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• ・人も惜し　人も恨めし　あぢきなく　世を思ふゆえに　 もの思ふ身は
• ・霜やけの　手を吹いてやる　雪まろげ
• ・芦辺行く　鴨の羽がひに　霜降りて　寒き夕べは 大和し思ほゆ
• ・みよしのの　山の白雪　つもるらし　故里さむく なりまさるなり
• ・すだきけん　昔の人は　影絶えて　宿もるものは　 有明の月
• ・夕されば　衣手さむし　みよしのの　吉野の山に み雪降るらし
• ・わが袖は　潮干に見えぬ　沖の石の　人こそ知らね かわく間ぞなき
• ・あさぼらけ　有明の月と　見るまでに　吉野の里に 降れる白雪
• ・松とりて　常の旭と　なりにけり
• ・待つ人の　今も来たらば　いかがせむ　踏ままく惜しき 庭の雪かな
• ・冬枯れの　野辺とわが身を　思ひせば　もえてもはるを 待たましものを
• ・磯菜つむ　いり江の波の　たちかへり　きみ見るまでの　 命ともがな
• ・世の中よ　道こそなけれ　思ひ入る　山の奥にも 鹿ぞ鳴くなる
• ・山寺の　入相の鐘の　声ごとに　今日も暮れぬと　 聞くぞ悲しき
• ・水沫なす　もろき命も　栲縄の　千尋にもがと　 願い暮らしつ
• ・百薬の　長どうけたる　薬酒　のんでゆらゆら　 ゆらぐ玉の緒
• ・刈れる田に　おふるひつちの　穂にいでぬ　世をいまさらに　 あきはてぬとか　
• ・流れての　末の世までも　佐保川の　澄める心を いかで残さん
• ・かくしつつ　いつをかぎりと　白真弓　おきふしすぐす 月日なるらん
• ・世にふるも　更に時雨の　やどりかな

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