黄菊白菊其外の名はなくもがな 
                 服部嵐雪

(きぎくしらぎく そのほかのなは なくもがな)

意味・・眼前には色とりどりの菊があって、互いに
    妍(けん)を競っている。けれども、菊の清
    爽(せいそう)な風趣を愛する者には黄菊と
    白菊があればよいので、その他の菊はむし
    ろ無いほうがよい。

    江戸時代には菊の品種がむやみと増加して、
    大輪のものも作られ、夏菊20種、秋菊230種
    がありその後も増加する勢いであった。

 注・・なくもがな=いっそ、無いほうがよい。
    其外の名は=其外の菊は。菊の重複を避け
     た表現。
    妍を競う=あでやかさを競う。 
    清爽=清らかでさわやかなこと。

作者・・服部嵐雪=はっとりらんせつ。1654~1707。
    30歳半ばまて武士で20歳頃より芭蕉に師事した。