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• ・島廻すと　磯に見し花　風吹きて　波は寄すとも 採らずはやまじ
• ・ながむとて　花にもいたく　馴れぬれば　ちる別れこそ かなしかりけれ
• ・いついつと　待ちしさくらの　咲き出でて　いまはさかりか　 風吹けど散らず
• ・昨日こそ　年はくれしか　春霞　かすがの山に はやたちにけり
• ・朝露に　咲きすさびたる　月草の　日くたつなへに 消ぬべく思ほゆ
• ・鶯の　たえてこの世に　なかりせば　春の心は　 いかにあらまし
• ・卯の花の　さかぬ垣根は　なけれども　名にながれたる 玉川の里　
• ・からさきや　春のさざ浪　うちとけて　霞を映す しがの山陰
• ・岩つなの　またをちかへり　あおによし　奈良の都を またも見むかも
• ・限りあらん　仲ははかなく　なりぬとも　露けき萩の 上をだにとへ
• ・君ならで　誰にか見せむ　梅の花　色をも香をも　 知る人ぞ知る
• ・春きぬと　人はいへどども　うぐひすの　鳴かぬかぎりは あらじとぞおもふ
• ・たれが世も　わがよもしらぬ　世の中に　まつほどいかが あらんとすらん
• ・閉じたりし　岩間の氷　うち解けば　をだえの水も 影見えじやは
• ・きりぎりす　鳴くや霜夜の　さむしろに　衣かたしき ひとりかも寝む
• ・澄めば見ゆ　濁れば隠る　定めなき　この身や水に やどる月かげ
• ・思ひかね　妹がり行けば　冬の夜の　川風寒み　 千鳥鳴くなり
• ・ゆく水と　過ぐる齢と　散る花と　いづれ待ててふ ことを聞くらむ
• ・駒とめて　袖うちはらふ　陰もなし　佐野のわたりの 雪の夕暮れ
• ・黄菊白菊其外の名はなくもがな

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