おれは両親と祖母と車で旅行している。リアシートに座る祖母の身体には巨大な金色の珠が埋まっている。よく見ると甲虫のような黄金のプロテクターだ。脚を患った祖母はそれ無しでは歩けないのだという。恐る恐る祖母の身体からプロテクターを外してみると中は空洞になっており、剥き出しの肉と骨が覗いている。おれは驚きプロテクターを自分の身体につけなおす。でも身体だけではだめだ。入れ歯を填めないとおれの歯はぼろぼろなのだ。助手席の松本人志から入れ歯を借りる。松本の歯は全てぼろぼろなので総入れ歯だ。入れ歯は大きく光沢のある金属でできており卵型をしている。かなり高価なもののようで、大事に扱うよう脅しを受ける。それでも歯が無いと困るので無理矢理はめるとその大きさでアゴが全く動かない。無理矢理外そうとして口の中の動脈を傷つけてしまいものすごい勢いで血が飛びでる。時速数キロ。早く止めないと。アクセルを踏む。

河豚を喰う。毒を喰う。旨いから毒があるのか。毒があるから旨いのか。おれは前者を支持する。河豚は旨い。だから毒を持ったのだ。これ以上おれを喰うなと毒を盛ったのだ。わざわざ毒を喰らい体の機関に毒を蓄積させ、一撃必殺の毒を。自らの体を酷使し長い年月かけて改造し毒を持ったのだ。しかしそこで問題が生じた。河豚の毒は強力だが、その強力さ故に食した者を短時間で殺傷してしまう。それには即効性があり、効果的かと思われがちだが実際そうか。河豚の毒を喰らうのはほぼ海の生き物に違いない。たとえば鮫。ある鮫が河豚を喰らいその毒で命を落としたとして、それは誰に伝わるのか。仲間の鮫はそれを知り得るのか。そしてその子孫に河豚は危険であるという情報を遺伝子レベルで通達できるのか。強すぎる殺傷能力はかえって逆効果なのではないのか?と彼女にいったところ、彼女はヒレ酒を箸でかき混ぜつつこう言ったのだ。「河豚っておいしいよね。わたし河豚にだったら殺されてもいいと思うよ。かわいいし、おいしいし、なにより強い。死んでなお強い…じゃないよね。死んでこそ強い。わたしは生きているうちも強くないし、死んでしまったらもっと強くない。わたしが死ぬことで誰も殺すことはできないんだよ」おれは言う「河豚だってただ死ぬだけでは強くないよ。毒を喰らい、毒を持った上でただ死に、ただ腐っていく多くの河豚は強くない。可哀想じゃないのかな」彼女は(だからあなたは)という目をしてこう返す。「それは河豚にとっては勝利なんじゃないかしら。食べられないために自らをそのかたちに導いた河豚という種にとって【食べられずに死ぬ】これ以上の幸せはないんじゃないかしら。ただ今は人間の圧勝だけどね」二人で〆の雑炊を啜り、夜を歩く。
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すごいものをみたー。
なんだこれはなんだこの本気具合はなんだこの本気汁濃縮非還元100%中の100%一気強要スタンピード!オーティス!ベイビー!キャプテン・スポールディング!警察に追われつつ恐怖、嫌悪のピークトップ撒き散らしコーラを飲んだ後のゲップのように殺人を殺人を繰り返し逃げる殺人鬼一家におれの生理的感情は胸クソビッチかき乱されまくり吐き気を催しながらもそっちが本気ならこっちも本気だ寝れなくなっても構うもんかファキナベイベー!とガチ観してるうちにどー考えても同情の余地というか感情移入の隙も微塵も無い最悪クソ殺人鬼どもにラスト泣かされいや啼かされまくってもー傑作超正統派逃避行マカロニアメリカンニューシネマロードムーヴィーに感謝興奮しつつ熟睡。

と今ここで日本語吹き替え版のベイビーロブゾンビ妻がダーマ雨蘭咲木子氏ということに気付き今日も観な!

ブタの話になった。彼女曰く「ブタは好きだ」「ブタっていいよね」とのことだったので「ブタって、どんなにかわいくてもおいしそうなところがいいよね」とほんの少しの意地悪を含んだ返しをしてみると少しの間の後に「うん、そうだね。ブタは両立するね。かわいいとおいしいが」と妙に納得されたのでよかったとおもった。だいさんせい。
公園を歩いていたらプーチンとブッシュが噴水のそばでダベってたのでそういやおれはこの2人に用事があるんだったと思い出しおずおずと話し掛けてみるとブッシュはなんだかとっても怒りながらハンバーガーをおれに渡し、プーチンはこの人(ブッシュ)はこう言ってますけどワタシは応援していますよなどということを言いながら魚肉ソーセージをおれに渡してきたのでおれはこれら(ハンバーガーと魚肉ソーセージ)を急いで小泉さんに届けなきゃなあと思いタクシーを捜すのだが公園の中ではやはりなかなかタクシーはつかまらなくて、そういや荷物だって両手にいっぱいだし仕方ないので魚肉ソーセージはくわえて、ハンバーガーはワキの下にはさんで小走りで小泉さんのところを目指すのだけれど一体どこに行ったら小泉さんに会えるのかもわからなくなってきたので、あきらめてベンチに座って魚肉ソーセージとハンバーガーを平らげることにした。ハンバーガー、自分で食べるんだったらワキの下になんかはさんで歩くんじゃなかったなあちょっといやだなあ、とか考えながら目を覚ます一日の始まり。