4-2:特質系能力(その2)【H×H感想 3rd版】 | ばんぶーのブログ

4-2:特質系能力(その2)【H×H感想 3rd版】

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◆特質系能力について(その2)

この項目は本来「4-1:特質系能力【H×H感想 3rd版】」に納めたかった内容で、その記事の内容を前提におく。

 

◆カミーラ=ホイコーロ

カキン帝国の第2王子、カミーラ=ホイコーロ(以下、カミィ)の自前の念能力、「百万回生きた猫(ネコノナマエ)について。

念系統は作中で明らかにはなっていないが特質系の能力で、恐らく絶状態でなくとも発動自体は可能な能力かと思われる。

 

①:カミィが絶状態で殺されると巨大な黒猫型の念獣が出現し、

②:その黒猫がカミィの命を奪った敵を殺し、

③:殺した敵を“ネるねルネルね”して出来た液体(?)を尻尾からカミイの口に注ぐと

④:カミィが復活する

―という、迎撃型(カウンタータイプ)の能力で、死後発動し攻撃して来た者の命を以て蘇生する、死によって強まる念の一種である様だ。

色々な要素が1つに詰まった面白い能力である。

 

◎迎撃型(カウンタータイプ)の能力

相手の“行動や思考”に対して発動する念の一類型で、その性質上先制を相手に許す事になる。

一番想像しやすいのは自分への“攻撃”に対して発動する反撃だろうが、事前に命令をしてそれに反した者に対して発動させたり、相手の抱いた思考によってその威力を向上させたりすることが可能で、“発動”が迎撃型であったり、“威力”が迎撃型だったりする様だ(基本的にはその両方であることが多いかと思われる)

 

これまで「絶」が、「硬」の過程や、極度に疲れた時に効果がある程度しか示されていなかったため、念の“四大行”の中に「絶」が含まれることにやや疑問があったものの、「絶」によって防御力を0にすることで自らのリスクを最大化することでカウンターの威力を倍増させる方法が示され、絶状態を条件とする能力は意外と多いのかもしれない。

 

ただ一方で、

絶をする術者に明確な害意を含むオーラを向けた場合はどうなるのだろうか。

術者が反射的にオーラで身を守ろうとすれば、その時点で術者の条件を破れる様にも思われる。

ただ、“絶の相手に害意あるオーラを浴びせれば心身に負担をかけ死なす”こともあるから、それも“攻撃”とみなすことができ、反射的に身を守ろうと絶を解除しても―絶状態で相手オーラ(攻撃)を浴びているから―迎撃型の念は発動されるかもしれない(後述の停止条件付きの発)

 

◎停止条件付きの発

メモリの項目で大体の概要には触れてしまっているが一応もう一度触れる。

停止条件付きの発という言葉は作中にはなく、私(ブログ主)が勝手にそう呼んでいるだけであるが、クラピカの「律する小指の鎖(ジャッジメントチェーン)や、ゲンスルー組の「命の音(カウントダウン)や、「絶状態での念の使用」について考えるとそのような仕組みがあるのかと思われる。

「停止するための条件が付された発」ではなく、「効果を発するまで停止させる条件が付された発」のこと。

ちなみに前者は「解除条件付きの発」で、若干分かりにくい言葉ではあるが「停止条件」や「解除条件」は現実世界に存在する用語のため悪しからず。

 

さて、ゲンスルー組の「命の音(カウントダウン)を例に考えるが彼らの能力は、

事前に爆弾を取り付けた対象者(ターゲット)の目の前で能力についてきちんと説明すると(=停止条件)、爆弾が作動する(=効果)というものだ。

対象者の爆破させたい箇所に触れながら「爆弾魔(ボマー)と言うことでその爆弾を取り付けることができるが、

“取り付けられて”から“説明がなされる(停止条件を満たす)まで”の間、その爆弾はどのような状態なのだろうか。

アベンガネの所見によれば、その爆弾は具現物の様である。

 

停止条件を満たすまで、「隠」されていたというのはおよそ考えられない。

実力的にビスケがゲンスルー組より下というのもあり得ないし、“怪しい雰囲気を感じたら何をおいても「凝」”と口酸っぱくしていた彼女が、あからさまに怪しいGI開始直後の勧誘や、情報交換の際に「凝」をしないとは思えない

しかしながら、情報交換の際の話振りからするに少なくともアスタハンゼ組の男には爆弾が取り付けられていた様だが、そんなアスタらを見てビスケは“何人か心当たりがあるようだわね”と考えていたため、“視えていない”のだ。

 


ナックル戦でのゴンのオーラは総量だけ言ったら“中堅クラス”と比べても遜色ねェと評されており、その量はAOP1800(POP21500)程である。

ジャジャン拳グー時はその1発に2000オーラ超のオーラ(SOC)を使用していたが、放出系の発はその念弾に用いた2000オーラを切り離すため、その念弾の素材となったAOPと放出系の発で同量のオーラを消費(SOC)するから4000オーラを消費してしまう。

「命の音(カウントダウン)は面倒な制約と誓約もあり、1個にどれほどのオーラが消費されているかは不明ではあるが、その威力は(当時の)ゴンのジャジャン拳グーよりも高い様に思われるため、あくまで参考数値としてゴンの4000オーラを式に用いるが、

「4000オーラ(※参考数値)×60個(以上)÷3(ゲンスルー・サブ・バラで分割の場合)=80000オーラ相当」

ゲンスルー達はあのハメラレ組に相当量のオーラを消費していることになる(モラウでさえもオーラ総量は7万程度)


ゲンスルーは説明の段階で既に“仕掛けた”と言っており、それぞれが“触れられたところ”に爆弾が出現している。

“説明した時”“一斉に具現化させた”とすると、3分割しても8万相当のオーラをゲンスルーは説明時に消費していることになってしまうため、それぞれの爆弾を“設置した時”SOCは発生させていたと考える方が自然だろう。

※あの場に居た60人近いハメラレ組の相手を多少しなければいけないゲンスルーは消費させず、サブとバラが2分割して負担していたとしても12万オーラ相当を一度に賄えるとは考えにくい。

以上のことから、発として有効に動いているが、現にその効果が出ていないタイプの能力があるということがわかる。

具現物を「隠」で見づらくしているのではなく、“取り付けられて”から“説明がなされる(停止条件を満たす)まで”の間は、非アクティブ状態=能力は発動しているが現に具現されていない状態(カストロの分身や、ネテロ百式観音の待機状態と同じ状態)なのかと思われる。

 

つまり―

1:対象に触れながら「爆弾魔(ボマー)と言うことで爆弾を設置(「発」はこの時点で行っている)

  ※この時点では停止条件が満たされていないため、停止状態=非アクティブ状態で具現

2:対象の前で能力内容を説明すると、

  ※停止条件を満たした

3:「発」の効果が発生爆弾がアクティブ化しタイマーが作動する

―という感じで、ゲンスルー組の「命の音(カウントダウン)は放出・操作・具現の3系統を用いる能力で、ゲンスルーを核にサブとバラという協力者を得て初めて可能な相互協力型(ジョイントタイプ)“停止条件”の付されたEOP化された時限爆弾であろう。

 

そして、この“停止条件付きの発”は、“絶状態での念の使用”に流用可能である。

「絶」の際、それまで纏っていたオーラはどうするか。

ギド戦でのゴンは、当時念に関する知識も技術も乏しいこともあって捨てた様に思われるが、纏っているオーラを発に使用してから精孔を閉じても絶状態になれるだろう。

AOPを発に使用し、同時にPOPからSOCが消費され、すぐさま全身の精孔を閉じる、といった感じである。

 

◎死後の念(死者の念)

“死後の念”“死者の念”、この2つの違いは単純に言葉の幅(揺らぎ)に過ぎないのか、それとも厳密には違うのか。

バショウの思考の中では従来思い浮かべていた死者の念死後の念としている様子のため、この2つは使われる地域等によって生まれた言葉の幅(揺らぎ)という可能性もあるかとは思われる。

 

ただ、厳密に言えば―

死後の念…生前は発動していないor出来ない

死者の念…生前から発動していた発が、死によって効果が強まる

―という様な違いはあるのかもしれない。

 

カミィの能力の発動条件は自分が死んだ時(=停止条件)のため、AOP「百万回生きた猫(ネコノナマエ)を発動し(この時点では非アクティブ化状態での具現)、自分が死んだ時に発動するようにプログラムし、絶状態となる。

しかしAOP型の念は、術者が気絶状態でも維持できなくなるため、通常、死んだ時にはその能力は消えてしまうだろう。

そのため死後の念として残る必要があるのだが―

“念ってのはな 死ねば消えるとは限らねーんだ”

というフィンクスの言葉の裏を返せば“残るとは限らない”わけで、一見不確実な念に思われる。

 

そのためカミィの“迎撃型”は、死者の念をより確実に発生させるためのものなのだろうか(発動確率を上昇させている?)

 

ただカミィの私設兵には、

“つじつま合わせに生まれた僕等(ヨモツヘグイ)という術者がいる。

彼女達は死ぬことで発動する“呪憑型”と呼ばれる「死後の念」を用いる。

執事長のフカタキから、カキン王国の栄華がカキン王の残した壺=死者の念に支えられていることを聞いているだろうから、兵隊すら使え、初代カキン王も使えた力を自分が使えないハズがない傲慢なカミィなら考えた様に思われる。

 

死後の念に溢れた環境も、“自分は何でもできる”という中二的万能感も術者の念に強い影響を与える。

また“死が終わりではない”というような独自の死生観も関係しているのかもしれない。

つまり、カキンにおいて特殊な発展を遂げた念の1つ、あるいはその最たるものが“死後の念(死者の念)なのかもしれない。

 

そうすると、カミィが迎撃型で高めているものは発動確率ではなく―高位な念もしくはカミィの力不足故の底上げあるいは、攻撃して来た者の命を以て蘇生する能力のため相手殺さねばその目的は果たせないため、黒猫自体をより強くするための制約と誓約なのかもしれない。

 

◎能力の性質

猫を具現し、停止条件が付されていることから操作系、さらに額と胸の銃創を一瞬で回復させていることから自然治癒力の強化(?)という3要素から、

ピトーの「玩具修理者(ドクターブライス)に近しい印象を受ける。

ピトーは“死人を生き返らせる事は出来なかった”とは言うものの、

その能力でパームの自殺を阻止(蘇生)している

状況的にパームは隠し持っていたナイフやそこらに散らばるガラス片で自らの心臓を刺したのだろうが、その外傷をピトーによって治療され“医療的な意味で”蘇生されたのだろう。

つまり肉体が一定以上の機能不全に陥り、かつ一定以上の時間が経過すると魂は肉体を離れてしまう“様”だが、それよりも早く治療が出来たならば、結果的に“生き返す”様なこともできるのかもしれない。

 

しかし、カミィの能力は“自然治癒力の強化だけではどうも不完全である様に思われる。

この時のカミィは頭部を1発、胸部を2発拳銃で撃たれ、猫から注がれる謎の液体により瞬時に回復しているものの脳内に残った銃弾はどうしているのか。

脳内に銃弾が残ったまま回復したとすれば銃弾が脳内の血管を圧迫して、復活したとしても深刻かつ重大な症状がすぐにでも出てしまう可能性がある。

もちろん、あの時のムッセの撃った弾は3発とも上手く貫通してくれたのかもしれない。

では、この手の国の王位継承者にありそうな暗殺の中でも毒殺の場合、例えば毒の塗った針を刺されたり、毒が混入した食事を食べてしまった場合どうなるのか。

色んな毒があるのだろうが適当に出血毒として、出血やら血圧降下、腎機能障害を始め多臓器不全を起こし死亡したとしよう。

ただ件の能力により肉体の問題点をクリアして復活したとしても、体内に“毒が残っている”ため同じ状況を繰り返し死んでしまうのではなかろうか。

 

次の疑問点はカミーラの肉体に付着していた血痕が消えている点。

怪我が治るだけならば強化系の力だけで説明も付くが、吐血の痕は消え、額の血痕に至っては額の傷と一緒に消える描写がなされていることから、能力の性質として強化系では説明が付かない。

どこぞやのオサレな漫画を一瞬連想するが、ツニキの予知夢と未来改変が可能な―箱庭(仮想世界)の中での出来事を現実化している(?)「刹那の10秒(仮)とも性質が近しい様に思われる。

 

カミィの肉体以外(服)の汚損はそのままであるのは能力の対象がカミィの肉体のみに限定しているのか(=能力の性質)敢えてその様にしているのか(=制約と誓約)は不明。

確証はないが個人的には後者な気がする。

継承戦中も有名ブランドの限定品等の購入を母親(ドゥアズル)に命じる程のカミィは自分の洋服が汚されるなんて許せないと思うのだろうが、それ以上に自分を殺そうとした連中の方を許せないと感じる様に思われる。

基本的に暗殺はその実行犯個人が犯すのではなく、大抵がその背後にいる敵対勢力が命じているのであろう。

今回も胸の“自身”の血痕がなければ、後の調査でムッセの襲撃が狂言で、実は自分の部屋に駐在するムッセが邪魔でカミーラの方から襲撃してその遺体を隠した、とも取られかねない。
つまり、“反撃するために”(王族殺人の未遂をネタに相手方を殺すor訴追するために)、敢えて肉体以外は元通りにしていないのかと思われる。

 

しかしながら―

銃で脅されながら、密室に閉じ込められその後、致死性のガスが部屋に満たされ復活出来ても再度死ぬような場合

強力な重火器もしくは念攻撃により黒猫が謎の液体を注ぐことが出来ないほどにカミィが跡形もなく殺された場合

―あらゆる状況で本当の意味で“復活”できるのかは現状不明。

 

またカミィを、例えば2人同時に攻撃しその2人ともがカミィに致命傷を与えた場合、より重い危害を与えた者を選択的に反撃するのか、2人共に反撃するのかも現状不明。

 

◎迎撃型で強めているもの
カミィの能力は攻撃して来た者の命を以て蘇生する

“相手の命を以て”ということは、“黒猫が相手を殺せなければ”、カミィは復活することができないのだろう。

上述の様に、自身が“死後の念”を発動できないとは微塵も思わないのだろうから、恐らく迎撃型で高めているのは“黒猫自体の威力”かと思われる。

カミィの能力は正にバショウの言う呪憑型の念(=発動すれば姿が見える)で、

猫が出現した際にムッセは背後の気配を感じ取っていた様子もあるため、少なくともムッセには視えており、反撃・撃退のチャンスもゼロではないのかと思われる。

そのため、その黒猫を出来る限り強くするための「迎撃型」で、恐らく絶状態でなくとも発動はするものの相手に撃退される可能性が出て来てしまうのかと思われる。

 

◎特質系能力の一端(?)

カミィの能力は、もしカミィが意識の外から攻撃されて死亡した場合、例えばライフルで超・長距離から狙撃されて死亡した場合どうなるのか。

迎撃型(カウンター型)という言葉から受ける印象としてはその相手を認識していないと成立しない様にも思われるが、そもそも暗殺しようとしてきた相手を認識できていることの方が少ないかと思われる。

つまり“意識外からの攻撃=想定内の攻撃”なのだろうが、どのようにして相手を特定するのか

 

同じ様にどのように相手を選定しているのかがよくわかっていない能力として、アルカ(ナニカ)の死罰(デスペナ)が挙げられよう。

アルカ(ナニカ)というより、恐らくアルカに憑いたガス生命体アイ(恐らく寄生型のため、宿主であるアルカの影響を受け、ナニカたる人格―キルアから“もう二度と出て来るな”と言われ涙する―を得た“内の世界”で育った特殊な個体)の能力であろうが、

「おねだり」に失敗した時の、最低でも“タゲ”と“タゲの最愛の人”が、それで足りなければ「お願い」の大きさに比例して“タゲと長い時間共に過ごした人”が上から順に死ぬ現象を死罰(デスペナ)と勝手に呼んでいるのだが、どのように相手を選定しているのか。

(※タゲ=ターゲットの略で「おねだり」をした相手のことを指す)

 

アルカ(ナニカ)が“元々その全ての人間を知っていた”というのは厳しく、恐らく“タゲの持つ情報を流用”しているのではないかと思われる。

“タゲの持つ情報”というとやはり記憶で、パクノダを連想するのだが、彼女はどのように記憶を読み取っているのだろうか。

特に、人がその物に執着すれば念能力者でなくともオーラが留まることもあるが、

クラピカが旅団に宛てたメモ書きからはどのように読み取ったのだろうか。

 

いつもの如く確証は何もないが―、

心の動きに呼応するように、魂の枝葉執着の対象に付着して、その想いの強さに生命エネルギーが吸い寄せられて定着する(それを行使するのが念?)様な動きをするなら、メモに付着したクラピカの魂の枝葉から―

 

あるいはギド戦でウイングが、

「波長のあう者に対して、“物はより強い働きで応えてくれる”ものなのです」

と話していた様に、“生物・無機物を問わず全てのものの中には霊魂もしくは魂が宿っている”というアニミズム的な世界ならば、“メモ”自体の持つ記憶から―読み取っているのだろう。

 

つまり特質系の能力の一端として、自分以外の魂の情報を使用・収益・処分できるような性質があるのかもしれない。

その様に考えると他者の念を使うことが特質系能力者以外に出来ない理由は、その「発」に込められた魂の枝葉と、使用する者の魂が合致しないため(鍵穴に鍵が合わないようなイメージ)なのかもしれない。

 

魂の枝葉なるものが、執着の多寡や、一緒に過ごした時間や想いの質により、より多く吸着したり変化するならばその情報を利用して、“タゲと長い時間共に過ごした人”を上から順に襲うことも可能な様に思われる。

 

―と、そんなところで大分脱線したが、もしカミィが意識の外から攻撃されて死亡した場合でも、その攻撃に込められているオーラ(の中の魂の枝葉?)だったり使われた道具の記憶等から特定、発動可能かと思われる。

 

◎カミィの念系統

カミィの念系統は恐らく特質であろうことは「能力の性質」の箇所で触れたが、別の視点からの理由。

まず単純にベンジャミンやツェリードニヒが特質系であることから、カキン王族は特質系の典型例である“血統”なのではないか、という印象を持った。

次にカミィの能力のチグハグさだ。

カミィの周囲には念能力者や、その一端を知る者が多数いるため―傲慢なカミィが素直に教わるかは置いておいて―意識的にあの能力を創出した可能性ももちろんある。

しかし―

“願っただけでは実現しないなんてどれほど理不尽なのかしら!!!”

―と考える程に勝気で傲慢な彼女ならば、相手を自分の思い通りに操れる能力(半強制型もしくは強制型)にすれば、自分から攻めることもできるのに、なぜ「迎撃型」なんていうまどろっこしい能力を作ったのか。

 

また自らの蘇生を確実ならしめるために「絶」を用いてるとは思われるものの、

「絶」はその者の存在感を薄めてしまうが、継承戦中も有名ブランドの限定品等の購入を母親(ドゥアズル)に命じ、瀟洒なドレスや豪華な宝石を好んで身に着けるカミィの性格とも合致しない。

 

つまり「百万回生きた猫(ネコノナマエ)は、開発した能力ではなく出現した能力なのかと思われる。

能力名が―H×Hにあるかは確かではないが―絵本の名前であること、黒猫の言葉が「ねるねるねるね」というお菓子の名前であること、自ら攻める様な能力でないことから、能力出現時のカミィは今ほど傲慢でもなく力も権力もなかった様に感じられた。

よってまだ幼く暗殺に怯えていた少女が従者の話や、読んでいた絵本、当時食べていた複数の素材を混ぜて作るお菓子から影響を受けて生み出した能力なのかと思われる。

そして、幼少時に絶状態で念を使用できるようなオーラ管理はできないだろうから、あの黒猫は“能力の管理者”の側面も持つのではなかろうか。

 

以上、能力の性質とそのチグハグさからカミィは特質系能力者だと仮定した。

 

◎カミィの今後への期待
カミィの能力の大部分は第1王子ベンジャミン側にバレてしまっていると思われる。

カミィが単身でベンジャミンを襲撃した際、

撃ち返される様に煽っていたことから、「百万回生きた猫(ネコノナマエ)で迎撃するつもりだったのだろう。

 

つまりこの時のカミィも状態であったわけで、カミィ=念能力者が確定する。

晩餐会の時を含め通常時は出ていた守護霊獣も姿を消しているため、勝気なカミィの性格を考えれば、あの状況を覆すことのできる性質を持つ迎撃型の能力とわかる。

しかし、その一方でヒュリコフに左腕を折られた時は能力を発動させなかった

この点だけでは条件を満たしていないか、再使用に充電期間が必要な能力(ヒュリコフに発動したら、すぐにベンジャミンには使えない)なのか等の明確な理由はわからないだろうが、ムッセの銃声とその死(ベンジャミンの能力で把握)からヒュリコフに“撃てば?”と煽る時間の短さから、少なくとも後者ではないことがわかるだろう。

加えてカミィの胸部に血痕が2箇所残っているにも関わらず、拘束中のカミィには胸部を気にかける様子がないことから、既に胸部に負傷はないものと推察できる。

折られた左腕を治さないも関わらずムッセから受けたと思われる胸部の負傷はこの短時間で回復され、代わりにムッセが姿を消し行方不明状態になっている(=ムッセの死は把握済)

以上の情報から、迎撃型の能力者は私設兵の中にもいるため(=バビマイナ)、恐らく答えに近い“アタリ”はついているのではなかろうか。

カミィは、

“守護霊獣なんて必要ないわ”

という考えをいつ撤回できるか、「百万回生きた猫(ネコノナマエ)を捨てる覚悟をするのか。

それとも挫折を知らなかったであろう彼女が初めて挫折を経験し、幼い精神が急激な成長を遂げるのであれば、能力に変化が生まれるのか(自分を殺した相手ではなく自らの私設兵を犠牲に復活できるようになる、等)

はたまた、新たな能力が生まれるのか―。

 

高位王子がこのまま簡単に退場することもないであろうし、

彼女の守護霊獣は強制型の能力を持つという。

気になっている早い者勝ちルールもしく操作系能力の競合の描写が出て来そうで楽しみである。

 

◆ナニカの死罰(デスペナ)について

途中の脱線の中で触れたナニカの死罰(デスペナ)に関して最後に触れたいと思う。

 

ナニカの死罰(デスペナ)に対して、

イルミは「ゾル家が全員死ぬ」と言い、

「多分ヒソカも死ぬよ?」というイルミの言葉にヒソカも同意している様に思われるが、

「巻き込まれた相手が “必ず” 死ぬ様な能力」が成立するならば、それは相手に不可能を強いるのに等しく、それが可能な“特質系は6系統中最強”となりかねない。

 

しかし、それはH×Hの世界観にそぐわない様に思われるため、何かしら理由があるのかと思われる。

―いくつかその理由は考えたものの、恐らく単純に“力の差”かと思われる。

 

例えば、具体的な被害者であるミツバは、

自分を潰す“なにか”に気づかず、ひょっとすると自分が死んだことすら意識できなかったかと思われる。

この描写だけでは、その“なにか”は念能力者であるミツバにも感じ取れなかった回避・抵抗・反撃の余地なし(?)の様に感じられるが、果たしてそうなのだろうか。

 

例えば、ピトーでさえもネテロの攻撃に対し“己の体感時間を限りなく圧縮し自らの時を止めるに等しい状態に置くことでしかその動きを目で捉えることができなかった”が、ネテロが百式観音の壱乃掌をミツバに対して背後から放った場合、ミツバは“なにか”に圧し潰された時同様に何が起こったかもわからぬ内に死ぬのではなかろうか。

カミィの念の様に殺意もしくは殺気が漏れる様なレベルならばミツバも背後に気づくかもしれないが、ネテロの念の様に“恐ろしく静かで、オーラの流れから次の攻撃を読むことは誰にもできない”レベルならば気づくことは出来ない様に思われる。

それと同じ様に人間と暗黒大陸の生物では“生物としての格の違い”とでも言うべきか、持つ力に大きな差があり、かつ皿の上の食事に殺意を抱かない様に、無感情に、そして毎日行っている当たり前の作業の様に行っているならば、あの時のミツバには感じ取れないのも当然なのではなかろうか。

 

そのため、臨戦態勢時ならば回避・抵抗・反撃の余地もあろうが、“いつ”、“どこで”来るかもわからない“なにか”の前では、ゾル家の者もヒソカも死ぬ他ないのではないか、というのが今のところの落とし所の様な気がしている。

 

 

…続けてフェイタンについて触れようと思っていたが、正直書いてる途中で分かってた。入らないって。

→■4-3:特質系能力(その3:番外)に続く。