5:具現化系能力【H×H感想 3rd版】
←(前) ■4-3:特質系能力(その3:番外)
→(次) ■5-2:具現化系能力(その2:番外)
◆具現化系能力について
→オーラや物体を元に思念の物質化が得意な系統
オーラを元に思念を物質化させるほか、
ツボネの「大和撫子七変化(ライダースハイ)」などの様に肉体等の物体を元に思念を物質化することも可能である。
上の六性図からも見て取れる様に、具現化系は操作系と同じく習得可能な能力のバランスが悪く、放出系を苦手とすることから具現物はAOP型であることがほとんどであろう。
そのため基本的に常に能力の要たる具現化物のためにAOPを一定量割かれ、かつ神懸かった物も具現化できないため、“型にハマれば各々が最強になりうる”ものの、その“相手を型にハメるまで”の過程に創意工夫が必要な念系統と言えよう。
基本的に具現物は非・能力者でも視ることができるが、オーラを元に創った具現化物はオーラの様に「隠」でもって非・能力者からも視えない様にすることが可能。
また「隠」を用いずに特定の者にだけに視せたり(術者と相手のみ)、逆に特定の者にだけ視せなかったり(守護霊獣が憑いた王子は自身と互いの霊獣を視ることができない)、術者にしか視えなくさせたり(ムッセのミミズク)することも可能であるが、その分術者が必要なエネルギー量は多いという。
◎完具現(アクティブ状態)と半具現(非アクティブ状態)
作中にはない当ブログの解釈上の用語。
能力は発動させているが現に具現はされていない状態を半具現(非アクティブ状態)と、通常通り現に具現されている状態を完具現(アクティブ状態)と便宜的に呼んでいる。
ネテロの百式観音から完具現⇔半具現の切り替えは、解除⇔再具現と異なりその度にオーラを消費しない(=SOCなし)ことや、半具現(非アクティブ状態)はROC(ランニングコスト)が極めて低減されているか、ゼロの可能性もあるかと思われる。
またカストロの状況から、心神耗弱によって具現化物は消えてしまうのは解除ではなく心神耗弱のため具現の維持が出来ず半具現(非アクティブ状態)状態に陥ったに過ぎず、AOP(メモリ)はその具現化物に割かれたままかと思われる。
◎寄生型の念能力
宿主のオーラを利用して能力を発動させるタイプで具現化系に“多い”と言われ、宿主のオーラを利用する分、術者は消費エネルギーを抑えることが可能な能力。
宿主に自覚なく且つ操作も出来ないのが特徴で、宿主を守るものも、攻撃するものもいると言う。
そして、恐らく基本的に常時“隠”型かと思われ、
カキンの王子達に憑いている守護霊獣がこのタイプと言われている。
また、寄生型には厄介な特徴として「行動が読めない」点が挙げられている。
寄生型には誰かの残留思念が宿主(別の誰か)に憑き、宿主の力(オーラ)を借りて具現化するものが多いが、そのせいで宿主の性格や感情の動きが寄生型に少なからず影響を与えてしまう。
人間自体が一貫性から程遠い生物なのに、寄生型は誰かの思いと宿主の思いとが交錯して生まれ育ち、よりややこしい存在となってしまうためだという。
◎完全寄生型と二重寄生型
私の勝手な付け足しであるが、
サイールドの耳から出てきた蜘蛛熊型の念獣が二重寄生型の念獣かと思われる。
あくまで便宜的な分類に過ぎないが―
1:(完全)寄生型
→宿主Aのオーラを元に活動しており、メモリ(AOP)も宿主頼りのタイプ。いわゆる作中で紹介されている寄生型で宿主が絶状態になったりすると完具現(アクティブ状態)を維持できない。作中で言及されている寄生型のタイプである。
2:二重寄生型
→念獣Xはメモリ(AOP)を宿主A頼りにしているが、さらに別の宿主Bにも寄生し、新たな念獣Yを生み出すの必要なメモリ(AOP)を宿主Bに依存する。
恐らく宿主Aが絶状態になると念獣Xも念獣Yも完具現(アクティブ状態)を維持できないが、宿主Bのみ絶状態になった場合は念獣Xは維持できるが、念獣Yの方は維持出来ないという性質をもつ
―というもの。
他の王子達の守護霊獣達が現れた直後に、サイールドが何らかの能力によって操られたことからクラピカは、
“サイールドに憑けているモノも寄生型かも知れない”
“それならエサ(オーラ)が無くなれば出て行くか消えるかするはず…!!”
と話し、サイールドを絶状態にした結果“ギギ?”と何らかの異常を察知して耳の中から出てきたのが蜘蛛熊型の念獣である。
カートンからはサイールドがヒマだと応えた相手の姿が見えていないため―
1:ネズミ型の念獣(モモゼに寄生)が念能力者に「おヒマ?」と問いかけ、
2:それに反応した相手に蜘蛛熊型の念獣を憑け(サイールドが絶になっても消えなかったことから宿主はモモゼ)、
3:サイールドのAOP(メモリ)で―姿を変えたら警戒されるため―恐らくネズミ型の念獣を具現してサイールドが応えるまで「おヒマ」と問いかけ続ける(カートンに見えておらず、サイールドが絶状態になった時に蜘蛛熊の念獣が出てきたため、カートンに見えないネズミ型の念獣の宿主はサイールド)
―という二重寄生の念獣だったのかと思われる。
大元の宿主であるモモゼがオーラ切れを起こしかけていたため、第6王子のタイソンの守護霊獣の様に憑いた相手からオーラを徴収する“徴収型”の性質を持たせていたのかもしれない。
もし徴収型の性質も持っていたのならば念能力者(=エサ)であるカートンを殺させた意味が通らない様な気もするが、いわゆる行動が読めないという寄生型の悪い点が出てしまったのか、「敵を減らす+エサを探す」という2つの目的から1人の王子につき1人だけ寄生し他は殺す予定だったのかもしれないが、モモゼ亡き今わからず終いである。
◎自動型と遠隔操作
念獣は大きく、
自動型(オート)=能力者が気絶しても消えない(=EOP型?)
遠隔操作(リモート)=能力者が気絶すると消える(=AOP型?)
の2つに分けられる様だが、
AOP型のモラウの「紫煙機兵隊(ディープパープル)」は、基本的には核のオーラに込められた操作条件に従って自律的に動く一方で、ナックルと共闘した際には任意のタイミングで姿をナックルに変えたりと、オートとリモートの性質を併せ持っていた。
そのため、AOP型のオートもリモートもあれば、EOP型のオートもリモートあるのかと思われる。
◎具現化物のオーラ表現
よく具現物にはオーラ描写があるが、もし具現化物の周囲に実際にオーラがあったならばすぐに具現化物だとバレてしまう可能性がある(“隠”しても、自分より格上の“凝”には隠し切れない)。
そのため基本的には読者に「これは具現化物ですよ」と知らせるための強調表現かと思われる。
ただ念獣と呼ばれる類の疑似生物には念獣自体のオーラ描写もあるかと思われる。
キルアを観察していた際のフラッタの「衛星蜻蛉(サテライトンボ)」の周囲にオーラ描写があるが、
もしあれほどのオーラを纏って飛んでいたらノヴはもっと早く気づいていたであろうし、
カストロの「分身(ダブル)」も、もし念獣自体にオーラなければ戦闘中に付着した汚れを見るまでもなく、すぐわかってしまう。
「衛星蜻蛉(サテライトンボ)」の周囲のオーラは、具現物ですよという強調表現とも取れるし、逃げ回っていたキルアが突然停止したことから何か能力を使う可能性があったために、それを見逃さない様に―早い動きにも対応出来るように―念獣が臨戦態勢に入ったとも取れるだろう。
◎無敵の具現物・ポットクリン
「無害ゆえに無敵」
と端的に説明されたが、“破壊されないこと”それ自体が制約と誓約なのかと思われる。
現実世界でもキャッシングにおいて相手方に書面を交付しなければならない法律が存在するが、ナックルは「相手に貸金(貸しオーラ)と利息を通知する事」をルールに組み込んでいる。
そして、その「相手に通知する機能」は害をもたらすどころか、自らの能力の内容と攻略の糸口を与える事になり、相手の利益になりうる。
それは術者視点ではリスクになり、制約と誓約として能力の底上げになろう。
しかし制約と誓約による能力の底上げを目的としながらも、そのポットクリンが壊れてしまった場合は制約と誓約になりえない。
つまり無敵の具現化物である事、それ自体が制約と誓約なのだろう。
同様の考え方で、スポーツに用いる道具等を具現した場合も無敵性を付与できるかもしれない。
道具を用いるスポーツはそれを用いることがそもそものルールで、強化系能力者が絡む度にその道具が壊れてしまってはそのスポーツ自体が成り立たない。
スポーツの種類にもよるがスポーツには一定程度の危険が元々あり、“念あり”にした時には危険性が跳ね上がることは当然わかるため、ひょっとすると事前の告知すら必要ないのかもしれない。
ただそれは、あくまでその道具をそのスポーツに即した形で使用した場合に限られると思われる。
例えば、テニスだったらそのラケットを地面に叩きつけたり、相手に投げつけたり殴りかかった場合には、“条件外”として簡単に壊れてしまうなんてこともあるのかもしれない(まぁそのスポーツの道具を具現した能力者によって多少変わるだろうが)。
◎条件付きの具現化系能力
通常の具現化物は大変なイメージ修行が必要なものの、
一度具現化出来てしまえば基本的には出し入れが自由である。
しかし大変なイメージ修行を経ない代わりに一定の制約と誓約を負うことで具現可能な能力もあり、一般的な具現化物とは異なり基本的には一度しか具現化できない様だ。
例としてはコルトピ、アベンガネ、リハン、また少しタイプが異なるがモラウも挙げられよう。
◆コルトピ=トゥノメイル
「12」の番号を持っていた幻影旅団員で、“レア”で代わりの効かない能力者と評されていた。
能力名:「神の左手悪魔の右手(ギャラリーフェイク)」
コルトピは扉絵で具現化系能力者と示されおり、その能力は「左手で物体を触り右手でその複製(=コピー)を創り出す」というもの。
生命体をコピーすることは不可能であるが「動かない物体」としてなら生物も複製可能だが、念能力のコピーは不可能。
コピーは“円の役割”も果たすが本物に触れる必要があり、大きさとは無関係に24時間経つと消滅する。
左手で触ったもののコピーを具現化できるという条件付きの具現化系能力。
ヒソカVSクロロ戦において―「番いの破壊者(サンアンドムーン)」によるプロテクトなく―クロロが「神の左手悪魔の右手(ギャラリーフェイク)」を解除すればコピーが消えたため、「24時間で消滅」というのは「強制的に24時間具現化」ではなく、「具現化継続はコピーの大小に関わらず“最大でも”24時間」という意味の制約と誓約かと思われる。
つまり引っ込めることは(半具現化ではなく、完全解除)可能だが、出す(具現する)には左手で触った1回につき1回で最大でも24時間までという能力。
加えて、コルトピは具現化能力者であるためAOP型の能力(気絶や死亡の際は基本的に維持出来ない)。
AOP型の能力で、クロロから“(アジトのダミーを)あと10棟いけるか?”という問いに対して、
“50は平気”
と答えた様子から、一見すごいAOP=念の“作業”容量=メモリを持っている様にも感じられるが恐らく違う。
まず、1立方cmの具現化物を創るのに同量のオーラが必要とは一言も言及されていない。
つまり具現物が大きい=それと同量のオーラが用いられているとは限らない、ということである。
条件が難しい役ほど点数が高いと麻雀やポーカーに例えられた様に、爆発的な威力を持った「発」を為すには、それ相応のオーラ量と制約と誓約が必要になろう。
しかし、コルトピのコピーはそれ自体では何も出来ない無機物に過ぎない。
ダミーのアジトに立ち入った者を強制的に絶にさせるだとか、眠らせるとか、マヒさせるだとか、そういった特殊な効果は一切ない。
高威力には高コストを要する一方、低威力には低コストで済ませられるというのは自然なことだろう。
旅団腕相撲ランキングにおいてコルトピは最下位であるが、腕相撲の強さはテクニック(押し込む早さなど様々なもの)を除けば、
BP(肉体の強さ)+AP(AOP)+SP(強化系の威力・精度)
上記の3要素に集約されるだろう。
コルトピは意見が異なる時は仲間と対立してまでも意見は曲げず、“鎖野郎”を追う際には旅団員の中で先陣を切るなど、意外と負けん気が強い性格として描かれており、AOPが途轍もなく多いのではあれば同系統のシズクには勝つのではなかろうか。
以上のことから、コルトピのAOPが異常に多いとする考えには否定的です。
最後にコピーは“円”の役割も果たすということと、
その際に本物に触れる必要ある点について。
まずそもそもだが、“円”とは「術者を中心にオーラを半径2m以上広げ、それを1分以上維持する、纏と練の高等応用技」のことで、系統別の技術ではなく―オーラを薄く薄く広げ―誰もが持つオーラの知覚能力を使って感じとるというもの。
「“円”の役割」だとか、「“円”の効果」等と表現に幅がある様に、その言葉通りの“円”というわけではないのだろう。
2人の言う“円”は緩く「術者から2m以上離れたモノを知覚する技術」程度なのかもしれない。
そしてコピーが円の様な機能を使い遠く離れたコピーの場所察知できる理由だが、術者と離れたAOP(=rAOP ≠放出乖離)には見えない繋がりがあるためだと思われる。それがないとモラウやレイザーの様に離れたAOPを解除したり回収ができないためだ。
同じAOP型の「天上不知唯我独損(ハコワレ)」が、
遠く離れたヂートゥの大まかな位置を憑いているポットクリンから把握できた様に、術者は大まかに離れた自分の力のかけら(=rAOP)の場所が感覚的にわかるのだと思われる。
“同じ形のものはあっちの方角…だいたい2500メートル”
と具体的に把握できたのは、コルトピのオーラ知覚能力が高めなのか、
ナックルが相手の力量を数値化してきた様に経験と勘から来るものなのか、はたまた制約と誓約で本物を触った時にコピーの方向と距離をある程度把握できる様にしているかだろう。
敵が術者離れた偽アジトに侵入すればすぐわかる理由だが、具現化物=オーラ物であり、オーラの知覚能力が生きているからかと思われる(本人は本物のアジトに居り、本物に触っている状態)。
ただ、例外としてはプカプカと浮きながら移動されて、一切偽アジトに触れられなかったらコルトピは察知できないのではなかろうか。
そして本物を触らないと感知出来ない理由は、多くのコピーを作った場合その全てから知覚情報をフィードバックされてしまうと思わぬ負担を強いられるため、制約と誓約を設けて制限したのかと思われる。
◆リハン
カキンの第一王子・ベンジャミンの私設兵の1人で、思考がやや冗長的で誌面を文字で埋めてしまう人。
容量的に無理かと思ったが意外と行けそうなのと、再開後にモロに関わってきそうなため扱うことにした。
能力名:「異邦人(プレデター)」
リハン自身の念系統は不明だがこの能力自体は具現化系能力だと示されいる。
端的に言えば「敵の能力を凌駕しうる念獣を体内で育て、最終的にその念獣に敵を襲わせる能力」で、リハンは能力使用後48時間念能力を一切使えなくなってしまう。
詳細だが、まずリハンがターゲット(以降“タゲ”と呼ぶ)を定め発動すると、体内で“異邦人(プレデター)”が育ち始める。
タゲの能力とその術者の解析・理解が正しい程、“タゲの能力を凌駕する「捕食者」=天敵”として成長しやすく、その威力は術者が「タゲの能力を“未知”の状態で正しく予想する」程強くなる。
それもリハン自身がリスクを負って敵の能力を調べる必要があり、他者を使って安全を確保してしまえば逆に弱体化してしまったり、他者からタゲの能力の情報や仮説を聞いてしまったりしても十分に育たず無力化してしまうという。
そして念獣等を用いず、能力者自体がその能力を用いる様な場合には能力者本体が標的になるが、元から知っている様な強化系や放出系を代表例に“シンプルな能力の者”に対しては異邦人(プレデター)はさして強く育たないため返り討ちにされることも多い様だ。
決して無敵ではなく寧ろ「下手な鉄砲」の部類だというが、能力使用後48時間の充電期間が必要な割に「下手な鉄砲」なのは当たれば必殺だからだという。
基本的に異邦人(プレデター)はリハンが「タゲを十分理解した」と思うタイミングで具現化させるが自動型(オート)の念獣で、複数の能力を持つ敵との相性が悪く、特に迎撃型(カウンタータイプ)を回避する術がないという。
制約と誓約やそれに伴う特徴が多く、複数話に渡ってリハンの思考や神の声(ナレーション)で明かされる情報ということもあって若干表現に幅(ブレ)があるため、不明点も多い。
◎異邦人(プレデター)の視え方
恐らく術者と“タゲ”のみに視えるタイプで、呪憑型に近しいのかと思われる。
サレサレの守護霊獣を襲った際、サレサレ含む周囲の者には視えている様子がなく、
タゲであるサレサレの霊獣に対して“天敵(プレデター)を前にして出来る事など何もあるまい”と考えており、タゲに見えないのであれば返り討ちされることもないことから、視えているのは術者とタゲなのだろう。
そしてその“タゲ”の性質によって―、
強化・放出・変化系の様に、その能力者自体が能力を使用する場合にはリハンとその相手自身
念獣や生物操作の中でも、それ自体が自律的に動いている様な自動型(オート)の場合には、リハンとその能力のみ(念獣等)
ただ遠隔操作(リモート)の場合には、リハンとその相手自身とその能力(念獣等)
―若干その範囲は変わるかと思われる。
ちなみにNo.388において、リハンは“強化系や放出系だと能力者本体が標的となる”と考えていたが、変化系能力者もその多くがその能力を能力者自身が用いていることが多いため変化系もその典型に入るかと思われるが、
同僚のムッセの「裏窓の鳥(シークレットウインドウ)」の3種の鳥の1種が変化系で、それを思い浮かべていたためなのかもしれない。
◎タゲを襲う方法とその意味 ~48時間の充電期間を添えて~
異邦人(プレデター)がサレサレの守護霊獣を襲った際は一口でパクりんちょしていたが、タゲが強化・放出・変化系でその能力者自体を対象とする場合はどうなるのだろうか。
その能力者自体を対象とするケースは未出ではあるが、“捕食者”という言葉が何度か登場しているため文字通り食べるのかもしれない。
サレサレの霊獣の様に一気食い(踊り食い?)だったり、少しずつ食べるのかもしれない、そしてその際に特殊能力を発揮するのかもしれない(後述)。
また自動型(オート)の念獣の様だが、
何故かサレサレの霊獣本体ではなく、リハンの近くに居た警護兵に憑いている分身体の方を先に捕食していた。
後述の48時間の充電時間により術者のリハンは絶状態になっているため、異邦人(プレデター)に与えられている命令は「リハンを守りつつ敵を捕食せよ」というもので、敵への攻撃よりもリハンの防衛の方が優先順位が高いのかもしれない。
続いて、48時間の充電期間についてだが、これには若干の言葉の幅(ブレ)が出てしまっている。
No.381では『異邦人(プレデター)が“捕食を完了した後の48時間!!” 私は念能力を一切使えなくなる』
No.388では『能力使用後48時間の充電期間が必要…ry)』
―とリハン自身が考えており、リハンが絶状態になるのが“捕食完了後”なのか“能力使用後”なのかが明確ではない。
つまり、異邦人(プレデター)がタゲを襲っている際にリハンが念を用いて共闘可能かどうかが変わってくる。
サレサレ襲撃時にリハンは何もしていなかった様だが、霊獣捕食後はサレサレを仲間が暗殺予定のため余計な嫌疑がかからぬ様に何もしないのは当たり前で、あの状況だけで判断するのは難しい。
ただ、異邦人(プレデター)がタゲ本体よりも先に分身体の方を捕食したことから、恐らくリハンの48時間の充電期間(念が使えなくなる期間)が始まるのは“育てていた異邦人(プレデター)を解放した=具現した時から”かと思われる。
リハン自身がリスクを負ってタゲの調査をする必要があったり、他者を使って安全を確保してしまうと逆に弱体化してしまうという性質もあるため、異邦人(プレデター)の解放はリハンがタゲと同じ空間内(タゲにリハンが視認できる範囲)に居る時に限られ、異邦人(プレデター)とタゲの戦闘を絶状態で耐え凌ぐことも制約と誓約になっているのかもしれない。
次に“捕食”の意味。
リハンはサレサレの守護霊獣の捕食完了した時点で『任務完了』と暗殺向きの私設兵と交代し、サレサレに対し『守護霊獣を“失った”王子の命を奪うのは造作もない事』と考えていた。
しかし念獣は、
仮に破壊されたとしても二度と具現できない訳ではない。
※恐らく破壊された念獣に用いていたオーラ(AOPの場合)は回収できず、再度具現する際には再度オーラを消費する(SOC)かとは思われる。
そのため異邦人(プレデター)の捕食には、クラピカの「奪う人指し指の鎖(スチールチェーン)」に近しい性質があるのかと思われる。
クラピカの人指し指の能力は、鎖の先端についた注射器を対象に刺すことで、血液を抜き取る様に相手の念能力を抜き取る(奪い取る)ことができ、さらにその後も吸い続けることで対象のオーラを奪い「絶」状態にすることが可能である。
そしてこの能力で相手を絶にできる原理は、
ヂートゥ戦でモラウが隔絶された念空間に閉じ込められた際に、現実世界にある「紫煙機兵隊(ディープパープル)」を解除できたとして、そのオーラをこの空間に戻すことができるのか、という疑問がほぼ答えになるのかと思われる。
AOPは念の作業領域(=メモリ)の側面を持ち―元々放出系能力で切り離していない限りは―体から離した状態であってもAOP(メモリ)を共有した状態にあり、一旦それを回収しなければ体内から新たにオーラを出すこともできない様であった。
つまりクラピカの「奪う人指し指の鎖(スチールチェーン)」は対象のオーラ(AOP=メモリ)を吸い取り、“注射器(=具現化物)の中”という隔絶空間に閉じ込めることで対象を「絶」状態にしているのだろう。
ちなみにだが、どのような原理で相手の「発」を奪っているのだろうか。
奪うこと自体は特質系以外でも可能で、使用することには特質系が必要であることを考えると、「発」には分霊(わけみたま)の様な現象(?)が起きているのかもしれない。
同系統の能力者、例えばゴンの「ジャジャン拳グー」とウヴォーの「超破壊拳(ビッグバンインパクト)」という発は実質的に同じモノかと思われる。
しかし、それぞれがその能力者にとって愛着が誇りのある特別なものであろう。
「紫煙機兵隊(ディープパープル)」が操作条件を込めたオーラの核を煙でオーラで覆う様に、術者の魂の一部がその発の核と化して使われているのであれば―、
オーラと一緒に発の核と化している術者の魂(分霊)が隔絶空間から出せなくなったため術者はその発が使えなくなっているかもしれない。
その様に考えると、異邦人(プレデター)の捕食はサレサレの守護霊獣の核とAOPの強奪を意味するのだろう。
しかし、ここで疑問がある。
モモゼが死亡した際、謎の棺に入れられ、その棺から伸びた先にオーラの様なものが灯り、
“娘(モモゼ)はカキン大樹の礎となり、生前よりも力強く輝き息づいているホ”
“娘は今も生きているホ…”
とナスビ国王は語り、中央のポッドと周囲に14基(王子の数は14人)の棺があること(中央のモノも入れて全部で15基存在)、
継承戦から逃げようとしたカチョウ・フウゲツを無数の謎の手が追って来て、それによりカチョウが死亡したこと、
“ワシはもう儀式の一部ホ”
“役割がありそれが終わるまで死ぬ事もないホ”
ともナスビ国王が語っていることから、カキンの王位継承の儀式は勝ち残った王子の一人に、それまでの王位継承戦の敗者達と前国王(今回はナスビ)の全ての魂(のエネルギー?)と、これまでの継承戦の中で霊獣が経験した念の知識と技術を“新王”の守護霊獣に継承させる様なものかと思われる。
そして、それには壺中卵の儀で貸し出された卵(初代カキン王のオーラ?)も必要となろう。
果たしてリハンが奪っているモノの中にそれは含まれていないのだろうか。個人的には発の“核”になっているモノはその力の一部の様に思われる。
―ミソはリハンの48時間という充電期間なのかもしれない。
そもそも異邦人(プレデター)は捕食後―サレサレの霊獣を食べた後は誇らしげにその場に居たが―どうなっているのか。
ひょっとすると“その場に48時間居続けている”のではなかろうか。
つまり、敵のAOPや「発」を言わば封印している異邦人(プレデター)という檻は“最大48時間”で消え、本来であれば奪ったモノは元の能力者に戻るのではないだろうか。
ただ、その48時間の内にその術者を殺すから戻ることはなく、隔絶空間に閉じ込めているからその「発」は死者の念化も出来ないのかもしれない。
魂とやらはキメラアントの事件の際に―少なくとも一定の時間は―肉体がすり潰されようとも消えはしなかった様だから、リハンの檻が消えた後に、カチョウ・フウゲツを追ってきた無数の謎の手が回収しているのだろうか。
もし儀式終了時―王子が最後の1人になった時―に、その檻の中に居たならその檻を壊しに異邦人(プレデター)を襲って来るのかもしれない(カチョウ・フウゲツを追って来られた様に卵を貸し出された者はマーキングされているのかと思われる)。
また異邦人(プレデター)の捕食は―
―憑いている分身体を食べられた護衛が誘導型の操作が解けている様子が見られるため、“一時的な除念”の効果も持っているかと思われる。
ただ捕食後48時間以内にその術者を殺さないと、その念は元々憑いていた者に戻ってしまうのかもしれない。
あるいは“捕食”という言葉から、その「発」を成しているオーラは消化・分解などされている可能性もあるかもしれない。
加えて、能力者本体が標的となった場合で、一部分でもその能力者の肉体とオーラもしくはオーラだけでも食べることが出来たならば、食べたオーラ分、相手のAOP(メモリ)を減らしていくこともできるのかもしれないですね。
もちろん異邦人(プレデター)が返り討ち(破壊)されたら、途中でオーラを奪っていたとしても相手の元に戻ってしまうのでしょうけどね。
以上。