4-3:特質系能力(その3:番外)【H×H感想 3rd版】
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◆特質系能力について(その3:番外)
この項目は本来「4-1:特質系能力(その1)】」と「4-2:特質系能力(その2)」に納めたかった内容で、その記事の内容を前提におく。
狙って分けた訳ではないが、元々番外的な扱いだったため結果的に良かったかもしれない。
◆フェイタン=ポートオ
「2」の番号を持つ幻影旅団員で、戦闘や拷問を担当している模様。
特質系能力の項目に載せてはいるもののフェイタン自身の念系統も能力の念系統も不明。
しかし再開後お亡くなりになる可能性もあり、事前に扱うタイミングが今しかない様に思われたため、端的に言うなら「やむを得ず」この項目で取り扱うことになった。
要はフェイタン=特質系能力者なのではないか、ということだ。
今のところ明らかになっている能力は“許されざる者(ペインパッカー)”と“太陽に灼かれて(ライジングサン)”の2つ。
受けたダメージの内容(量や質)に応じた、熱量をオーラに付加していると読むと変化系(オーラに温度の性質を付加?)。
そして、その熱から自らを守る防護服を具現しているため、変化系or具現化系能力者という印象を受ける。
あるいは疑似太陽自体も具現化物という可能性も否定はできない。
ひとまず何れにしても、単純乖離(=AOP型 ≠放出乖離・EOP型)の能力であれば通常、発に用いたオーラの分だけ術者の防御面に難が出てしまうのだが、広範囲・高火力の能力で“攻撃は最大の防御”を地で行く様に上手くカバーしている様に思われる。
旅団腕相撲ランキング5位という情報を加えると、
単純に考えると、強化系に近い変化系能力者
やや穿って考えると、AOPが多い具現化系能力者というのが第一印象だ。
ザザンに硬が通用しなかったことが反論に挙げられそうだが、まずそもそも論としてBP(肉体の強さ)が人と人間蟻では段違いなのである。
そこにザザンのBP強化(ex.爆肉鋼体)が加わるが、これは能力の性質として“ゴンさん”に近しい部分がある。
ザザンが千切った尻尾は「審美的転生注射(クイーンショット)」に必要不可欠な要素で、自らの女王としての未来を捨てた結果得られた姿なのである。
ちなみにだが、ザザンはキメラアントの摂食交配を潜在的に継承しているため恐らく特質系。加えて摂食交配を除いて発らしい発を用いていない様子や、元々の尻尾を千切った直後に新しい尻尾を再生した(自然治癒力の強化?)こと、最終的に用いた能力が自己強化である点。
フィンクスからは稚拙な放出系攻撃と評されたが、
少なくとも直撃すれば衣服を弾け飛ばす威力は保っていることを考えると、強化と放出の間の特質系能力者(強化寄り)かと思われる。
さて、話を戻す。
能力からフェイタンは強化寄りの変化系能力者か、AOPの多い変化寄りの具現化系能力者かと思われるとは言ったものの、腕相撲がそこそこ強く、系統不明の能力者に対して近接戦闘を挑む様子から、ひとまず現段階では一番無難な強化寄りの変化系能力者としておく。
しかしその一方で疑問点も多いのです。
フィンクスらの話によるとフェイタンは複数の技を持っている様で―
ゼノが“龍頭戯画(ドラゴンヘッド)”から“牙突(ドラゴンランス)”や恐らく“龍星群(ドラゴンダイヴ)”と発展させた様に
―フェイタンの“許されざる者(ペインパッカー)”も“起点の技”で、受けたダメージの内容(量や質)に応じて“太陽に灼かれて(ライジングサン)”などの様に枝分かれさせるのではないかと思われる。
ただ能力の内容と、フェイタンの好戦的で嗜虐的な性格や戦闘スタイルとの“チグハグさ”が気になってしまっている。
まず、“許されざる者(ペインパッカー)”は迎撃型(カウンター型)なのである。
“自分からは攻めない代わりに攻撃されたら反撃するよ”という戦闘スタイルならわかるが、自分からもガンガン攻めて行って、その過程でダメージを受けて“はい、迎撃型能力発動ね!^^”というのは如何なものなのだろうか。
もちろん反射倍率が低いならありかと思われるが、フェイタンが受けたダメージは胸部の打撲(?)と左腕骨折程度であるにも関わらず(サザン狂化後の殴打戦での打撲もあるかもしれないが)、反撃がアレですから、反射倍率が“異常に高い”様に思われる。
この反射倍率の高さから、変化寄りの具現化系能力者というのもありなのかとも思ったのだ(敢えて苦手な近接戦闘を自分に強いるという制約と誓約)。
加えて、フェイタンの性格とその能力の相関関係にも疑問がある。
“系統的に強化系が苦手だから、敢えて苦手な近接戦闘を自分に強いている(フェイタン=具現の立場)”と考えると、どちらかといえば思慮深い様に思われるのだが、作中で描かれているフェイタンの様子はどちらかと言えば短気で浅慮である。
“好戦的な性格にも関わらず持っている能力は迎撃型(フェイタン=変化の立場)”と考えると、好戦的な性格にも関わらず大変なイメージ修行等を経てまで得た能力が“自分がそれなりのダメージを受ける”ことを前提としており、正攻法では勝てないことを想定したかの様な迎撃型であることにも疑問が残る。
「フェイタンに念の師匠の様な存在がいた」のならば、ありえるかもしれない。
フェイタンの好戦的な性格を理解しており、好む近接戦闘が念系統(少なくとも強化系ではない)的に合わず、同レベルの強化系能力者には苦戦を強いられるから助言をした、とかならばそれっぽく通じる様な気もするが、
“家族?なにそれ?”
と言っており、その師匠なる人物が既に死んでいたとしても、国際人民データ機構にデータがないことから、少なくともクロロ、シャル、シズク、フェイタン、マチ、フランクリンは流星街生まれで、フェイタンにだけ師匠の様な人物がかなり具体的に、それも熱心に指導していたことには疑問が残る上、師匠の言うことにおとなしく従うタイプなのだろうか(わからない)。
つまるところ、フェイタンの能力の“開発過程”に疑問があるのだ。
そして漸く本題。フェイタンの能力は開発したのではなく“出現”したのではなかろうか。
自らがケツモチを務めるマフィアの組長・モレナ=プルードの造反が露見した際に、怒りに呼応するように本人の自覚なく新たな念獣が具現化されたように、
直面した逆境を打破すべく、ヂートゥが新たな能力を生み出したように、
フェイタンが苦戦を強いられ思わぬダメージ受けて、ブチギレた時に発現した能力の1つだったのではなかろうか。
―その様に考えると、チグハグ感にも納得が行く。
一見それほど重大なダメージを負っていないにも関わらず、その反射倍率が高い理由としては、
“痛みを返すぜ”
という言葉に着目し、フェイタンが敵から受けるダメージの“痛み”の倍率が上がる”という制約と誓約ではなかろうか。
特質系は望んだ願いに対して―成就されたとしても―その術者の力に応じて“返し”が無理矢理辻褄を合わせる様子があるため、痛みの倍率が上がるという制約と誓約ではなかったとしても、フェイタンは反射倍率を高めるために何かしらの強い負担を負っているかと思われる。
以上の様に考えると、フェイタン=変化と具現の間の特質系能力者(変化寄り)だろうか。
あるいは、腕相撲でマチ(変化)に勝ち、フランクリン(放出)に負けていることから、腕相撲の3要素「BP(肉体の強さ)、AP(オーラ量)、SP(強化系の威力・精度)」で考えると「BP=フランクリン>フェイタン>マチ」で「SP=フランクリン(80%)=マチ(80%)>フェイタン(60%)」だと厳しい様に思われるため、防護服が“熱全般に強い”訳ではなく“自分が産み出した疑似太陽の熱にのみ強い”様なものであると考えれば、フェイタン=強化と変化の間の特質系能力者(変化寄り)という方が良いのかもしれない。
さて、ここからは完全に情報不足のため描写外に大分出る妄想寄りの余談。
フェイタンを特質系能力者かと思ったもう1つの理由が、フェイタンがキレた時の“言語(文字)”である。
「去」や「憂」というそのまんまの漢字もあるが、全体的に複数の漢字や記号を合わせた様な造語の様である。
明確に示されているものでは、ハンター文字(?)(H×Hの世界の共通語?)、
念を補助する効果のある神字(しんじ)に続く3つ目の言語だろうか。
普段のフェイタンの「なんちゃって中国人」の様な話し方や、謎の言語の「漢字感」から当時はハンターの世界の中国人かと思われた。
しかしカキンの人々は普通に会話が成立するため、カキンの人々は共通語(ハンター文字?)を用いている様だ。
(まぁ、レオリオのお勧めしていた携帯・ビートル07型が“200種類の民族言語通訳機能付き”だったことを考えると、“漫画の都合”の可能性高いでしょうけど)
しかしながらカキンは超古代国家で、30年程前に“「歴史上最も静かな革命」と言われた真林館事件”で帝国社会主義から議会民主主義へとシフトしたと言われている。
その際に近代化や、グローバル化を進めようとして共通語(ハンター文字)を取り入れただとか、あるいはフェイタンの話す言葉の文字の画数がやたら多いことから旧字体を彷彿とさせるが、あの言葉は古代カキン帝国で使われていた言語なのかもしれない。
・フェイタンは流星街生まれ。
・流暢に例の言語を話していたことから、その言語を使う流星街にあるコミュニティで一定の年齢まで育っている(例の言語が第一言語で、共通語が第二言語だからややカタコト)。
・“家族?なにそれ?”発言からあの時点で家族はいない。死んだか、殺したか、家族とは思っていないか。
以上の要素から複合的に妄想してみると―、
カキンのとある二線者の一族が流星街に亡命し、カキンの王族達にいつか復讐せんと自分達の子供たちを使って「壺中卵の儀」を模して育てていた。しかし、所詮は二線者といったところか野望はいつしか形骸化し、昔から先祖がやっていた方法に則りつつも自らの鬱憤晴らしでしかない暴力や虐待の様相を呈していた。
そしてある時、その内の子供の一人が大きな力を発現し、そのコミュニティ丸ごと吹き飛ばした
―なんていうお花畑が浮かぶ。
そして良くわかっていない要素として、フェイタンの“あの状態”である。
ストレートに考えれば「ブチギレて地が出てしまった(外国人が怒ると母国語になるような感じ)」となるのだが、フェイタンの能力が複数あり、何れも範囲が広い(=広範囲に効果を及ぼす程の威力を持つ)点、
そして、“あの状態”になった途端(まだ能力発動前)、クラピカの様にオーラの絶対量が増えた様にも見える描写があることから(単純に極端な怒りが念に影響をもたらした可能性もあるが)、「フェイタンの中の別の人格とスイッチした」とも捉えられる様に思われた。
二重人格なのか、多重人格なのか、はたまた「壺中卵の儀」を模した結果、フェイタンの体の中に複数の魂(人格)があるのかはわからないが、その人格ごとに例えば“痛みを受けて思い出す情景が異なる”のであれば、“許されざる者(ペインパッカー)”を起点に発展する能力にも差が出て来るかもしれない。
炎天下であったり、極寒の中であったり、雨の日だったり(雨が体中の傷に染みていた=酸の雨を連想)と、何れも自らを取り巻く環境を再現しているから広範囲の能力になるかもしれない。
酸の雨に関しては、仕込み傘をわざわざBW号に持ち込んでいたため、単純に代用の効かないお気に入りの暗器故なのか、能力に関係があるかもしれないと思い適当に足してみた。
そんな感じで能力の発現由来、血統(二線者の子孫?)、特殊な育ち方(=多重人格者を指している?)等から、フェイタン=特質系能力者という考えも出来るかな、と思いました。まぁ根拠部分が色々乏しいですけどね。
二線者の子孫であればBW号で思わぬ物語の発展もありそうですし―大変そうな暗黒大陸編に突入しないようにか―やたらとBW号内をイベント盛り沢山にしているため振り逃げダイナミックをかます助けにもなりそうですしね。
以上。
→5:具現化系能力に続く。