その子猫は、白黒で尻尾が豚みたいなので、先生達は「Peppa」と呼んでいました。 胡椒とペッパピッグをかけていたそうです。 次女がアートで丁度ペッパピッグを描いていたのもあって、次女はそれもなんか運命的なんだよ!と言っていました。 

 

待ち合わせのペットショップに入ると、先生ご夫婦は子猫を入れたキャリーをカートに入れてショッピングをしていました。 子猫は物凄く落ち着いていて、受け渡しは最初はトレーニングエリアを貸してもらおうと言っていたのですが、犬のトーレーニングはなかなか終わらないし、大人しいので空いている棚を借りて入れ替えをすると、全く逃げるそぶりも慌てるそぶりもなくすんなり私たちのキャリーに入りました。 そして先生達は子猫の家での様子や性格を教えてくれました。 いつもは賢く落ち着いていて健康的で良い子なんだけれど、食べ物をあげる時だけは異常なくらい騒がしくなってがっつくので、食事は少しずつ回数を多くあげた方が良いと思う、と言っていました。 それからこれで遊ぶのが好きなんだ、とネズミのおもちゃとペットボトルのキャップをくれました。 あとは、子猫が使っていた猫砂を持ってきて欲しいと頼んでいたので、臭いのついた砂を貰って家に連れて帰りました。 

 

子猫は車の中でも全く騒ぐ事もなく、家についてキャリーから出しても怖がる様子もなく、隠れもしませんでした。 私達も次女が戻るまではそっとしておこう、と子猫をケージの中に入れると、騒ぐ事もなくすぐ私達が用意したクッションに丸まって座りました。 随分前にもらったクッションなのですが、まるで子猫の為にうちに来たのではないか?と思うくらいにジャストフィットでした。

 

初めて家に来た日

 

クッションにぴったりはまる子猫

やっと私達の気持ちが固まったので、私は歴史の先生に正式に引き取ると連絡をしました。 歴史の先生は過去に日本に住んでいたことがあって、日本語もある程度できるし、奥様も話すので日本語でも良いよ、と言ってくれたのですが、奥様の携帯に日本語が入っていないとの事で、結局英語でのやりとりをしました。

 

彼らは犬を2匹、猫を3匹飼っているので、これ以上猫を引き取るのは厳しいとの事で引き取り手を探していたのでした。 うちで引き取ると言うととても喜んでくれて、でもやり取りの中で私がどれだけ猫を飼う知識があるかを心配していた感じだったので、本当に動物好きで、保護した子猫の事も大事に思ってくれているのがわかりました。 夫も私も過去に飼った猫の数は片手では足りない程いるからよく知っている事、キャリーは前の猫に使っていたものが残っていたし、ご飯やトイレの用意もして、子猫の間に入れておくケージも買った事を告げると、では、次の週末にペットショップで待ち合わせしましょう、ということになりました。

 

やり取りをした次の日、次女は授業終わりに先生の教室に呼び出され、「子猫は尻尾がカールしているけど、良親もそれで良いと言っているか?」と聞かれたそうです。 私たちも次女からそれを聞いていて、尻尾の種類を色々調べ、今まではみんな普通の尻尾だったから楽しみだね〜といっていたので、その旨を告げたら安心していた様子だったそうです。

 

土曜日は次女のダンススケジュールがあるので、朝と夕方どちらが良いか聞くと、夕方が良いと言うので次女がチアの練習をやっている間に夫と二人で迎えに行く事にしました。 

日本に行く事は諦めても良いけれど、もう一つ問題が残っていました。 それは野良猫のクロちゃん。 もし家猫を飼うのなら、もう野良猫を家に入れるわけにないかなくなります。 クロちゃんは狂犬病の注射を打っていないし、何よりも外からノミを持ってきます。 クロちゃんにも薬は使っていたけどやはり外猫のノミを完全に除去することは難しく、ノミの活動時期の夏は毎年みんなの足が噛まれて酷いことになっていたので、家猫に移されたら大変です。 なので、「クロちゃんをもう家に入れないけど良いか?」「そしたらもうクロちゃんは戻ってこなくなるかもしれないけど良いか?」と聞くと、次女は「クロちゃんは今でも来たり来なかったりだし、もうそんな状態は嫌だ」と言いました。

 

夫にも意見を聞いてみると、彼は小さい時から大体家に猫がいた状態で育ってきたし、今でも実家には猫がいて、今はクロちゃんをとても可愛がっているけれども、概ね次女と同じ意見でした。 息子と長女の意見は、そのうち家を出る可能性が高いからそれ程重要ではないので、あとは私のクロちゃんに対する切ない感情の処理のみになりました。

 

私は自分を納得させる為に、とりあえずクロちゃんが安全に眠れる場所とご飯が食べられる場所があれば良い、と考えました。 そして玄関先のスペースに小さい箪笥を置いて風よけを作り、一番風が来ない場所に椅子を置いて、その上に今までクロちゃんが使っていた布団を乗せてベッドにし、箪笥にご飯をしまえるようにしました。 すると、怪我の功名か、その箪笥にあまり使わない靴を入れたり玄関前に置かれている庭いじりの道具を入れられたりして、以前よりも玄関周りがすっきりして良い感じになり、私の心も新しい猫を迎え入れる体制に整いました。

 

 

 

 

4月の中旬に、次女が「歴史の先生から猫の飼い主を探しているって聞いたんだけど、飼っていい?」と聞いてきました。 次女が学校で歴史の先生が手に絆創膏を貼っているのに気づき、どうしたの?と聞くと、猫に噛まれた、と言い、その怪我は野良猫を撫でようとしたら噛まれたらしいのですが、そこから猫好きなの?という話になって、実は今子猫を保護したのだけど、飼ってくれる家を探しているのだと聞いたのだそうです。 そして、歴史の先生からも私に直接猫の写真と家を探しているという旨のメールが来ました。

 

写真の猫は齢10週程の大きさで、タキシード柄、鼻に白い筋が入っている可愛い猫で、前の猫はシャムと虎柄だったから、個人的に次に飼うなら短毛でハチワレがいいなと思っていたし、飼うなら2〜3ヶ月くらいの子猫を希望していて、ハチワレではないけれどかなり私の理想に近かったので、私も写真を見てすぐに心を奪われてしまいました。

 

とは言っても、やはり猫を飼うとなると長い間家を空ける事はできないので、そう簡単に決めることはできません。 実は去年の夏に所属していたWNBAの専属キッズダンスが今年はキッズチームをを作らない事がわかり、前から次女は日本に行きたいと言っていたから、では夏は日本に行こうか?という話になったところでした。 でも、その猫を受け入れるとなると、特に子猫のうちは世話が必要だから、今年の夏は日本に行けなくなるよ?と言うと、次女は日本を諦めても猫が欲しい、と言いました。

5月6日、我が家に子猫がやってきました! 2008年に9歳、2013年に14歳だった猫達が他界してから、10年ぶりの家猫です。 

 

我が家の近所には野良猫や放し飼いの猫が沢山いて、4年程前に我が家の庭を縄張りにしている野良猫クロちゃんと出会いました。 気が向いた時だけ我が家に出入りしているクロちゃんとの距離感が私には丁度良かったので、発作的に出てくる家族(特に次女)の「猫欲しい〜」という言葉を、「でもそうしたらクロちゃんの居場所がなくなるよ?」と言ってなだめてきました。 しかもクロちゃんも空気を読む子で、数週間うちに帰ってこなくても(どうもご飯をくれる家が何軒かあるらしい)、家で「もうクロちゃん戻ってこないかもしれないからシェルターに猫を探しに行こう!」という話になる度にまた戻ってくる、というのを繰り返していました。 

 

私も子供を産む前は大の猫好きでしたが、子供が赤ちゃんの時は衛生面が気になったり、3人の子育てで大忙しだったところは(共働きでほぼワンオペ育児)、猫がいろんなところで嘔吐してたり、着たい服が毛だらけになっていたりして、「猫がいなければもう少し楽かも?」という気持ちに変わっていきました。 もちろん他界した時はものすごく悲しかったけど、掃除も楽になったし、何も気にせず家族旅行に行けるしで、猫がいないというメリットは私にとっては大きなものでした。 なので、家の中は寝てるかご飯を食べるかだけで、あとは外を自由に遊び回り、私達がいなくても生きていけるクロちゃんとの距離が私には一番心地よかったのでした。