名のみの記入や、片側が2名分を記載していても受理する)。

 

実際には、相手に知らせずにどこかに転居を決めて退園をするようなケースは、1名のみの記入で提出するかもしれないし、

あるいは書類手続きはあと回しで先に転居するかもしれないので、この書式1つで、片親のみの退園決定→別居→もう片親との断絶を防ぐ・抑止するまでのものにはならないかもしれません。

故に、今回の陳情者の方が各議員に陳情内容を説明する際に「保護者欄を2名に変更することに意味あるのか」と言われた議員もいたそうです。

 

しかし、この手の書類において、「子どもにとっての親は2人いる」ことを前提としたものになっていることは、

それ自体意味があると私は思います。

書式1つであっても、子どもの最善の利益や子どもの権利に照らし、それらを阻害あるいは矛盾するようなものになっていないか?何を前提としてこの様式になったか?考慮して運用するべきであり、引き続き掘り下げていこうと思います。