4-1:特質系能力(その1)【H×H感想 3rd版】
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この項目は今回のH×H感想3rd版の更新で一番大きいところ。
暫定37巻情報を基に考えているため、37巻で修正が入った場合はワンパンKOを食らって終わりになるかもしれない部分だが―3年近く経っても発刊されず、それがいつになるかも分からないため―見切り発車で更新したいと思う。
ちなみに暫定37巻情報とは本誌掲載分でまだ単行本化されていない2018年43号~52号掲載分(No.381~390)を指す。
◆特質系能力について(その1)
→願望の成就・現実化が可能な念系統(?)
局所的に特質系と示されている能力もあるが、基本的には“「強化・放出・変化・操作・具現」以外の念”と抽象的で、未だ特質系の統一的な性質について明確には触れられていない。
しかし、暫定37巻(No.384)にてカキンの第4王子ツェリードニヒ(以下、ツニキと表記。ツェリードニヒの兄貴の意)が出現させた念獣に対し、
テータは“本人の自覚なく具現化された特質系の念獣”と考えていた。
そしてこれには似た描写があった。
ピトーとヂートゥである。
(※ヂートゥの念系統は明らかになってはいないが、キメラアントという血統から特質系である可能性は十分あろう)
通常、具現化物は
大変なイメージ修行を経て成せるものの様である。
しかし、これはクラピカが具現しようとした鎖に馴染みがなかったことにも起因すると思われる。
つまり具現する前から、その具現しようとするものを熟知しており、それこそ寝食を共にするレベルで共にあったものならばその限りではないだろう。
そのためヂートゥのボーガンクローに関しては、ヂートゥに一切その素振りがないものの、前世で相棒の様に使っていたor使っていた時期があったという可能性は否定できない。
しかし、ピトーとツニキの念獣については現実にあるものではないため、やはりこの瞬時に具現化させたことに特質系の性質が現れているのだろう。
そうして、これまで登場した特質系と思われる能力とそのバックグラウンドを見て行くと、
「今生きている人を幸せにできる占い師になりたい」
「一人で戦い抜ける力が欲しい(6系統で1つ選ぶならば強化系が理想だが本当は…?)」
「物だけではなく念も盗みたい(?)」
「“あの人”の考えていることを知りたい(?)」
「この髪の持ち主のことをもっと知りたい(?)」
一定の法則があるように感じられた。
アルカ(ナニカ)の力を念能力と考えた時の印象を受けての仮定に過ぎないが、特質系の核心部分は「願望の成就・現実化」なのではなかろうか。
各念能力も緩く言えば各々の能力者の願望を現実化させているとも言えるのだろうが、それはあくまで努力や試行錯誤を経た「願望の達成」であって、特質系のソレとは似て非なるものだろう。
一見便利に見える特質系能力だが意識的な出現の他に、ツニキらの様な無意識的な出現があり、逆に非常に厄介な側面もある様に思われる。
術者がピンチに陥り、後先を考えずに必要だと思った能力が無駄に終わったり、AOP型だった場合にはメモリ不足に陥る危険性もある。
加えて願望の成就を優先され、その過程がすっ飛ばされてしまうためか、その能力の威力次第ではやっかいな制約と誓約が組まれてしまうこともある。
もちろんクロロの「盗賊の極意(スキルハンター)」の様に後から制約と誓約の内容を変えることもできる様だが、クロロの口ぶりでは生易しいものではない様に思われる。
ちなみに、特質系能力は他系統に比べるとレアなものが多いが、各系統別の能力者の分布や統計が示されたことはないため特質系能力者が他系統に比べ多いか少ないかはわかっていない。
◎特質系の念習得率
続いて、特質系の念習得率について。
こちらも残念ながら暫定37巻情報(=修正される可能性あり)に基づいた用いた仮定。
これまでは作中で登場した特質系能力者の多くが具現化系と操作系を多用すること、オーラを手元から離すことも単純乖離と考えれば、特質100%、具現・操作80%、放出・変化60%、強化40%で良いと思われたが、No386にてそれが誤りである可能性が示された。
クラピカが主催する念講習会において自らが特質系だと水見式で示した後に―
“能力の系統は本来他人には決して教えてはいけないトップシークレットだ”
“私のようにどの系統か判別のつかない特質系ならば影響は少ないが敵に自分の系統が知られてしまうのは先手を決めるジャンケンで出す手がバレているのと同じ位不利だと理解してくれ”
―と述べたのだ。
クラピカが「絶対時間(エンペラータイム)」のヒントを与えるハズもなく、嘘の情報を言えば第1王子の私設兵から突っ込まれてしまうどころか、他の受講者達にいらぬ不信感を与えてしまう。
よって“どの系統か判別のつかない特質系”という情報は、クラピカ自身の情報ではなく、特質系能力者一般に当てはまる情報なのだと思われる。
つまりイズナビが、
“なぜ(特質系が六性図で)この位置にあるかっていうと後天的に特質系に変わる確率が高いのが両隣の具現化系と操作系だから”
と言っていた通り、他の系統の様に“習得率の相性”によるものではないということだろう。
具現化系と操作系が一番後天的に特質系に変わる確率が高いものの、強化・放出・変化系の能力者が後天的に変わる可能性もあり、クラピカの“どの系統か判別のつかない特質系”という発言を考慮して特質系を含む六性図を無理やり1つにすると
上図の様になると思われる。
後天的な特質系能力者ほど具現化系と操作系の間に位置することが確率的に高いとは思われるが、先天的な特質系能力者はその限りではない上、その者が先天的・後天的のどちらなのかを判断する術はないだろう。
それ故に実質的にどの系統か判別のつかない特質系となるのだろう。
具体的な例として
“放出系よりの強化系能力者みたいだわね”
と評されたゴンが後天的に特質系に変わった場合、
特質100%、強化・放出80%、操作・具現60%、具現40%となるのだろう。
しかし後天的に特質系になった場合や、クラピカの様に2つの系統を使い分けられる場合、実際の習得率がどうなるかは不明。
前者の場合―例えばゴンを例にした場合は、強化系のままならば強化系Lv10まで覚えられるが、後天的に特質系に変わった後はLv8までしか覚えること出来ない。もし元々LV10の強化系能力を習得していた場合は果たしてどうなるのか。
またクラピカの場合、通常時は具現化系のため、緋の眼時の特質系とは念の習得度が異なる。
新たな能力を習得する際に、通常時(具現化系)のまま修行するか、緋の眼状態(特質系)で修業するかにより、習得できるレベルの上限が変わってしまうのだ。
(※ちなみに緋の眼時クラピカの正確な六性図の位置は不明であるが、これまで変化系能力を使用していないため具現と操作の間の位置する特質系とした)
しかし、作中の例では、
通常時(具現化):放出系の威力・精度40%
緋の眼時(特質):放出系の威力・精度100%(恐らく図的には40%+60%) (←絶対時間の効果)
となってしまっており、
緋の眼時(特質):放出系の威力・精度60%+40%(絶対時間効果)=100%も本来的には可能ではあるが図の関係上簡略化されているのか、系統が2つに渡る場合はどちらかを優先的参照してしまう(クラピカの場合は具現化を参照?)のかは不明。
個人的には、クラピカの「絶対時間(エンペラータイム)」が正確に言えば「覚えた能力であればいかなる系統のものでも100%の精度・威力で使用できる」能力であると明かした直後の(読者を含めた)ゴンキルへの説明ということもあり簡略化させているが、本来的にはクラピカは系統の使い分けによる威力・精度や、習得できる能力の上限アップは図れるのでないかと考えている。
◎イズナビの特質系の説明について
“大抵が血統だったり、特殊な環境で育ったりが作用する個性的な能力だからな”
分かる様で、実はよくわからない説明。
まず、念能力者は生まれつき持っているオーラの性質によって、6つのいずれかの系統に分かれる。
つまり、“大抵が血統”というのは“生まれつき”という意味でいいのだろう。
しかし、“特殊な環境で育ったりが作用する”とはどの様な意味なのか。
オーラにはその者の心が鏡のごとく様々な影響を与えるから“特殊な育ち方がオーラにも影響を与える”というのは理解できる。
しかしながらそれは、“後天的に変わった”中に含まれるのではなかろうか。
イズナビの話しぶりだと、
1:大抵が血統
2:特殊な育ち方をした
という2つの大きな基本形を示した後に、
3:後天的に変わることもある
という例外を説明している様に感じられるのだが違うのだろうか。
―あくまで想像になってしまうのだが生まれてすぐにオーラの性質を調べることが稀、というより基本的には無理だからかと思われる。
説明しているのがハンターであるイズナビであるため、ハンター協会や心源流のオーラ判別法を元に考えるが、念や水見式を教えるのはある程度の自己が確立した者=ある程度の年齢以上の者であろう。
オーラがその者の心の状態を反映させることに着目し―
誕生→自律性の発達(1歳半~3歳頃)→自発性の発達(3歳~5歳頃)→勤勉性や劣等感の発達(5歳~12歳頃)→自己の確立(12歳~18歳頃)
(※自己の発達段階には諸説あろうが、ここではさほど重要な点ではないため適当)
―作中で心源流の念使いとして最年少と思われるズシの年齢(10歳前後?)を思うと、多くの念能力者を見てきたハンター協会は、例えばだが心がある程度育つ5歳頃までに“特殊な育ち方”をした者のオーラは特質系に属している傾向があることを発見した。
しかし、ハンター協会としても心源流としても基本的にはそこまで幼い子供に念を教える事もないから、大きく念習得前(水見式前)と後を、先天的と後天的に分けたのかと思われる。
ちなみにハンターでもないズシに対してウイングが積極的に念を教えたとも考えづらいため、
何かの事件や紛争等で怪我をしたズシは念で治療され、半覚醒状態(部分的・限定的に念が使える状態ではあるが、自分ではそれを操作できない状態)になり、紆余曲折を経てウイングを師と仰ぐことになったのか、ウイング自身がその手の能力者なのかもしれない(妄想)。
◎相手の念を“使う”のは特質系?
これまで特質系は「強化・放出・変化・操作・具現以外の念」とかなり抽象的な情報に留められていたものの、クロロの念に関しては、
“他人の念を盗むか…特質じゃな”
とゼノに示され、特質系の念として明確になった数少ない例。
しかしその一方で、クラピカの「奪う人指し指の鎖(スチールチェーン)」が「人指し指の絶対時間(ステルスドルフィン)」と発展したことから、奪うだけならば特質系でなくても可能で(操作系や具現化系が多い様に思われる)、それを用いるには特質系の力がということなのかと思われる。
盗品は自分で使うなり売ることができるから、強奪+使用=盗むという意味なのだろう。
詳細はわからずじまいになってしまったが、第一王子ベンジャミンの私設兵・シカクの「遊戯王(カルドセプト)」という能力は―ベンジャミンの命令が「奴の能力を入手せよ!!」であったことからも―恐らく相手の能力をカード化し(能力の奪取)、その能力内容を知ることができる迎撃型の能力の様に思われる。
ただ、シカクは最後に
(カード化…“すら”……!!)
と考えていたため、カード化した“先”があるのかもしれない。
しかし彼の上司であるマイト曹長は、シカクが操作系能力者だと言っていた。
そのため仲間に相互協力型(ジョイントタイプ)の特質系が居てその者が使用可能か、あるいはこの能力がまだ作中未出の“敵の能力を操作するという逆操作なる能力”だったのかもしれない。
ちなみに、シカクは能力発動の際、先ず自身を操作するという。
そうしないと奪う能力が半強制型や強制型といった操作系能力だった場合、相手の能力を奪う前に自分を操作されてしまうためだろう。
しかしシカクは、
(カード化…すら……!!)(何て…能…力…!!)
と、ハルケンブルグの矢が自身の能力を破る瞬間をまるで見ていた様な素振りを見せていた。
ただ同じ様に自分が操作されるのを防ぐために自己操作をしたシャルの場合は、
その最中の記憶が何もなかった(シャルは強制型)。
シカクは自由に考えていた=半強制型の自己操作?だとすると、奪おうとする能力が強制型だとしてもそれを防げるのだろう。
すると詳細は分からないが、ハルケンブルグの能力で自己操作が解け、その後に巡らせた思考だったのか。
はたまたハルケンの守護霊獣による羽の攻撃―少なくとも要請型の操作系能力の性質を持つ―が、早い者勝ちルールを満たしていたためシカクの自己操作が成立しなかったのか。
印象としては後者の様な気がするものの、早い者勝ちルールの詳細・操作系能力の競合の描写が少ないため、現時点ではどちらか判断することは難しいのかもしれない。
…能力者についてもこの項目で触れようと思っていたのだが、余裕の容量オーバー…^q^
操作系の項目が容量内に収まったのでマンモスうれピー状態だったのだが、この項目はミニマム級にヘビー級超が出ようとするくらいの余裕の超過で、収まる見込みがないので記事を分ける。
→■4-2:特質系能力(その2)に続く。