前回のブログの続きです。身寄りのない人に医療的なサポートをする際の課題について、特に今回は、医療行為に対する同意のこと。前回から怪しかったけど今回はやっぱ答弁漏れだと思う。「医療同意について」という答弁がない。一度答弁をワードに打ち直して「同意」と検索したら一語も引っかからなかったもの。確認したことがないからスルーしたんでしょうか。今後、アドバンスケアプランニングの普及とあわせ、医療現場での医療同意の実態把握は進めてほしいと思います。

 

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(かとうぎ桜子)

厚生労働省が2019年に策定した「身寄りがない人の入院及び医療に係る意思決定が困難な人への支援に関するガイドライン」の中では「医療行為の同意については、本人の一身専属性がきわめて強いものであり、「身元保証人・身元引受人等」の第三者に同意の権限はないものと考えられ」るとされており、医療行為への同意は本人だけが行うべきものと言われていますが、実際には第三者に対して医療機関から医療同意が求められることもあると思われます。

 

 

 

「高齢者の身元保証に関する調査」報告書の中でも、アンケート調査の中で、医療行為に対する本人の意思が確認できないことで対応に苦慮する現場の声が挙げられています。入院時にやむを得ない場合に身体拘束する場合があることへの同意なども含め、第三者に同意を求める実態はあると考えられますが、医療機関が第三者に医療行為の同意を求めることについて、区としてはどのように実態把握をしているか、また区の見解をお聞きします。

 

本人の一身専属性がきわめて強いものとされる医療行為への同意は、当然、成年後見人やケアマネの役割でもありませんが、求められるケースはあると考えられます。また、福祉事務所のケースワーカーもその役割を求められることもあるのではないかと思いますが、実態をどのように捉えているかお聞きします。

 

「高齢者の身元保証に関する調査」では、こうした課題の解決策として、アドバンスケアプランニングを実施することや、リビングウィルをあらかじめまとめておくための支援を行っている自治体があること、そして医療現場でケアマネ等も含めたチームを作り意思決定支援を行うことなどが挙げられています。

「延命治療は望まない」という人は多くいらっしゃいますが、具体的にどこからを延命治療とみなすのか、その治療を継続した時のメリット、デメリットについて正確な情報を持って判断できる環境は十分に整っていないのではないでしょうか。

介護関係者の中でも、アドバンスケアプランニングを知らない、または聞いたことはあるけれど詳しく知らないという人もまだ多いという調査結果もあります。

そのような中で現状では、医療機関が意思決定支援を実施することを決めなければ、正確な情報に基づくアドバンスケアプランニングの実現は困難ではないかと思います。アドバンスケアプランニングについて医療機関による医療的知見を活かし、すべての関係者がともに進めていくことができるよう、区としての支援のとりくみを進めるべきと考えますが見解をお聞きします。

 

(福祉部長)

自ら意思表示ができなくなるなど、もしものときに備えて、自分が受けたい医療や介護について前もって考えておくことが重要です。家や医療・介護チームと繰り返し話し合い、共有するアドバンス・ケア・プランニングを、広く区民に周知し、取り組んでもらう必要があります。

本人の意思が確認できず、家族等がいない場合、国は、「身寄りがない人の入院及び医療に係る意思決定が困難な人への支援に関するガイドライン」において、本人に係わる専門職チームが、本人にとって最善の方針をとることを基本としています。チームは病院の医療職だけでなく、ケアマネジャーなど患者に係わる福祉職等で構成し、繰り返し話し合い決定することを求めています。

医療機関は、ガイドラインに基づき、ケアマネジャーや福祉事務所のケースワーカー等と連携し、医療の方針を決定しています。

本人の意思を尊重した医療を最後まで提供するためには、医療介護の専門職同士で、共通の認識を持つことが必要です。 現在、本年10月に専門職向け勉強会を開催する準備を進めています。