身寄りのない人への支援の中で、医療に関することの3回目の報告は、救急搬送についてです。

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身寄りのない人の救急搬送について伺います。

2023年3月に出された「自宅や介護保険施設等における要介護高齢者の急変時対応の負担軽減および円滑化するための調査研究事業報告書では、訪問看護・診療所・特別養護老人ホーム・特定施設での救急時の対応を調査しています。その中で自宅等で暮らす利用者に対して、「人生の最終段階について本人や家族等と話し合いをしたことがない」という事業所が約5割となっています。

 

 

また、救急搬送時の課題として、緊急時の対応や延命治療をどうするか、事前に話し合いがされておらず、搬送先を決める際に方針が決まっていないと病院決定に支障をきたすことがあげられています。

また、報告書の中では、市区町村や医師会、消防本部などが主導して地域のルールを定めているという回答は3~5%程度でした。

 

 

割合はまだ少ないですが、必要となってくる対応ではないかと考えます。ルールがある場合は、共有する利用者の情報や搬送先の選定についてのルールを定めているところが多いようです。また、多職種連携研修会を開き介護・医療・消防の関係者が集まって医療の対応についてあらかじめ備えておくべきことを話し合う取り組みをしているケースもあるとのことです。在宅療養推進協議会の資料によれば、練馬区では医療介護消防連携事業の検討を進めているようですが、区の課題認識と検討状況をお聞かせください。

 

救急車を呼んで救急搬送をする際、その場にいた人が救急車に同乗しての付き添いを求められることがあります。身寄りがない人の場合、誰が付き添うのかという問題があります。例えば2021年3月に出された「保険外サービス活用推進に関する調査研究事業」報告書によれば、調査に回答したケアマネの約65%が救急車への同乗を求められており、約63%は通常業務の範囲ではないと考えてはいるけれども12.7%が「求められればすべて対応」、約67%が「対応する場合がある」としています。そして、98.7%が無償で対応していると回答しています。

 

 

このようなケアマネの通常業務を超えた業務の範囲の広さという、ケアマネを取り巻く課題についても後ほど改めて取り上げたいと思いますが、救急搬送の対応についてはケアマネ以外にも様々な支援者が課題を抱えていると考えられます。入所施設においても、ぎりぎりの人員体制で運営している中で必ずしも職員が救急車に同乗できないこともあると考えられますし、身寄りがなく在宅介護で生活している場合はなおさら、通報をした人がつき添えるとは限らないと考えられます。

 

大阪府では、「介護サービス利用者の体調急変時における救急搬送時の付き添い等についてのアンケート」を行った結果、多くの介護サービス事業所等において利用者の救急搬送時に職員が付き添いを行っていることがわかったこと、職員体制によって必ずしも付き添いできない場合が想定されることから、医療機関に対し、介護事業所等の実情を踏まえて過度な負担を求めることがないよう配慮を求めたことを通知しています。また、救急搬送時の手引きをまとめている地域もあります。(参考地域はこちら

 

そこでまず、練馬区として、介護・福祉施設の救急時の体制についての状況を把握しているかをお聞きします。また、地域包括支援センターにおける単身高齢者の救急搬送時の対応や課題をお聞きします。

こうした実態把握を進めてその結果を踏まえ、介護・福祉事業所等に負担のかからない救急対応について区としても支援を進めるべきと考えますが、見解をお聞きします。

 

身寄りがなく福祉的な支援が必要な人に対する救急搬送時の対応について課題を整理し、医療・消防・介護・福祉が連携して支えられる体制づくりを進めることを求めます。

 

在宅療養推進協議会で、在宅療養患者の急変時における消防との連携を検討。今後、研修などのとりくみを進め、施設職員が同行しなくても適切に救急搬送できるよう取り組んでいく。

(地域医療担当部長)

私から、医療介護消防連携事業についてお答えします。

区は、高齢者等が在宅で安心して療養ができる体制を構築するため、医師、介護サービス事業者および介護者家族等で構成する、在宅療養推進協議会において検討を進めています。

令和5年度には、協議会に作業部会を設置し、在宅療養患者の急変時における消防との連携をテーマに、救急搬送時の情報提供やスタッフ間の相互理解について検討しました。

検討の結果、救急搬送時には、既往歴や服薬状況、かかりつけ医、治療の有無、延命治療ン御希望等の情報を得られることが必要なため、それらをまとめた情報シートを作成しました。 本シートを高齢者等が自ら記入することで望む医療や介護を考えるきっかけとなり、アドバンス・ケア・プランニングの取組の一つとなるものです。

 

今後は、区内の医療・介護・消防のスタッフが参加する救急に関する合同研修や、定期的な情報交換会の開催に向けて協議を進めることとしました。こうした取組を進めることで、より速やかに、適切な医療機関への搬送が可能になると考えています。

身近に親族のいない高齢者の増加に伴い、介護施設や地域包括支援センターの職員が、既往歴や服薬状況等を医療機関に伝えるため救急搬送への同行を求められることが増えています。特に介護施設では、人員の少ない夜間の対応は負担が大きいと聞いています。

今後、在宅療養推進協議会で作成した情報シートを介護施設等でも活用することにより、施設職員が同行しなくても適切に救急搬送が行えるよう、取り組んでまいります。

前回のブログの続きです。身寄りのない人に医療的なサポートをする際の課題について、特に今回は、医療行為に対する同意のこと。前回から怪しかったけど今回はやっぱ答弁漏れだと思う。「医療同意について」という答弁がない。一度答弁をワードに打ち直して「同意」と検索したら一語も引っかからなかったもの。確認したことがないからスルーしたんでしょうか。今後、アドバンスケアプランニングの普及とあわせ、医療現場での医療同意の実態把握は進めてほしいと思います。

 

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(かとうぎ桜子)

厚生労働省が2019年に策定した「身寄りがない人の入院及び医療に係る意思決定が困難な人への支援に関するガイドライン」の中では「医療行為の同意については、本人の一身専属性がきわめて強いものであり、「身元保証人・身元引受人等」の第三者に同意の権限はないものと考えられ」るとされており、医療行為への同意は本人だけが行うべきものと言われていますが、実際には第三者に対して医療機関から医療同意が求められることもあると思われます。

 

 

 

「高齢者の身元保証に関する調査」報告書の中でも、アンケート調査の中で、医療行為に対する本人の意思が確認できないことで対応に苦慮する現場の声が挙げられています。入院時にやむを得ない場合に身体拘束する場合があることへの同意なども含め、第三者に同意を求める実態はあると考えられますが、医療機関が第三者に医療行為の同意を求めることについて、区としてはどのように実態把握をしているか、また区の見解をお聞きします。

 

本人の一身専属性がきわめて強いものとされる医療行為への同意は、当然、成年後見人やケアマネの役割でもありませんが、求められるケースはあると考えられます。また、福祉事務所のケースワーカーもその役割を求められることもあるのではないかと思いますが、実態をどのように捉えているかお聞きします。

 

「高齢者の身元保証に関する調査」では、こうした課題の解決策として、アドバンスケアプランニングを実施することや、リビングウィルをあらかじめまとめておくための支援を行っている自治体があること、そして医療現場でケアマネ等も含めたチームを作り意思決定支援を行うことなどが挙げられています。

「延命治療は望まない」という人は多くいらっしゃいますが、具体的にどこからを延命治療とみなすのか、その治療を継続した時のメリット、デメリットについて正確な情報を持って判断できる環境は十分に整っていないのではないでしょうか。

介護関係者の中でも、アドバンスケアプランニングを知らない、または聞いたことはあるけれど詳しく知らないという人もまだ多いという調査結果もあります。

そのような中で現状では、医療機関が意思決定支援を実施することを決めなければ、正確な情報に基づくアドバンスケアプランニングの実現は困難ではないかと思います。アドバンスケアプランニングについて医療機関による医療的知見を活かし、すべての関係者がともに進めていくことができるよう、区としての支援のとりくみを進めるべきと考えますが見解をお聞きします。

 

(福祉部長)

自ら意思表示ができなくなるなど、もしものときに備えて、自分が受けたい医療や介護について前もって考えておくことが重要です。家や医療・介護チームと繰り返し話し合い、共有するアドバンス・ケア・プランニングを、広く区民に周知し、取り組んでもらう必要があります。

本人の意思が確認できず、家族等がいない場合、国は、「身寄りがない人の入院及び医療に係る意思決定が困難な人への支援に関するガイドライン」において、本人に係わる専門職チームが、本人にとって最善の方針をとることを基本としています。チームは病院の医療職だけでなく、ケアマネジャーなど患者に係わる福祉職等で構成し、繰り返し話し合い決定することを求めています。

医療機関は、ガイドラインに基づき、ケアマネジャーや福祉事務所のケースワーカー等と連携し、医療の方針を決定しています。

本人の意思を尊重した医療を最後まで提供するためには、医療介護の専門職同士で、共通の認識を持つことが必要です。 現在、本年10月に専門職向け勉強会を開催する準備を進めています。

今回のブログでは、身寄りのない人が医療機関を受診するときの課題について取り上げていますが、医療についてはちょっと質問が長くなりますので、分けてご紹介します。

 

一般質問は実際には、私がばーっと25分質問して、行政の人がばーっと20分くらい答弁するので、一問一答ではありません。

だいたい「○○についてお答えします」というので、この質問の答弁はこれだろうなと推測できるのですが、特にこの箇所については本当にこれかどうかがよく分からない💦本会議場で聞いているときは、あれ、答弁漏れしてるんじゃないかなと思ってました。でも文字にして見比べていくと、多分これだと思うんで、とりあえず載せます。質問に対しての答弁が短すぎて…。

結局詳細は把握してないから大まかに答えたということなのかしらね?

 

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(かとうぎ桜子)

身寄りのない人に対する医療について伺います。

まず身寄りのない人の医療行為への同意についてお聞きします。

 

先に述べたように厚生労働省は、身元保証人がいないことのみを理由に医療機関への入院や介護保険施設への入所を拒むことがないよう通知を出していますが、2022年の総務省「高齢者の身元保証に関する調査」の報告によれば、入院・入所時に身元保証を求められる割合は、約9割とのことです。

 

 

身元保証を求める理由は、入院費等の支払いや治療の判断、次の受け入れ先を探すこと、亡くなった場合の対応に不安を感じることなどが挙げられています。

報告書の中では、地域包括支援センターやケアマネなどとのチームで支援をすることで解決している事例を紹介していますが、多くの病院や入所施設で身元保証を求めている実態は簡単に解決できないようにも思えます。

身寄りのない人の入院・入所の受け入れの実態、身元保証を求めている割合、現場での課題など、区内の医療機関・入所施設の実情と課題はどのように把握されているか、伺います。

 

高齢者の身元保証に関する調査」の中では、身寄りのない人を受け入れる病院や施設などが市町村に求める役割として、亡くなった後に対応するだけではなくお元気なときから対応してほしい、一元的に相談できる窓口を明確にしてほしい、といった意見も挙がっていますが、練馬区ではどのような対応をしているかをお聞きします。

 

(福祉部長)

多くの医療機関や介護保険施設では、本人の望む医療や介護が受けられるよう、本人の意思決定を支援する人が必要となることなどから、身元保証を求めています。

身寄りのない方が入所するため、成年後見制度や身元保証事業者を利用できるようにすることが課題となっており、地域包括支援センターでは、医療機関や介護保険施設などからの相談を受け、権利擁護センターや福祉事務所につないでいます。

一般質問の報告2回目は、身元保証などについてです。

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(かとうぎ桜子)

次に、身寄りのない人の身元保証について伺います。

入院や入所の際に求められる身元保証の支援や普段の通院の付き添い、買い物の支援など、身寄りのない人が頼りにできる身元保証の会社が増えていますが、制度的な位置づけはなく、監督する官庁もないことから消費者トラブルも起きています。2023年に国が消費者保護の観点からの実態調査を実施し、今年(2024年)「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン(案)」を出して5月までパブリックコメントを行っていました。

将来にわたる身元保証や死後事務サービスを含み、長期にわたる契約であることから、消費者保護の観点で契約内容の説明や費用の支払い方法、提供するサービスについて、留意すべき点などが挙げられています。

 

ガイドラインの趣旨は、「高齢者等終身サポート事業の健全な発展を推進」とありますが、一方で厚生労働省は2018年に、身元保証人がいないことのみを理由に医療機関への入院や介護保険施設への入所を拒むことがないよう、都道府県に適切な指導を依頼する通知を出しており、身元保証がなければ入院・入所できない体制を変えていく必要もあります。終身サポート事業にどこまでの役割を求めるべきか、制度的な整理をする必要があるのが現状といえます。

 

そんな中でも、他の自治体では、優良な身元保証会社を評価する制度を設けたところもあります。

現段階での練馬区の、身寄りのない人の身元保証の事業についての見解をお聞きします。

 

国が示している「持続可能な権利擁護支援モデル事業」の中では、市町村が関与する形で金銭管理等の支援と意思決定支援を行う取り組みを提示しています。このような取り組みも今後求められていくと思いますが、区としての見解をお聞きします。

 

練馬区では今年度から終活相談を実施するとのことですが、今まで練馬区では終活に関連したご相談はどのようなものを受けてきたのか、今後どのような形で相談を受けていくのかをお聞きします。

 

国が策定したガイドラインを活用して、その方に合った身元保証事業者が見つけられるよう支援をしていく。

(福祉部長)

判断能力が低下したときなどに備えて、身寄りのない方を終活相談窓口や身元保証などの権利擁護支援に早期につなぐことが必要です。

近年、入院・入所時の手続きの支援や緊急時の連絡先となることなどを受託する身元保証事業の需要が高まっており、NPO法人や金融機関が様々なサービスを実施しています

国は、今月、身元保証事業の適正な運営と健全な発展のため、ガイドラインを策定しました。

ガイドラインには契約時に確認すべきチェックリスト等が盛り込まれており、区はその方に合った事業者が見つけられるよう、高齢者や地域包括支援センター、消費生活センター等の関係機関に周知してまいります。

 

次に、「持続可能な権利擁護支援モデル事業」についてです。
国は、成年後見制度によらない権利擁護支援策の検討を進めるため、令和4年度から同モデル事業を実施しています。身寄りのない方の意思決定支援をしながら金銭管理等の生活支援サービスを行うなど、モデル事業を実施した自治体の取組について、効果や制度化・事業化に向けて課題の検証を進めるとしています。その検証も参考として、区の取り組みについて検討してまいります。
次に、終活相談についてです。
区はこれまでも、相続、お墓、遺品整理など様々な相談を地域包括支援センターや権利擁護センター、終活相談会などで受けています。「終活の窓口をわかりやすくしてほしい」との声を踏まえ、今月、権利擁護センターに終活相談窓口を設置しました。専門的な助言が必要な内容の相談については、 司法書士等による相談につなげています。

前回のブログでもご紹介しましたが、6月13日に行った一般質問の内容を順番にご紹介していきます。

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(かとうぎ桜子)

国勢調査によると、2022年の練馬区の単身世帯の人口は17万8473人で、人口約74万人の中で占める割合は約24%、単身高齢者は約3万9千人で、高齢者人口約16万人に対してこちらも約24%となっています。

身寄りがない、あっても疎遠で、生活上の困りごとがあっても頼れる身寄りが身近にない人も多くいると考えられます。

墓地埋葬法に基づいて対応している件数も増えており、決算書の葬儀費用の件数をみると、2000年代は10件前後だったものが2010年代前半は20件前後、2010年度代後半には30件前後、そして2021年度52件、2022年度は64件で、継続して増加傾向にあります。この件数の増加の理由として、「単身高齢世帯の増加がある」という答弁が以前ありました。

2024年3月に出された「地域包括ケアシステムにおけるケアマネジメントのあり方に関する調査研究事業」報告書では、直近3年間において身寄りがなく在宅生活の継続に支障が出ている利用者が増加していると回答しているケアマネジャーが47.7%となっています。

 

 

こうした数字からも、一人暮らしの人が体調を崩したり、介護が必要になった時の支援体制、また最期を迎えるまでの支援が必要と考えられます。具体的には、日常生活の支援、救急搬送、入院、死後の対応など課題があります。

そこで、身寄りのない人への支援で検討すべき課題について、指摘していきたいと思います。

 

生活サポートセンターと地域包括支援センターでの身寄りのない人への対応の実態と課題は。区の福祉事務所高齢者支援係が捉えている身寄りのない人の抱える課題は。

まず身寄りのない人への日常生活の中での支援について伺います。

・高齢者に限らず、生活困窮者支援の現場でも、身寄りのない人への支援に課題がある、ということについて、「身寄りのない生活困窮者に対する支援手法に関する調査研究事業」報告書が2019年3月に出されています。

全国の自立相談支援機関、人口10万人以上の自治体の地域包括支援センターにアンケート調査を行った結果、身寄りのない人の相談を受けたことがある相談機関が7割~8割であり、その中でもさらに7割~8割が、身寄りがないことによる支援の困難があったと回答しています。

 

 

 

困難さは例えば、金銭管理や意思決定支援、生活の支援などで生じているとのことです。そして、これらの相談機関が保証人になることや医療同意、金銭管理、死後の対応を求められているケースもあるようです。

そこで、まず練馬区の自立相談支援機関である生活サポートセンター、また地域包括支援センターにおける身寄りのない人への支援の実態と課題をお聞かせください。

 

高齢者への支援については地域包括支援センターが行っているほか、練馬区では、福祉事務所の高齢者支援係が地域包括支援センターのバックアップを行っているとのことです。高齢者支援係ではどのような高齢者支援を行っているのか、また、身寄りのない高齢者への支援としては、高齢者支援係ではどのように課題をとらえているかをお聞きします。

 

身寄りのない人からの相談は増加傾向。保証人や緊急連絡先がないことなどの課題がある。

(福祉部長)

生活サポートセンターや地域包括支援センターでは、親族がいない、または、疎遠になっている方から、住まいや医療、買い物など日常生活での困りごと等の相談を受けており、増加傾向にあります。相談者は、保証人や緊急連絡先がないことで、住まい確保や施設入所が困難になるなどの課題を抱えています。

 

総合福祉事務所高齢者支援係では、地域包括支援センターと連携し、複雑な課題がある方の対応に当たっています。

身寄りがなく意思表出が困難な方には、成年後見制度の区長申立等、権利擁護支援を行っており、認知症の方の申立が令和4年度52件、令和5年度68件と増加しています。