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• ・人知れぬ　思ひやなぞと　葦垣の　まぢかけれども 逢ふよしのなき
• ・杉の庵　すぎて思へば　世の外の　山の月日も 短かかりけり
• ・さのみかく　みし古への　恋しきは　いつよりのちの うき世なるらん
• ・わたつ海　おきにこがるる　もの見れば　あまの釣して かへるなりけり
• ・白露と　人はいへども　野辺みれば　置く花ごとに 色ぞかはれる
• ・かくばかり　経がたく見ゆる　世の中に　うらやましくも 澄める月かな
• ・うつそみの　人なる我や　明日よりは　二上山を 弟と我が見む
• ・忘れ草　しげれる宿を　来て見れば　思ひのきより 生ふるなりけり
• ・いつも見る　月ぞと思へど　秋の夜は　いかなるかげを そふるなるらん
• ・秋さらば　見つつ偲べと　妹が植えし　やどのなでしこ 咲きにけるかも
• ・わがせこが　解き洗ひ衣も　縫はなくに　荻の葉そよぎ 秋風の吹く
• ・我が背子を　いつぞ今かと　待つなへに　面やは見えむ 秋の風吹く
• ・我が背子を　いつぞ今かと　待つなへに　面やは見えむ 秋の風吹く
• ・初瀬山　夕越え暮れて　宿問へば　三輪の檜原に　 秋風ぞ吹く
• ・蛤の　ふたみにわかれ　行く秋ぞ
• ・帰り来て　見むと思ひし　我がやどの　秋萩すすき 散りにけむかも
• ・物ごとに　秋ぞかなしき　もみじつつ　移ろひゆくを かぎりと思へば
• ・たち別れ　いなばの山の　峰に生ふる　まつとし聞かば 今帰り来む
• ・あしびきの　山田の畔に　鳴く鴨の　声聞く時ぞ　 秋は暮れけり
• ・数へねど　今宵の月の　けしきにて　秋のなかばを　 空にしるかな

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