血液の鉄人の医学と切手のサイト

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医学関係の仕事に携わっている傍ら長年収集した医学切手を使用して、医学関係の出来事を興味深くそしてわかり易く解説いたします。

ヒガンバナ(彼岸花)は、全草有毒な多年生の球根性植物です。

※全草有毒とは植物のすべての部分に毒性物質が含まれていることを言います※

日本全土に咲き乱れ、呼び名も数多くあります。

少し例を上げてみますと、曼珠沙華・地獄花・死人花・毒花・幽霊花・捨子花等などです。

ヒガンバナは、花全体にリコリンやガラタミンなど約20種の有毒アルカロイドをもっています。

特に球根に毒が多く含まれ、毒抜きせずに食すと、30分以内に激しい下痢や嘔吐に見舞われ、ひどい場合は呼吸不全や痙攣、中枢神経麻痺といった深刻な症状を引き起こします。


特に鱗茎にアルカロイド(リコリン、ガランタミン、セキサニン、ホモリコリン等)を多く含む有毒植物で、経口摂取すると吐き気や下痢を起こし、ひどい場合には中枢神経の麻痺を起こして死に至ることもあります。

ヒガンバナは、草姿がノビルやアサツキに似ている植物であることから、誤って食べて体調を崩すことがよくあります。

誤って食べた場合、特別な解毒剤などはないため、催吐薬や下剤を投与しての対症療法しか治療法はありません。

ヒガンバナは、球根1gあたりに約0.15mgのリコリン、0.019gのガラタミンを含んでいます。

要するにリコリンの致死量は10gなので、球根を1個食べても重篤な症状に至ることは基本的に先ず無いわけです。

精製された彼岸花の球根は、"石蒜(セキサン)"や"彼岸花根"の名で漢方薬として利用されています。

消炎作用や利尿作用があり、茎を刻んで搾取した汁で患部を流すと効果があるほか、根をすりつぶしたものを張り薬にすると、むくみやあかぎれ、関節痛を改善する効果があるとされています。

薬として使用するには、毒の量を調節できる正しい知識と的確な処置が必要なので、専門家でない限り家庭薬としての素人利用はしないのが安全です。

また、最近では彼岸花に含まれるガランタミンが記憶機能を回復させるとして、アルツハイマー型認知症の薬に利用されつつあります。

彼岸花の毒は経口摂取(口から食べる)することで影響がでますので、ただ触るだけでは問題はありません。

 

切手は2009年日本発行の「ふるさと切手旅の風景シリーズ 第6集」で奈良・明日香の橘寺と咲き乱れるヒガンバナが描かれています。

 



切手は1992年韓国発行の「植物切手」でヒガンバナが描かれています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トウゴマ(唐胡麻)は、トウダイグサ科トウゴマ属の多年草で別名ヒマ(蓖麻)と呼ばれています。

原産は、東アフリカと言われていますが現在では世界中に分布しています。

種子から得られる油はひまし油として広く使われており、種にはリシンという毒タンパク質が含まれています。

そして「リシン」は、世界5大猛毒のひとつと称され、推定の最低致死量は体重1kgあたり0.03mgと言われています。

種子には有毒タンパクのリシンと、アルカロイドのリシニンを含んでいて、2~3個食べると死に至ることがあります。

種子あるいは種皮を除いた仁(じん)と呼ばれる果実の核を冷圧して得たひまし油(蓖麻子油)は下剤として用いられています。

日本では、ひまし油は日本薬局方に収録されており、下剤として使われています。

ひまし油の中には、猛毒であるリシンが含まれているため、使用の際は十分な注意が必要とされ、特に妊娠中や生理中の女性は使用してはいけません。

トウゴマの種を食べると、嘔吐や下痢といった症状が現れ、嘔吐下痢による脱水症状が現れ、血圧の低下を引き起こします。
 
更に幻覚や痙攣などの症状も現れ、摂取量が多い場合は、数日後には肝臓や脾臓・腎臓の機能が低下し、最悪の場合、死に至ることがあります。

インドでは紀元前2000年頃からひまし油を灯りや便秘薬として使用していたのと記録が存在し、中国においても数世紀にわたって、内用・外用の医薬品として処方され続けられています。

トウゴマの種子を食べることは極めて危険であり、子供が誤食して重大事故が発生した例もあるので注意が必要です。

 

切手は1962年北ベトナム発行の「普通切手」の中の一枚で、トウゴマが描かれています。

 

 


 

 

切手は1974年北朝鮮発行の「油脂切手」の中の一枚で、トウゴマが描かれています。

 



切手は1993年コンゴ発行の「野生の花切手」でトウゴマが描かれています。

 

 



切手は1989年ガンビア発行の「植物切手」でトウゴマが描かれています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イヌサフランはイヌサフラン科の植物で、かつてはユリ科に分類されていました。

ヨーロッパ中南部から北アフリカ原産で、秋に花が咲きます。

名前にサフランと付き見た目も良く似ていますが、アヤメ科のサフランとは全く別の植物です。

種子には 0.2 ~ 0.6 %、鱗茎には 0.08 ~ 0.2%のアルカロイドのコルヒチン含まれています。

中毒症状としては、嘔吐、下痢、皮膚の知覚減退、呼吸困難を引き起こし、重症の場合は死亡することもあります。

2011~15年の5年間で7人の患者が発生し、内3人が死亡しています。

ニンニクやタマネギ、ジャガイモとの誤食として事故が発生しています。

また、ギョウジャニンニクとイヌサフランはよく似ていることから、誤食するという事故が発生しています。

致死量は0.5mg/kg程度で、体重60kgの大人だと30mg程度接種すると死亡の可能性があります。

イヌサフランに含まれる毒物コルヒチンは、リウマチや痛風の薬になります。

現にわが国では、1964年に『コルヒチン錠0.5mg「タカタ」』が痛風の発作を抑える薬として販売されています。


 

切手は1976年アルバニア発行の「抑揚植物切手」で、イヌサフランが描かれています。

 

 



 

切手は1982年東ドイツ発行の「有毒植物切手」で、イヌサフランが描かれています。

 

 



 

切手は1987年イギリス発行の「花切手」の中の一枚で、イヌサフランの花が描かれています。

 



切手は1957年ユーゴスラビア発行の「薬用植物切手」の中の一枚で、イヌサフランの花と球根が描かれています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

インド原産で日本へは、中国を経て江戸時代中期に伝来したと言われています。

葉が竹のように狭く花が桃のように美しい事から夾竹桃(キョウイチクトウ)と呼ばれています。

キョウチクトウには、強い経口毒性があり、野外活動の際に調理に用いたり、家畜が食べたりしないよう注意が必要です。

キョウチクトウの毒で最も強い成分が"オレアンドリン"です。

オレアンドリンの毒性は青酸カリより強いと言われています。

ヒトの致死量は、0.30mg/kgで、キョウチクトウの枝を箸や串の代わりに使って食事をするだけでも死に至るといわれています。

身近な所によく植えられているだけに、野外活動で調理に用いたり、家畜が食べたりしないよう、また子供が触らないように気を配って下さい。

花、葉、枝、根、果実すべての部分と、周辺の土壌にも毒性が存在し、生木を燃した煙も毒を有し、腐葉土にしても1年間は毒性が残るため、腐葉土にする際にも注意を払う必要があります。

中毒症状としては、嘔気・嘔吐、四肢脱力、倦怠感、下痢、非回転性のめまい、腹痛などが見られます。 

治療法はジギタリス中毒と同様の治療を行います。

【おまけの話】

強い毒性について、アレキサンダー大王のインド遠征のとき、ひとつの小隊がインドの河原に生えているキョウチクトウの枝に肉を挿して調理し、全滅したという逸話が伝えられています。

セイヨウキョウチクトウとキョウチクトウは、同じ種内の植物(変種)とされて、区別は非常に難しいとされています。


 

切手は1970年イギリス領バーミューダ発行の「通常切手」でセイヨウキョウチクトウが描かれています。

 



 

切手は1982年オマーン発行の「通常切手」の中の一枚で、セイヨウキョウチクトウが描かれています。

 

 



 

切手は1985年グレナダ発行の「通常切手」の中の一枚で、セイヨウキョウチクトウが描かれています。

 



切手は1994年キリバス発行の「季節の花切手」の中の一枚で、セイヨウキョウチクトウが描かれています。

 



切手は2000年台湾発行の「台湾の毒草切手」でキョウチクトウが描かれています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スズランは、スズラン亜科スズラン属に属する多年草の一種です。

君影草、谷間の姫百合とも呼ばれています。

スズランの全草には、強心配糖体のコンバラトキシン、コンバラマリン 、コンバロシド などが含まれていますが、特に花や根に多く含まれています。

この毒を摂取した場合、嘔吐、頭痛、眩暈、心不全、血圧低下、心臓麻痺などの症状を起こし、重症の場合は死に至る事があります。

山菜で人気のある行者ニンニクと鈴蘭は葉の形が似ているために、誤って食べて中毒になることがあります。

すずらんの切り花をつけおいた水を誤って飲んでも中毒を起こします。

ペットや小さい子供が誤って口にすることがないように十分に気を付けるようにしてください。

スズランの栽培の際には、スズラン自身が持つ毒のお陰で病害虫を心配する必要はありません。



切手は1999年日本発行の「ふるさと切手ー北のロマン・花木ー」で、スズランが描かれています。

 

 



 

切手は1977年ルクセンブルグ発行の「植物切手」で、スズランが描かれています。

 

 



切手は2006年チェコ共和国発行の「植物切手」で、スズランが描かれています。

 

 



切手は2012年日本発行の「季節の花シリーズ第3集」の中の一枚で、スズランが描かれています。