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さすらいびとの徒然漂流記

ふらふら漂流するさすらいびとのように,色々な話題についてお気楽極楽,徒然なるままに…

最近DXと2025年の崖についてのブログを公開したばかりだけど,既に茹でガエルが始まっていました。

ちょっと言い訳すると,ずっとドラフトで塩漬けしていた記事だったので,あまり追加調査してませんでした。ショボーン

 

でもって,最近ちょっとSAP界隈で話題になっているのが,

 

    

SAPの2027年問題

 

というものだ。

これはSAPから2020年2月4日(日本法人は翌日5日)に以下が発表されたことに由来する。

 

SAP、SAP S/4HANA®のイノベーションに対するコミットメントを延長し、 SAP® Business Suite 7の保守方針を明確化して選択肢を提供 - SAP Japan プレスルーム

 

つまり,この発表により「2025年の崖」が「2027年の崖」となった

そして,さらには「2030年の崖」「2040年の崖」へと変わっていくのだろう。

やはりというべきか,想定通りというべきか。

SAPからすればコストが見合えばユーザのDXがどうなろうと関係ないのだから。

 

しかし,延期されたからと言って状況が良くなるのかというとそうならないだろう。

結局,DXプロジェクトのほとんどはうまくいっていないという現実がある。

 

問題はユーザ企業だけではなく,IT企業にもある。

変わらないのはどちらも一緒で,この両輪が悪い意味でかみ合って回り,まるでレミングの集団自殺のように(実際にはレミングの自殺は誤解で,移動するのはもっと前向きなものだが),破滅への行進を続けている。

愚かなユーザ企業と嘘つきあるいは馬鹿なIT企業が手を取り合って行き着く先は果たして。

2022/11/30にOpenAIChatGPTを公開したことで,

ちょっとHOTメラメラになっているのが生成型AI。

 

噂が先行している感があるが,きちんとした人の記事を読むのが良いが,基本的には,

 

    
  • 実用的なソースコードを書く実力がある
  • 定型的なコードを書く必要がなくなる
  • プログラマに完全にとってかわることはない

 

というところだろう。

 
しかし,多くのプログラマはこの内容だけでも十分に脅威となる。
例えば,以下のQittaの記事によると自身の書籍の練習問題を解かせている。
 

ChatGPTは本当にプログラミングができるのか 自分の本の練習問題で実験した - Qiita

 

もちろん,こんなの簡単だという人も多いだろうが,これが即答できない人にとっては既にChatGPTに(部分的にしろ)負けていることになる。

 

 

現状で生成型AIの問題となるのは以下の点だろう。

 

  • どこまでの実装が可能なのか
  • いくらでできるのか

 

先ほどの記事はChatGPT公開から約3か月時点のものだ。

果たして1年後は?5年後は?

 

また,たとえ同じことができるといっても,料金の問題がある。

果たして,あなたはChatGPTと同じ値段で仕事をすることに納得するだろうか。

 

 

ChatGPTのサイトの"Limitations"のトップには以下の記述がある。

 

ChatGPT sometimes writes plausible-sounding but incorrect or nonsensical answers. 

 

まあ,「もっともらしく間違えや意味不明な回答をすることがあるぞ」ってこと。

 

公式サイトでもこのような記述がるので,まだまだといえるだろうが,それがいつまでなのかは誰にもわからない。

少なくとも今のうちにネットのコードをコピペするような開発者からは脱却しておくべきだろう。

AI等による自動運転車,ここでは自走車としよう。

その自走車が普及するとどうなるのか。

 

車が勝手に目的地に連れて行ってくれるので,ドライバが必要なくなるので運転免許証が不要になる。

これは同時にタクシーもいらなくなるということ。

逆にMaaS,つまり,移動手段をサービスとして提供する商売が生まれることを意味する。

更には,自動車を所有する必要もなくなる

そうなると,店に駐車場を用意する必要がなくなる

ただし,代わりに大き目の施設の場合などは自走車をプールしておくというのが,利便性向上(配車を待たずにすぐに帰れるので)という意味でのウリになるかもしれない。

 

移動手段という意味ではバスや電車も不要になる。

何故なら,door to door の移動手段があるのに,わざわざバス停や駅に何らかの手段で移動し,来るのを待って乗り込むなどというのはただ面倒なだけ。

代わりに,線路は自走車専用道路のような活用ができる。

 

駅が不要となると街並みも変わらざるを得ない。

何らかのランドマークを中心に商業地区が出来るか,意図的かつ人工的に作り上げることも可能になる。

 

ここで子供の視点に変えてみる。

自走車は免許不要なので年齢を問わずに利用できる。

となれば通学にもそもそも歩く必要がなくなる。

これは誘拐などの危険も減ることになるのでメリットも多い。

実際,米国などはその危険性で送迎かスクールバスを使っているというのもある。

日本は安全だから子供だけで歩いて通学などということができているだけである。

 

そうすると,そもそも歩く必要があるのかということにもなってくる。

歩道がなくなり,歩行可能エリアのようなところ以外は基本的に道路は自走車専用でも良くなる。

自転車も同様に特定の場所でのみ乗ることができるものとなるかもしれない。

また,運動不足などを考えるとルームランナーなどのようなものを車内に持つようなものも出てくるかもしれない。

 

そうなってくると信号も不要になる。

渋滞もなくなり,自走車での移動時間の予測精度がかなり高くなる。

工事や事故など以外ではほとんど同じ時間で移動できるのだから。

 

 

さて,実際にはどこまでいけるのか,どのような未来が待っているのか。

出来るなら,生きている間に自走車があふれる世界が訪れるといいのだけど。

 DXとは

 

近年,「DX」がIT界隈ではバズっている。これは経産省が2018年に公表したレポートにある「2025年の崖」が近づきつつあり,その解決としてDXが必要とされているため。


DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~(METI/経済産業省)
 

更に,この発表から2年ほど経過したところで,経産省が進捗の調査を行い,その結果を公表した。

 

デジタルトランスフォーメーションの加速に向けた研究会の中間報告書『DXレポート2(中間取りまとめ)』を取りまとめました (METI/経済産業省)

 

結論からすると,日本企業のDXはあまりうまくいっていない。

もっとも,さすらいびとからすると行かなくて当然という思いがある。

 

そもそも,「DX」とは何なのか。

 

DXを提唱したといわれるErik Stoltermanの定義もあるが,これはリンク先を参照してもらうとして,経産省のレポートでは以下のように定義している。

 

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること

 

まあ,ざっくり言えば,

 

 

    
DX=経営のIT化

 

 

のこと。

 

これを見ると「な~んだ,また○○のIT化ってやつか」と思うかもしれない。

確かにそうだが,この言葉の意味を本当に理解している経営者なら,「IT部門にDXを丸投げする」などということは,絶対にしないはずだ。

もし,それをしているのなら,この言葉の意味を全く理解していないということだ。

 

「経営のIT化」とは「経営にITを使う」ということである。

特にビッグデータやAIが注目されているのは,「データ中心経営」あるいは「データ駆動経営」とでも言うべき経営手法である。

これは,

 

「迅速に」データを収集・分析したエビデンスをもとに「迅速に」経営判断を行って「迅速に」ビジネスを実行する

 

というものだ。

 

つまり,ITを使うのは「経営者自身」であり,その仕事である「経営を支援するシステムを導入する」ということである。

だからこそ,経営の素人であるIT部門に経営の方法をシステム化する,つまり,丸投げなど絶対にできないことである。

 

良くIT屋が「御社のDXを支援します」と言いつつ,ただのIT化やシステム化,あるいは自動化やAI導入をするだけということがある。

これも,DXを理解していない(あるいはもっと悪いことに分かっていてわからないふりをしている)IT屋が,商売としてDXというキーワードを前面に出して,いままでと同じ商売をしようとしているに過ぎない。

もし,DX支援なのに,経営者を関わらせようとしないなら,それはもはや「詐欺」である。

それとも,そのIT屋はその顧客の経営など全て御見通しだとでもいうつもりなのか。

 

 DX化

 

ではどのようにDX化を進めるのか。

 

DX化の基本的な流れは以下のようになる。

  1. 自社でのDX対象の選定
    1. 現行経営業務の洗い出し(AsIs分析)
    2. ToBe経営業務の検討
    3. ギャップ分析
    4. ToBe化の優先度付け
    5. ソリューション検討
      • ここでIT化やAI導入が検討される
  2. システム開発
  3. 運用と改善活動

 

DX化の流れを見てもわかるように,ただシステムを作っていただけの既存IT屋にはできない内容となっている。

本当のDX化をするには経営分析とソリューション立案が必要である。

そして,ほとんどのIT屋にはできる人が足らないあるはそもそもいない。

だからなんちゃってDXをするところがほとんどとなってしまう。

しかも,DXは経営のIT化なのだから,失敗は経営にかかわる大問題となるのだ。

 

こんなことに投資するのは無理だあるいは出来るわけがないと思う経営者もいるだろう。

 

それこそが,日本がIT後進国たる所以でもある。

つまり,いままでIT化をさぼってきたつけを一気に解消して,最新の経営に移行しようとするから無理が生じているのだ。

これはいわば,がん患者が治療としてずっと痛み止めと簡単に切除できる腫瘍だけを取り除いていたら,気が付いたら末期がんになっていた。

でもって,一気に手術で全快してしまおうとしているようなものである。

 

以前からいろいろなことのIT化やデジタル化が言われ,経営スピードのアップも言われていた。

このビジネスにメスを入れるIT化をずっと怠ってきたつけを一気に解消する羽目になっているから,大掛かりなことになっているのだ。

 

また,日本でもてはやされる「現場に頼ったビジネス」も同様である。

これはいわば局所最適であり,全体最適が必要となるDXとは相反するものだ。

迅速な判断には迅速な現場対応も必要であり,そのためには全体が有機的につながり,経営判断が現場まで届くようになっているのが前提である。

 

欧米では全体最適を徐々に進めてきた結果として,今のDXがあるのであり,それをさぼってきた日本で実施するのが大変なのは当たり前といえる。
 

 2025年の崖

 

今までの議論からすると「果たして日本は2025年の崖を超えられるのか?」と懸念したくなるだろう。

しかし,結論として崖は来ないと個人的には考えている。

これは,いい意味でも安心できることでもなく,単に赤信号みんなで渡れば怖くない状態にすぎない。

要は茹でガエル状態で茹でられ続けることになるというだけのことである。

ガラケーがなくならいどころかいまだに新作が出るのと同じ原理である。
経産省のレポートでは基幹システムの期限などがあげられているが,非DXが多数派なら継続や何らかのケアがあるはずであり,結果として,非DX企業は生き続けることになる。

 

良くも悪くも日本は国内だけでビジネスができる規模であるといわれている。

例えば,韓国ではそれが難しといわれており,国内のビジネスだけで生き残るというのが難しいのだ。

そのため,ガラパゴス化し,国際的な競争力が皆無でも当面生き残ることができてしまうのだ。

果たして,日本の企業,そして日本全体の将来にとって,この生き残りがどのような結末を導くことになるのか。

あけおめ,ことよろ。

 

去年はコロナ禍は継続,ロシアは暴れる,原油は高止まり,中国も不穏,経済はイマイチといろいろと散々な状態だけど,今年は改善されるといいなぁ。